【完結】あなたの愛が欲しくて・・・

彩華(あやはな)

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父である、皇帝陛下に無理を言って、婚約をして4年。

目の前の光景に辟易していた。

目の前には私の婚約者である、王太子がいる。
王妃様には似て綺麗な方。茶金色の髪に蒼い目の。
彼の腕には、ピンクブロンドに緑色の目をした女性がくっついている。
毎日毎日。
甘い言葉を囁いている。
ベタベタ寄り添っている。いつも一緒。登下校も一緒。休み時間も昼食も。
ずっと。
お互いにうっとりと見つめ合ってるの。
婚約者でもないのに。

学園に入学してから、出会ったみたい。
お互いに一目惚れですって。

私は、お邪魔ムシらしい。
いらない存在だって。
悪役令嬢って言うみたい。

なにそれ?



王太子は言うの。

私と婚約したつもりはない、と。
真実の愛なんだ、と。
彼女を虐めるな、と。
向こうへいけ、と。


馬鹿じゃないかしら?

皇帝と国王が決めた婚約よ。

国が絡んでいるのよ。

それが理解できないなんて、馬鹿としかいいようがないでしょう。

きちんと授業うけてるのかしら?
無理ね。
成績良くないもの。


まあね、私がに来たのは一年前だけど。
それでも、手紙のやり取りしたでしょうに?
今は全く相手にもしてくれない。
完全無視。

寂しい女ですって。
周りが笑っていたわ。

それを知った叔父様が幾度か婚約の解消を薦めてきた。

ごめんなさい、大好きな叔父様。

私が無理を言って婚約したの。

皇帝陛下と約束したことがあるの。

私は決めたから。

決めたことがあるから。

2番目に欲しいものの為に。


私は目的のためなら自分を使うわ。
それから、1番目に欲しいものを狙うの。

そう、決めたから。



今日も冷めた目で二人を見る。

だから、周りからは怖く見える。
怯える。
震える。

何も言わなくても、手を出さなくてもいじめているんだって。
見ているだけで。
怖いんですって。
すぐに泣いている。

ほんと、馬鹿らしい。

私を誰だと思ってるのかしら。


明日、卒業式。

この一年、一度もお茶には誘われなかったし、贈り物もなかった。エスコートもダンスさえもなかった。
ないない尽くし。
欲しいとも思わないけど。

私がよ。

私は帝国の王女よ。
どんな形であろうと、王女なの。

わかっててやってるのかしら。
ふざけてるわ。

王太子があれなら、親も親だと言うことね。

ほんと、ふざけてる。

明日のエスコートもない。


私は王宮へ行く。

しっかり、釘をささないと。

皇帝陛下から頂いた手紙を携えて。

国王陛下に会いに行く。

さあ、復讐をしましょうか。

私はやると決めていたもの。



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