【完結】シロツメ草の花冠

彩華(あやはな)

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5.サシャ

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 自分の力に気付いたのは2年前だった。

 わたしの両親はそこら辺にいる平々凡々の平民だ。王都からかなり離れた田舎で毎日仕事をしてその日暮らしをする。
 わたしも父ちゃんと母ちゃん、幼い妹や弟たちのために朝は食堂の皿洗い、昼は縫製仕事をしていた。どんなに働いて賃金をもらっても、その日の食費に消える。

 そんな貧しい暮らしでも楽しかった。

 それが変わったのは、妹が風邪を引いた時だ。
 下がらない熱。熱を下げる薬なんて高くて買うお金なんてない。熱覚まし作用のある薬草はすでに取り尽くされ形さえなかった。
 せめて栄養価の高いミルク粥を食べさせてあげれるだけ。
 苦しむ妹に何もできない自分が歯痒かった。

 神様に祈る。
 毎日毎日。
 ー妹の病気を治してーと、夜空の月に向かって祈りを捧げる。

 わたしにできるのはそれだけ。
 
 祈って祈って・・・、そんな時あたりが光に包まれ、不思議な声を聞いた。
 神様の声なのだろうか・・・。
 澄んだ声が聞こえた。

「その祈りを聞き入れよう。汝に人を救う力を与える。正しき思いでこの力を使えよ」ーと。

 身体が熱くなる。内側から不思議な力が湧いてくるような感じがした。

 光が消えて静寂がもどる。
 変わらない風景に夢でも見たのだろうか。
 でも違和感を感じ自分の手を見た。
 なんだろう。
 自分ならやれると確信に満ちていた。

 苦しんでいる妹のベッドのそばに座るとそっと熱い手を握りしめて祈る。

 ー助けてー

 温かい感覚が手に集まってきて、光を発した。
 どれだけそうしていたか・・・。一瞬のような長い時間のような・・・。

 初めて行うことで、加減が分からなかった。

 だから、気付いた時は太陽が上り始め、妹の横で母ちゃんが泣いているのを見て慌てて起き上がった。

 母ちゃんはわたしを見て微笑む。

「よかった・・・」
「母ちゃん?」
「熱が下がってるわ」
「ほんと?」
「あぁ、神様感謝します」

 母ちゃんが祈る。

 その姿を見て嬉しかった。

 熱が下がったのはたまたまの偶然?
 やはり夢だったのかとも思った。でも身体は覚えている。
 わかる。感じる。自分の中に不思議な力が宿っているのを。

 気のせいじゃない。
 わたしが治した。

 手柄を褒めて欲しかったが、いうのをやめた。
 今のわたしはまだ確実じゃない。

 わたしはゆっくりと検証していく。手始めに怪我を治すことにした。自分の指をわざと傷つけて治す。できるようになると次はやんちゃな弟たちの擦り傷・・・。
 家族はわたしの力にはじめは驚いていた。だが褒めてくれた。

 小さな田舎なので噂が拡散され怪我や病気の村人がわたしの元にやってくるようになった。

 誰もが感謝してくれる。
 褒めてくれた。

 そして、その見返りに野菜や金銭をくれるようになり、わたしたちの生活は豊かになっていったのだ。

 

 

 
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