【完結】シロツメ草の花冠

彩華(あやはな)

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7.サシャ

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 数日かけてついた王都の街並みをみて、わたしは口を開けたままだった。

「サシャ。口を閉じなさい」

 司祭様にいわれ、口元を覆う。

「話をしたようにあなたが聖女としてお披露目するのはまだ先のことになります。今は行儀作法、勉学を覚えてもらいます。それとと同時に実績を積んでもらいますので気を引き締めてください」

 田舎丸出しのわたしは聖女様として出せないらしい。

 勉強と聞いて眉を顰めてしまう。

「サシャ。田舎育ちとはいえ聖女様の話は聞いたことあるでしょう」
「うん、・・・じゃなかった。はい」
「聖女とは美しさの代名詞であり、聡明さの代表格であります。それを身につければ王太子妃になれるやもしれません。そうなればゆくゆくは王妃、国母になることもあり得る話です」
「王太子妃?」

 ーなにそれ?
 ー王太子妃?そんなのになれちゃうの?

「可能性としてです。現在の王太子にはすでにご婚約者がおられますので無理だとは思いますが、もしあなたが聖女様としての品格を備えることができれば王族や公爵家から婚約話をがくるやもしれません。それが起こらなくても教会での地位は最上のものとなり、国王陛下に近いの発言権を有することができます」

 ー聖女ってすごいんだ!

 あまりのすごいことにドキドキしてきた。

「サシャ。聞いていますか?」
「うん。じゃなかった、はい。がんばります」
「はい。頑張ってください」

 にこやかな司祭様にわたしはうなずいた。


 だが、勉強は思っていたよりもきつかった。

 食べ方や歩き方でぐだぐだといわれる。
 それくらいできなくても生きていけるのに、なんで言われるのかわからない、ら
 服は汚してないんだからいいじゃないー。
 裾が長いスカートが悪いの。邪魔だからしょうがないじゃない。
 走るくらい構わないでしょうに。
 姿勢?コルセットなんて苦しいだけよ。苦しいって。わたしを殺す気なの?

 ダンスなんてなんの役に立つの?えっ?王太子とするかも?・・・仕方ないわね。

 勉強?字が読むのはできるようになったわよ。書くのは・・・。難しいの!
 ミミズみたい?うるさいわね。上手に書けないのよ。うまく手首が動かせないの。
 本なんて読むだけで眠くなるわ。寝てたら怒られるし、泣きたくなる。

 もう!いやだ!!


 泣いた。なんども両親のいる村に帰りたいと思ったか。
 でも帰るすべなんて知らない。馬車で来たからどんな道を辿ったのかも見てなかったし、第一村の名前なんて覚えていなかったから「○○まで行きたいの」なんて言えなかった。

 それに、もし帰っても前みたいな暮らしに戻れない。

 ここにいれば綺麗な服が着れた。ゴワゴワした服じゃなく柔らかな服。毎日違う服が着れる。それに靴が気持ちいい。田舎では裸足か、木靴、布を巻いただけのものだったが今履いているのは布でできていて中敷も厚くて歩いていても痛くないものだ。
 それに着飾るための宝石をわたしに与えてくれた。綺麗で見惚れるくらい。こんなものいくらするんだろうか。

 あと、豪華な食事もよかった。焼いただけ、煮ただけの塩味のものじゃない。彩り豊かで一つ一つ味が違う。
 すべてが美味しい。
 
 そんな生活を手放すことができなくなっていた。
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