【完結】シロツメ草の花冠

彩華(あやはな)

文字の大きさ
24 / 36

マヤの告白1

しおりを挟む
 わたしはミリア様に幼い頃助けられました。あの瞬間、世界が変わったのです。だからー、わたしはなにがあってもミリア様にお仕えすると決めたのですー。




 ミリア様の様子がおかしと思ったのは新年が明けた頃だっだと思います。

 頭痛がすると言うものでした。
 冬から春にかけては気候も不安定になることもしばしばあるので、偏頭痛だとミリア様もわたしも思っていたのです。 
 それでも続く上、痛みも強くなっているとのことなので、お医者様にかかりました。

 それでも治らないとのことで、旦那様が春休みに入ると医療先進国である隣国ベラニージから医師を呼び寄せ見てもらいました。
 
 そこではじめて頭に何らかの異物がある可能性を知らされたのです。今までの前例などをもとにした見解でした。

 精密な検査をしない正確にはわからないが確率が高いーと。なのでちゃんとした検査は必要だといわれました。

 この時はまだ・・・、まだ楽観視していたのです。

 検査をするにもベラニージ国に行かなければならないこと。その費用も莫大になるらしいとも言われました。他人にはお金を使うことは惜しまないのに、自分のためにお金が使われるのをあまり好まないミリア様は迷っていました。

 ちょうどそんな時です。
 聖女の話が話題になっていました。今年の風邪は特に酷く、死者もたくさん出たはずなのに、ほとんどの病人を救ったとして一躍有名になった方です。

 しかも、春からは学園に入るとか・・・。

 わたしはミリア様に言いました。

「聖女様に治していただきましょう。そうすればわざわざベラニージ国に行く必要性もありませんっ」 

 ミリア様も同意しました。

 王太子殿下のために頑張っているアルト様に心配をかけたくなくて、自分のことで足を引っ張りたくなかったのでしょう。頭が痛いのを隠すのがきっと辛かったのかもしれません。
 なので、アルト様には何もおっしゃられませんでした。


 ただ、聖女には密やかな噂がありました。お布施の金額で人を選んでいるとか・・・。

 そんな噂もあり、人となりを知ってからということで、行くのを躊躇っていました。
 でも、ミリア様の頭痛は治りません。

 ですので、夏休みに入ってすぐにミリア様は多額のお布施を用意して治療院に行きました。
 屋敷に来てもらうことをしなかったのは大事にしたくなかったからです。
 治療院なら孤児院の子供たちに会うためなどと言い訳ができるからでした。
 すぐ近くにある教会の孤児院にミリア様は度々顔をだしたすから。

 治療院にいくと、聖女はミリア様の治療をしてくれました。お布施を渡した時のシスターのニヤニヤ顔は気分が悪くなりました。
 それでもあからさまなお布施を見せたのですから絶対に治っているはず。

 なのに、聖女はもう一回くるように行ってきたのです。
 強欲じゃないでしょうか。

「ミリア様のどうですか?」

 その晩、ミリア様に聞きました。

 ですが、返ってきた答えは期待を裏切るものでした。

「痛みはないけど・・・」
「ないけど、なんですか?」
「違和感はあるわ。治ってないかも・・・」
「そんな・・・」

 どういうことでしょうか。
 聖女の治療が効果がないとは信じられません。

 ミリア様は考え込んでいましたが、しばらくして、わたしを見ました。

「マヤ。ちょっと聖女を調べて」
「ミリア様?」
「もし聖女が騙りなら、殿下に・・・国王陛下に言わなければならないわ。祭司様にもね」
「騙り、ですか?それではミリア様は彼女が聖女でないと思われているのですか?」
「わからない・・・。でも、聖女なら治るものでしょう・・・」 

 確かにそうです。聖女はどんな者の病気や怪我を癒すとされています。伝説だけではなく文献にも載っていることなのだから間違いありません。

「わかりました。調べます」
「内密に調べて。周りに気づかれてはダメよ」
「はい。・・・それで、ミリア様は・・・」
「お父様の言うとおりベラニージ国に検査に行くわ」

 ミリア様はそう言って微笑みました。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お望み通り、消えてさしあげますわ

梨丸
恋愛
一国の次期王妃と言われていた子爵令嬢アマリリス。 王太子との結婚前夜、彼女は自ら火を放ち、死んだ。 国民達は彼女の死を特に気にもしなかった。それどころか、彼女の死を喜ぶ者もいた。彼女の有していた聖女の力は大したものではなかったし、優れているのは外見だけの“役立たずの聖女”だと噂されるほどだったから。 彼女の死後、すぐさま後釜として皆に好かれていた聖女が次期王妃に召し上げられた。 この国はより豊かになる、皆はそう確信した。 だが、“役立たずの聖女”アマリリスの死後──着実に崩壊は始まっていた。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)

【完結済】ラーレの初恋

こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた! 死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし! けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──? 転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。 他サイトにも掲載しております。

さようなら、私の初恋

しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」 物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。 だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。 「あんな女、落とすまでのゲームだよ」

【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。

As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。 例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。 愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。 ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します! あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 番外編追記しました。 スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします! ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。 *元作品は都合により削除致しました。

本物聖女の力は無力でした ――見世物レベルの聖女のおかげで婚約破棄されました――**

鷹 綾
恋愛
魔法が存在しないと信じられていた世界に、 突如として現れた「本物の聖女」。 空中浮遊、瞬間移動、念動力―― 奇跡を披露した平民の少女は、たちまち市民の熱狂を集め、 王太子はその力に目を奪われる。 その結果、 王太子の婚約者だった公爵令嬢アストリアは、 一方的に婚約を破棄されてしまった。 だが、聖女の力は―― ・空中浮遊は、地上三十センチ ・瞬間移動は、秒速一メートル ・念動力は、手で持てる重さまで 派手ではあるが、実用性は乏しい。 聖女の力は、見世物レベル。 少なくとも、誰もがそう判断していた。 それでも人々は喝采し、 権威は少女を縛り、 「聖女」という立場だけが一人歩きしていく。 そんな中、婚約破棄された公爵令嬢アストリアは、 ある違和感に気づき始める。 ――奇跡よりも、奪われているものがあることに。 派手な復讐はない。 怒鳴り返しもしない。 けれど静かに、確実に、 “正しさ”は明らかになっていく。 見世物にされた奇跡と、 尊厳を取り戻す少女たちの物語。 ---

母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない

春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」 それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。 「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」 父親から強い口調で詰られたエルリカ。 普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。 けれどエルリカは違った。 「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」 そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。 以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。 ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。 おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

処理中です...