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「ふぇっ!」
目が覚めました。目の前に三つ顔があります。
どう言うことなんだろう。目覚めからキャパオーバーだ。
「起きた」
「起きたな」
「起きましたね」
見知らぬ3人は口々にそう言うと、皆で一斉にばっと振り返った。
「ソレイユ! 起きた!」
そして、1人が叫んだ。すんごい声量。思わずぷるぷる震えてしまう。
「わかったわかった。とりあえず静かにしろ。その子が驚くだろう」
「はっ! そうだった」
やっぱり頼れるソレイユさん。安心感がちがう。
「おはよーございます」
「ああ、おはよう。ここは俺たちの常宿だ。体調は大丈夫か?」
「はい」
そう答えるとソレイユさんはわしゃわしゃと頭を撫でてくれる。そしてまたニカっと笑ってくれた。ソレイユさんは頭を撫でるのが好きらしい。
「え……」
「ソレイユが笑っている、だと……!」
「……夢でも見てるんでしょうか?」
後ろで3人が何かを囁いているけどよく聞こえない。なんなんだろう? て言うか、この3人誰?
そう思っていると、ソレイユさんが提案した。
「とりあえず、自己紹介なんかをしたいんだが、いいか?」
「うん」
そうして始まった自己紹介。
まずはソレイユさんから。
「さっきも言ったが、俺はソレイユっつう名前だ。冒険者をしていて、ランクはS級。……ランクってわかるか?」
「うん」
「よく魔物討伐をしている。……んで、こいつら3人がパーティーメンバー」
そう言って先ほどの3人を指し示す。この人たち、パーティメンバーだったんだ。
「まずこいつが、ノクト。ただの魔術バカだ」
「失礼な。……初めまして。ノクトと申します。よろしくお願いしますね」
そう言って微笑んだのは、銀色の髪を長く伸ばした、青い瞳の美人さん。魔術バカってことは魔術得意なのかな? て言うか、この世界魔法とか世界なんだ。是非とも教えてもらいたい。
「次にこいつがフィン。脳筋だ」
「ひどくないか? おう、坊主。俺はフィンって言うんだ。力持ちなんだぞ」
そう言って力瘤を見せてくれたのは、茶色の髪と瞳の大きい人。本当に筋肉がすごい。腕なんか僕の3倍くらいありそう。こう言う体って憧れるよね。
「で、最後にこいつがアレン」
「ついに一言紹介すらなくなった!? はーい、僕アレンっていいまーす。盗賊やってます。この中だと1番歳が近いと思うから、仲良くしてね」
そう言って手を振ってくれたのは小柄な——と言っても僕よりだいぶ大きいけど——オレンジの髪と瞳の人。なんか、話し方やら動きやらからすっごく元気な感じが伝わってくる。
「じゃあ、最後にお前だな。名前と……後歳、種族も頼む」
「はい」
ついに僕の番。少し緊張しながら自己紹介を始める。
「ぼくは……名前なくって。歳は多分12。鳥獣人と人族のあいだにうまれました。両親に奴隷商に売られそうになっていたところをソレイユさんに逃がしてもらいました。よろしくお願いします」
そう言ってパッと頭を下げる。我ながら情報が無さすぎる。仕方ないんだけど。
そして頭を上げると——。
「12歳なのに8歳にしか見えない……」
「かわいそうに……」
「名前もないだと……」
アレンさん、ノクトさん、フィンさんが目に手を当てて上を向いていた。何かやらかしてしまったのかな?
心配になってソレイユさんの方を向く。するとソレイユさんも頭を抱えていた。
「ソレイユさん? なにかしちゃった?」
「いや、お前は何も。お前の親にちょっとな……。よし。切り替えた」
するとソレイユさんは僕に近づいてきて、膝をついた。そして言った。
「なあ、俺らが名前をつけてもいいか?」
「もちろん!」
思わず食い気味に返事をする。だって嬉しいんだもん。そうするとソレイユさんは頭をわしゃわしゃとなでた。
「じゃあ、少しここでまっててくれ。あの3人と名前考えてくる」
「うん」
そう言ってソレイユさんは3人を引きずって部屋の端っこに向かった。そして、何かを話し出す。
「ぼく、どんな名前になるのかなあ」
なんてのんびりしていたら。
「決まったぞ!」
「はや!」
秒速で決まった。名前ってそんなに早く決まるものだっけ?
疑問に思うけど、それは置いておいて。
「なにになったの?」
「お前の名前は、アンジュ。みんな一斉にこれを出したんだ。どうだ?」
アンジュ。アンジュが僕の名前。
「うれしい!」
「そうか、そうか。よかった。俺たちの名前も呼び捨てでいいからな?」
また、ソレイユさん……ソレイユは頭をわしゃわしゃ。僕も思わず笑顔になる。
その時、はっと気づいたようにノクトが声を上げた。
「アンジュ。髪の毛の羽根はどうしたのですか? 鳥獣人は髪にも羽があるはずですが……」
「確かに! 髪の毛先が羽になってない鳥獣人って会ったことないよね」
「鳥獣人と人族の子でも坊主みたいに羽が生えてないのはいなかったぞ」
そう口々に言われて思い出す。確かに鳥獣人の方の親には羽があったなって。
「髪を切ったすぐ後は羽がないと聞いたことがあります。アンジュ最近髪を切りましたか?」
「ううん」
そう言って僕は首を振る。髪を切って羽がなくなるなんて初めて聞いた。しばらくするとまた髪の毛の先が羽になるのかな?
て言うか、人との間に生まれても髪の毛に羽があるないことってないんだ。
そんなことを考えながら、ぽつりとつぶやく。
「頭の羽、親にはあったけど、ぼくはずうっとないよ?」
そう言うと、4人がカチンと固まった。
「アンジュってもしかして……」
「ああ、これはそう言うことだな。アンジュは神の子、天使だ」
え、僕って天使だったの!?
目が覚めました。目の前に三つ顔があります。
どう言うことなんだろう。目覚めからキャパオーバーだ。
「起きた」
「起きたな」
「起きましたね」
見知らぬ3人は口々にそう言うと、皆で一斉にばっと振り返った。
「ソレイユ! 起きた!」
そして、1人が叫んだ。すんごい声量。思わずぷるぷる震えてしまう。
「わかったわかった。とりあえず静かにしろ。その子が驚くだろう」
「はっ! そうだった」
やっぱり頼れるソレイユさん。安心感がちがう。
「おはよーございます」
「ああ、おはよう。ここは俺たちの常宿だ。体調は大丈夫か?」
「はい」
そう答えるとソレイユさんはわしゃわしゃと頭を撫でてくれる。そしてまたニカっと笑ってくれた。ソレイユさんは頭を撫でるのが好きらしい。
「え……」
「ソレイユが笑っている、だと……!」
「……夢でも見てるんでしょうか?」
後ろで3人が何かを囁いているけどよく聞こえない。なんなんだろう? て言うか、この3人誰?
そう思っていると、ソレイユさんが提案した。
「とりあえず、自己紹介なんかをしたいんだが、いいか?」
「うん」
そうして始まった自己紹介。
まずはソレイユさんから。
「さっきも言ったが、俺はソレイユっつう名前だ。冒険者をしていて、ランクはS級。……ランクってわかるか?」
「うん」
「よく魔物討伐をしている。……んで、こいつら3人がパーティーメンバー」
そう言って先ほどの3人を指し示す。この人たち、パーティメンバーだったんだ。
「まずこいつが、ノクト。ただの魔術バカだ」
「失礼な。……初めまして。ノクトと申します。よろしくお願いしますね」
そう言って微笑んだのは、銀色の髪を長く伸ばした、青い瞳の美人さん。魔術バカってことは魔術得意なのかな? て言うか、この世界魔法とか世界なんだ。是非とも教えてもらいたい。
「次にこいつがフィン。脳筋だ」
「ひどくないか? おう、坊主。俺はフィンって言うんだ。力持ちなんだぞ」
そう言って力瘤を見せてくれたのは、茶色の髪と瞳の大きい人。本当に筋肉がすごい。腕なんか僕の3倍くらいありそう。こう言う体って憧れるよね。
「で、最後にこいつがアレン」
「ついに一言紹介すらなくなった!? はーい、僕アレンっていいまーす。盗賊やってます。この中だと1番歳が近いと思うから、仲良くしてね」
そう言って手を振ってくれたのは小柄な——と言っても僕よりだいぶ大きいけど——オレンジの髪と瞳の人。なんか、話し方やら動きやらからすっごく元気な感じが伝わってくる。
「じゃあ、最後にお前だな。名前と……後歳、種族も頼む」
「はい」
ついに僕の番。少し緊張しながら自己紹介を始める。
「ぼくは……名前なくって。歳は多分12。鳥獣人と人族のあいだにうまれました。両親に奴隷商に売られそうになっていたところをソレイユさんに逃がしてもらいました。よろしくお願いします」
そう言ってパッと頭を下げる。我ながら情報が無さすぎる。仕方ないんだけど。
そして頭を上げると——。
「12歳なのに8歳にしか見えない……」
「かわいそうに……」
「名前もないだと……」
アレンさん、ノクトさん、フィンさんが目に手を当てて上を向いていた。何かやらかしてしまったのかな?
心配になってソレイユさんの方を向く。するとソレイユさんも頭を抱えていた。
「ソレイユさん? なにかしちゃった?」
「いや、お前は何も。お前の親にちょっとな……。よし。切り替えた」
するとソレイユさんは僕に近づいてきて、膝をついた。そして言った。
「なあ、俺らが名前をつけてもいいか?」
「もちろん!」
思わず食い気味に返事をする。だって嬉しいんだもん。そうするとソレイユさんは頭をわしゃわしゃとなでた。
「じゃあ、少しここでまっててくれ。あの3人と名前考えてくる」
「うん」
そう言ってソレイユさんは3人を引きずって部屋の端っこに向かった。そして、何かを話し出す。
「ぼく、どんな名前になるのかなあ」
なんてのんびりしていたら。
「決まったぞ!」
「はや!」
秒速で決まった。名前ってそんなに早く決まるものだっけ?
疑問に思うけど、それは置いておいて。
「なにになったの?」
「お前の名前は、アンジュ。みんな一斉にこれを出したんだ。どうだ?」
アンジュ。アンジュが僕の名前。
「うれしい!」
「そうか、そうか。よかった。俺たちの名前も呼び捨てでいいからな?」
また、ソレイユさん……ソレイユは頭をわしゃわしゃ。僕も思わず笑顔になる。
その時、はっと気づいたようにノクトが声を上げた。
「アンジュ。髪の毛の羽根はどうしたのですか? 鳥獣人は髪にも羽があるはずですが……」
「確かに! 髪の毛先が羽になってない鳥獣人って会ったことないよね」
「鳥獣人と人族の子でも坊主みたいに羽が生えてないのはいなかったぞ」
そう口々に言われて思い出す。確かに鳥獣人の方の親には羽があったなって。
「髪を切ったすぐ後は羽がないと聞いたことがあります。アンジュ最近髪を切りましたか?」
「ううん」
そう言って僕は首を振る。髪を切って羽がなくなるなんて初めて聞いた。しばらくするとまた髪の毛の先が羽になるのかな?
て言うか、人との間に生まれても髪の毛に羽があるないことってないんだ。
そんなことを考えながら、ぽつりとつぶやく。
「頭の羽、親にはあったけど、ぼくはずうっとないよ?」
そう言うと、4人がカチンと固まった。
「アンジュってもしかして……」
「ああ、これはそう言うことだな。アンジュは神の子、天使だ」
え、僕って天使だったの!?
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