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「うみゃ……」
自分の腕の中で眠る可愛らしい1人の男の子を見て、思わず微笑みが漏れる。だが、その後すぐに顔を顰めてしまう。この子はきっとこの世界ではひどく生きづらい。
俺はこの子どもと出会った経緯を思わず思い返した。
今日、この場所にいたのはたまたまだった。
俺はギルド所属の冒険者で、今はキューラの街に滞在している。
ギルドとは国に属さない独立組織で、魔物討伐やポーションに必要な材料の採取なんかをするいわゆる何でも屋。常時F級からS級までランクごとに色んな依頼があるため、自分に合ったものを選んで仕事が出来る。
だから、今日も今日とてパーティメンバーと依頼をこなす予定だった。だが——。
「うぇええ。きも゛ぢわる……」
「の、飲みすぎた……」
「……うぇ、今日、無理ですね」
悲鳴が響く宿の一室。
パーティーメンバーがものの見事に二日酔い。その予定は消え去った。しかも、それだけではない。
「すみません……。二日酔いの薬の薬草切らしてて……。とってきてもらえませんか?」
「はぁ?」
えずく音と共にそんなことを言われた。
たぶん、俺をこき使うことで薬草を買う金を浮かせようとしているんだろう。というか、そうだ。
「断る。二日酔いはお前らの自業自得だろう。現に俺は元気だ」
「そ、そこをなんとかあ!」
「……しょうがない」
結局押し負けてしまった。
まあ、薬草を撮りに行くのは花の森。小動物や一部の獣人しか住んでいない安全な森だ。個人でもパーティでもS級の俺にとって赤子の手をひねるようなものだ。
俺は碌な準備もせず、マントだけ羽織って宿の一室を飛び出した。……あの子に出会うと知っていたなら、もっと何か持っていったと言うのに。
そしてついた花の森。
少し開けた場所に陣取って黙々と薬草を集めていく。薬草自体採取し慣れたものだったからすぐに集め終わり、そろそろ帰るかと腰を伸ばしたとき——。
突然、小さな男の子が森の中から飛び出してきた。それ自体はあまり驚くことではない。この森は人が住んでいるから、人に会うことはある。
驚いたのはその容姿だ。
サラサラのプラチナのような白金色の髪。晴れた空のような大きな瞳がバランスよく配置された顔は、天使のように可愛らしい。
そして、何より背中に大きな羽があった。光を反射してキラキラと輝く純白の羽。子供の容姿も相まってまるで天使のようだった。
しばらく惚けたように見ていたが、その子はこちらに気づいていないようだった。そのうちきっと家に帰るだろう。そう思って息を潜めていると、ふとその子がこちらを見た。俺に気づいたようだ。
そこで気づく。様子がおかしい。顔は恐怖に染まっているし、全力疾走した後のようで息が切れている。これは何か恐ろしいものに追われた時の反応と同じだ。
「おい、追われてんのか?」
咄嗟に声をかけると、驚いたようにその子は上に飛び上がった。だが——。
「——っ」
突然知らない人に声をかけられたからか、口がはくはくとうごくだけで声が出ていない。とりあえず、こちらが怪しいものではないとわかってもらわなければ。
「俺はソレイユって言うんだ。冒険者っつう人助けをする仕事をしてる。お前は今困ってるんだろ? 俺は助けてやれる。どうする?」
簡単に自己紹介をすると、少し考えるのような仕草をし始めた。こちらを信用していいかどうか迷っているのだろう。ここで声をかけては台無しだ。声をかけないようにする。
しばらくするとその子は決心がついたような顔をして、俺に言った。
「たすけて! ぼく、売られちゃうの!」
「よし、よく言った。俺が助けてやる」
売られる。その一言でこの子の置かれている状況が思っていたより悪いことがわかってしまう。必ず助けなければ。
なるべく安心してもらえるように笑ってみる。あまり子供と接するのは得意じゃないのに、この子にはなんでもしてやりたいと思ってしまう。
「とりあえず逃げるのは間に合わないだろう。だから、このマントの中に隠れておいてくれ」
「——うんっ」
とりあえずマントの中に隠し、この後来るであろう追っ手を誤魔化すことにする。すると、小さな子供はマントの中でガタガタと震えていることに気づいた。
「大丈夫だ。俺が守ってやるからな。落ち着いて、深呼吸して」
誰かに売られる。震えて当たり前だ。なるべく安心できるようマントの上からぽんぽんと叩く。すると、しばらくして震えがおさまった。
「ありがと」
「おう、どういたしまして、だな」
やっとこの子の穏やかな声を聞けた。その時だった。
「どこだぁああ! あいつがいなきゃ俺たちにお金が入らないじゃないか!」
叫び声が聞こえてきた。きっと追っ手だろう。穏やかじゃない内容を叫びながら近づいてくる。
「そこのお前、ここに鳥獣人の子が来なかったか!?」
「来ていないな。だが、向こうのほうで何かが走る音が聞こえた。動物かと思ったが、もしかしたら違うかも知れない」
声をかけられしれっと嘘をつく。半分は嘘ではないし、こいつはこの子を売ろうとしているのだから嘘をついてもいいだろう。
「向こうだな!?」
追っ手はとっとと去っていた。とりあえずこれで安心だ。
追っ手が遠くに行ったことを確認して、周りの荷物をまとめる。すると、不思議そうな顔で子供が尋ねてきた。
「どうして?」
「ここからすぐに離れないとだめなんだ。このままじゃあお前は森の中で追われ続ける。俺と一緒に行こう?」
「どこに?」
「売られない、安全なところ。俺が一緒に暮らしたっていい。自由な独り身だ。なんだか、お前と離れちゃ後悔する気がするんだ」
このことは慣れたら絶対後悔する。それだけは断言できて、なんとか説得しようと言葉を尽くした。だが、子供は不安そうな顔をしている。
「子供が心配することじゃあない。子供は大人に素直に頼っていればいいんだ」
その言葉に納得したのか、やっと頷いてくれる。
「いっしょににげて。ぼく、助けてほしい」
「よく言えました!」
やっと笑顔になったその子があまりにも可愛くて、思わずわしゃわしゃと頭を撫でてしまう。この子は売られるような環境にいたから怖がるかと思ったが、むしろ手を擦り付けてきた。可愛い。
「それじゃあ、そのままマントの中に隠れておいてくれ。どこかですれ違ってしまうかも知れない。お前を追っているのは何人だ?」
「たぶんさんにん」
「じゃあ、その3人に会わないように行こう」
そうして歩き出してしばらく。この子は眠ってしまったわけだ。
「……名前聞いてなかったな」
思わず独りごちる。この子の名前、それと事情をこの後聞かなければ。
だが、今は。
「可愛い」
この子を独り占めできる幸福を噛み締めなければ。
自分の腕の中で眠る可愛らしい1人の男の子を見て、思わず微笑みが漏れる。だが、その後すぐに顔を顰めてしまう。この子はきっとこの世界ではひどく生きづらい。
俺はこの子どもと出会った経緯を思わず思い返した。
今日、この場所にいたのはたまたまだった。
俺はギルド所属の冒険者で、今はキューラの街に滞在している。
ギルドとは国に属さない独立組織で、魔物討伐やポーションに必要な材料の採取なんかをするいわゆる何でも屋。常時F級からS級までランクごとに色んな依頼があるため、自分に合ったものを選んで仕事が出来る。
だから、今日も今日とてパーティメンバーと依頼をこなす予定だった。だが——。
「うぇええ。きも゛ぢわる……」
「の、飲みすぎた……」
「……うぇ、今日、無理ですね」
悲鳴が響く宿の一室。
パーティーメンバーがものの見事に二日酔い。その予定は消え去った。しかも、それだけではない。
「すみません……。二日酔いの薬の薬草切らしてて……。とってきてもらえませんか?」
「はぁ?」
えずく音と共にそんなことを言われた。
たぶん、俺をこき使うことで薬草を買う金を浮かせようとしているんだろう。というか、そうだ。
「断る。二日酔いはお前らの自業自得だろう。現に俺は元気だ」
「そ、そこをなんとかあ!」
「……しょうがない」
結局押し負けてしまった。
まあ、薬草を撮りに行くのは花の森。小動物や一部の獣人しか住んでいない安全な森だ。個人でもパーティでもS級の俺にとって赤子の手をひねるようなものだ。
俺は碌な準備もせず、マントだけ羽織って宿の一室を飛び出した。……あの子に出会うと知っていたなら、もっと何か持っていったと言うのに。
そしてついた花の森。
少し開けた場所に陣取って黙々と薬草を集めていく。薬草自体採取し慣れたものだったからすぐに集め終わり、そろそろ帰るかと腰を伸ばしたとき——。
突然、小さな男の子が森の中から飛び出してきた。それ自体はあまり驚くことではない。この森は人が住んでいるから、人に会うことはある。
驚いたのはその容姿だ。
サラサラのプラチナのような白金色の髪。晴れた空のような大きな瞳がバランスよく配置された顔は、天使のように可愛らしい。
そして、何より背中に大きな羽があった。光を反射してキラキラと輝く純白の羽。子供の容姿も相まってまるで天使のようだった。
しばらく惚けたように見ていたが、その子はこちらに気づいていないようだった。そのうちきっと家に帰るだろう。そう思って息を潜めていると、ふとその子がこちらを見た。俺に気づいたようだ。
そこで気づく。様子がおかしい。顔は恐怖に染まっているし、全力疾走した後のようで息が切れている。これは何か恐ろしいものに追われた時の反応と同じだ。
「おい、追われてんのか?」
咄嗟に声をかけると、驚いたようにその子は上に飛び上がった。だが——。
「——っ」
突然知らない人に声をかけられたからか、口がはくはくとうごくだけで声が出ていない。とりあえず、こちらが怪しいものではないとわかってもらわなければ。
「俺はソレイユって言うんだ。冒険者っつう人助けをする仕事をしてる。お前は今困ってるんだろ? 俺は助けてやれる。どうする?」
簡単に自己紹介をすると、少し考えるのような仕草をし始めた。こちらを信用していいかどうか迷っているのだろう。ここで声をかけては台無しだ。声をかけないようにする。
しばらくするとその子は決心がついたような顔をして、俺に言った。
「たすけて! ぼく、売られちゃうの!」
「よし、よく言った。俺が助けてやる」
売られる。その一言でこの子の置かれている状況が思っていたより悪いことがわかってしまう。必ず助けなければ。
なるべく安心してもらえるように笑ってみる。あまり子供と接するのは得意じゃないのに、この子にはなんでもしてやりたいと思ってしまう。
「とりあえず逃げるのは間に合わないだろう。だから、このマントの中に隠れておいてくれ」
「——うんっ」
とりあえずマントの中に隠し、この後来るであろう追っ手を誤魔化すことにする。すると、小さな子供はマントの中でガタガタと震えていることに気づいた。
「大丈夫だ。俺が守ってやるからな。落ち着いて、深呼吸して」
誰かに売られる。震えて当たり前だ。なるべく安心できるようマントの上からぽんぽんと叩く。すると、しばらくして震えがおさまった。
「ありがと」
「おう、どういたしまして、だな」
やっとこの子の穏やかな声を聞けた。その時だった。
「どこだぁああ! あいつがいなきゃ俺たちにお金が入らないじゃないか!」
叫び声が聞こえてきた。きっと追っ手だろう。穏やかじゃない内容を叫びながら近づいてくる。
「そこのお前、ここに鳥獣人の子が来なかったか!?」
「来ていないな。だが、向こうのほうで何かが走る音が聞こえた。動物かと思ったが、もしかしたら違うかも知れない」
声をかけられしれっと嘘をつく。半分は嘘ではないし、こいつはこの子を売ろうとしているのだから嘘をついてもいいだろう。
「向こうだな!?」
追っ手はとっとと去っていた。とりあえずこれで安心だ。
追っ手が遠くに行ったことを確認して、周りの荷物をまとめる。すると、不思議そうな顔で子供が尋ねてきた。
「どうして?」
「ここからすぐに離れないとだめなんだ。このままじゃあお前は森の中で追われ続ける。俺と一緒に行こう?」
「どこに?」
「売られない、安全なところ。俺が一緒に暮らしたっていい。自由な独り身だ。なんだか、お前と離れちゃ後悔する気がするんだ」
このことは慣れたら絶対後悔する。それだけは断言できて、なんとか説得しようと言葉を尽くした。だが、子供は不安そうな顔をしている。
「子供が心配することじゃあない。子供は大人に素直に頼っていればいいんだ」
その言葉に納得したのか、やっと頷いてくれる。
「いっしょににげて。ぼく、助けてほしい」
「よく言えました!」
やっと笑顔になったその子があまりにも可愛くて、思わずわしゃわしゃと頭を撫でてしまう。この子は売られるような環境にいたから怖がるかと思ったが、むしろ手を擦り付けてきた。可愛い。
「それじゃあ、そのままマントの中に隠れておいてくれ。どこかですれ違ってしまうかも知れない。お前を追っているのは何人だ?」
「たぶんさんにん」
「じゃあ、その3人に会わないように行こう」
そうして歩き出してしばらく。この子は眠ってしまったわけだ。
「……名前聞いてなかったな」
思わず独りごちる。この子の名前、それと事情をこの後聞かなければ。
だが、今は。
「可愛い」
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