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【読者投稿】「きゅう、きゅう」と鳴る音の正体
「きゅう、きゅう」と鳴る音の正体(K子さん・主婦)①
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昨年の5月、新築の戸建てに引っ越した日の夜のことです。
私は新しくできた分譲地の一角に、夫とふたりで越してきました。まだ近所の家は半分くらいが空き家で、うちも含めて数軒だけが入居したばかりの状態です。もちろん、家具の設置などはこれからという状態で、我が家もカーテンやテーブルなどは翌日以降の納品予定でした。
その夜は、最低限の寝具をリビングに敷いて寝ることにしたのですが……私はどうしても寝付けませんでした。
環境が変わったせいもあるでしょうし、床に直に敷いた布団のせいもあると思います。もともと神経質なほうなので、こういう状況は苦手なんです。
でも夫はというと、缶ビールを一本飲んだだけで、すぐに大きないびきをかいて眠ってしまいました。
私は仕方なく天井を見つめながら、ウトウトするのを待っていたんですが……
あるとき、夫のいびきに紛れて、「きゅう……きゅう……」という、何かが軋むような音が聞こえてきたんです。
最初は家鳴りかなと思いました。でも、その音は妙に等間隔で、ずっと鳴り続けていました。風も吹いていない夜でしたし、庭に揺れるような木もないし……。
何よりその音が、なんというか、生々しいんです。
気になって家の中を歩き回ってみたんですが、どうも音の出どころはリビングのガラス扉の向こう――庭のほうのようでした。
まだカーテンがついていなかったので、ガラス越しに外を見たんですが、特に何も動いている様子はなく、音の原因になりそうなものも見当たりません。
「なんだ、気のせいか」と思って布団に戻ろうとしたとき、なんとなく、道路を挟んだ向かいの家が目に入ったんです。
向かいも同じような間取りの家で、やっぱり庭に面したガラス扉があって、そちらにもまだカーテンがついていませんでした。でも、明かりはついていて、「あ、向かいももう入居してるんだ」と思ったんです。
……そのとき、向かいのガラス扉のところに“影”が見えました。
人の形をした影が、扉の中央あたりに……浮かんでいるように。
よく見ると、影の上から一本、縄のようなものが垂れていて……それで吊られているように見えました。
長い髪の女性が、白っぽいワンピースのような服を着て、手足を力なく垂らして……完全に、首を吊っている格好だったんです。
そして、その首にかけられた縄が――
きゅう……きゅう……と、身体の揺れに合わせて軋むような音を立てていました。
声も出せず、私は凍りついて見つめていました。
そしたらその女の人が、突然、顔をこちらに向けてきたんです。
死んでいるはずなのに。吊られて動けるはずがないのに。
彼女の目は、確かに私を見ていました。まっすぐに、はっきりと、こっちを。
その瞬間、私は悲鳴を上げて尻餅をつきました。
物音に気づいた夫が「どうした? トイレか?」なんて呑気に言ってましたけど、私は震える手で、向かいの家を指差して「女の人が、首を……!」と必死に伝えました。恐怖でそちらの方を見ることもできません。
けれど夫が確認したときには、向かいの家の明かりはもう消えていて、何もいなかったそうです。
必死に説明するうちに、私はなんだかおかしいと自分でも思い始めました。そもそも、あの距離で縄が軋む音なんて聞こえるでしょうか? あんなに遠くから、女の目がこっちを見ていたなんて、分かるはずないのに……。
夫は「引っ越しで疲れてるんだよ」と言って、またすぐに寝てしまいました。
でも私は、その後も全く眠れませんでした。
布団に戻っても、心臓の音が耳の奥でずっと鳴っているようで――
何よりもあの音が、まだ耳から離れなかったんです。
きゅう……
きゅう……
あの音だけが、いつまでも、私の頭の中に残っていました。
私は新しくできた分譲地の一角に、夫とふたりで越してきました。まだ近所の家は半分くらいが空き家で、うちも含めて数軒だけが入居したばかりの状態です。もちろん、家具の設置などはこれからという状態で、我が家もカーテンやテーブルなどは翌日以降の納品予定でした。
その夜は、最低限の寝具をリビングに敷いて寝ることにしたのですが……私はどうしても寝付けませんでした。
環境が変わったせいもあるでしょうし、床に直に敷いた布団のせいもあると思います。もともと神経質なほうなので、こういう状況は苦手なんです。
でも夫はというと、缶ビールを一本飲んだだけで、すぐに大きないびきをかいて眠ってしまいました。
私は仕方なく天井を見つめながら、ウトウトするのを待っていたんですが……
あるとき、夫のいびきに紛れて、「きゅう……きゅう……」という、何かが軋むような音が聞こえてきたんです。
最初は家鳴りかなと思いました。でも、その音は妙に等間隔で、ずっと鳴り続けていました。風も吹いていない夜でしたし、庭に揺れるような木もないし……。
何よりその音が、なんというか、生々しいんです。
気になって家の中を歩き回ってみたんですが、どうも音の出どころはリビングのガラス扉の向こう――庭のほうのようでした。
まだカーテンがついていなかったので、ガラス越しに外を見たんですが、特に何も動いている様子はなく、音の原因になりそうなものも見当たりません。
「なんだ、気のせいか」と思って布団に戻ろうとしたとき、なんとなく、道路を挟んだ向かいの家が目に入ったんです。
向かいも同じような間取りの家で、やっぱり庭に面したガラス扉があって、そちらにもまだカーテンがついていませんでした。でも、明かりはついていて、「あ、向かいももう入居してるんだ」と思ったんです。
……そのとき、向かいのガラス扉のところに“影”が見えました。
人の形をした影が、扉の中央あたりに……浮かんでいるように。
よく見ると、影の上から一本、縄のようなものが垂れていて……それで吊られているように見えました。
長い髪の女性が、白っぽいワンピースのような服を着て、手足を力なく垂らして……完全に、首を吊っている格好だったんです。
そして、その首にかけられた縄が――
きゅう……きゅう……と、身体の揺れに合わせて軋むような音を立てていました。
声も出せず、私は凍りついて見つめていました。
そしたらその女の人が、突然、顔をこちらに向けてきたんです。
死んでいるはずなのに。吊られて動けるはずがないのに。
彼女の目は、確かに私を見ていました。まっすぐに、はっきりと、こっちを。
その瞬間、私は悲鳴を上げて尻餅をつきました。
物音に気づいた夫が「どうした? トイレか?」なんて呑気に言ってましたけど、私は震える手で、向かいの家を指差して「女の人が、首を……!」と必死に伝えました。恐怖でそちらの方を見ることもできません。
けれど夫が確認したときには、向かいの家の明かりはもう消えていて、何もいなかったそうです。
必死に説明するうちに、私はなんだかおかしいと自分でも思い始めました。そもそも、あの距離で縄が軋む音なんて聞こえるでしょうか? あんなに遠くから、女の目がこっちを見ていたなんて、分かるはずないのに……。
夫は「引っ越しで疲れてるんだよ」と言って、またすぐに寝てしまいました。
でも私は、その後も全く眠れませんでした。
布団に戻っても、心臓の音が耳の奥でずっと鳴っているようで――
何よりもあの音が、まだ耳から離れなかったんです。
きゅう……
きゅう……
あの音だけが、いつまでも、私の頭の中に残っていました。
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