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第三章
いまいちな結果
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ストーンとアーシャがちょうど三日後に帰ってきた。
夕食のときに北の樹海について話を聞くと、成果はいまいちのようだった。
「依頼としては北の樹海の地図を作成してほしいということだったんだが、思っていた以上にモンスターが多くて、途中で引き返してきたんだ」
ステーキ肉をじっくりと味わいながらストーンが旅の結果を話す。
「それになんか、あれなんだよな……。前よりモンスターが強くなっているような」
「たしかにね、ワイバーンってあんな速かったっけって思った」
「まーやっぱり、ブランクがあったからなのか」
「それはそうよね」
『国』という雇い主からの依頼で、かつ誰も手がつけれなかったものだから、そう簡単に成果は上げられないのが普通だろう。
もう一度準備をして、再度、北の樹海に向かうようだった。
「じつは、母の遺品を直してみたんだけど」
俺はライフルを取り出した。
「ま、まさか使えるようになったのか……⁉」
フォークで刺した肉がポロッと皿に落ちる。ストーンは急に立ち上がった。
「ちょ、ちょっと撃つところをみせてくれないか」
外に出て夜空の下で大木に打ち込んだ。しかし、ストーンは意外にも冷静な表情に変わっていた。
「たしかに、威力はあるな。だが、正直言ってミーナの一撃はこんなものじゃなかった」
「えっ? これでも魔法とは思えないぐらい破壊力があると思うんだけど」
「……ちがうのよ……」
いつの間にか拠点で食卓を囲んでいた全員が外に出てきていた。
アーシャは俺のつま先の地面に線を引くと、ずっと歩いていく。
「ミーナが狙っていた距離は……」
折れた大木を越えて、さらに進む。
「……」
大木までの二倍の距離、いや三倍遠いところまで歩き、手を振った。
「……こ、こぉおおーー!! こ、の、あ、た、りぃいいーー!!」
アーシャはゴマ粒になり、拠点の端まで到達している。
「そーだな。だいたいあのあたりだ」
「うそでしょ!」
破壊力がどうという前に、まず玉が到達するのか……?
「まー、ミーナみたいな冒険者がそうそう簡単に出てくるはずはないと思っている」
ストーンは俺の肩を叩くと、施設に戻っていった。
距離を測ってみるとおよそ200ヤード。
これだけ距離があれば、相手はこちらを認識すらしないうちに撃ち抜かれることになる。
「そんなことが可能なのか?」
次の日、ストーンの刀といわれる剣を預かって、母の部屋にあった砥石で研いであげることにした。
研いでいる間もずっとライフルのことが頭から離れない。
腕が疲れると、自然とライフルに手が伸びていた。
頭の中で考えていたことを片っ端から試してみたい。
施設から敷地の一番端にある木柵までがちょうど200ヤード。
火力の魔力をあげたり、土台を組んで高いところから撃ったりしてみたが、どうも木柵の手前で地面に激突してしまうようだ。
出来上がった刀を渡すと、ストーンが鞘から引き抜いて掲げた。
「おー、綺麗になっている」
「綺麗になっただけじゃなくて、だいぶん斬りやすくなったと思いますよ」
「そうだな。なんとなくわかる」
片手でくるりとストーンは刀を回して鞘に納めた。
「すごい筋力ですね。片手で持って構えるのもやっとでした……」
「まー、慣れだな」
絶対違うでしょ、と思いつつ、ふと浮揚のことが頭に浮かんだ。
刀に……じゃなく、鉛玉に浮揚を使ったらどうなるんだ?
ストーンに刀を渡して、ライフルを手に取り施設を出た。
火力で後部を熱した後、鉛玉に浮揚をかける。
遥か遠くの200ヤード先の柵を狙うと、息を整えて引き金を引いた。
玉は静かに発射され、とてつもない速度を保ったまま、飛距離を伸ばす。
バギッっと微かに音が聞こえた。
拠点の端にある木柵が、ライフルの玉によって折られた音だった。
「『北の樹海』に一緒に行ってみるか?」
気づくと後ろにストーンが立っていた。
夕食のときに北の樹海について話を聞くと、成果はいまいちのようだった。
「依頼としては北の樹海の地図を作成してほしいということだったんだが、思っていた以上にモンスターが多くて、途中で引き返してきたんだ」
ステーキ肉をじっくりと味わいながらストーンが旅の結果を話す。
「それになんか、あれなんだよな……。前よりモンスターが強くなっているような」
「たしかにね、ワイバーンってあんな速かったっけって思った」
「まーやっぱり、ブランクがあったからなのか」
「それはそうよね」
『国』という雇い主からの依頼で、かつ誰も手がつけれなかったものだから、そう簡単に成果は上げられないのが普通だろう。
もう一度準備をして、再度、北の樹海に向かうようだった。
「じつは、母の遺品を直してみたんだけど」
俺はライフルを取り出した。
「ま、まさか使えるようになったのか……⁉」
フォークで刺した肉がポロッと皿に落ちる。ストーンは急に立ち上がった。
「ちょ、ちょっと撃つところをみせてくれないか」
外に出て夜空の下で大木に打ち込んだ。しかし、ストーンは意外にも冷静な表情に変わっていた。
「たしかに、威力はあるな。だが、正直言ってミーナの一撃はこんなものじゃなかった」
「えっ? これでも魔法とは思えないぐらい破壊力があると思うんだけど」
「……ちがうのよ……」
いつの間にか拠点で食卓を囲んでいた全員が外に出てきていた。
アーシャは俺のつま先の地面に線を引くと、ずっと歩いていく。
「ミーナが狙っていた距離は……」
折れた大木を越えて、さらに進む。
「……」
大木までの二倍の距離、いや三倍遠いところまで歩き、手を振った。
「……こ、こぉおおーー!! こ、の、あ、た、りぃいいーー!!」
アーシャはゴマ粒になり、拠点の端まで到達している。
「そーだな。だいたいあのあたりだ」
「うそでしょ!」
破壊力がどうという前に、まず玉が到達するのか……?
「まー、ミーナみたいな冒険者がそうそう簡単に出てくるはずはないと思っている」
ストーンは俺の肩を叩くと、施設に戻っていった。
距離を測ってみるとおよそ200ヤード。
これだけ距離があれば、相手はこちらを認識すらしないうちに撃ち抜かれることになる。
「そんなことが可能なのか?」
次の日、ストーンの刀といわれる剣を預かって、母の部屋にあった砥石で研いであげることにした。
研いでいる間もずっとライフルのことが頭から離れない。
腕が疲れると、自然とライフルに手が伸びていた。
頭の中で考えていたことを片っ端から試してみたい。
施設から敷地の一番端にある木柵までがちょうど200ヤード。
火力の魔力をあげたり、土台を組んで高いところから撃ったりしてみたが、どうも木柵の手前で地面に激突してしまうようだ。
出来上がった刀を渡すと、ストーンが鞘から引き抜いて掲げた。
「おー、綺麗になっている」
「綺麗になっただけじゃなくて、だいぶん斬りやすくなったと思いますよ」
「そうだな。なんとなくわかる」
片手でくるりとストーンは刀を回して鞘に納めた。
「すごい筋力ですね。片手で持って構えるのもやっとでした……」
「まー、慣れだな」
絶対違うでしょ、と思いつつ、ふと浮揚のことが頭に浮かんだ。
刀に……じゃなく、鉛玉に浮揚を使ったらどうなるんだ?
ストーンに刀を渡して、ライフルを手に取り施設を出た。
火力で後部を熱した後、鉛玉に浮揚をかける。
遥か遠くの200ヤード先の柵を狙うと、息を整えて引き金を引いた。
玉は静かに発射され、とてつもない速度を保ったまま、飛距離を伸ばす。
バギッっと微かに音が聞こえた。
拠点の端にある木柵が、ライフルの玉によって折られた音だった。
「『北の樹海』に一緒に行ってみるか?」
気づくと後ろにストーンが立っていた。
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