【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第3章 万年筆

3-2

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 それに比べて、学校は安息の地です。ここでは自由に過ごせます。

 ただ、完全に気が休まる訳ではありません。理由はふたつ。

 ひとつは、クラスのみんなが私を「お堅い料亭のお嬢様」と勘違いしている事。クラスメイト達は私をセレブな別世界の人間と敬遠しているのです。実際は惨めな奴隷みたいな存在なのに。しかも一部の人からは「あの子は一般人を見下している」と誤解され、距離を置かれているのです。私は何もしていません。噂とはそういうものです。私の何倍も幸せに暮らしているくせに。

 もうひとつは、同じクラスに自分の失恋相手がいる事。私の片想いでしたが、夏に思い切り玉砕しました。客観的に見ても哀れすぎて目も当てられない状況でした。彼の名は竹内じゅんくん。眼鏡が似合う知的な人で、仲の良かった先輩と、3人でよく下校していました。そんな楽しかった日々は、おしまい。

 今は気まずいだけの関係です。

 教室は居心地の悪い場所になってしまいました。

 でも、同じクラスの友達、赤松美波みなみさんと話している時は楽しいです。

「雨、全然止まないわね。そろそろ台風の目に入りそうだけど。鴫野宮しぎのみやさん、うちの迎えが来たら一緒に乗って行かない? 帰る方向、同じでしょ。鴫清しぎせと私の呉服屋は距離が離れているけど」

 この人こそ真のお嬢様、呉服屋のご令嬢です。気高さと気品が溢れています。ヘアピンで前髪を斜めに分けた髪はツヤツヤと輝いていて、我が校の暗い赤色のセーラー服もよく似合っております。16歳とは思えない神秘的な雰囲気です。

「うん。迷惑じゃなければ、一緒に乗っても良い?」

 赤松さんは上品を微笑み「もちろん」と頷きました。
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