社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

文字の大きさ
35 / 53

35話 レッドドラゴン

しおりを挟む
 3階層から帰ってきたカグヤは、マサルに冒険者達を始末した事を伝えた。

「主様、ただいま帰りました」

「カグヤご苦労様でした。たすかったよ」

「勿体ないお言葉です」

 冒険者達は本来逃がしても良かったのだが、今回は王国にこのダンジョンの力を示す理由がある。圧倒的に叩きのめす事で、このダンジョンの攻略を諦めてもらう事だった。
 
「このままいけばレッドドラゴンも討伐されると思う。しかし、戦況によっては騎士団は引き返す事になると思う」

「突き進んでこないの?」

「ビャクヤ、もしほとんどの騎士団が怪我や戦闘不能になった場合、より危険となる深い階層に潜ると思うかい?」

「うーん……潜らないね」

「そう思うだろ?僕は騎士団の力どれほどのものかわからないけど、レッドドラゴンぐらいなら討伐は出来るとは思っている。だけど、その後が問題だ」

「どういう事?」

「ビャクヤもさっき言っただろ?突き進んでこないと……そうなれば騎士団は撤退するという事だよ」

「という事は、またわたしが先回りをして、全滅させたらいいという事ですね」

「ああ、そうだ!しかし、今回生き残っている人間は、騎士団長や隊長クラスの人間ばかりだろう?」

「わたしが、そんな奴らに負けるとでもいうのですか?」

「はははは!僕はカグヤが負けるなんてこれっぽちもおもっていないよ」

「それを聞き安心しました」

「そうじゃなくて、もし騎士団が突入じゃなく撤退を決めた場合、カグヤは先ほどのように先回りをして全滅させるんじゃなく、この間のように部下にしちゃって欲しい」

「なるほど!」

「冒険者でさえ、バンパイアウォーリアに変化したんだろ?だったら、騎士団長をカグヤの部下であるバンパイアにしたら、相当な戦力になるはずだよ?」

「わかりました」

「ねえ、お兄ちゃん……あたしはどうしたらいいの?」

「もし、騎士団の戦況が好転し、レッドドラゴンでは相手にならなかった場合、そのまま5階層へやってくるはずだよ」

「じゃあ、あたしも騎士団を生け捕りにするって事?」

「いやいや、突き進んでくるという事は、僕達の平穏を壊しに来るって事だよ。そんな奴らに対しては、徹底抗戦だよ。全員やっつけちゃってよ」

「うん。わかった!」

 ビャクヤは、マサルの徹底抗戦という言葉にニコッと笑い、承諾したようだった。


 そして、騎士団達は一日ダンジョンの中で休み、4階層のボス部屋の前に立ち精神統一をしていた。

「どんな魔物が、ボスとして出てくるか分からないから、みんな気を引き締めるんだ!わかったな!」

「「「「「はっ!」」」」」

 騎士団長フォーガンの号令で、ボス部屋に突入が開始された。その部屋は、とても大きな空間で部屋の中には、魔物どころか何もないただ大きな空間だった。

「なんだ?何もないじゃないか?」
「一体どういうことだ?」
「隊長!奥の方に出口があるようです!」

 フォーガンは、目を凝らしてはるか遠くにある場所をみた。すると確かに出口のような扉があったのだ。

「しかし、どういう事なんだ?普通ボス部屋なら、入った時にそこには強力な魔物がいるはず……」

 騎士団達は、部屋に突入したが何もいなくて拍子抜けしたぐらいだった。そして、フォーガンは騎士団全員が揃ったところで、この部屋を出る為奥にある扉に向かおうとした。

 そして、騎士団全員が入室した時、入ってきた扉がいきなり大きな音を立てて、自動的に閉まってしまったのだった。

「た、隊長!扉があきません!」

「どういう事だ?閉じ込められたのか?斥侯員!罠はちゃんと解除したんだろうな?」

「はい!それは間違いなく解除しました」

「わかった!みんな気を引き締めろよ!これから何かが起こる!」

 フォーガンの号令で、騎士団達は剣を構え、魔道部隊はすぐに詠唱が行えるようにした。すると、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。

「団長部屋の中心に魔法陣が!」

 その魔法陣が光り輝くと、魔法陣の中からレッドドラゴンが出現したのだった。

「な、何だと……あれはまさか……レッドドラゴンだというのか?」

 フォーガンは、レッドドラゴンに絶句した。まさか、災害級のレッドドラゴンが出現するとは思わなかったのだ。フォーガンは周りを見ると、部下達もレッドドラゴンの姿に恐怖を覚え動けずにいた。

「魔道師団長!あれは本当にレッドドラゴンなのか?鑑定をしろ!そして、レッドドラゴンなら火属性の魔法を使うんじゃないぞ!」

「わ、分かりました!あれは、レッドドラゴンです!」

 フォーガンは、それを聞き魔道師団に【ファイヤーレジスト】の魔法を騎士団にかけさせた。これにより、騎士団のメンバー全員に、火属性の攻撃に耐性ができるようになったのである。
 ドラゴンで一番怖い攻撃方法は【ブレス】である。口から吐き出す炎はそのドラゴンが有しているHPと同じダメージ量でなる。つまり、そのドラゴンの総HPが5000だった場合、そのブレスを食らうと5000ダメージになるのだ。
 しかし、魔導士団が唱えたファイヤーレジストは、火属性の攻撃を無効化してくれる強力な付与魔法だった。

 そして、フォーガンは同時に魔導士団に【アイスエンチャント】を指示した。この魔法は、レッドドラゴンのような火属性に属する生物に2倍ダメージを与える魔法である。

「射程に入るまで、魔導士団は攻撃開始!」

 フォーガンの指示のもと、魔導士団は【アイスジャべリン】【ウォーターカッター】等、水属性の魔法を打ち込んだ。レッドドラゴンにとって、弱点である水属性の攻撃にレッドドラゴンは咆哮を上げた。

 その咆哮に、体が硬直した騎士もいたがすぐにヒーラーが麻痺を解除。フォーガンの指示のもと、騎士団は隊列を組み、ドラゴンに攻撃を仕掛けた。

『ぐおおおおおおおおおおおおおおお!』

 レッドドラゴンは、爪とかみつき尻尾をふり、騎士団を薙ぎ払うが数が多いのである。負傷した騎士はすぐにヒーラーが回復し、攻撃に参加してくるのである。

 騎士達がドラゴンの一撃に耐えられているのは、魔道師団の付与魔法のおかげである。プロテクションやスピードで、ドラゴンの攻撃に耐えているのである。

 レッドドラゴンは、騎士団の攻撃にたまらずブレスをお見舞いするが、ファイヤーレジストのおかげでダメージが全く通らないのだ。

「さすが、王国騎士団ですね。最初はレッドドラゴンの恐怖に飲み込まれた感じに思えたのに、騎士団長の言葉で気合が入り統率が取れてるね」

「ご主人様、あれだと騎士団に被害者は出ないと思いますよ」

「やっぱり、ドラゴンが戦いやすいように、大きな部屋にしたのはまずかったかな……」

「まあ、そうですね……ボス部屋の罠が解除されたのが痛かったかもですね」

 本来ならば、ボス部屋の扉が閉まった瞬間、入り口から5mの範囲に【ディスペルマジック】が発動されるはずだったのだ。その範囲内に入っていると、付与魔法が30%確率で消去されるはずだったのだ。
 つまり、部屋に入る前に騎士団に付与されていた、プロテクションやスピード等が外れていたという訳である。そうなれば、ドラゴンの一撃に耐えられない騎士は死亡していたという訳だ。

 今回、ドラゴン戦でのMVPは間違いなく、騎士団でも魔導士団でもなく斥侯員達だったのである。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...