社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

文字の大きさ
34 / 53

34話 脱出口

しおりを挟む
 騎士団団長のフォーガンは、部下を連れて4階層に足を踏み入れた。すると、そこは今までとは違い魔物もAランクになり、ダンジョンの罠もグッと上昇したのだった。

「「「「「何だここは?」」」」」

 フォーガンの部下である騎士団が騒めいた。

「今までと全然違うじゃないか……みんな気を引き締めるんだ。斥侯部隊前へ!」

 フォーガンは、斥侯員を5人も前に出し、罠を調べる者とマッピングと周囲感知を同時にやらせた。

 周囲感知で周りの気配を調べる事で、何か近づいてくれば騎士団が対処し、前方にある罠を3人がかりで罠発見解除を使うのである。
 そして、マッピングのスキルを持つ者は、ダンジョンの階層の攻略でだいたいの感覚だが、最短距離を感知する能力がある。これにより、最小限の時間で攻略が可能になるのだ。

「しかし、何だこのダンジョンは……これじゃ冒険者達には攻略は無理だろうな……」

「ああ……この部屋の先には魔物と罠が2重で張ってやがる」

 扉が開かれると扉からの罠が発動し、普通はこの罠を外せば完了となるが、これは気を引くための罠である。本当の罠は扉とは別の場所にありその罠を解除しなければ、部屋に入った時に落とし穴が発動してしまい、不利な状況で戦わなくてはならなくなるのだ。

 騎士団は4階層にある罠をドンドン解除していき、豪華な扉の前にやってきていた。斥侯隊はすでに扉の罠は解除し、後は突入だけにした。

「団長!初めてのボス部屋です!後はもう突入するだけです」

「みんなよくやった!お前達のおかげで、犠牲者は無くここまで来れた」

 斥侯員の5人は頭を軽くさげた。そして、フォーガンは全員に活を入れボス部屋に突入したのだ。このとき、案内役に同行していた冒険者達は全員いなかった。
 4階層に降りた時フォーガンが、冒険者は足手まといになると判断し、帰還させていたのだった。団長の判断は間違っておらず、3階層ならば冒険者達だけでも十分帰還できたが、4階層に降りてしまえば帰る事は出来なかっただろう。

 そして、フォーガンは念のためだが騎士団の中でも、一番の若手と言われるカインを護衛に付けていたので何も心配はなかった。カインは騎士団の中では一番頼りないが、それでも冒険者達より遥かにレベルは高く頼りになる存在である。
 しかし、この判断は間違っていた。マサルは、侵入してきた騎士団一行を逃がすつもりはなかったからだ。

「カグヤごめんね。申し訳ないけど、帰還させた冒険者をよろしく頼むよ」

「かしこまりました」

「気を付けて行ってらっしゃい」

 すると、カグヤはスッとその姿を霧状に変化させて、その場からいなくなってしまったのだった。カグヤは、ダンジョンマスターの部屋から伸びる脱出口である別の通路を通り、3階層の入り口付近にでた。
 この通路は緊急事態の時使うもので、ダンジョンに通じる扉がある訳ではない。緊急事態用の脱出口であり、普通の人間ならダンジョンに戻れない脱出口である。

 しかし、カグヤの提案で脱出口までに、各階層の入り口付近に針の穴のような小さな穴を、ダンジョンに通じる様にしておいてほしいと言われていたのだった。
 カグヤは、このように体を霧のように変化させられる為、カグヤはダンジョン内に入り、侵入者を待ち伏せにできるのである。

「貴方達、どこに行くつもりですか?」

「お、お前は!」

 Sランク冒険者が、カグヤの姿を見て大声を出した。護衛をしていた騎士のカインは冒険者に聞いたのだった。

「あいつがだれか知っているのか?」

「あ、あの女がバンパイアクイーンと言われた女ですよ」

「何だと……」

「あたしはクイーンじゃないと言ったはずだけど?」

「じゃあ、お前はいったい何者なんだ?」

「これから死に逝く者に関係はありません事よ。うふふふ」

 カインは、カグヤの笑みを見て恐怖したが、剣を抜き構えたのだった。そして、カインはその恐怖に打ち勝つために、カグヤに突進し斬りかかったが、カグヤは涼しい顔でカインの剣を指でつまんで受け止めたのだった。

「ば、馬鹿な……俺の剣を指で……」

 その後景は、冒険者達も呆気に取られて、その場に立ち尽くした。

『影達よ。その身を斬りさけ!シャドーカッター!』

「みんな伏せろ!」

 カインは、詠唱をしたカグヤにハッとして、冒険者達に大声で叫んだが、すでに遅かった。カグヤの足元に伸びる影がいくつにも分かれ、その何本にもなった影が、物凄い勢いで伸びて冒険者達を襲ったのだった。
 カインの剣が指でつままれた事で呆気に取られていた冒険者達は、カインの声に反応できず、カグヤの【シャドーカッター】に切り刻まれて、手足が切断された者や首が切断されて死んだ者もいた。
 この時、生き残っていたのは5人だけだったが、全員が戦闘不能となっていた。

「ぐは!」
「ぎゃあああああああ!」
「ぐふっ……」
「俺の腕が!」
「ぐうううううううう……」

 その場にはうずくまる5人がいて、後の人間は全てダンジョンに吸収されてしまった。

「あらら……ほとんど死んじゃったわね」

「き、貴様ぁ~~~!その剣を離せ!」

「いいわよ!」

 カインは剣を引っ張っていたが、カグヤの握力がすごくてビクともしていなかったが、いきなりパッと離され、カインは後方に転んでしまったのだった。

 カインはすぐに立ち上がり、カグヤの方に向き直ったのだが、そこにはカグヤの姿はなかった。

「ど、どこに行った!姿を現せ!」

 すると、カインの後方からザシュッという音が聞こえた。その方向を見ると冒険者達がカグヤに首をはねられて、ダンジョンに吸収されてしまったのが見えてしまった。

「そ、そんな……馬鹿な……こんな奴がダンジョンにいるなんて……貴様は一体」

「そんなに、わたしの事が気になるの?正体なんか知っても貴方はもうしんじゃうのよ?」

 カグヤは、カインをみて妖艶な笑みを浮かべてくすくすと笑った。

「ち、ちくしょう!馬鹿にしやがって!」

 カインは、馬鹿にされた事と恐怖で剣を振り回し、騎士の剣技とは程遠いもので斬りかかったのだった。その様子に呆れたカグヤは、涼しい顔で素手で難なく受け止め、カインの耳に顔を近づけた。

「貴方はもう……死ぬのよ。冥途の土産にわたしの正体を教えてあげる」

 カグヤは、カインの耳元で真祖だと打ち明けた。

「バ、バンパイアの真祖だと……ぐはっ!」

 カインは、カグヤの言葉に驚愕の真実を知ってしまい、思考が停止してしまった。



 そして、その瞬間カグヤはニコッと笑い、カインの腹にその拳を打ち込み腹を貫いた。カグヤは、その場にいた侵入者全員を始末して、身体を霧状に変えて、非常通路の抜け穴に消えていった。その場には、冒険者とカインの荷物や装備品だけが転がっていたのだった。



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...