社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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36話 ビャクヤ登場

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 そして、とうとうレッドドラゴンは最後の咆哮を上げて騎士団達に討伐されてしまい、ダンジョンに吸収されてしまったのだった。
 レッドドラゴンが討伐された後は、ドラゴンの素材が残り宝箱が出現し、騎士達は勝利の雄たけびを上げたのだった。
 宝箱は斥侯隊員が罠を解除し、白金貨10枚とマジックソード1本、魔法書が3冊入っていた。これらは、持ち帰り国の宝物庫に入り国宝となる。

「みんな、よく頑張ってくれた!今日はここで一泊し静養をしてくれ」

 フォーガンの言葉に、騎士団達は歓声をあげた。ボス部屋は一旦討伐されれば、その部屋から人がいなくなるまで次のボスが出現しない為、セーフティーゾーンとなるのが常識だった。そのため、騎士団達はゆっくり休み、次の階層の為に準備を整えたのだ。

「あ~あ……レッドドラゴン倒されちゃったね……」

「次はビャクヤの番だよ。油断せずによろしく頼むね」

「任せておいて!」

 ビャクヤは、5階層までダッシュで駆けあがっていったのだった。

「それにしてもオーブ」

「マスター何でしょうか?」

「目的の階層に送り届ける転移陣のようなものはないのかな?ここに帰って来るにしても行くにしても面倒だ」

「このダンジョンがSランクになればできますよ」

「総DPの収穫が50億ポイントまで頑張らなきゃいけないのか……」

「ですから、今はまだダンジョンの階層は10階層ほどにとどめておいた方がいいですよ」

「そうだな……行き来するのが大変だよね……」

「ですが、Sランクダンジョンになればこの最下層の部屋はぐっと広がり家が建てれます。その家こそがSランクダンジョンが攻略不可能と言われる由縁なのですよ」

「そ、そうなの?」

「まあ、そこまで育ったダンジョンは今までありませんが……」

「まあ50億ポイントはなかなか貯まらないよね」

「まあ、Sランクまで行かなくとも、それに近いダンジョンは凶悪で人間には攻略できないとは思いますが……そこまで行く前にダンジョンが攻略されてしまうのですよ」

「なるほどなあ……先ほどのレッドドラゴンの討伐を見て、なんか分かる気がするね」

「しかし、マスターはレベルの高さでDPが多く収穫できますし、魔物ガチャが運の高さによって高ランクの魔物が輩出されますからね。すでに、凶悪ダンジョンが出来上がってしまいましたよ」

「確かにその辺は運がいいという方だよね」

「それに錬金薬師という事もポイントが高いですね。あのエクスプロージョンポーション、あの爆弾は壮絶としか言えませんよ」

 【エクスプロージョン】は錬金術師が作れる攻撃方法で、分かりやすく言えばニトロのようなものである。このポーションに衝撃をあたえる事で大爆発が起きるポーションである。
 このポーションを、マサルはダンジョンの罠に利用していたのだった。DPで罠の種類に爆発という物があるのだが、扉や宝箱の罠を解除させ、安心したところでそのエクスプロージョンが爆発するから、冒険者達にとっては2重の罠となり、簡単に引っかかってしまっていたのだった。
 そして、もう一つは毒のポーションである。デットリーポイズンは最高ランクのポイズンである。このポイズンを使った魔物の攻撃は冒険者達を恐怖に落としたのは言うまでもなかった。
 アンデットは元から死んでいる魔物なので、状態異常攻撃が全く通じない。その爪や牙にこのポイズンを仕込む事で、そのアンデットは手軽にランクアップするのである。この毒の存在で、冒険者の常識が覆される事になるのだ。

「そっか……ダンジョンがSランクになるまで我慢するしかないな」

「そうですね。その家を建てることが出来たならダンジョン内なら、どこでも仲間を送ることができますよ」

 今のところ、魔物を生み出した場合配置するときだけ、その場所に送れるが、レッドドラゴンのような巨大生物はその場所に配置したら動かせないのがネックだった。
 人間サイズなら、自分で移動は可能だがそれだけで面倒であり、マサルは緊急事態に備え、別の通路を作るしかなかったのである。



 そして、24時間が経ち騎士団は十分休憩が取れた。そして、奥に見えた扉を開るとそこには下層へ続く階段があり、騎士団は隊列を組み下層へ続く階段を下りたのだった。

「ここは!」

 このダンジョン初めてのフィールドエリアで密林のジャングルである。

「団長!ここは風属性の魔力が豊富です」

 魔導師団団長は、フォーガンにそう伝えた。団長は厳しい顔つきになった。つまり、風属性に特化した魔物が出ることを意味していたのである。
 しかし、それなら対極にある土属性を使えば魔物を難なく倒せると思うのだが、このフィールド自体が風属性で覆われていることが問題であるのだ。
 分かり辛いかと思うが、風属性に特化した魔物を倒そうと土属性魔法を使おうとしても、このフィールドでは土属性の威力がでないのだ。
 そして、風属性に特化した魔物達は、このフィールドのおかげで攻撃力や防御力は底上げされた状態で襲ってくるという訳である。

「とにかく、魔導士達は土属性を付与してくれ」

 フォーガンの指示で、魔導士達は【グランドエンチャント】をかけた。

「グッ……こんなものなのか?」

 フォーガンはこの状況に顔を青くしたのだった。本来ならば2倍の効果を出すはずが、どう考えても10%も威力が出ていないのだ。

「団長……これは不味い情況ではありませんか?」

「ああ……分かっているが、ここはいつもの訓練を発揮して、連携を重視して戦おう!」

 しかし、ピンチだと言っていた騎士団達ではあったが、属性付与魔法は役に立たないとはいえ、物理耐性のプロテクションと魔法耐性のレジストだけでも十分に戦えていた。これも日ごろの訓練の賜物だったのは言うまでもなく、密林の中を騎士団はドンドン進行していくのであった。

「おかしいな……」

「団長どうかしましたか?」

「4階層のボスがレッドドラゴンだったんだぞ?」

「それがどうかしましたか?」

「深い階層の方が、普通は厳しい魔物が出現してもおかしくないんだ……なのに、ここにきて普通の魔物ばかりではないか?」

「普通と言ってもここの魔物はAランクですよ?それにフィールドエリアには、風属性の強化が張っており、普通より魔物は強化されております」

「それは分かるが、あれだけ用心したのに少しぬるい感じがする……」

「ひょっとして、出来たばかりのダンジョンでネタが切れてきたのでは?」

「だったらいいんだが、用心をするに越したことはない。嵐の前の静けさで無いといいんだが……」

 フォーガンの言葉に、部下の騎士達は黙ってしまったのだった。するとそこに、騎士団の進行方向から大量の魔物が、こちらに向かってきたのだった。

「団長!大量の魔物がこちらに向かってきます!」

「なんだと?みんな隊列を組み直すんだ!」

 フォーガンはすぐに部下達の気合を入れ直し、隊列を組み直させた。すると、魔物達は騎士団に向かって走ってきた。
 騎士団は、向かってくる魔物にタイミングを合わせて斬りかかったのだが、魔物は何もせず騎士団を相手にせず、一目散に通り過ぎて行った。

「ど、どういう事だ……」

 魔物達は騎士団に斬りつけられても、そんなことはどうでもいい感じで、まるで何かから必死で逃げているような感じで、通り過ぎて行ったのだ。
 この状況に、フォーガンは何かとてつもないやばい何かがいると思ったのだ。魔物達はその何かから逃げたのではないかと推測したのだ。

「みんな用心しろよ!あの魔物達は何かから逃げていたようだ!」

「Aランクの魔物が逃げた?」

「ああ!この先にその原因があるに違いない」

「そ、そんな……Aランクの魔物が、あんな全力疾走するような物っていったいなにが?」


 その時、密林のジャングルの草木をかき分けて出てきた人影に、騎士団達は身構えたのだった。

「あんた達が、お兄ちゃんの敵だよね?」

 騎士団は、いきなり声をかけてきたのが、まだ成人前の女の子に拍子抜けをしてしまい、剣の構えを解いた。そして、その中の一人が不用意に近づき、女の子を保護しようとしたのだった。

「こんなとこに女の子がなんで?さあ、こちらに来なさい。保護して……」

 騎士団の一人は、好意的にビャクヤの肩を掴もうとしたのだ。

「ヴァン!そいつから離れろぉ~~~!」

 フォーガンはヴァンに大声で注意したが、その瞬間ヴァンと呼ばれた人間の首が無くなった。そして、ダンジョンに吸収されてしまったのだった。

「あたしに不用意に触るな!あたしに触れていいのは、お兄ちゃんだけ!」

 ヴァンが殺されたのを見て、騎士団に一気に緊張が走った。

「貴様ぁよくも隊長を!」

「一人殺されたぐらいで何を大声で叫んでいるのよ?」

「隊長は!」

「あんた達は、ダンジョンにいる魔物をどれだけ殺したと思っているのよ?あんた達から攻めてきたのに、一人殺されたら文句を言うのはおかしくない?」

「殺したといっても魔物じゃないか!それに貴様はいったい何者だ!」

「あたしは、この階層を守る四聖獣の一人、白虎のビャクヤだよ!」

 四聖獣と聞き、騎士団はその場で固まった。四聖獣と言えば、神聖獣の一人と伝承で伝えられている精霊界の門番だと言われている。

「馬鹿な!白虎だと!そんな伝説の聖獣が……こんな女の子の姿だと?」

「まあ、この姿は仮の姿なんだけどね。まあ、そんなことはどうでもいいのよ。お兄ちゃんから、貴方達は皆殺しにしてほしいと頼まれたんで覚悟しなさい!」

 ビャクヤは、そういって騎士団を睨みつけた。そして、爪と牙を見せて威嚇したのである。

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