碧天のノアズアーク

世良シンア

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レグルス編

15 平和のために

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side レオン=アストラル

樹宮殿ファレストの中心部に位置するここ円卓の間。俺の向かいには愛息子のひとりである王太子レン=アストラルが、左側には守護叡団ビースト・ロア『ノトス』の叡団長であるギルハルト=クリムゾンが、右側には『ゼピュロス』の叡団長であるアンドレアス=セイバーが座っていた。そして俺の隣には妻であるシャーロット=アストラルが座っている。

「報告を」

「はっ。現在、王都スターライトを騒がす亜人の子どもを狙った誘拐事件の被害件数は、五日前のものを合わせて、計七件。それぞれ発生するタイミングは不規則であり、最初の事件からすでに三ヶ月経過しようとしています」

ギルハルトの告げる言葉に俺は頭を悩ませた。

三ヶ月……そんなにも長い間、俺たちは未だ犯人のしっぽすら掴めてはいない。王都はどの街よりも広く、住人の数が多いとはいえ、動かせる守護叡団ビースト・ロアの叡団員らやEDENの冒険者にも協力を要請したというのに、有力な情報がほとんど得られていないのだ。今回の会議では、少しでも進展することを願うばかりだ。

「また十日ほど前、調査にあたっていた守護叡団ビースト・ロア『ボレアス』の叡団員一名が死体となって発見されました。場所はふれあいパーク付近の路地で、近くで店を構える従業員により通報を受けています。この事件と亜人の子どもを狙った誘拐事件に関連があると踏み、現在も調査を続けております。私からの報告は以上となります」

この訃報が耳に入ってきた時、この誘拐事件はただごとではないのだと、調査にあたる全員が改めて思ったことだろう。

「ご苦労だった、ギルハルト」

ギルハルトは俺に軽くお辞儀をすると、静かに席についた。

「では私からもひとつ。昨日発生したふれあいパークでの爆発事件について。相手は黒服を着た集団で、リーダーは豚の亜人であったと思われます。また、爆発の原因は黒服たちの首につけられた氣道具であったとの証言がありました。さらにエマ様とシリウス様の話によると、爆発により死亡した彼らは何者からか報酬を得るために御二方を誘拐しようとしていたようです。この黒服たちを操っていた人物こそ、私たちが追い求める首謀者であると私は推測しています」

アンドレアスは皆に聞こえやすいよう、丁寧に言葉を綴っていく。

昨日この報告を聞いた時、私もシャーロットもブチギレて部屋を破壊し尽くすところだった。エマとシリウスの姿を見た瞬間、安堵の気持ちが込み上げてなんとかそうならずには済んだが、この行き場のない怒りが冷めることは決してない。このような想いを民たちに味合わせるわけにはいかないというのに、全く役に立たない叡王だな、俺は。

「ひとついいか、アンドレアス叡団長」

「はい」

「その時、とある冒険者に助けられたとこの報告書には書かれているが、一体何者だ?」

アンドレアスに対し厳しく言及をするレン。王太子として時期叡王たる十分な素質をもつレンは、俺と妻の第一子であり、俺にはもったいないほどにいい男に成長してくれた。仮に俺がこの場で叡王の座を降りたとしても、レンならばそつなく国家を運営し、この国とともによりよい未来へと歩んでくれるだろう。

「秀と湊と名乗る二人組の男です。後ほど調べてみた結果、EDEN所属のCランクパーティ、ノアズアークの一員であることがわかっております」

ノアズアーク……ならばノアの仲間ということか。世間は狭いものだな。

「ほう。ノアズアーク、か。EDEN本部で最近話題になっているパーティだったな。その人気者がなぜこの国に?」

「そこまでは掴めてはおりません。ですが確実に言えることは、彼らは私たちの敵ではないということです」

「ふむ。その根拠は?」

「……恥ずかしながら、私の勘でございます」

アンドレアスは真剣な眼差しでレンを見た。

「勘、か。アンドレアス叡団長のほどの者が言うのであれば、あながち間違いでもなさそうだな」

このように答えたということは、レンはアンドレアスの目や言葉に嘘偽りがないことを感じ取ったのだろう。俺は子どもたちに人を見る目を養うことの重要性を昔から口酸っぱく言っている。レンならば誰かに騙されるということはまずありえない。ある程度の悪意も見抜けるようになっているだろう。

「私からの報告は以上となります」

「ご苦労であった、アンドレアス」

アンドレアスは軽くお辞儀をして席についた。

「最後に私が。現在調査隊の統轄を務める守護叡団ビースト・ロアボレアス叡団長ステラ=ファングからの報告になります。聞き込みをしていく中で、複数の住民からここ二、三件の事件が起きた日に、身なりの汚い無精髭を生やした男を夜明け頃に目撃したとの証言を得ることができていたようです。首謀者であるとは断定できないが、少なからず関係があるとみて、その人物の行方を現在も継続して追っているとのこと。以上がステラ叡団長からの報告書の概要になります」

ほう。ようやく新たな情報が舞い込んだようだ。明らかに怪しい身なりの男のようだが、ステラの報告にあるように、大きな手がかりであることに間違いはないとみていいだろう。

「ご苦労であった、レン」

レンは一礼して静かに席に座った。

これであらかた報告すべきものは完了しただろう。さて、ここからどのようにして今後の調査を進めていくかだ。

「あらあら。ステラも頑張ってくれているのね。でもこんなに時間をかけても犯人を捕らえられないなんて、私の妹は随分と無能になってしまったのね……」

シャーロットは自身の妹であるステラに対し、かなり辛辣な言葉を口にした。だがこれはシャーロットにとってはごく当たり前のことだ。

妻シャーロットの実家であるファング家は狼の亜人が生まれる家系であり、強気な者や信念の強い者が多い。シャーロットやステラもその例に漏れず、気が強く武に長けているのだが、シャーロットは毒舌をかますことがまあまあよくある。そのせいで、シャーロットの周りにはあまり人が寄りつかないが、本人はどうとも思っていないようだ。

見目だけで判断すれば、可憐で美しい女性だ。絹のように白く艶めいた肌に、美しく流された漆黒の髪。狼族特有の鋭い眼光さえも愛おしいと感じさせる。

だが、その内面には鋭い牙を生やした獣が隠れ住んでいるのだ。

「母上。ステラ叡団長はよく働いてくれていますよ。母上が気に病むようなことではありませんので、ご安心を」

「あらそう?ふふふ。あの子はちょっとおつむが弱いから心配してたけど、レンがそういうなら大丈夫そうね」

「んんっ……さて、今後の調査の動向を俺から簡単に述べよう。新たに上がった情報にある無精髭の男については、引き続きボレアスの叡団員らに調査を任せることとする」

この誘拐事件の調査には、主にボレアスの叡団員で構成された調査隊が臨時で結成され、その任についている。そしてその指揮はステラ=ファングに一任している。

だが一向に解決しないことで長期的な調査となることが見込まれてからは、他の団にも時折協力してもらっている。

今回でいえば、ギルハルトとアンドレアスたちだ。二人には数人の部下とともに、調査にあたってもらっていたが、本会議をもって両名には普段の任務に戻ってもらうことになる。いつまでも叡団長を不在にさせるわけにはいかないからな。

「先日の爆破事件に関する調査は、アンドレアスとギルハルトの入れ替わりとして 守護叡団ビースト・ロア『エウロス』の叡団長、エヴァン=ブレイブに引き継いでもらう」

黒豹の亜人であるエヴァンは現在、自領の統治にあたってくれているのだが、この誘拐事件に相当頭にきているようで、エヴァンから直々に申請があった。自分を調査隊に入れて欲しいと。そしてその願いを蹴る理由は、俺には全くありはしない。

「そして、ボレアスの叡団員が死体となって発見された事件については、ステラたちボレアスの叡団員からの希望により、ボレアスに一任することとする」

大切な仲間が無惨にも死体となって発見されたのだ。この件を第三者に委ねることなど、ボレアスからすれば到底できるはずもない。

「それからギルハルトとアンドレアス。お前たちもこの件について思うところがあるだろうが、日常の業務も国家安泰を維持する上で欠かすことのできない重要な仕事だ。本会議をもって調査の任を解く。だが勘違いをするな。決してこの件に関わるなと言っているわけではない。この意味、わかるな?」

「「はい!」」

ギルハルトとアンドレアスは力強い返事をしてくれた。

「最後に、レン。お前には別の仕事を与え、その席には第二王子が後任としてつく。よいな?」

「はい、異論ありません。むしろ愛するリオンが俺の後釜につくのなら、このような誘拐事件などすぐに解決してくれるでしょう」

「ふ。そうなることを願うばかりだ……。レン、お前にはノトス領で暴れる花魄獣の討伐に当たってもらう。この時期は毎年、この領地では花魄獣の動きが活発になり、住民らの安寧が脅かされやすくなるのはお前も知っていることと思う」

「もちろんです。ノトス領はボレアス領同様に広大な地域が広がっています。ボレアス領は、守護する団の規模がどの団よりも多く被害を最小限に止めやすいが、ノトス領は最も叡団員の数が少ないために対処しきれない部分が出てきてしまう。それだけでも大変であるというのに、この時期は食糧を求めて魔物の動きが活発化し、人々が襲われやすくなってしまう。そのため毎年この時期になると、王族の中から腕の立つ者を派遣し、人々の平和を守らねばならない」

「ああ、その通りだ。王族が戦うことで人々も安心しやすくなるだろう。我々が決して民を見捨てる愚か者などではないということを、視覚的に示さねばならないのだ。危険な任務にはなるが、引き受けてくれるか?」

「ええ、もちろんですよ。民を脅かすケダモノは排除せねばなりません。そしてそれは私たち王族の義務でもありますから」

「御安心下さい、叡王様。このギルハルトも微力ながらサポートさせていただけますゆえ」

ギルハルトは俺に対し深々とお辞儀をした。

「そうか。ギルハルトがいるのなら、これ以上に心強いこともないだろう」

「それと、父上。この任務、私の仲間を同行させても問題はないですよね?」

「お前の仲間というと、Aランクパーティ『ダンデライオン』の冒険者たちのことか」

俺もレンのように、昔はパーティを組んで世界中を飛び回っていた。その時得た経験は叡王として民を導く上で、最も重要な糧となったと言っても過言ではなかった。

箱庭で育てられた当時の俺にとって、外の世界はとても眩しく、そして厳しいものだと知ることができたのだ。甘やかされて育った俺には、ちょうどいい薬だったかもしれないな。

だから俺は見聞を広めさせるという意味でも、子どもたちには冒険者や商人といった、外の世界を飛び回る仕事を一度は経験させることにしている。

シリウスとエマはまだ幼いためにスターライトから外にはほとんど出してはいないが、レンもリオンも本人の希望もあり、十二歳頃にはもうすでに冒険者として活躍していた。こんなにも早く冒険者になってもらうつもりはなかったが、二人ともそれぞれの信念があり、その熱意に俺もシャーロットも負けてしまったのだ。

「ええ。信頼に足る大切な私の仲間たちです。もちろん、ステラ叡団長は今は誘拐事件に専念して欲しいので、あの人を呼び寄せるつもりはありませんが」

負けたとは言っても、俺もシャーロットも心配でしかたがなかったため、当時はまだボレアスの叡団長ではなかったが、腕が立ちシャーロットの妹で信頼に足るという理由からステラ=ファングをレンの護衛役としてつけたのだ。

今となってはその任をすでに解いてはいるのだが、現在もステラがダンデライオンに所属しているのは、単に仲間と冒険するのが楽しいからだそうだ。

ただ、一定数の団員や領民からは職務怠慢だと思われることがあるようだ。と言っても本人は全く気にしてはいない。俺としても、ステラの自由を奪うつもりなどない。どんな形であれ領地の安穏を守ってくれればそれで構わない。ステラには思うままに楽しく生きて欲しいと思っている。ステラもこの国の民のひとりなのだから。

「ふむ。では、ダンデライオンの同行を許可しよう」

「ありがとうございます」

「はぁ。ステラなら、花魄獣の討伐なんて羨ましいぜ、なーんてお馬鹿なことを言いそうで怖いわね。叡団長としての自覚もあまりなさそうだから、気が気でならないわぁ」

「シャーロット様、ご安心を。叡団長としての心得については、私が徹底的に叩き込んでおりますので」

「あらあら。アンドレアスの指導なんて、あの子に耐えられたのかしら?」

「それはステラ様の目でお確かめいただきたく存じます」

ステラの棘のある言い回しに、アンドレアスは臆すことなく答えた。

「ふーん……まあいいわ。あの子もそれなり頑張ってるのはなんとなくわかるもの。ねぇ、レオン?」

「ああ。シャーロットの妹なのだ。しっかりと責務を全うしてくれているさ。……ではこれにて会議は終了とする。皆、ご苦労であった」

俺とシャーロットは席をたち、三人を残して重厚感のある光沢がかった焦茶色の扉から廊下へと出た。

「では私は愛する我が子たちのもとに行くから、お仕事頑張りなさいよ」

シャーロットはそう言うと、俺の手の甲に軽く口付けをした。平常心がモットーである俺の頬は、その意に反して少し熱をもってしまった。

「あ、ああ……」

「あらあら。こんなことで照れちゃうなんて、まったく、可愛い旦那様なんだから」

「すまない。かっこわるいところを見せるつもりはなかったのだが……」

「うふふ。いいのよ、レオンはそのままで。とーってもキュートなんだから。じゃ、またあとでねぇ」

シャーロットは鼻歌まじりに、おそらくはシリウスとエマの自室へと向かっていった。

俺は左手の甲についた薄い桃色の唇の跡に軽く口づけをした。

シャーロットを前にするとどうも俺からは手を出せん。こんな臆病者のことを愛してくれたシャーロットには感謝しかないんだが、今のように俺ばかりが顔を赤らめることが多い。

いつかは俺がシャーロットの余裕をなくさせて恥ずかしがった姿を見たいのだが……。

「はぁ。難しいものだな……」

このような弱気なところ、子どもたちには絶対にみせられん。獅子の獣人としての、そして父としての威厳がなくなってしまう。

「何が難しいんだ?レオン」

聞き覚えのある呼び声に振り向けば、そこには狐色の髪と耳のある、ハーフリム型の眼鏡をかけた男がいた。その切れ長でつり上がった、狐を彷彿とさせるような目は、相手にマイナスな印象を与えやすいのかもしれない。

「なんだ、お前かライアン」

「なんだじゃない。お前がたまには休暇を取れというから、家族で長期バカンスに行ってきたというのに、なんなんだこの有様は?」

ライアン=フォックス。俺の学生時代からの親友であり、この国の宰相でもある。叡王たる俺の補佐として日々仕事に励んでいたのだが、あまりにもこんを詰め過ぎていたため、俺が半ば無理矢理に休暇を取らせたのだ。


『はあ?三ヶ月の長期休暇だと?』

『ああ、そうだ。お前は仕事ばかりにかまけて家族との交流を疎かにしすぎているだろう。たまにはこういうのもいいかと思ってな』

従者にライアンを書類が積まれまくった執務室に呼び出し、休暇の話をすれば、案の定、何言ってんだこいつは、という顔をされた。

『だとしても、三ヶ月ってのはあまりにも長くないか……?!』

『それは今まで休めと言って休まなかった日を合計したためにそうなった。ちなみに、それでもあと一年分程度は休暇を出せるんだがな。さすがに一年も休まれては、お前も仕事を忘れてしまうだろう?』

『……レオン。本当に俺がいなくても問題ないんだな?』

『ああ。何年この国を統治してきたと思っている。今更お前がいなくなっても、なんの支障もない』

『たいそうな自信だな。まあいいだろう。俺がいない間の三ヶ月で、お前がこの国を導けてるかどうか、俺が直々に確かめてやる。ま、帰ってくる日を楽しみにしとくわ』

ライアンはそう告げると、持っていた書類を無造作に執務机に置き、その場を去った。


「不甲斐ない有様だろう。どうやら俺だけの力では、この国を守ることはできないらしい」

これは別に僻んでいるわけではない。事実を客観的に述べているにすぎない。俺はこの叡王という座についてから、後悔などしないと心に決めているのだから。

「なんだ。てっきり俺がいなくなってから、タイミングよく国が混乱に陥っているから、卑屈になって性根が腐ったかと思ったが……その目を見る限り、余計な心配だったみたいだな」

「俺は打たれ強いと知っているだろう」

「ああ。そういや、馬鹿がつくほどにタフだったな、昔から」

懐かしむように微笑むライアン。こういう時は、コンプレックスらしいその睨みつけているかのような目つきも、和らいでいるように見える。

ちなみに、こいつの眼鏡は伊達だ。つけ始めた理由が、眼鏡をすればこの威圧感のある目つきが柔らぐと思ったからだそうだ。俺からすればなんの効果も得られてないと思うが、本人が満足しているため、指摘しないことにしている。

今みたいに笑うだけで、世の女性たちはこぞってこいつの周りに集まりそうなもんだがな。

「お互い不器用だといろいろと大変だな」

「はあ?なんの話だ」

「いや独り言だ。それより、ライアンはこの国の現状をどう見る?」

俺は国一番の頭脳をもつとされるライアンに、現状を打開するための知恵を求めた。

「もちろん一刻も早く事件を解決して、平和な国へと近づけないといけないと思っているさ。それとな……まあこれは単なる噂で、事実かどうかはわからないんだが、とある話をバカンス先の国で耳にした」

「ふむ。たしか、海洋国家アトランテに旅行したんだったな」

「そうだ。あそこは世界で一番金が動き、人の流れも渦のように巡り巡ってる。だから与太話も多く飛び交うんだが、その中にこんなものがあった。亜人の子どもの剥製が売られてる、とな」

「は……?」

亜人の子どもというタイムリーな言葉に加えて、剥製という嫌な予感のするワードに、俺は無意識に最悪な可能性を頭に浮かべてしまった。

「いや、俺を睨んでも仕方ないだろ」

「それは……ただの石の像とかではないのか?」

俺はなんとか冷静さを取り戻し、落ち着いてライアンに問いかけた。

「まあ俺もその可能性の方が高いと思うぞ。剥製とはいうが、単にそれくらい似すぎているからそう呼称されているだけだとな。現にレン王太子をモチーフにした木彫りの人形なんかの、亜人をモデルにした小物が陳列されてるのをみたからな。ただな……」

ライアンはなぜかすぐには口を開かず、言い淀んだ。

「早く言え」

「その会話の中に、という言葉が混じっていたんだ」

たしか、海洋国家アトランテではオークションというイベントは定期的に行われているはずだ。だが、闇オークションというのは聞いたことがない。その言葉から察するに、商品として出してはならないものを扱っていそうだが……。

「……きな臭い話だな」

「そうだろう?そんな物騒な単語が聞こえてきたら、流石に俺も簡単に無視できなくてな。そして最悪の事態を想定するのなら、もしかすれば誘拐された子どもたちはそこで……」

ライアンは少し俯きながら、それ以上言葉に出すのをやめた。

「まだそう考えるのは早計だ。俺たちに今やれることは、お前が言ったように一刻も早く事件を終息させることだけだ。俺に力を貸せ、ライアン」

俺はライアンの肩を強めに叩いた。

「ィッテ……加減ってものを知らないのか、馬鹿レオン」

ライアンは顔を上げ、「ふっ」と柔らかい笑みを浮かべた。そしてキリッとした目つきで言い放った。

「この国の宰相を怒らせたこと、死ぬほど後悔させてやるよ」



























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