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レグルス編
22 スターライト連続誘拐事件Ⅱ
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side ノア=オーガスト
「久しいな、ノア」
「……カナタ」
どことなく悲しげにオレたちを見つめるカナタ。その横には、あの時のように我を失っているカイトさんが、猫背の状態で棒立ちしている。
「あれあれ?君たち、知り合いだったのー?」
「……ちっ。白々しい。どうせ知ってたんだろうが」
「あ、わかっちゃう~?僕ってばこう見えて、慎重で狡猾な、お・と・こ、なんだよね~!」
さっきからあいつの言動がうざったらしい。もう全部がいらいらしてくる。マジで今までに会ったことのないタイプだ。
「ノアさん!」
「おう」
「お二人の怪我がひどいので、湊さんと私で一旦あっちに移動しますね」
「っ!任せた!」
オレのこの言葉を聞いた途端、エルと湊はすぐに行動に移した。エルはステラさんを、湊はペルロさんを持ち上げて、なるべく安全な端の方へと運んでいく。
エルの場合、ステラさんは体格もいいししっかりとした装備も着ているから、身長的にも腕力的にも持ち上げるどころか、引きずるのも苦労しそうだ。ただ幸い、自身の支援氣術のおかげで楽に引きずれている。引きずるといっても、怪我人を乱暴に扱うようなことはエルはしない。多少服は汚れるだろうけど。
これで二人の安全はほぼ確実に保証されたことになった。治療もそうだけど、何せ湊がついてるし。
にしても……。
さっきはカナタやカイトさん、それに何よりムースに気を取られすぎて、苦しむ二人のことが頭から抜けていた。こういう時、すぐにフォローしてくれるエルたちには感謝でいっぱいだ。
二人は二人にしかできない役目に回ってもらったんだ。今度はオレたちが自分たちの役割をしっかりと果たさないとな……。
「リオン、シン。さっきのあの攻撃、どう思う?」
おそらく、カイトさんが手に持ってるあの銃から放たれた弾丸による効果だろうけど、ただの弾丸にしちゃ威力が高すぎる。心臓や脳天を貫かれでもしたら、一発アウトだ。
「あの虚な目の亜人。断定はできないけど、あの男が持つ白と黒それぞれの拳銃から発射された弾丸が二人に着弾した結果、あの悲惨な状態になったんだろうね。窓が割れる直前、ズドンッていう重厚な音とパンッていう軽快な音が聞こえたから」
言われてみればそうだ。くぐもってたけど、たしかに弾丸が放たれたみたいな音が響いてた。
「よく聞き分けられるな」
「ああ、僕は狼の亜人だから、多少耳がいいのかもしれない」
あれ?狼?てっきり獅子の亜人かと思ってた。髪の色味もそうだし、レオン叡王とそっくりだったからな。違うとこと言えば、目の色と頭に獅子の亜人特有の半月型の耳が生えてないところくらいだ。というかむしろ、今のリオンの見た目って、亜人というより人間に近い。もしリオンが僕は人間だと言い張ったら、誰もそれを疑わないだろうと思えるほどに。
「いい耳だ」
「はは。シンに褒められるなんて、光栄だよ」
「どちにせよ、あの拳銃は相当厄介なもの。かすっただけでもどんな悪影響が出るかわからない。お互いに気をつけよう」
「おう」
「了解」
リオンがいい感じにまとめてくれている。正直ちょっと助かる。オレってそんなに頭よくないし。
「それともうひとりの、黄緑っぽい髪の亜人。あの男も護衛なんだろうけど、現段階で掴める情報といえば腰に一本剣を下げていることくらい、かな」
「カナタが近接系、カイトさんが中距離攻撃系の戦い方をしてきそうだな……」
桃兎との追いかけっこの時に思ったけど、カナタの身体能力は並の人間よりはあったけど、亜人にしては乏しいって印象だった。単純なスピードやパワーで押し込むような戦闘はしなさそうだ。
「あと、高度な連携をしてくる可能性が高いかもな」
「……そうか、どこかで見た顔だとは思っていたけど、彼らはBランクパーティのイノセントのメンバーだね。なんとなく実力を隠していそうだとは思っていたけど、まさかあれほどだったなんて。下手をすればSランク冒険者に匹敵する力を持っているかもしれない」
「まさかとは思うが、怖気付いたのか?」
「はは。そんなこと天地がひっくり返ってもありえないよ。……この国を背負う者のひとりとして、僕はどんなに理不尽な脅威にも屈しない」
「ならそのやたら気にしすぎるところは直せ。戦う前から相手を持ち上げたところで、何の意味もない。ただ己の力だけを信じていればいい」
おお……!
あの無口で仏頂面なシンが、こんなにも他人を気にするようになったなんてなー……!
この調子でどんどんいろんなやつと話してくれよ!シン!
「当然、兄さんのこともな」
「へ?オレが何だって?」
感傷に浸っていたオレは唐突にシンに呼ばれた。
「はは。シンはやっぱり変わらないなぁ。もちろん、ノアのことも、シンのことだって信頼してるさ」
「……マジで何の話?」
今の話の流れのどこにオレが出てくる要素が……?
「ねえねえ!作戦会議、終わった~?」
オレだけが理解できずに困惑していると、あのいやに高くて軽口な声が割って入ってきた。
「……ムース。君には僕とともに地獄に堕ちてもらうよ」
意味深にそう告げたリオンは、腰に下げていた剣を胸の前に構えた。それに続いてオレとシンも臨戦態勢を取る。
「え~、何それこわーい!」
……全然思ってなさそー。
「僕怖いの苦手なんで~、カナタくん、カイトくん。あとはよろしく~」
ムースが後ろから、ポンッと二人の肩を叩く。その顔にはニタァッと不気味な笑みが浮かんでいた。そして後方に構える古びた屋敷の中へと、捕獲対象は意気揚々と入っていった。
「「…………」」
二人はそれにうなづきはしなかった。だが拒否するそぶりも見せてはいない。となればその無言は考えるまでもなく……是だ。
「カナタ……カイトさん……」
オレはオレたちの目的を邪魔しようとする二人を見据え、小さく二人の名をこぼした。
「わるいな。ここは通させねぇよ」
そう一言言い放ったカナタは、腰から剣を抜きオレたちへとその剣先を向けた。
オレはこんな形での戦いは望んじゃいなかった。戦うこと自体は割と好きな方だけど、こんな心が押しつぶされそうな思いを抱えての戦いなんて、気持ち良くも何ともない。
むしろ不快感という名の雨によって、オレの心が錆びていくばかりだ。
オレは首を少し前に曲げて目を閉じ、軽く息を吸う。そしてゆっくりと息を吐き、カナタの両の目を見据えた。
「……どうしてもオレたちの行先を阻むって言うんだな、カナタ」
「ああ」
迷いのない回答。けれどどこか、悲しげな目をしている。
「そっか……なら、やり合うしかない」
オレは左足を一歩引き、軽く曲げてから一気に地面を蹴った。そのすぐ後ろからシンとリオンも走り出した音がした。
「行くぞ、カイト」
「……コノ世ハ極楽ニアラズ。一木一草、地獄ナリ……」
カナタの声が届いているのかはわからないが、カイトさんはカナタとともに迎撃態勢を取った。カイトさんはあの凶悪な銃口を、容赦なくこっちに向けている。
あれを喰らうのだけは避けたい……!
オレは放たれる弾丸に細心の注意を払いつつ、足を止めることなく走り続けた。そして間合いに入り、カナタへと刃を振り翳した。
だがその瞬間……。
横目でカイトさんを見れば、容赦なくオレの胸元目掛けて銃口が向けられていた。オレは今、攻撃モーションを解いて避けるなんて芸当はできない段階まできてしまっている。
だけどきっと……!
オレはカイトさんに怯えるのをやめ、全集中でカナタへと剣を一気に振り下ろした。
『キンッ!』
剣と剣が打ち合った。その瞬間、オレは怒涛の剣撃をカナタに浴びせていく。
攻撃させる暇は与えない!
「チッ……!」
オレからの一方的な剣撃の嵐に、カナタは防戦一方な様子。懸念点があるとするなら、意外にもカナタがオレの攻撃を防げていることだ。
別に手加減はしてるつもりはない。多少、使ってる剣が壊れないよう配慮はしてるけど、それでも一撃一撃に力も氣も込めている。けれどカナタはそれを、余裕綽々とは言えなくても、ひとつひとつ見極めて、しっかりとはじき返したりいなしたりしている。
「やるな、ノア。こんなクソ重い剣は初めて喰らうぜ。手やら腕やらがいてぇのなんのってな」
そう文句を言いつつも、カナタは降りかかる危機をとことん防いでいた。
「その細身じゃてっきり筋力はないと思ってたんだけど……やっぱ見た目だけで判断するのはよくない、な!」
オレは声に乗せてより重い一撃をカナタに叩き込んだ。
「グッ……!重すぎだろ!」
カナタは剣の両端を持って、ギリギリでオレの一振りに耐えた。
ある程度同じ力で攻撃を叩き込み、オレの限界はここだと思わせてから、不意に一際重い一撃を入れる。この戦闘術はクロードに教えてもらったものだ。ヴォル爺が先にオレたちに教えてくれてたらしいけど、説明が下手すぎて全然理解できなかったんだよな。
そんな一際重い一撃に、カナタの剣はぷるぷると震えていた。後もう少し強く撃てば振り抜けそうではあった。ただしそれはこいつの状態が万全な場合の話だ。
『バリンッ!』
やっぱ折れるよな……!
オレは無惨な姿に成り果てた武器を片手に、大きく後方へと飛び退いた。幸いにもカナタは状況判断に時間がかかってるのか、すぐに反撃をしてはこないみたいだ。
とはいえ、こっからどうすっかな……。
オレはもはや剣とは言えない鉱物の塊に軽く目をやった。
カナタの剣と交えたオレのボロい剣に少し力を入れた結果、案の定武器がぶっ壊れた。
確かにオレはシンのように物持ちが良くはない。依頼を達成した日や魔物を討伐した日なんかはだいたい武器屋に寄って、取っ替え引っ替えしてる。
そんな浮気性なオレに応えてくれる剣があるはずもなく、今の今まで三日とさえ持ち堪えた剣はいない。オレに目をつけられたのが運の尽きだ。もし剣に心があるのなら、オレはすでに数え切れないほどの剣たちから恨まれているに違いない。
「その剣、お前の力に見合ってねぇな」
「ははは……」
オレはカナタの的確な指摘に乾いた笑いを漏らした。
「そんだけつえぇんなら、てっきりネームド武器を使ってくると思ってたんだが……俺の思い違いか?」
ネームド武器、か。確かにオレはそれに値する武器を持ってはいる。尊敬する二人からの餞別品だ。けれどそれは、今のオレじゃ使いこなすどころか、剣を鞘から抜くことさえできない。だから現状、そんなもんは宝の持ち腐れ……ないのと同じだ。
「そのたぎるような氣……その剣、ネームド武器だよな?」
今更だが、カナタがもつ剣身からゆらゆらと白っぽい氣が溢れ出ていた。黎明之眼を使ってないのにうっすらではあっても可視化されてるってことは、その氣がかなり濃密な証。濃密な氣ってのは総じて、超強力な攻撃を繰り出せるものだって、子供の頃に秀と湊に口酸っぱく教えられた。
「お、よくわかったな」
「そりゃそんだけ見せつけるように氣をバチバチさせてたらな」
オレでもわかる。あの濃密さ、しかもこの短時間でそこまで練るのは、人間業じゃ到底不可能な話。別の要因が考えられるとして、すぐに思い至るものこそが、ネームド武器。
ものによって性能が違うらしいけど、強者をさらなる境地へと至らせる、まさに神的武器。欲しがるものは多いけれど、それを手にできるのはほんの一握りの選ばれた強者のみって話だ。
そんな、言わば武器界で最強ポジにいるネームド武器様を、目の前に立ちはだかる眉目秀麗な男が持っている。
「ま、それもそうか。これぐらい見極めてくれねぇと、俺の膝に土をつけることすらできねぇわな」
対してオレは、見事に折れた、剣とは呼べぬであろう鉱物の塊。予備の剣は何本かエスパシオに保管されているとはいえ、あの美しくも恐ろしい剣の前では全て赤子も同然。一振りたりとも耐えてくれる気がしない。
それだけの歴然な差が、あのネームド武器とこのなまくらとにはある。
それに耐えようとして無理にオレの剣に氣を流せば、その負荷に耐えられずに自滅しちゃうんだよな……。この絶妙な加減がむずい。
「その剣ってあれか?ブラックスミスとかいう鍛冶屋に鍛造してもらったのか?」
とにかくだ。せめてカナタとまともに戦える術を考えないと。
「いや、こいつは……大切な国宝さ…………」
感傷的な目で剣を見つめるカナタ。
「国宝……?それってどういう……」
「ふん。そのままの意味だっての。てか、んなこたどうでもいいんだよ。せっかく時間稼ぎに付き合ってやったんだ。俺を負かす算段はついたんだよな?」
そう挑発しながら、カナタはゆっくりと距離を詰めてくる。
マッズい。テキトーに話題を振って策を立てようと思ったのに、国宝ってワードが気になって、全く考えられなくなった。
「ま、まあな……」
オレは剣を握る手の内に汗が噴き出しているのを感じつつ、カナタに話を合わせた。
以前、何も思いついてなくてもとりあえず虚勢を張れって、ヴォル爺が言っていた。考えなしに言ってるんだと思ったら、これは相手に無駄に思考させるいい手立てなんだと、その理由を教えてくれた。
ま、この説明はたまたま隣にいたクロードがしてくれたんだけどな……。やっぱヴォル爺はヴォル爺だったのだ。
……待て待て。そんな昔話に花を咲かせてる場合じゃないんだって。
オレは全ての意識を向ってくるカナタへと集中させた。
「へぇ。んじゃあその策、俺が叩き斬ってやんよ!」
来る……!
カナタがギアを上げてこちらに突撃してくる。
「くそっ!」
オレは手に持ったガラクタを、直進で突っ込んでくるカナタへと鋭く投げた。もうこれぐらいしかこいつに残された役目はない。
『カキンッ!』
「そんなんじゃ俺は止まんねぇぜ!」
ですよねー!!!
カナタは強大な力を秘めた剣であっさりと弾き飛ばす。オレの剣は縦回転をしながらカナタの後方へと弾かれてしまった。
「これで終いだな!」
オレの頭上に大きな影ができる。
これは流石に無理!
オレは強力な一振りが振り下ろされる寸前で、大きく後方に飛び退く。
「そんな逃げんじゃねぇよ!」
さっきとは打って変わって、好戦的なカナタがオレへと容赦なく剣撃を叩き込んでいく。
「ぬわ!」
「ちょこまかと避けんなって。あん時も思ったが、無駄にすばしっこいやつだな、お前!」
目をぎらつかせたカナタの連撃は止まらない。避けた先の地面には大きな剣傷が刻まれている。しかもそれは、剣の形に見合わず、太く大きい。普通の武器にはないこの威力、厄介な事この上ない。
「そりゃ避けるだろ?!そんなの喰らったら一刀両断されるっての!」
オレはまだ辛うじて、降り注ぐこの剣撃をまともには喰らっていない。まともには、な。
「おいおい、動きが鈍ってきたんじゃねぇか?」
「っ!」
水平に振り抜かれた一撃を、オレは姿勢をうんと低くして深く沈みこんだ。カナタからすれば、オレの姿が一瞬消えたように映ったかもしれない。
ここだ!
「うおっ!」
オレは沈み込んだ状態から両手を地面につけて身体を丸め、曲げた足をカナタの腹目掛けて一気に蹴り上げた。
身体全体をバネに見立てて放った一撃に、カナタは受け止めきれずに、後ずさった。だが視覚外からの不意の一撃だったってのに、いいダメージが入った様子はない。
頑丈すぎないか、あの身体!装備も軽装で、筋肉なんて全然なさそうだってのに。
「うーん、いいのが入ったと思ったんだけどな……」
「ふん、まあわるくはなかったぜ。ただ、その状態じゃ、うまく力が入んなかったんじゃねぇか?」
そう言われ、オレは落ち着いて自分の状態を確認する。
腕や足、腹や肩口などからは出血がみられ、服もそこら中切れている。頬に手をやれば、濡れた感触が伝わり、視界にその手を捉えれば、指先が真っ赤に染まっていた。
「やっぱこうなるよな……」
まともには喰らってはなかったとはいえ、あの濃密な氣を纏った攻撃は、剣自体を避けられてもそれを覆う氣まで完璧に避け切るのはかなりきつかった。かすっただけで、こんな酷い有様だ。ポーションを使おうにも、こんなにも激しい戦闘中に呑気に飲む暇なんかあるわけがない。
「さあ、どうする?ノア。このまま避け続けるのは結構だが、いずれ限界が来て死んじまうぜ?」
カナタはオレの傷だらけな状態を見てもなお、なぜか追撃はせず、また挑発をしてきた。
「すぅ……はぁ……」
オレは一度、呼吸と気持ちを整えた。
「剣が当てにならないってんなら……」
オレは右の手のひらを高々と空へ掲げた。そして身体の氣脈を通して、氣を手のひらへと集中させた。するとオレの身体を中心にして、段々と地面に円状の影が広がっていく。
「氣術で対抗するしかないだろ!」
オレの身体なんて軽々と覆い尽くせるほどに、巨大な岩の塊が完成する。
「コメット・ストーン!!」
オレは右手をカナタが立つ方角へと振り下ろす。巨大な岩石の砲丸はその動作に合わせて放たれた。それは大きさに見合わず、それなりの速度でカナタへと突っ込んでいった。
ただ、もちろんこれだけで仕留められるとは思ってない。
オレはカナタの様子を見つつ、再び右の手のひらへと氣を集中させる。
「へぇ、土の上級氣術か。しかも普通のもんよりデケェな、おい。氣術の腕も申し分ねぇとか、とんだ戦闘センスしてんぜ。だが!」
頭上から迫り来る巨大な影に、カナタは微塵も恐怖している様子はない。変わらず余裕そうな表情だ。そして、左手に持つ剣を下から上へ振り上げた。
『ドゴォォォォンッッ!!』
真っ二つに割れた巨大岩石は、カナタを避けるように地面へと沈んだ。その断面はあのゴツゴツとした岩とは思えないほどに綺麗だった。
「こいつにゃ、紙切れ同然!」
カナタは誇るように口角を上げた。
お見事!と手放しで讃えたいところだが、敵となっているこの現状では、正直素直に喜びにくい。
おいおい、上級氣術なんて珍しくもなんともないってか?人のこと言えないけど、カナタもまあまあ感覚バグってんな!
「流石だなー!けど!」
カナタが岩石を斬り払う直前に動き出していたオレは、カナタの背後へと回り、右手をターゲットへと向け、その手首を左手で持ち、攻撃モーションを瞬時に整えた。
この超至近距離からの氣術は避けられるか?!
「アイシクル・ストリーム!!!」
歪な氷の塊の群勢が渦状に回転しながら、カナタを背後から襲った。吹雪のようにゴオォッと大きな音を立て、さらには地面をも削りながら、前方の障害物を根こそぎズタズタにするかのように突き進んでいった。
「ガハッ!!」
背後からの突然の衝撃をもろに受け、カナタは森の中まで吹っ飛んでいった。前方にはアイシクル・ストリームが通った跡が、痛々しく残っており、地面だけでなく、木々までも抉り取っていた。
「ヤベ。やりすぎたかも」
オレはカナタの様子が心配になり、ゆっくりとではあるが前へ前へと足を踏み出していく。
力加減、ミスったかもしれん。予想の範囲内とはいえ、コメット・ストーンがいとも簡単に破られたからさ……同じ上級氣術のアイシクル・ストリームも通常通りじゃダメだと思って、それなりに氣を練った状態で放ったんだよな……。
その結果が、この惨状だ。環境破壊もいいところである。
「最上級氣術ほどの威力と範囲ではないにしても、これは……我ながらひどいわ」
オレは抉れた地面の上を歩きながら、周囲を観察した。森とか動物とか、自然は好きだからあまり壊したくないとは思うものの、時たまこんな風に力加減を誤るから、結構な被害を出しちゃうんだよな。
「さて、一体カナタはどこにいるんだ?」
ここまで白氣のみで威力を出したのは、この世界に来てからは初めてな気がする。ただこんなのリュウに見せたら、バケモンだって思われて嫌われるかもしれん。……こっちに連れてこなくて良かったわ。
とはいえ、これで戦闘不能にまで追い込んでたら嬉しい。あの強さだ、死んではないはずだけど、まともに動けなくなってる可能性は高い。
意識がなかったらエルと湊のとこに連れていけばいいし、あっても気絶させて運べばいいか。カナタはもうとっくに友達だと、少なくともオレは思ってるから、一度敵対したくらいで息の根を止めるとかはしたくない。
『ガラガラッ』
それなりに歩いていると、斜め右方向から瓦礫が崩れ落ちる音がした。
ふぅ、やっぱ死んではなかったな。よかったよかった。
オレは無警戒で音のした方向へと進路を変えた。目の前には瓦礫と倒れた木々が積もった山がある。おそらくあの中に埋もれたんだろうな。
「事情は……えと……わかんねぇけど、カナタたちにも何かあったんだろ?だからあんな、クズな男の言いなりだったんだよな?でももう大丈夫だ。オレやオレの頼れる仲間、それに守護叡団が来たんだ。あの気持ちの悪い奴に負ける未来なんて、ありえない」
オレは積もり積もった瓦礫に手を伸ばした。
「だからカナタはーーー」
「安心していいんだ、てか?」
背後から、聞き覚えのある中性的な声が響いた。オレの脳から身体、そして指先といった枝葉末節まで、身の危険を知らせる信号が反射的に送り出された。
低音よりではあるけど、透き通っていて聴きやすい。だけどちょっと乱暴な口調。
マジかよっ……!
オレは咄嗟に振り向こうとした。無防備な背中を相手に見せたまま、的確な防御も回避もできるわけがない。だがそれを許すほど、相手は甘くなかった。
「エアロ・サイクロン!」
「ガッ!!」
無慈悲な声とともに、竜巻のような風の渦がオレを襲った。風の刃がオレの身体を切り刻んでいく。それに加え、巻き込んだ木々や石の破片が、傷ついたオレの身体にさらに追い打ちをかけてくる。
この威力、上級氣術の域を超えてる……!
あのネームド武器の氣を使ったのか……?
クソッ……風で全然目が開けられない!!
オレはなす術なく、この竜巻に身を任せるしかなかった。外皮に纏っていた氣を厚くしてなんとか耐えてはいるものの、それでもその壁を超えて皮膚に鋭い痛みが食い込む。
だかそれはわずか数秒の出来事。そのたった数秒で、オレはそれなりのダメージを負い……。
「ぐはっ!」
木に背中を思い切りぶつけた。
バカいてぇ……!
オレは背中から内臓まで響くジンジンとした痛みに、すぐに立ち上がることができなかった。だがうつ伏せに倒れた状態で、なんとか立ちあがろうと全身に力を入れようとする。
「っ!」
クソったれ。ちょっと力を入れるだけで、身体がバキバキに折れてるみたいな痛みが走る。風の刃もなかなかだったけど、最後の背中への一撃があの氣術最大の特徴かよ。アイシクル・ストリームと似てるかと思ったけど、全然違う。ノックバックの威力が段違いすぎる……!
防御の基本である氣の膜ってのは、氣で生み出された攻撃にはある程度の防御力を発揮するけど、氣とは別に生まれたような攻撃に関してはそこまで強い耐性はない。だから今みたいな衝撃力は、ほぼダイレクトに喰らうと考えて戦わないといけない。
そうヴォル爺やクロードに教えてもらっていたのに、不意を突かれてパニクったせいで、そこまで頭が回らなかった……!
「どうだ?ノア。俺の氣術もなかなかだろ?」
曲げた右腕で踏ん張りながら、どうにか身体を持ち上げようとしていると、頭上からあの声が聞こえてきた。
「あ、あ……そ……だな……ぐっ!」
右肩に何かが重くのしかかった。おそらくはカナタの足だ。
「万事休すだな、ノア」
首筋にひやりとした感覚が走る。カナタの剣がオレの首を捉えたんだ。
「なんで、あんなやつに、従ってんだ……!」
オレは地面に顔をうずめながらも、どうにか声を振り絞った。
「おいおい、今更聞くのかよ、それ……。そうだな…………」
カナタの声が消えた。深く考え込んでいるらしい。
「ははっ……絆されちまったからなんだろうな……」
解答を待てば、困ったような笑いが返ってきた。
「ほだ……された?」
危機的状況だというのに、オレはその意味について考えていた。我ながら呑気すぎる。
「それが最後の言葉でいいのか?なんなら俺がお前の仲間に伝えてやってもいいんだぜ?」
「…………」
「はっ。そうかよ」
首筋に感じていた剣の感触が消えた。
「お前を殺すことになるなんて、本当に残念だ。じゃあな、ノア」
………………まだ、だ。まだ、終わってない……!!
「久しいな、ノア」
「……カナタ」
どことなく悲しげにオレたちを見つめるカナタ。その横には、あの時のように我を失っているカイトさんが、猫背の状態で棒立ちしている。
「あれあれ?君たち、知り合いだったのー?」
「……ちっ。白々しい。どうせ知ってたんだろうが」
「あ、わかっちゃう~?僕ってばこう見えて、慎重で狡猾な、お・と・こ、なんだよね~!」
さっきからあいつの言動がうざったらしい。もう全部がいらいらしてくる。マジで今までに会ったことのないタイプだ。
「ノアさん!」
「おう」
「お二人の怪我がひどいので、湊さんと私で一旦あっちに移動しますね」
「っ!任せた!」
オレのこの言葉を聞いた途端、エルと湊はすぐに行動に移した。エルはステラさんを、湊はペルロさんを持ち上げて、なるべく安全な端の方へと運んでいく。
エルの場合、ステラさんは体格もいいししっかりとした装備も着ているから、身長的にも腕力的にも持ち上げるどころか、引きずるのも苦労しそうだ。ただ幸い、自身の支援氣術のおかげで楽に引きずれている。引きずるといっても、怪我人を乱暴に扱うようなことはエルはしない。多少服は汚れるだろうけど。
これで二人の安全はほぼ確実に保証されたことになった。治療もそうだけど、何せ湊がついてるし。
にしても……。
さっきはカナタやカイトさん、それに何よりムースに気を取られすぎて、苦しむ二人のことが頭から抜けていた。こういう時、すぐにフォローしてくれるエルたちには感謝でいっぱいだ。
二人は二人にしかできない役目に回ってもらったんだ。今度はオレたちが自分たちの役割をしっかりと果たさないとな……。
「リオン、シン。さっきのあの攻撃、どう思う?」
おそらく、カイトさんが手に持ってるあの銃から放たれた弾丸による効果だろうけど、ただの弾丸にしちゃ威力が高すぎる。心臓や脳天を貫かれでもしたら、一発アウトだ。
「あの虚な目の亜人。断定はできないけど、あの男が持つ白と黒それぞれの拳銃から発射された弾丸が二人に着弾した結果、あの悲惨な状態になったんだろうね。窓が割れる直前、ズドンッていう重厚な音とパンッていう軽快な音が聞こえたから」
言われてみればそうだ。くぐもってたけど、たしかに弾丸が放たれたみたいな音が響いてた。
「よく聞き分けられるな」
「ああ、僕は狼の亜人だから、多少耳がいいのかもしれない」
あれ?狼?てっきり獅子の亜人かと思ってた。髪の色味もそうだし、レオン叡王とそっくりだったからな。違うとこと言えば、目の色と頭に獅子の亜人特有の半月型の耳が生えてないところくらいだ。というかむしろ、今のリオンの見た目って、亜人というより人間に近い。もしリオンが僕は人間だと言い張ったら、誰もそれを疑わないだろうと思えるほどに。
「いい耳だ」
「はは。シンに褒められるなんて、光栄だよ」
「どちにせよ、あの拳銃は相当厄介なもの。かすっただけでもどんな悪影響が出るかわからない。お互いに気をつけよう」
「おう」
「了解」
リオンがいい感じにまとめてくれている。正直ちょっと助かる。オレってそんなに頭よくないし。
「それともうひとりの、黄緑っぽい髪の亜人。あの男も護衛なんだろうけど、現段階で掴める情報といえば腰に一本剣を下げていることくらい、かな」
「カナタが近接系、カイトさんが中距離攻撃系の戦い方をしてきそうだな……」
桃兎との追いかけっこの時に思ったけど、カナタの身体能力は並の人間よりはあったけど、亜人にしては乏しいって印象だった。単純なスピードやパワーで押し込むような戦闘はしなさそうだ。
「あと、高度な連携をしてくる可能性が高いかもな」
「……そうか、どこかで見た顔だとは思っていたけど、彼らはBランクパーティのイノセントのメンバーだね。なんとなく実力を隠していそうだとは思っていたけど、まさかあれほどだったなんて。下手をすればSランク冒険者に匹敵する力を持っているかもしれない」
「まさかとは思うが、怖気付いたのか?」
「はは。そんなこと天地がひっくり返ってもありえないよ。……この国を背負う者のひとりとして、僕はどんなに理不尽な脅威にも屈しない」
「ならそのやたら気にしすぎるところは直せ。戦う前から相手を持ち上げたところで、何の意味もない。ただ己の力だけを信じていればいい」
おお……!
あの無口で仏頂面なシンが、こんなにも他人を気にするようになったなんてなー……!
この調子でどんどんいろんなやつと話してくれよ!シン!
「当然、兄さんのこともな」
「へ?オレが何だって?」
感傷に浸っていたオレは唐突にシンに呼ばれた。
「はは。シンはやっぱり変わらないなぁ。もちろん、ノアのことも、シンのことだって信頼してるさ」
「……マジで何の話?」
今の話の流れのどこにオレが出てくる要素が……?
「ねえねえ!作戦会議、終わった~?」
オレだけが理解できずに困惑していると、あのいやに高くて軽口な声が割って入ってきた。
「……ムース。君には僕とともに地獄に堕ちてもらうよ」
意味深にそう告げたリオンは、腰に下げていた剣を胸の前に構えた。それに続いてオレとシンも臨戦態勢を取る。
「え~、何それこわーい!」
……全然思ってなさそー。
「僕怖いの苦手なんで~、カナタくん、カイトくん。あとはよろしく~」
ムースが後ろから、ポンッと二人の肩を叩く。その顔にはニタァッと不気味な笑みが浮かんでいた。そして後方に構える古びた屋敷の中へと、捕獲対象は意気揚々と入っていった。
「「…………」」
二人はそれにうなづきはしなかった。だが拒否するそぶりも見せてはいない。となればその無言は考えるまでもなく……是だ。
「カナタ……カイトさん……」
オレはオレたちの目的を邪魔しようとする二人を見据え、小さく二人の名をこぼした。
「わるいな。ここは通させねぇよ」
そう一言言い放ったカナタは、腰から剣を抜きオレたちへとその剣先を向けた。
オレはこんな形での戦いは望んじゃいなかった。戦うこと自体は割と好きな方だけど、こんな心が押しつぶされそうな思いを抱えての戦いなんて、気持ち良くも何ともない。
むしろ不快感という名の雨によって、オレの心が錆びていくばかりだ。
オレは首を少し前に曲げて目を閉じ、軽く息を吸う。そしてゆっくりと息を吐き、カナタの両の目を見据えた。
「……どうしてもオレたちの行先を阻むって言うんだな、カナタ」
「ああ」
迷いのない回答。けれどどこか、悲しげな目をしている。
「そっか……なら、やり合うしかない」
オレは左足を一歩引き、軽く曲げてから一気に地面を蹴った。そのすぐ後ろからシンとリオンも走り出した音がした。
「行くぞ、カイト」
「……コノ世ハ極楽ニアラズ。一木一草、地獄ナリ……」
カナタの声が届いているのかはわからないが、カイトさんはカナタとともに迎撃態勢を取った。カイトさんはあの凶悪な銃口を、容赦なくこっちに向けている。
あれを喰らうのだけは避けたい……!
オレは放たれる弾丸に細心の注意を払いつつ、足を止めることなく走り続けた。そして間合いに入り、カナタへと刃を振り翳した。
だがその瞬間……。
横目でカイトさんを見れば、容赦なくオレの胸元目掛けて銃口が向けられていた。オレは今、攻撃モーションを解いて避けるなんて芸当はできない段階まできてしまっている。
だけどきっと……!
オレはカイトさんに怯えるのをやめ、全集中でカナタへと剣を一気に振り下ろした。
『キンッ!』
剣と剣が打ち合った。その瞬間、オレは怒涛の剣撃をカナタに浴びせていく。
攻撃させる暇は与えない!
「チッ……!」
オレからの一方的な剣撃の嵐に、カナタは防戦一方な様子。懸念点があるとするなら、意外にもカナタがオレの攻撃を防げていることだ。
別に手加減はしてるつもりはない。多少、使ってる剣が壊れないよう配慮はしてるけど、それでも一撃一撃に力も氣も込めている。けれどカナタはそれを、余裕綽々とは言えなくても、ひとつひとつ見極めて、しっかりとはじき返したりいなしたりしている。
「やるな、ノア。こんなクソ重い剣は初めて喰らうぜ。手やら腕やらがいてぇのなんのってな」
そう文句を言いつつも、カナタは降りかかる危機をとことん防いでいた。
「その細身じゃてっきり筋力はないと思ってたんだけど……やっぱ見た目だけで判断するのはよくない、な!」
オレは声に乗せてより重い一撃をカナタに叩き込んだ。
「グッ……!重すぎだろ!」
カナタは剣の両端を持って、ギリギリでオレの一振りに耐えた。
ある程度同じ力で攻撃を叩き込み、オレの限界はここだと思わせてから、不意に一際重い一撃を入れる。この戦闘術はクロードに教えてもらったものだ。ヴォル爺が先にオレたちに教えてくれてたらしいけど、説明が下手すぎて全然理解できなかったんだよな。
そんな一際重い一撃に、カナタの剣はぷるぷると震えていた。後もう少し強く撃てば振り抜けそうではあった。ただしそれはこいつの状態が万全な場合の話だ。
『バリンッ!』
やっぱ折れるよな……!
オレは無惨な姿に成り果てた武器を片手に、大きく後方へと飛び退いた。幸いにもカナタは状況判断に時間がかかってるのか、すぐに反撃をしてはこないみたいだ。
とはいえ、こっからどうすっかな……。
オレはもはや剣とは言えない鉱物の塊に軽く目をやった。
カナタの剣と交えたオレのボロい剣に少し力を入れた結果、案の定武器がぶっ壊れた。
確かにオレはシンのように物持ちが良くはない。依頼を達成した日や魔物を討伐した日なんかはだいたい武器屋に寄って、取っ替え引っ替えしてる。
そんな浮気性なオレに応えてくれる剣があるはずもなく、今の今まで三日とさえ持ち堪えた剣はいない。オレに目をつけられたのが運の尽きだ。もし剣に心があるのなら、オレはすでに数え切れないほどの剣たちから恨まれているに違いない。
「その剣、お前の力に見合ってねぇな」
「ははは……」
オレはカナタの的確な指摘に乾いた笑いを漏らした。
「そんだけつえぇんなら、てっきりネームド武器を使ってくると思ってたんだが……俺の思い違いか?」
ネームド武器、か。確かにオレはそれに値する武器を持ってはいる。尊敬する二人からの餞別品だ。けれどそれは、今のオレじゃ使いこなすどころか、剣を鞘から抜くことさえできない。だから現状、そんなもんは宝の持ち腐れ……ないのと同じだ。
「そのたぎるような氣……その剣、ネームド武器だよな?」
今更だが、カナタがもつ剣身からゆらゆらと白っぽい氣が溢れ出ていた。黎明之眼を使ってないのにうっすらではあっても可視化されてるってことは、その氣がかなり濃密な証。濃密な氣ってのは総じて、超強力な攻撃を繰り出せるものだって、子供の頃に秀と湊に口酸っぱく教えられた。
「お、よくわかったな」
「そりゃそんだけ見せつけるように氣をバチバチさせてたらな」
オレでもわかる。あの濃密さ、しかもこの短時間でそこまで練るのは、人間業じゃ到底不可能な話。別の要因が考えられるとして、すぐに思い至るものこそが、ネームド武器。
ものによって性能が違うらしいけど、強者をさらなる境地へと至らせる、まさに神的武器。欲しがるものは多いけれど、それを手にできるのはほんの一握りの選ばれた強者のみって話だ。
そんな、言わば武器界で最強ポジにいるネームド武器様を、目の前に立ちはだかる眉目秀麗な男が持っている。
「ま、それもそうか。これぐらい見極めてくれねぇと、俺の膝に土をつけることすらできねぇわな」
対してオレは、見事に折れた、剣とは呼べぬであろう鉱物の塊。予備の剣は何本かエスパシオに保管されているとはいえ、あの美しくも恐ろしい剣の前では全て赤子も同然。一振りたりとも耐えてくれる気がしない。
それだけの歴然な差が、あのネームド武器とこのなまくらとにはある。
それに耐えようとして無理にオレの剣に氣を流せば、その負荷に耐えられずに自滅しちゃうんだよな……。この絶妙な加減がむずい。
「その剣ってあれか?ブラックスミスとかいう鍛冶屋に鍛造してもらったのか?」
とにかくだ。せめてカナタとまともに戦える術を考えないと。
「いや、こいつは……大切な国宝さ…………」
感傷的な目で剣を見つめるカナタ。
「国宝……?それってどういう……」
「ふん。そのままの意味だっての。てか、んなこたどうでもいいんだよ。せっかく時間稼ぎに付き合ってやったんだ。俺を負かす算段はついたんだよな?」
そう挑発しながら、カナタはゆっくりと距離を詰めてくる。
マッズい。テキトーに話題を振って策を立てようと思ったのに、国宝ってワードが気になって、全く考えられなくなった。
「ま、まあな……」
オレは剣を握る手の内に汗が噴き出しているのを感じつつ、カナタに話を合わせた。
以前、何も思いついてなくてもとりあえず虚勢を張れって、ヴォル爺が言っていた。考えなしに言ってるんだと思ったら、これは相手に無駄に思考させるいい手立てなんだと、その理由を教えてくれた。
ま、この説明はたまたま隣にいたクロードがしてくれたんだけどな……。やっぱヴォル爺はヴォル爺だったのだ。
……待て待て。そんな昔話に花を咲かせてる場合じゃないんだって。
オレは全ての意識を向ってくるカナタへと集中させた。
「へぇ。んじゃあその策、俺が叩き斬ってやんよ!」
来る……!
カナタがギアを上げてこちらに突撃してくる。
「くそっ!」
オレは手に持ったガラクタを、直進で突っ込んでくるカナタへと鋭く投げた。もうこれぐらいしかこいつに残された役目はない。
『カキンッ!』
「そんなんじゃ俺は止まんねぇぜ!」
ですよねー!!!
カナタは強大な力を秘めた剣であっさりと弾き飛ばす。オレの剣は縦回転をしながらカナタの後方へと弾かれてしまった。
「これで終いだな!」
オレの頭上に大きな影ができる。
これは流石に無理!
オレは強力な一振りが振り下ろされる寸前で、大きく後方に飛び退く。
「そんな逃げんじゃねぇよ!」
さっきとは打って変わって、好戦的なカナタがオレへと容赦なく剣撃を叩き込んでいく。
「ぬわ!」
「ちょこまかと避けんなって。あん時も思ったが、無駄にすばしっこいやつだな、お前!」
目をぎらつかせたカナタの連撃は止まらない。避けた先の地面には大きな剣傷が刻まれている。しかもそれは、剣の形に見合わず、太く大きい。普通の武器にはないこの威力、厄介な事この上ない。
「そりゃ避けるだろ?!そんなの喰らったら一刀両断されるっての!」
オレはまだ辛うじて、降り注ぐこの剣撃をまともには喰らっていない。まともには、な。
「おいおい、動きが鈍ってきたんじゃねぇか?」
「っ!」
水平に振り抜かれた一撃を、オレは姿勢をうんと低くして深く沈みこんだ。カナタからすれば、オレの姿が一瞬消えたように映ったかもしれない。
ここだ!
「うおっ!」
オレは沈み込んだ状態から両手を地面につけて身体を丸め、曲げた足をカナタの腹目掛けて一気に蹴り上げた。
身体全体をバネに見立てて放った一撃に、カナタは受け止めきれずに、後ずさった。だが視覚外からの不意の一撃だったってのに、いいダメージが入った様子はない。
頑丈すぎないか、あの身体!装備も軽装で、筋肉なんて全然なさそうだってのに。
「うーん、いいのが入ったと思ったんだけどな……」
「ふん、まあわるくはなかったぜ。ただ、その状態じゃ、うまく力が入んなかったんじゃねぇか?」
そう言われ、オレは落ち着いて自分の状態を確認する。
腕や足、腹や肩口などからは出血がみられ、服もそこら中切れている。頬に手をやれば、濡れた感触が伝わり、視界にその手を捉えれば、指先が真っ赤に染まっていた。
「やっぱこうなるよな……」
まともには喰らってはなかったとはいえ、あの濃密な氣を纏った攻撃は、剣自体を避けられてもそれを覆う氣まで完璧に避け切るのはかなりきつかった。かすっただけで、こんな酷い有様だ。ポーションを使おうにも、こんなにも激しい戦闘中に呑気に飲む暇なんかあるわけがない。
「さあ、どうする?ノア。このまま避け続けるのは結構だが、いずれ限界が来て死んじまうぜ?」
カナタはオレの傷だらけな状態を見てもなお、なぜか追撃はせず、また挑発をしてきた。
「すぅ……はぁ……」
オレは一度、呼吸と気持ちを整えた。
「剣が当てにならないってんなら……」
オレは右の手のひらを高々と空へ掲げた。そして身体の氣脈を通して、氣を手のひらへと集中させた。するとオレの身体を中心にして、段々と地面に円状の影が広がっていく。
「氣術で対抗するしかないだろ!」
オレの身体なんて軽々と覆い尽くせるほどに、巨大な岩の塊が完成する。
「コメット・ストーン!!」
オレは右手をカナタが立つ方角へと振り下ろす。巨大な岩石の砲丸はその動作に合わせて放たれた。それは大きさに見合わず、それなりの速度でカナタへと突っ込んでいった。
ただ、もちろんこれだけで仕留められるとは思ってない。
オレはカナタの様子を見つつ、再び右の手のひらへと氣を集中させる。
「へぇ、土の上級氣術か。しかも普通のもんよりデケェな、おい。氣術の腕も申し分ねぇとか、とんだ戦闘センスしてんぜ。だが!」
頭上から迫り来る巨大な影に、カナタは微塵も恐怖している様子はない。変わらず余裕そうな表情だ。そして、左手に持つ剣を下から上へ振り上げた。
『ドゴォォォォンッッ!!』
真っ二つに割れた巨大岩石は、カナタを避けるように地面へと沈んだ。その断面はあのゴツゴツとした岩とは思えないほどに綺麗だった。
「こいつにゃ、紙切れ同然!」
カナタは誇るように口角を上げた。
お見事!と手放しで讃えたいところだが、敵となっているこの現状では、正直素直に喜びにくい。
おいおい、上級氣術なんて珍しくもなんともないってか?人のこと言えないけど、カナタもまあまあ感覚バグってんな!
「流石だなー!けど!」
カナタが岩石を斬り払う直前に動き出していたオレは、カナタの背後へと回り、右手をターゲットへと向け、その手首を左手で持ち、攻撃モーションを瞬時に整えた。
この超至近距離からの氣術は避けられるか?!
「アイシクル・ストリーム!!!」
歪な氷の塊の群勢が渦状に回転しながら、カナタを背後から襲った。吹雪のようにゴオォッと大きな音を立て、さらには地面をも削りながら、前方の障害物を根こそぎズタズタにするかのように突き進んでいった。
「ガハッ!!」
背後からの突然の衝撃をもろに受け、カナタは森の中まで吹っ飛んでいった。前方にはアイシクル・ストリームが通った跡が、痛々しく残っており、地面だけでなく、木々までも抉り取っていた。
「ヤベ。やりすぎたかも」
オレはカナタの様子が心配になり、ゆっくりとではあるが前へ前へと足を踏み出していく。
力加減、ミスったかもしれん。予想の範囲内とはいえ、コメット・ストーンがいとも簡単に破られたからさ……同じ上級氣術のアイシクル・ストリームも通常通りじゃダメだと思って、それなりに氣を練った状態で放ったんだよな……。
その結果が、この惨状だ。環境破壊もいいところである。
「最上級氣術ほどの威力と範囲ではないにしても、これは……我ながらひどいわ」
オレは抉れた地面の上を歩きながら、周囲を観察した。森とか動物とか、自然は好きだからあまり壊したくないとは思うものの、時たまこんな風に力加減を誤るから、結構な被害を出しちゃうんだよな。
「さて、一体カナタはどこにいるんだ?」
ここまで白氣のみで威力を出したのは、この世界に来てからは初めてな気がする。ただこんなのリュウに見せたら、バケモンだって思われて嫌われるかもしれん。……こっちに連れてこなくて良かったわ。
とはいえ、これで戦闘不能にまで追い込んでたら嬉しい。あの強さだ、死んではないはずだけど、まともに動けなくなってる可能性は高い。
意識がなかったらエルと湊のとこに連れていけばいいし、あっても気絶させて運べばいいか。カナタはもうとっくに友達だと、少なくともオレは思ってるから、一度敵対したくらいで息の根を止めるとかはしたくない。
『ガラガラッ』
それなりに歩いていると、斜め右方向から瓦礫が崩れ落ちる音がした。
ふぅ、やっぱ死んではなかったな。よかったよかった。
オレは無警戒で音のした方向へと進路を変えた。目の前には瓦礫と倒れた木々が積もった山がある。おそらくあの中に埋もれたんだろうな。
「事情は……えと……わかんねぇけど、カナタたちにも何かあったんだろ?だからあんな、クズな男の言いなりだったんだよな?でももう大丈夫だ。オレやオレの頼れる仲間、それに守護叡団が来たんだ。あの気持ちの悪い奴に負ける未来なんて、ありえない」
オレは積もり積もった瓦礫に手を伸ばした。
「だからカナタはーーー」
「安心していいんだ、てか?」
背後から、聞き覚えのある中性的な声が響いた。オレの脳から身体、そして指先といった枝葉末節まで、身の危険を知らせる信号が反射的に送り出された。
低音よりではあるけど、透き通っていて聴きやすい。だけどちょっと乱暴な口調。
マジかよっ……!
オレは咄嗟に振り向こうとした。無防備な背中を相手に見せたまま、的確な防御も回避もできるわけがない。だがそれを許すほど、相手は甘くなかった。
「エアロ・サイクロン!」
「ガッ!!」
無慈悲な声とともに、竜巻のような風の渦がオレを襲った。風の刃がオレの身体を切り刻んでいく。それに加え、巻き込んだ木々や石の破片が、傷ついたオレの身体にさらに追い打ちをかけてくる。
この威力、上級氣術の域を超えてる……!
あのネームド武器の氣を使ったのか……?
クソッ……風で全然目が開けられない!!
オレはなす術なく、この竜巻に身を任せるしかなかった。外皮に纏っていた氣を厚くしてなんとか耐えてはいるものの、それでもその壁を超えて皮膚に鋭い痛みが食い込む。
だかそれはわずか数秒の出来事。そのたった数秒で、オレはそれなりのダメージを負い……。
「ぐはっ!」
木に背中を思い切りぶつけた。
バカいてぇ……!
オレは背中から内臓まで響くジンジンとした痛みに、すぐに立ち上がることができなかった。だがうつ伏せに倒れた状態で、なんとか立ちあがろうと全身に力を入れようとする。
「っ!」
クソったれ。ちょっと力を入れるだけで、身体がバキバキに折れてるみたいな痛みが走る。風の刃もなかなかだったけど、最後の背中への一撃があの氣術最大の特徴かよ。アイシクル・ストリームと似てるかと思ったけど、全然違う。ノックバックの威力が段違いすぎる……!
防御の基本である氣の膜ってのは、氣で生み出された攻撃にはある程度の防御力を発揮するけど、氣とは別に生まれたような攻撃に関してはそこまで強い耐性はない。だから今みたいな衝撃力は、ほぼダイレクトに喰らうと考えて戦わないといけない。
そうヴォル爺やクロードに教えてもらっていたのに、不意を突かれてパニクったせいで、そこまで頭が回らなかった……!
「どうだ?ノア。俺の氣術もなかなかだろ?」
曲げた右腕で踏ん張りながら、どうにか身体を持ち上げようとしていると、頭上からあの声が聞こえてきた。
「あ、あ……そ……だな……ぐっ!」
右肩に何かが重くのしかかった。おそらくはカナタの足だ。
「万事休すだな、ノア」
首筋にひやりとした感覚が走る。カナタの剣がオレの首を捉えたんだ。
「なんで、あんなやつに、従ってんだ……!」
オレは地面に顔をうずめながらも、どうにか声を振り絞った。
「おいおい、今更聞くのかよ、それ……。そうだな…………」
カナタの声が消えた。深く考え込んでいるらしい。
「ははっ……絆されちまったからなんだろうな……」
解答を待てば、困ったような笑いが返ってきた。
「ほだ……された?」
危機的状況だというのに、オレはその意味について考えていた。我ながら呑気すぎる。
「それが最後の言葉でいいのか?なんなら俺がお前の仲間に伝えてやってもいいんだぜ?」
「…………」
「はっ。そうかよ」
首筋に感じていた剣の感触が消えた。
「お前を殺すことになるなんて、本当に残念だ。じゃあな、ノア」
………………まだ、だ。まだ、終わってない……!!
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