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レグルス編
37 二つの会議
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side シャーロット=アストラル
「こ、これは何を原材料にしたハーブティーでしょうか……」
ライアンが木製のテーブルに置かれたカップをまじまじと見ながら、不安げな声を上げる。
なんなら、一種の怯えにも感じられたわ。怯える必要なんてどこにもないというのにね。
「何って、カラミソウに決まっているでしょう?私の好物のひとつなの」
「カ、カラミソウ?!ま、間違いなく、あのカラミソウを使われている、と……」
何をそんなに困惑する必要があるのよ。
「何度も聞くなんて、脳みそがショートしているのではなくて?その私一押しのハーブティー、『カラミティー』でも飲んで脳細胞を活性化させなさい」
カップを手に取りそのまま口へと運ぶ。
う~ん!美味しいわ!
このピリッとした味わいがたまらないのよね。
「うぅ……レ、レオン、お前先に飲め」
「ゴホッゴホッ。なんだ、急に咳が止まらないな……」
「なんだその下手な芝居は。夫なら妻の出したものを無下にしちゃいかんだろ?!だからーーー」
「ゴクッ……おや、父上にライアン宰相。母上のハーブティーを飲まないのですか。こんなにも美味だというのに」
そうだわ。今度あの毒草も隠し味に入れてみるのはアリね。
「「……?!」」
「なんです、その信じられないものを見たと言わんばかりの顔は。そういえば、父上もライアン宰相も母上のお茶会にはあまり顔を出していませんでしたね」
「……(それは妻の入れるハーブティーは命の危機にさらされるものばかりだからだ……!)」
「……(それはシャーロットの味覚がバグっているからだ……!)」
変わらない味というのも好きだけれど、たまには違う刺激が欲しいものねぇ。
「……なんともないのか、レン。その胃がムカムカするとか、頭がズキズキ痛むとか」
「……?言っている意味がよくわからないのですが……」
「そ、そうか。何ともないのであれば、まあ……(まさかレンもシャーロットと同じく味音痴だったとは……)」
「(恐ろしい親子だ……)私は、その……カラミソウの突発的アレルギーを最近発症してしまい、身体が受け付けないのです」
「あら、そうだったの。それはいけないことをしたわね」
カップを置いた流れで、申し訳なさを口にしつつ、冷ややかな視線を送っておく。
どうせ嘘でしょうけど。まあ今回は見逃してあげるわ。新たな試作品が思いついて気分が良いもの。
「あ、い、いえ、お気になさらず……」
どもりながら視線を泳がせるライアン。他の人の前では嘘やハッタリが上手なのに、なぜか私の前では途端に下手になる。
昔から優秀なのかそうではないのか、掴みどころがない人ね。
「なら、レオン。あなたがライアンの分も飲んでくれるわよね?」
「ぅ……あ、いや、その……」
にこやかな表情をしたのに、レオンは嫌そうな顔をする。
「あーあ、話し合いばかりで疲れているだろうからと、息抜きの茶会を用意したのに……レオン、あなたも飲んでくれないなんて、私悲しいわ」
ポケットからハンカチを取り出して、目元をちょんちょんと軽く叩く。
自分でもわかるほどの嘘泣きだけれど……。
「そ、そうだな。せっかくシャーロットが用意してくれたんだ。飲む以外の選択肢は、ない……!」
レオンはいっつも引っかかってくれるのよね。
「お、おい、そんな一気に飲み干さなくとも……」
レオンは自分の前にあったカップを手に取り、ズズズッと一気に飲んだ。さらに間髪入れずにライアンの分のハーブティーも飲み干した。
予想通り、液体が喉を通る度に眉を顰めていった。
レオンを揶揄うのはやっぱり面白いわ。
「ぐっ……き、気持ち悪い……」
ボソッと死にそうな声が聞こえた。なんだかんだでレオンはこんな風に私の言うことをやってくれる。
冷酷無比とか表情が動かなくて不気味だとか噂される男が、私の手のひらの上でころころと可愛く転がる姿に惚れない方がどうかしてるわ。
「ったく……水を持ってきてもらってもいいです?」
「はい、ただいま!」
近侍していた従者が早足で庭から建物の中へと入っていった。
私自身、自分の味覚がおかしい、他の人と違うのなんてとっくの昔から知っていた。だから逆にそれを利用して、隙があったらこうやって揶揄うことにしているの。
「シャーロット叡王妃、揶揄われるのはほどほどにお願いしますよ。この国のトップが倒れただなんて万が一にも知れ渡ったりすれば、民衆にいらぬ心配をかけてしまいます」
「あらそう?むしろハーブティーを飲んで倒れてしまうお茶目な叡王として、みんなから慕われやすくなるかもしれないわよ?ただでさえ近寄りがたいイメージが定着しているのだから、ここらで可愛いアピールをしてもよいと思うのだけれど」
「母上。さすがにその話を聞いて叡王を可愛いと思う感性をもった者はまず、この国にはいないかと」
レンがとても真面目な物言いで割り込んできた。
レンも私と同じく味覚が変、というかあまり食に興味がなさそうなところはあるわ。そこは私と違うけれど、レンは忙しくない日はいつもお茶会に顔を出してくれる。
「あらあら。レンがそう言うのなら、そうなのかもしれないわね……。そうそう、ライアン。その堅苦しい喋り方は私のお茶会にはふさわしくないから、普段通り話しなさい」
「え……あーもうわかったよ、シャーロット」
「ふふ。その乱暴な物言い、私は好きなのにねぇ」
「そんな物好き、妻とお前くらいしかいないって。それに公務中に宰相ともあろうもんが、礼儀を度外視するわけにゃいかんだろ」
砕けた話し方に、少し粗雑な態度。ライアンは普段誰とでも敬語で話すみたいだけれど、本人曰く、「人によっていちいち話し方を変えるといつかボロが出そうだから、全部敬語にすれば宰相としてのメンツは多少保たれるだろう」とのこと。
不器用なのか器用なのか、ほんとよくわからない人ね。
「大変ね、宰相さんも」
「まったくだ」
「お水をお持ちしました、ライアン宰相」
「ああ、ありがとうございます」
スッと公務モードに切り替えたライアンは、にこやかに従者からコップをもらうと、いまだに俯いて苦痛に耐えるレオンに「ほら、水だ」と声をかけた。
「……今更なんだが、母上。もしかしなくとも、俺と母上の舌はどこか歪んでいるのだろうか」
「あらやっと気づいたのね。あなたはたまにだけれど、途端に鈍感になるわね」
去年、レンの誕生日パーティーにこっそり私が紛れ込ませたハーブティーを、リオンがうっかり飲んでしまったことがあった。レンが勧めてきたのだから断るのもおかしな話ではあったのだろうけれど。
結果、リオンは未知の刺激に耐えきれずにその場で眠るように倒れたけれど、レンはその時「疲れが出たのか。仕方がない。俺が部屋まで運ぼう」と、いつもの真顔で言ってのけた。
周りのみんな、特にレオンやライアンはとても青ざめていたというのに。
「自分では鈍感だとは微塵も思っていないんだが……」
「基本は頼りになるナイスガイよ、あなたは。みなが次期叡王になるに相応しいと考えるほどには。ただそうね……もう少し周りに目を向けることをオススメしておくわ」
自分の感性だけで物事を測ると痛い目に遭うことが多いからねぇ。まあレンは私ほどぶっ壊れた性格はしていないから、杞憂だとは思うけれど。
「……努力しますよ」
「ええ、頑張ってね」
「ゴホゴホッ……カハッ…………ぁあ、キツイなこれは……」
「お帰りなさい、レオン。どう?いい味だったでしょ?」
「ぁ……ゲホッ……ぁあ、そ、そうだな……とても……ゴホゴホッ……独特な味わい、だった……」
手首あたりを口に当てながら咳き込むレオン。話しにくそうにしながら、何度も言葉を発す前に唾を飲んでいた。
ちょっといじめすぎたかしら。
「そんなに苦しいのなら、飲まなくてもよかったのに」
「いや……妻を、悲しませるわけには、いかないのでな……」
顔を顰めつつ、喉を詰まらせながらなんとか言葉を紡ぐ。
こんなひねくれ女を愛したのがあなたの運の尽きだったのかもね。無論、私は大満足だけれど。
「ふふ、そう。嬉しいわ、レオン。悲しかったことなんて、もうすっかり忘れてしまったわ」
「そ、そうか。それは、よかった……」
「……(やはり恐ろしい女だな、シャーロット)」
ライアンのあの顔、碌なことを考えてなさそう。
「それにしても、母上。何度も掘り返すようで申し訳ないのですが、ノアズアークの件はあれでよかったのですか?」
ハーブティーを飲み終えたらしいレンが、唐突に別の話題を切り出した。きっと気になって仕方がないのでしょうね。
ノアズアークとの対面を終えて、今ここにいるメンバーで軽く議論を重ねたけれど、ノアズアークの話よりも今後の国の運営方針に関しての話が中心だった。
そして議論に疲れた私が途中でお茶会の提案をしたから、結局ノアズアークの話はうやむやになって、しっかりと突き詰められてはいなかったのよね。
「レンは何か思うところがあるのかしら?」
「いくら国のより良い未来のためとはいえ、いくら妹と弟を救ってくれた恩人たちとはいえ……大罪人をむざむざ釈放するなど、国民に示しがつきません」
「あら?レンはひとつ大きな勘違いをしているようね」
「……?」
真面目な子とはいえ、ここにいる私たちと同じくらい聡明だから、全て理解していると思っていたのだけれど……珍しいこともあるものだわ。
「まだ私たちは誘拐犯を捕まえたことを公表しただけ。それが誰でどう決着をつけるかについてはまだ国民には明言していない。ここまで言えば、レンなら気づけるでしょう?」
「……国民に嘘をつく、ということですか」
「ふふ。嫌そうな顔。嘘も方便よ。仮に本物の極悪人であれば私だってあんな提案はしないわ。それにその提案を出したとしても、あの子たちがこの国を去った後で処刑でもなんでもして命を奪えばいい話よ」
「シャーロットの言うことは正しい。もしノアズアークが再びここを訪れて彼らの所在を聞いてきたとしても、他所の国へ旅立ったと言えば納得するだろう。冒険者であれば尚更だ」
「……」
私たちの言葉を噛み砕こうと思案するレン。この考えを持っていなかったとは思わなかったけれど、可愛い我が子はまだまだ成長途中ということね。
「ふふ。真っ直ぐ向き合うだけが国の運営ではないわ。何が国民の一番の利益となるのか、そんな甘い夢という名の現実を見せてあげるのが私たちの一番のお仕事なのよ。面倒なことにね」
「言ってしまえば、我々は国民の奴隷。国民が安心して暮らせるにはどうすればいいのか、常日頃考えなくてはなりません。このような頭も身体も酷使する仕事、よっぽどの物好きしにしかなしえませんよ」
あら、公務モードのライアンに戻ってしまったわ。まったく相変わらず真面目なんだから。
「その物好きにライアン、お前も入っているのだがな」
「それはここにいる全員同じだ……ですよ」
「ただし、国民の考えと私たちの考えが一致しない場合が多々出てくる。今回のようにね」
国民は人間との積極的な交流を望んでいない一方で、私たちはそれを活性化することでよりよい国民の幸せを掴もうと動いている。
この乖離が国の運営の難しいところなのよねぇ。
「国民の奴隷という表現を先ほどライアンがしていたが、奴隷にも考える頭はあり動く身体がある。たまには奴隷の我を通すことも必要であると、俺たちは考えている。お前はどうだ?レン」
「……俺は国の運営に携わってまだ数年しか経っていない若輩者。国民の心に寄り添うことが最も重要であると感じていましたが……ひと口に寄り添うといっても、いろいろな形があるということですね」
ひとつひとつ、自分を納得させるように丁寧に言葉を吐き出した。
「でもね、レン。こうやって疑問をぶつけてくれるのはとてもありがたいのよ。議論の活性化には必要なことだし、時にはそれが別の活路を導き出すことだってあるの」
なんでもかんでも肯定する臣下なんて、いないのと同じだもの。肯定するにしても、自分の考えがどうなのか、本心ではどう思っているのか、はっきり示してもらわないと。
「勉強になりました。ありがとうございます」
感謝の意を伝えつつ軽く頭を下げた。
「まあでも、ノアズアークが私たちの希望の要となるかはたまた混乱の種となるかどうかは、その日が来るまで誰にもわからないのだけれど」
「「「……」」」
誰もが押し黙った。それは誰もが私に同意しているに等しい態度だった。
新たに注いでもらったカップを手に取り、軽く口に流す。コクッと喉を鳴らした後にカップをテーブルに戻し、口を開いた。
「彼らにはとっても頑張ってもらわないと、ね」
side ギルハルト=クリムゾン
「これで全員揃ったな」
樹宮殿のとある一室。長い間この国を苦しめた誘拐事件に関する大きな会談を終えた私は、ステラ叡団長に呼ばれこの会議室に足を踏み入れていた。
最後のメンバー……エヴァン叡団長が部屋に入り、全員が椅子に座ったと同時に、ステラ叡団長が口を開いた。
「で?なんだよ、話ってのは。俺が話し合いが嫌いなこと、お前だって知ってるだろ?」
「俺と同じタイプだからな。んなこと知ってるわ。だけど、今回は我慢してもらうぜ」
「ハッ、ならとっとと話進めろや」
ドカッと足をテーブルの上に乗せて、さらに足を組んだ。
エヴァン叡団長は私より先にその座に着いた、十分に実力のある方だ。素行や言動はステラ叡団長以上に度々問題視されているが、その強さに憧れる亜人たちも多い。
レグルス東部に位置するエウロス領は、特に強者が尊ばれる風潮が根付いているためか、歴代のエウロスの叡団長はそのほとんどが、当代の叡団長の中で最も強いと評されてきた。
今代で見ればそこまで偏った見方をされることはないが、こと戦闘センスは我々の中でもピカイチだと私は思っている。
「あーあ。豹の亜人は相変わらず気性が荒くて扱いに困るなぁ」
「そりゃ狼のお前も同じだろうが。キャンキャンキャンキャン吠えやがるから、うるせぇったらありゃしねぇ」
「は?」
「んだよ、やんのか?あぁ?!」
ギラギラと睨み合う二人。似たもの同士のせいか、二人はよくいがみ合う。そしてたいてい、私かアンドレアス叡団長が牽制する。
「やめないか、二人とも」
予想通り、アンドレアス叡団長が先に間に入った。
「そう毎度事を荒立てられては日が暮れてしまう。私たち皆、そこまで暇でもないだろう。我々がこのように一堂に会するのはあまりない機会であるのだから、すべきことをしっかりとこなさねば」
「チッ。相変わらずお堅いなぁ、アンドレアスのオッサン」
「おっさ……私はまだ三十八なのだが」
「もうすぐ四十超えんだろ?ならオッサンと一緒だ」
「何言ってんだ、エヴァン。お前だって三十超えてんだから、とっくにおっさんの域に入ってるだろ」
「ハァ?テメェやっぱ舐め腐ってるよな、俺のことをよぉ」
「数年早く生まれたからって調子に乗らないことだな。背中をザクゥッと切り裂かれないよう、注意しとけよ」
尖った爪を見せつけるように、腕を振り下ろすジェスチャーする。煽られたと自覚したエヴァン叡団長の顔には、ついに青筋が立っていた。
「む?おっさんと呼ばれるのは四十を超えてからではないのか……」
やはりこうなったか……。
アンドレアス叡団長の制止も意味をなさず、二人はまだ互いを罵倒し合う。そして制止役だったはずのアンドレアス叡団長といえば、認識の違いを気にしてそれどころではなくなっている。二人とも今にもこの部屋を破壊しそうな勢いで睨みつけ、獲物を狩ろうと身体を震わせているというのに。
……仕方ない。
「……一遍表出ろや、ステラァ。先輩を敬わねぇバカを、俺直々に指導してやる」
「はっ、やってみろよ。返り討ちにしてやる」
「そこまでだ」
双方の視線が混じり合い、火花がバチバチと走る。これ以上見過ごせば、ここの敷地の一部が無くなりかねない。
「「…………」」
邪魔をするな!、と言いたげな二つの鋭い視線が私を射抜いた。
「どちらが上か、どちらが正しいかを決めたいのなら勝手にしてくれ。ただし、それはステラ叡団長、あなたの話を聞いてからだ。でなければ、我々四人が今一堂に会した意味がない」
ステラ叡団長とエヴァン叡団長。お互いがお互いの強い信念や思いを持っており、かつ二人ともそれを全面に出すタイプの人だ。
頻繁に衝突し合うのは致し方ないことだが、我々を巻き込むのは御免被りたい。時と場所を選んで決着をつけてもらう分には別に構わないのだがなぁ……。
「ふぅ……わるかったよ、ギルハルト。最年少のお前に諭されるなんて、俺も熱くなりすぎた」
ステラ叡団長はエヴァン叡団長を一瞥した後、再び私を見て本題を話し始めた。
「ふぅ……さて、お前たちを集めたのは他でもない。俺からひとつ案を投じたくてな」
「案、とは?」
アンドレアス叡団長が即座に反応する。
「守護叡団は基本、その領地出身の者がその領地を担当する団に入る。北のボレアス領地は守護叡団ボレアスが守護することになっていて、その叡団員はほぼ全員ボレアス領地出身だ」
「ああ、その通りだ。自身の家族が残された地域を守りたいと思うのは当然であることも理由に挙げられるが、主な理由は土地勘の差だろう」
「ギルハルトの言う通りだぜ。俺ならどこの領地だろうと卒なくこなせるが?他の奴らはそう簡単にはいかねぇ。その土地の良し悪しや正確な村の位置なんかは、現地民にしか詳しくわからねぇこともたーくさんあらぁ」
「加えて、どんな戦況に陥ろうと、どこへ行けば有利に働くか、どの道が住民をより安全に避難させやすいか、などといった思考の共有も、自身の出身地の方がはるかにスムーズだ」
どの団に所属するかは一応叡団員たちの希望も取るが、皆自身の領地を選びがちだ。昔からそういう風潮が根付いているのもあるのかもしれないが、思い入れが強いのはやはり自身が長く暮らしてきた場所だ。
ではスターライトの出身者であればどうなのかという疑問が浮かぶ。その者たちは、ほとんどがボレアスに所属する。なぜならば、スターライトは最も団員数が多いボレアスの叡団員が守る規定となっているためだ。
兎にも角にも、多角的な面から鑑みて叡団員の顔ぶれは長年固定化されてきた。加えてこの制度に特に誰も問題視してこなかった。
かくゆう私もそのひとりだ。
だがこの話をステラ叡団長が持ち出した。それはつまり……。
「流石に理解してたな。ま、そうでなきゃ困るけどよ。でだ、なぜ俺がこの話を今持ち出したのか、それは……」
『ドンッ』
一度眼を閉じたかと思えば、唐突に立ち上がり、テーブルに右手を叩きつけた。片腕を失ったその姿にはいまだ慣れそうもない。
「守護叡団の人事改革を推し進めようぜ……!」
「なっ……」
「ほう……」
「やはりな」
眼を丸くするエヴァン叡団長に、興味深そうに顎をさするアンドレアス叡団長。そんな私たちの多様な反応を気にせず、ステラ叡団長は凛々しい表情のまま話を続ける。
「今回の一件で、俺の団の叡団員が絶対にやっちゃならねぇ大罪を犯した。その要因のひとつに一役買っちまったのが、この閉鎖的な制度なんじゃねぇかと俺は踏んでるわけよ」
「……なるほど。それは確かに一理あるな。同郷同士で気づくこともあれば見逃してしまう場合もあると、今回の一件で証明されてしまったからな」
「変わらないことは停滞。そういった見方もできるわけか。我が弟子ステラ……いやステラ叡団長、言うようになったな」
アンドレアス叡団長は感慨深そうにステラ叡団長を見つめる。
「弟子って、それいつの話してんだよ?!俺はもうとっくの昔にアンドレアス、お前を超えてるってーの」
「そうかそうか。頼れる立派な人になったな……」
「んだよ、その顔。お前は俺の親父かよ?!」
睨むステラ叡団長と微笑ましそうに何度もうなづくアンドレアス叡団長。
成長した我が子を見守る父親としか言い表せないやり取りに、エヴァン叡団長はボソッと「軟弱者どもが」と吐き捨てた。
「仲良しごっこは他所でやれや。イライラしてしょうがねぇ」
腕を組んだまま机に乗せた足を組み替えて横柄な態度を取り続ける。亜人には形式ばったものをそこまで好まない者が多いせいか、私たちの誰もその姿勢には言及しない。
「ああ、すまないな。……して、エヴァン叡団長はこの提案に対してどういった見解を出される?」
「初感は、はぁ?何言ってんだこいつ、だ。故郷以外を守るのかったりぃ奴だっているだろうし、他所の地域のこといちから頭に入れんのもだりぃって奴もいんだろ。モチベってもんは仕事のパフォーマンスに大きく影響すんだぜ?つうかそもそも、んな簡単に団を越えて移動させられるかも不明瞭……つまり、こいつの提案書は穴だらけで読めたもんじゃねぇってわけだ」
「ぐっ……」
図星を突かれたらしく、いつもなら突っかかるステラ叡団長は口を閉じていた。本人も心のどこかで不安があったのだろう。
誰に何を言われても先頭を堂々と歩くステラ叡団長にしては珍しい反応だ。
ただ、エヴァン叡団長の言うことも理解できる。闇雲に案を投じても、現実に落とし込める明瞭な計画や見通しが明瞭でなければ、誰もこの提案に付いて行きはしない。
戯言だと、一蹴されるのがオチだろう。
「ただまあ……その気概は嫌いじゃねぇ。その話、乗ってやるよ」
「……!どうしたエヴァン。なんか変なもんでも食っちまったんじゃねぇか?」
困惑のステラ叡団長。驚きのあまり意味のわからない問いをした。
「それはテメェだろ、バカが」
「はぁ?!」
「いいか、俺はテメェと違ってバカじゃねぇ。その案の一長一短、すべてを鑑みた上で、将来的にこの国をより豊かで平和な場所にするのなら、その変革が必要になると推察したにすぎねぇ。テメェが気に食わねぇから反対するなんざ、ガキのする癇癪だろ」
うーん……高頻度で口喧嘩している気がするけどな……。
「……っならなんで、俺の案に文句があるみてぇな言い方……」
「ア?これだから脳筋バカは……。あのなぁ、完璧なものなんざこの世界にはひとつもありやしねぇ。綻びをひとつひとつ分析して、それをできるだけ小さくしてから実行に移す。常識だろ、こんなもん」
エヴァン叡団長とステラ叡団長。態度や力に自信がある点で言えば、たしかに両者は酷似している。だが、考え方というのか、性格はかなり異なる。
「んな難しいこと聞いてねぇよ、あほ。俺は賛成なら賛成って、そう答えるだけで十分だっつってんだ!」
ステラ叡団長は、誰にでも何にでも真っ直ぐに向き合って、真正面を突き進む。何も考えていない馬鹿だと揶揄されがちだが、仲間へ絶対の信頼を置くあの姿勢は、誰にでもできることではない。
今回のようにそれが仇となる場合ももちろんあるが、微塵も疑うことなく仲間を信じるあの心意気は、叡団員からも同じ度合い、あるいはそれ以上の信頼を勝ち取っていることだろう。
「どっちがアホだ……わーったわーった。俺はその案に賛成だ。これでいいだろ?」
一方のエヴァン叡団長は、横柄な態度と口の悪さから、他の叡団員や住民から距離を取られることが多い。それは守護叡団エウロスの叡団員も同様だ。
だがエウロス地域においては、エヴァン叡団長らは英雄のような扱いを受けている。それはエヴァン叡団長らのエウロス地域やそこに住む人々への想いが強いからなのだろう。態度からはわかりづらいが、他人思いの、叡団長にふさわしい人物なのである。
周りを思う点ではステラ叡団長と似ているが、エヴァン叡団長には物事を俯瞰する能力がしっかりと備わっている。これも上に立つのならば育てておきたい能力である。有り体に言えば、慎重さがあると言うのだろうか。
「そうそう、始めっからその一言だけ言っとけよな」
「チッ……」
二人とも長所が光れば短所が目立つこともあれど、この場にいるに適した人物たちである。
「当然私も賛成ではあるが、ギルハルト。お前はどうする?」
「そうだな……。その案自体には賛成だが、エヴァン叡団長の指摘通り、改善点や突き詰めねばならない点が山のようにあるのも事実。今後も議論を重ねて実現まで持っていければいいだろう」
「ははっ!なーんだ、ちょっとビビって損したわ。話がわかる奴らばっかで助かるぜ」
ステラ叡団長が安心したように高らかに笑い……。
「ア?やっぱテメェ、ビビり散らかしてやがったか。途中から威勢がねぇと思ったら、まあ……ハッハ」
エヴァン叡団長が馬鹿にしたように嘲笑う。
ああ……嫌な予感がするなぁ…………。
「ぷっちーん。マージでキレたわ。今すぐぼこぼこにしてやんよ」
「ハッ、片腕ねぇくせにいきがってんじゃねぇぞ、雑魚が。テメェは大人しく引退でもして、お家に引きこもってろよ」
ああ、やはりまた始まってしまった。
久々に開かれた叡団長全員出席会議は、いつもの如くあの二人の終着点のない喧嘩で幕を閉じた。
とはいえ、ステラ叡団長からの提案はレオン叡王の耳にも伝えるべき、重要な話であったことは間違いない。この変革がこの国の将来をよりよいものに変えてくれることを願いつつ、俺も俺の目的のために励まねばならないな。
真っ直ぐにかっこいいと褒めてくれた、彼女のためにも。
「こ、これは何を原材料にしたハーブティーでしょうか……」
ライアンが木製のテーブルに置かれたカップをまじまじと見ながら、不安げな声を上げる。
なんなら、一種の怯えにも感じられたわ。怯える必要なんてどこにもないというのにね。
「何って、カラミソウに決まっているでしょう?私の好物のひとつなの」
「カ、カラミソウ?!ま、間違いなく、あのカラミソウを使われている、と……」
何をそんなに困惑する必要があるのよ。
「何度も聞くなんて、脳みそがショートしているのではなくて?その私一押しのハーブティー、『カラミティー』でも飲んで脳細胞を活性化させなさい」
カップを手に取りそのまま口へと運ぶ。
う~ん!美味しいわ!
このピリッとした味わいがたまらないのよね。
「うぅ……レ、レオン、お前先に飲め」
「ゴホッゴホッ。なんだ、急に咳が止まらないな……」
「なんだその下手な芝居は。夫なら妻の出したものを無下にしちゃいかんだろ?!だからーーー」
「ゴクッ……おや、父上にライアン宰相。母上のハーブティーを飲まないのですか。こんなにも美味だというのに」
そうだわ。今度あの毒草も隠し味に入れてみるのはアリね。
「「……?!」」
「なんです、その信じられないものを見たと言わんばかりの顔は。そういえば、父上もライアン宰相も母上のお茶会にはあまり顔を出していませんでしたね」
「……(それは妻の入れるハーブティーは命の危機にさらされるものばかりだからだ……!)」
「……(それはシャーロットの味覚がバグっているからだ……!)」
変わらない味というのも好きだけれど、たまには違う刺激が欲しいものねぇ。
「……なんともないのか、レン。その胃がムカムカするとか、頭がズキズキ痛むとか」
「……?言っている意味がよくわからないのですが……」
「そ、そうか。何ともないのであれば、まあ……(まさかレンもシャーロットと同じく味音痴だったとは……)」
「(恐ろしい親子だ……)私は、その……カラミソウの突発的アレルギーを最近発症してしまい、身体が受け付けないのです」
「あら、そうだったの。それはいけないことをしたわね」
カップを置いた流れで、申し訳なさを口にしつつ、冷ややかな視線を送っておく。
どうせ嘘でしょうけど。まあ今回は見逃してあげるわ。新たな試作品が思いついて気分が良いもの。
「あ、い、いえ、お気になさらず……」
どもりながら視線を泳がせるライアン。他の人の前では嘘やハッタリが上手なのに、なぜか私の前では途端に下手になる。
昔から優秀なのかそうではないのか、掴みどころがない人ね。
「なら、レオン。あなたがライアンの分も飲んでくれるわよね?」
「ぅ……あ、いや、その……」
にこやかな表情をしたのに、レオンは嫌そうな顔をする。
「あーあ、話し合いばかりで疲れているだろうからと、息抜きの茶会を用意したのに……レオン、あなたも飲んでくれないなんて、私悲しいわ」
ポケットからハンカチを取り出して、目元をちょんちょんと軽く叩く。
自分でもわかるほどの嘘泣きだけれど……。
「そ、そうだな。せっかくシャーロットが用意してくれたんだ。飲む以外の選択肢は、ない……!」
レオンはいっつも引っかかってくれるのよね。
「お、おい、そんな一気に飲み干さなくとも……」
レオンは自分の前にあったカップを手に取り、ズズズッと一気に飲んだ。さらに間髪入れずにライアンの分のハーブティーも飲み干した。
予想通り、液体が喉を通る度に眉を顰めていった。
レオンを揶揄うのはやっぱり面白いわ。
「ぐっ……き、気持ち悪い……」
ボソッと死にそうな声が聞こえた。なんだかんだでレオンはこんな風に私の言うことをやってくれる。
冷酷無比とか表情が動かなくて不気味だとか噂される男が、私の手のひらの上でころころと可愛く転がる姿に惚れない方がどうかしてるわ。
「ったく……水を持ってきてもらってもいいです?」
「はい、ただいま!」
近侍していた従者が早足で庭から建物の中へと入っていった。
私自身、自分の味覚がおかしい、他の人と違うのなんてとっくの昔から知っていた。だから逆にそれを利用して、隙があったらこうやって揶揄うことにしているの。
「シャーロット叡王妃、揶揄われるのはほどほどにお願いしますよ。この国のトップが倒れただなんて万が一にも知れ渡ったりすれば、民衆にいらぬ心配をかけてしまいます」
「あらそう?むしろハーブティーを飲んで倒れてしまうお茶目な叡王として、みんなから慕われやすくなるかもしれないわよ?ただでさえ近寄りがたいイメージが定着しているのだから、ここらで可愛いアピールをしてもよいと思うのだけれど」
「母上。さすがにその話を聞いて叡王を可愛いと思う感性をもった者はまず、この国にはいないかと」
レンがとても真面目な物言いで割り込んできた。
レンも私と同じく味覚が変、というかあまり食に興味がなさそうなところはあるわ。そこは私と違うけれど、レンは忙しくない日はいつもお茶会に顔を出してくれる。
「あらあら。レンがそう言うのなら、そうなのかもしれないわね……。そうそう、ライアン。その堅苦しい喋り方は私のお茶会にはふさわしくないから、普段通り話しなさい」
「え……あーもうわかったよ、シャーロット」
「ふふ。その乱暴な物言い、私は好きなのにねぇ」
「そんな物好き、妻とお前くらいしかいないって。それに公務中に宰相ともあろうもんが、礼儀を度外視するわけにゃいかんだろ」
砕けた話し方に、少し粗雑な態度。ライアンは普段誰とでも敬語で話すみたいだけれど、本人曰く、「人によっていちいち話し方を変えるといつかボロが出そうだから、全部敬語にすれば宰相としてのメンツは多少保たれるだろう」とのこと。
不器用なのか器用なのか、ほんとよくわからない人ね。
「大変ね、宰相さんも」
「まったくだ」
「お水をお持ちしました、ライアン宰相」
「ああ、ありがとうございます」
スッと公務モードに切り替えたライアンは、にこやかに従者からコップをもらうと、いまだに俯いて苦痛に耐えるレオンに「ほら、水だ」と声をかけた。
「……今更なんだが、母上。もしかしなくとも、俺と母上の舌はどこか歪んでいるのだろうか」
「あらやっと気づいたのね。あなたはたまにだけれど、途端に鈍感になるわね」
去年、レンの誕生日パーティーにこっそり私が紛れ込ませたハーブティーを、リオンがうっかり飲んでしまったことがあった。レンが勧めてきたのだから断るのもおかしな話ではあったのだろうけれど。
結果、リオンは未知の刺激に耐えきれずにその場で眠るように倒れたけれど、レンはその時「疲れが出たのか。仕方がない。俺が部屋まで運ぼう」と、いつもの真顔で言ってのけた。
周りのみんな、特にレオンやライアンはとても青ざめていたというのに。
「自分では鈍感だとは微塵も思っていないんだが……」
「基本は頼りになるナイスガイよ、あなたは。みなが次期叡王になるに相応しいと考えるほどには。ただそうね……もう少し周りに目を向けることをオススメしておくわ」
自分の感性だけで物事を測ると痛い目に遭うことが多いからねぇ。まあレンは私ほどぶっ壊れた性格はしていないから、杞憂だとは思うけれど。
「……努力しますよ」
「ええ、頑張ってね」
「ゴホゴホッ……カハッ…………ぁあ、キツイなこれは……」
「お帰りなさい、レオン。どう?いい味だったでしょ?」
「ぁ……ゲホッ……ぁあ、そ、そうだな……とても……ゴホゴホッ……独特な味わい、だった……」
手首あたりを口に当てながら咳き込むレオン。話しにくそうにしながら、何度も言葉を発す前に唾を飲んでいた。
ちょっといじめすぎたかしら。
「そんなに苦しいのなら、飲まなくてもよかったのに」
「いや……妻を、悲しませるわけには、いかないのでな……」
顔を顰めつつ、喉を詰まらせながらなんとか言葉を紡ぐ。
こんなひねくれ女を愛したのがあなたの運の尽きだったのかもね。無論、私は大満足だけれど。
「ふふ、そう。嬉しいわ、レオン。悲しかったことなんて、もうすっかり忘れてしまったわ」
「そ、そうか。それは、よかった……」
「……(やはり恐ろしい女だな、シャーロット)」
ライアンのあの顔、碌なことを考えてなさそう。
「それにしても、母上。何度も掘り返すようで申し訳ないのですが、ノアズアークの件はあれでよかったのですか?」
ハーブティーを飲み終えたらしいレンが、唐突に別の話題を切り出した。きっと気になって仕方がないのでしょうね。
ノアズアークとの対面を終えて、今ここにいるメンバーで軽く議論を重ねたけれど、ノアズアークの話よりも今後の国の運営方針に関しての話が中心だった。
そして議論に疲れた私が途中でお茶会の提案をしたから、結局ノアズアークの話はうやむやになって、しっかりと突き詰められてはいなかったのよね。
「レンは何か思うところがあるのかしら?」
「いくら国のより良い未来のためとはいえ、いくら妹と弟を救ってくれた恩人たちとはいえ……大罪人をむざむざ釈放するなど、国民に示しがつきません」
「あら?レンはひとつ大きな勘違いをしているようね」
「……?」
真面目な子とはいえ、ここにいる私たちと同じくらい聡明だから、全て理解していると思っていたのだけれど……珍しいこともあるものだわ。
「まだ私たちは誘拐犯を捕まえたことを公表しただけ。それが誰でどう決着をつけるかについてはまだ国民には明言していない。ここまで言えば、レンなら気づけるでしょう?」
「……国民に嘘をつく、ということですか」
「ふふ。嫌そうな顔。嘘も方便よ。仮に本物の極悪人であれば私だってあんな提案はしないわ。それにその提案を出したとしても、あの子たちがこの国を去った後で処刑でもなんでもして命を奪えばいい話よ」
「シャーロットの言うことは正しい。もしノアズアークが再びここを訪れて彼らの所在を聞いてきたとしても、他所の国へ旅立ったと言えば納得するだろう。冒険者であれば尚更だ」
「……」
私たちの言葉を噛み砕こうと思案するレン。この考えを持っていなかったとは思わなかったけれど、可愛い我が子はまだまだ成長途中ということね。
「ふふ。真っ直ぐ向き合うだけが国の運営ではないわ。何が国民の一番の利益となるのか、そんな甘い夢という名の現実を見せてあげるのが私たちの一番のお仕事なのよ。面倒なことにね」
「言ってしまえば、我々は国民の奴隷。国民が安心して暮らせるにはどうすればいいのか、常日頃考えなくてはなりません。このような頭も身体も酷使する仕事、よっぽどの物好きしにしかなしえませんよ」
あら、公務モードのライアンに戻ってしまったわ。まったく相変わらず真面目なんだから。
「その物好きにライアン、お前も入っているのだがな」
「それはここにいる全員同じだ……ですよ」
「ただし、国民の考えと私たちの考えが一致しない場合が多々出てくる。今回のようにね」
国民は人間との積極的な交流を望んでいない一方で、私たちはそれを活性化することでよりよい国民の幸せを掴もうと動いている。
この乖離が国の運営の難しいところなのよねぇ。
「国民の奴隷という表現を先ほどライアンがしていたが、奴隷にも考える頭はあり動く身体がある。たまには奴隷の我を通すことも必要であると、俺たちは考えている。お前はどうだ?レン」
「……俺は国の運営に携わってまだ数年しか経っていない若輩者。国民の心に寄り添うことが最も重要であると感じていましたが……ひと口に寄り添うといっても、いろいろな形があるということですね」
ひとつひとつ、自分を納得させるように丁寧に言葉を吐き出した。
「でもね、レン。こうやって疑問をぶつけてくれるのはとてもありがたいのよ。議論の活性化には必要なことだし、時にはそれが別の活路を導き出すことだってあるの」
なんでもかんでも肯定する臣下なんて、いないのと同じだもの。肯定するにしても、自分の考えがどうなのか、本心ではどう思っているのか、はっきり示してもらわないと。
「勉強になりました。ありがとうございます」
感謝の意を伝えつつ軽く頭を下げた。
「まあでも、ノアズアークが私たちの希望の要となるかはたまた混乱の種となるかどうかは、その日が来るまで誰にもわからないのだけれど」
「「「……」」」
誰もが押し黙った。それは誰もが私に同意しているに等しい態度だった。
新たに注いでもらったカップを手に取り、軽く口に流す。コクッと喉を鳴らした後にカップをテーブルに戻し、口を開いた。
「彼らにはとっても頑張ってもらわないと、ね」
side ギルハルト=クリムゾン
「これで全員揃ったな」
樹宮殿のとある一室。長い間この国を苦しめた誘拐事件に関する大きな会談を終えた私は、ステラ叡団長に呼ばれこの会議室に足を踏み入れていた。
最後のメンバー……エヴァン叡団長が部屋に入り、全員が椅子に座ったと同時に、ステラ叡団長が口を開いた。
「で?なんだよ、話ってのは。俺が話し合いが嫌いなこと、お前だって知ってるだろ?」
「俺と同じタイプだからな。んなこと知ってるわ。だけど、今回は我慢してもらうぜ」
「ハッ、ならとっとと話進めろや」
ドカッと足をテーブルの上に乗せて、さらに足を組んだ。
エヴァン叡団長は私より先にその座に着いた、十分に実力のある方だ。素行や言動はステラ叡団長以上に度々問題視されているが、その強さに憧れる亜人たちも多い。
レグルス東部に位置するエウロス領は、特に強者が尊ばれる風潮が根付いているためか、歴代のエウロスの叡団長はそのほとんどが、当代の叡団長の中で最も強いと評されてきた。
今代で見ればそこまで偏った見方をされることはないが、こと戦闘センスは我々の中でもピカイチだと私は思っている。
「あーあ。豹の亜人は相変わらず気性が荒くて扱いに困るなぁ」
「そりゃ狼のお前も同じだろうが。キャンキャンキャンキャン吠えやがるから、うるせぇったらありゃしねぇ」
「は?」
「んだよ、やんのか?あぁ?!」
ギラギラと睨み合う二人。似たもの同士のせいか、二人はよくいがみ合う。そしてたいてい、私かアンドレアス叡団長が牽制する。
「やめないか、二人とも」
予想通り、アンドレアス叡団長が先に間に入った。
「そう毎度事を荒立てられては日が暮れてしまう。私たち皆、そこまで暇でもないだろう。我々がこのように一堂に会するのはあまりない機会であるのだから、すべきことをしっかりとこなさねば」
「チッ。相変わらずお堅いなぁ、アンドレアスのオッサン」
「おっさ……私はまだ三十八なのだが」
「もうすぐ四十超えんだろ?ならオッサンと一緒だ」
「何言ってんだ、エヴァン。お前だって三十超えてんだから、とっくにおっさんの域に入ってるだろ」
「ハァ?テメェやっぱ舐め腐ってるよな、俺のことをよぉ」
「数年早く生まれたからって調子に乗らないことだな。背中をザクゥッと切り裂かれないよう、注意しとけよ」
尖った爪を見せつけるように、腕を振り下ろすジェスチャーする。煽られたと自覚したエヴァン叡団長の顔には、ついに青筋が立っていた。
「む?おっさんと呼ばれるのは四十を超えてからではないのか……」
やはりこうなったか……。
アンドレアス叡団長の制止も意味をなさず、二人はまだ互いを罵倒し合う。そして制止役だったはずのアンドレアス叡団長といえば、認識の違いを気にしてそれどころではなくなっている。二人とも今にもこの部屋を破壊しそうな勢いで睨みつけ、獲物を狩ろうと身体を震わせているというのに。
……仕方ない。
「……一遍表出ろや、ステラァ。先輩を敬わねぇバカを、俺直々に指導してやる」
「はっ、やってみろよ。返り討ちにしてやる」
「そこまでだ」
双方の視線が混じり合い、火花がバチバチと走る。これ以上見過ごせば、ここの敷地の一部が無くなりかねない。
「「…………」」
邪魔をするな!、と言いたげな二つの鋭い視線が私を射抜いた。
「どちらが上か、どちらが正しいかを決めたいのなら勝手にしてくれ。ただし、それはステラ叡団長、あなたの話を聞いてからだ。でなければ、我々四人が今一堂に会した意味がない」
ステラ叡団長とエヴァン叡団長。お互いがお互いの強い信念や思いを持っており、かつ二人ともそれを全面に出すタイプの人だ。
頻繁に衝突し合うのは致し方ないことだが、我々を巻き込むのは御免被りたい。時と場所を選んで決着をつけてもらう分には別に構わないのだがなぁ……。
「ふぅ……わるかったよ、ギルハルト。最年少のお前に諭されるなんて、俺も熱くなりすぎた」
ステラ叡団長はエヴァン叡団長を一瞥した後、再び私を見て本題を話し始めた。
「ふぅ……さて、お前たちを集めたのは他でもない。俺からひとつ案を投じたくてな」
「案、とは?」
アンドレアス叡団長が即座に反応する。
「守護叡団は基本、その領地出身の者がその領地を担当する団に入る。北のボレアス領地は守護叡団ボレアスが守護することになっていて、その叡団員はほぼ全員ボレアス領地出身だ」
「ああ、その通りだ。自身の家族が残された地域を守りたいと思うのは当然であることも理由に挙げられるが、主な理由は土地勘の差だろう」
「ギルハルトの言う通りだぜ。俺ならどこの領地だろうと卒なくこなせるが?他の奴らはそう簡単にはいかねぇ。その土地の良し悪しや正確な村の位置なんかは、現地民にしか詳しくわからねぇこともたーくさんあらぁ」
「加えて、どんな戦況に陥ろうと、どこへ行けば有利に働くか、どの道が住民をより安全に避難させやすいか、などといった思考の共有も、自身の出身地の方がはるかにスムーズだ」
どの団に所属するかは一応叡団員たちの希望も取るが、皆自身の領地を選びがちだ。昔からそういう風潮が根付いているのもあるのかもしれないが、思い入れが強いのはやはり自身が長く暮らしてきた場所だ。
ではスターライトの出身者であればどうなのかという疑問が浮かぶ。その者たちは、ほとんどがボレアスに所属する。なぜならば、スターライトは最も団員数が多いボレアスの叡団員が守る規定となっているためだ。
兎にも角にも、多角的な面から鑑みて叡団員の顔ぶれは長年固定化されてきた。加えてこの制度に特に誰も問題視してこなかった。
かくゆう私もそのひとりだ。
だがこの話をステラ叡団長が持ち出した。それはつまり……。
「流石に理解してたな。ま、そうでなきゃ困るけどよ。でだ、なぜ俺がこの話を今持ち出したのか、それは……」
『ドンッ』
一度眼を閉じたかと思えば、唐突に立ち上がり、テーブルに右手を叩きつけた。片腕を失ったその姿にはいまだ慣れそうもない。
「守護叡団の人事改革を推し進めようぜ……!」
「なっ……」
「ほう……」
「やはりな」
眼を丸くするエヴァン叡団長に、興味深そうに顎をさするアンドレアス叡団長。そんな私たちの多様な反応を気にせず、ステラ叡団長は凛々しい表情のまま話を続ける。
「今回の一件で、俺の団の叡団員が絶対にやっちゃならねぇ大罪を犯した。その要因のひとつに一役買っちまったのが、この閉鎖的な制度なんじゃねぇかと俺は踏んでるわけよ」
「……なるほど。それは確かに一理あるな。同郷同士で気づくこともあれば見逃してしまう場合もあると、今回の一件で証明されてしまったからな」
「変わらないことは停滞。そういった見方もできるわけか。我が弟子ステラ……いやステラ叡団長、言うようになったな」
アンドレアス叡団長は感慨深そうにステラ叡団長を見つめる。
「弟子って、それいつの話してんだよ?!俺はもうとっくの昔にアンドレアス、お前を超えてるってーの」
「そうかそうか。頼れる立派な人になったな……」
「んだよ、その顔。お前は俺の親父かよ?!」
睨むステラ叡団長と微笑ましそうに何度もうなづくアンドレアス叡団長。
成長した我が子を見守る父親としか言い表せないやり取りに、エヴァン叡団長はボソッと「軟弱者どもが」と吐き捨てた。
「仲良しごっこは他所でやれや。イライラしてしょうがねぇ」
腕を組んだまま机に乗せた足を組み替えて横柄な態度を取り続ける。亜人には形式ばったものをそこまで好まない者が多いせいか、私たちの誰もその姿勢には言及しない。
「ああ、すまないな。……して、エヴァン叡団長はこの提案に対してどういった見解を出される?」
「初感は、はぁ?何言ってんだこいつ、だ。故郷以外を守るのかったりぃ奴だっているだろうし、他所の地域のこといちから頭に入れんのもだりぃって奴もいんだろ。モチベってもんは仕事のパフォーマンスに大きく影響すんだぜ?つうかそもそも、んな簡単に団を越えて移動させられるかも不明瞭……つまり、こいつの提案書は穴だらけで読めたもんじゃねぇってわけだ」
「ぐっ……」
図星を突かれたらしく、いつもなら突っかかるステラ叡団長は口を閉じていた。本人も心のどこかで不安があったのだろう。
誰に何を言われても先頭を堂々と歩くステラ叡団長にしては珍しい反応だ。
ただ、エヴァン叡団長の言うことも理解できる。闇雲に案を投じても、現実に落とし込める明瞭な計画や見通しが明瞭でなければ、誰もこの提案に付いて行きはしない。
戯言だと、一蹴されるのがオチだろう。
「ただまあ……その気概は嫌いじゃねぇ。その話、乗ってやるよ」
「……!どうしたエヴァン。なんか変なもんでも食っちまったんじゃねぇか?」
困惑のステラ叡団長。驚きのあまり意味のわからない問いをした。
「それはテメェだろ、バカが」
「はぁ?!」
「いいか、俺はテメェと違ってバカじゃねぇ。その案の一長一短、すべてを鑑みた上で、将来的にこの国をより豊かで平和な場所にするのなら、その変革が必要になると推察したにすぎねぇ。テメェが気に食わねぇから反対するなんざ、ガキのする癇癪だろ」
うーん……高頻度で口喧嘩している気がするけどな……。
「……っならなんで、俺の案に文句があるみてぇな言い方……」
「ア?これだから脳筋バカは……。あのなぁ、完璧なものなんざこの世界にはひとつもありやしねぇ。綻びをひとつひとつ分析して、それをできるだけ小さくしてから実行に移す。常識だろ、こんなもん」
エヴァン叡団長とステラ叡団長。態度や力に自信がある点で言えば、たしかに両者は酷似している。だが、考え方というのか、性格はかなり異なる。
「んな難しいこと聞いてねぇよ、あほ。俺は賛成なら賛成って、そう答えるだけで十分だっつってんだ!」
ステラ叡団長は、誰にでも何にでも真っ直ぐに向き合って、真正面を突き進む。何も考えていない馬鹿だと揶揄されがちだが、仲間へ絶対の信頼を置くあの姿勢は、誰にでもできることではない。
今回のようにそれが仇となる場合ももちろんあるが、微塵も疑うことなく仲間を信じるあの心意気は、叡団員からも同じ度合い、あるいはそれ以上の信頼を勝ち取っていることだろう。
「どっちがアホだ……わーったわーった。俺はその案に賛成だ。これでいいだろ?」
一方のエヴァン叡団長は、横柄な態度と口の悪さから、他の叡団員や住民から距離を取られることが多い。それは守護叡団エウロスの叡団員も同様だ。
だがエウロス地域においては、エヴァン叡団長らは英雄のような扱いを受けている。それはエヴァン叡団長らのエウロス地域やそこに住む人々への想いが強いからなのだろう。態度からはわかりづらいが、他人思いの、叡団長にふさわしい人物なのである。
周りを思う点ではステラ叡団長と似ているが、エヴァン叡団長には物事を俯瞰する能力がしっかりと備わっている。これも上に立つのならば育てておきたい能力である。有り体に言えば、慎重さがあると言うのだろうか。
「そうそう、始めっからその一言だけ言っとけよな」
「チッ……」
二人とも長所が光れば短所が目立つこともあれど、この場にいるに適した人物たちである。
「当然私も賛成ではあるが、ギルハルト。お前はどうする?」
「そうだな……。その案自体には賛成だが、エヴァン叡団長の指摘通り、改善点や突き詰めねばならない点が山のようにあるのも事実。今後も議論を重ねて実現まで持っていければいいだろう」
「ははっ!なーんだ、ちょっとビビって損したわ。話がわかる奴らばっかで助かるぜ」
ステラ叡団長が安心したように高らかに笑い……。
「ア?やっぱテメェ、ビビり散らかしてやがったか。途中から威勢がねぇと思ったら、まあ……ハッハ」
エヴァン叡団長が馬鹿にしたように嘲笑う。
ああ……嫌な予感がするなぁ…………。
「ぷっちーん。マージでキレたわ。今すぐぼこぼこにしてやんよ」
「ハッ、片腕ねぇくせにいきがってんじゃねぇぞ、雑魚が。テメェは大人しく引退でもして、お家に引きこもってろよ」
ああ、やはりまた始まってしまった。
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とはいえ、ステラ叡団長からの提案はレオン叡王の耳にも伝えるべき、重要な話であったことは間違いない。この変革がこの国の将来をよりよいものに変えてくれることを願いつつ、俺も俺の目的のために励まねばならないな。
真っ直ぐにかっこいいと褒めてくれた、彼女のためにも。
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