迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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さて、ここはどこでしょう?①

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「…………」


 ピチチチチッと可愛らしい小鳥の声がする。目の前に広がるのは穏やかな庭園風景。空は清々しいほどの青空で、頬を掠める風が近くの草木を揺らしてる。

 私は正面の噴水を見つめながら呆然と立ち尽くしていた。

「あーっ、と……?」

 現状の理解に数秒。そこに至る経緯には、いまだ辿り着けていない。だって、直前まで暗い夜道を歩いてたはずなのだから。

 一歩たりとも横道に逸れたり、寄り道をした覚えはない。なのにまるで何かを境に、どこかへ来てしまったかのようだ。

 周囲は整えられた木々があって、そこには住宅の一棟すら見当たらない。近所の公園もコンビニもなくなってしまった。

「えぇー……どうしよう……」

 早く家に帰って週末のために買い置きしておいたアイスを食べようと思ってたのに。

 見知らぬ庭に迷い込むとか、何の童話ですか。

 とりあえず、とカバンからスマホを取り出す。画面を点灯させたら夜の9時過ぎだった。私の感覚は間違ってない。この場所がおかしいのだ。しかも、並ぶアイコンのところには圏外と表示されている。久々に見たよ、この文字。

 仕方がないのでスマホをカバンに仕舞い、少しだけ歩いてみることにした。

 煉瓦造りの噴水を越えた先には、アーチ状に剪定されている出入り口がある。蔓科の植物が絡み合い桃色の花を咲かせていた。

 明らかに人の手が加えられている様子。これならそのうち誰かに会えるかも。そんな期待が芽生える。

 そして思った通り、アーチを抜けると人の気配がした。
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