迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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あふたー②

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 いま作っているのはマカロン。材料はマギラスさんに用意してもらった。明らかに女の子っぽく、ピンク色に色付けたのはとある作戦のため。作ったほとんどが食べてもらえないと分かってるけど、その作戦のためには仕方がない。

 そう思いながら、軽く薄布のかかったボールを手に取って見つめた。

 先日、確かにプレゼント攻撃は止んだ。だけどその代わり、贈った物を返せと言ってきた令嬢たちもいた。

 ……勝手に贈ってきたくせにね。

 だから逆に、そのクレームに乗じて贈られた全ての品を送り返すことにしたらしい。ただ、その返す品にガルシアさんが数倍お高い品を付け加えていたのが気になった。

 相手を黙らせる為だったんだろうけど、なんか勿体ないし、付け入る隙にならないかと懸念した。ロギアスタ邸からプレゼントがあったわ! やっぱり気があるのね! とか。

 考えすぎかもしれないけど、どうせ何かしないといけないなら今度は私が、それを利用させてもらうことにした。

 返品するものに婚約者の手作りお菓子なんてついてたら、どうなるかな、と。お世話になりましたってお手紙付きでね。

 恐らくほとんどがお怒りになって、お菓子自体は捨てられちゃうかもしれない。けど代わりにハッキリとした意思表示にはなるはず。

 あわよくば、と考えている人がいても、さすがに諦めてくれるだろう。

 それと……もう一つ。

 贈り物はご令嬢からだけじゃなかった。街の娘さんからのもあって。きっとその中には本当に純粋に彼を愛した人がいたのかもしれない。

 このお菓子はそんな方たちへの罪滅ぼしの意味も込めた。

 ──本当の婚約者じゃないのにごめんなさい、と。

「……」

 とはいえ今さら引き返すことはできないので、顔を上げてボールを天板の傍において袖を捲る。

 いざ塗るぞー! といったところで厨房の入り口からセルトンに声をかけられた。
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