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あふたー③
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「ルミ様、旦那様がお呼びです」
その声に動きを止める。振り返って聞き返した。
「フェルが?」
「ええ。用事があれば後にすることも出来ますが」
「いえ。すぐ行きます。マギラスさん、少し外しますね」
「お待ちしています」
彼の優しい笑みに返事をして手早くエプロンを外す。調理台の端に置いた後、セルトンの元へと駆け寄った。
けど廊下に出たら、すでに階段を下りかけてるフェルの姿を見つけた。
そんなに待たせた気はしないんだけど。
セルトンを置いて足早に向かうと、ちょうど彼も階段を下りきって玄関ホール付近で合流する。けど不思議に思って問いかけた。
「遅くなりました?」
フェルを見上げつつ首を傾げたら、相手は軽く首を横に振る。
「ちょうど用事があって下りてきたところなんだけど…あれ」
「そうなんですね……てっ!?」
合流したところからさらに近づいてくる彼は、唐突に私の耳元に顔を寄せてくる。先日の一件が思い出されて一気に赤面して後ずさる。けど、あまりに動揺しすぎて壁に背をぶつけるまで慌てて下がった。
「な、なにか?!!」
「いや、なんとなく甘い香りがして」
「それならたぶんお菓子作りをしてたのでそれだと思います」
早口で答える。にしても心臓に悪い。いきなり近づかれたら驚くに決まってる。
私の心の内など知らずにフェルは、わずかに頭を傾けた。
「お菓子?」
「あ、えーっと……」
そういえば私の黒い計画はガルシアさんにしか言ってなかった。ここでバラして中止にされるのもなんなので、誤魔化すことにする。
「間食用に作ったんです。フェルも食べますか? 出来たら部屋にお持ちしますよ」
「じゃあ、後でいただこうかな。分けておいてもらえるかい?」
「了解です…って、あれ? 後でってことはこれから出掛けるんですか? あ、もしかしてそれで呼びに」
「ああ。すまないが、これから出る予定が入ったんだ。しばらく留守にするが、念のためセルトンに傍にいるよう伝えてあるから」
どうりでお休みだと言っていた彼が、ラフな格好ではなく、しっかりしたジャケット姿だったわけだ。
わざわざセルトンをつけてくれた彼の気遣いに感謝する。
「そうなんですね。ありがとうございます」
正直もう一人でも平気だと思うけど、セルトンがいるなら心強い。
ふと、そういえばと思い出す。私にはもう一つの計画があった。彼にはぜひとも手伝ってもらっちゃおう。ラッキーチャンス!とばかりに、この後のことを考えながら「では」と離れたらフェルに手を掴まれた。
「まだなにか?」
「その……」
何かを言いづらそうに視線を逸らす。
「フェル?」
疑問符を浮かべていたら、間を置いて「行ってくる」と言われた。
「はい、いってらっしゃい」
「すぐ戻るから何かあれば邸の者へ」
「分かりました。そうさせていただきます」
と、そこまで言って、ようやく手を離してもらえた。ずいぶん心配性になったのはいろいろあったからかも。
ともあれ、今日の私は他にもやることがある。再び厨房に戻ったあと、とうとう作戦を決行したのだ。
その声に動きを止める。振り返って聞き返した。
「フェルが?」
「ええ。用事があれば後にすることも出来ますが」
「いえ。すぐ行きます。マギラスさん、少し外しますね」
「お待ちしています」
彼の優しい笑みに返事をして手早くエプロンを外す。調理台の端に置いた後、セルトンの元へと駆け寄った。
けど廊下に出たら、すでに階段を下りかけてるフェルの姿を見つけた。
そんなに待たせた気はしないんだけど。
セルトンを置いて足早に向かうと、ちょうど彼も階段を下りきって玄関ホール付近で合流する。けど不思議に思って問いかけた。
「遅くなりました?」
フェルを見上げつつ首を傾げたら、相手は軽く首を横に振る。
「ちょうど用事があって下りてきたところなんだけど…あれ」
「そうなんですね……てっ!?」
合流したところからさらに近づいてくる彼は、唐突に私の耳元に顔を寄せてくる。先日の一件が思い出されて一気に赤面して後ずさる。けど、あまりに動揺しすぎて壁に背をぶつけるまで慌てて下がった。
「な、なにか?!!」
「いや、なんとなく甘い香りがして」
「それならたぶんお菓子作りをしてたのでそれだと思います」
早口で答える。にしても心臓に悪い。いきなり近づかれたら驚くに決まってる。
私の心の内など知らずにフェルは、わずかに頭を傾けた。
「お菓子?」
「あ、えーっと……」
そういえば私の黒い計画はガルシアさんにしか言ってなかった。ここでバラして中止にされるのもなんなので、誤魔化すことにする。
「間食用に作ったんです。フェルも食べますか? 出来たら部屋にお持ちしますよ」
「じゃあ、後でいただこうかな。分けておいてもらえるかい?」
「了解です…って、あれ? 後でってことはこれから出掛けるんですか? あ、もしかしてそれで呼びに」
「ああ。すまないが、これから出る予定が入ったんだ。しばらく留守にするが、念のためセルトンに傍にいるよう伝えてあるから」
どうりでお休みだと言っていた彼が、ラフな格好ではなく、しっかりしたジャケット姿だったわけだ。
わざわざセルトンをつけてくれた彼の気遣いに感謝する。
「そうなんですね。ありがとうございます」
正直もう一人でも平気だと思うけど、セルトンがいるなら心強い。
ふと、そういえばと思い出す。私にはもう一つの計画があった。彼にはぜひとも手伝ってもらっちゃおう。ラッキーチャンス!とばかりに、この後のことを考えながら「では」と離れたらフェルに手を掴まれた。
「まだなにか?」
「その……」
何かを言いづらそうに視線を逸らす。
「フェル?」
疑問符を浮かべていたら、間を置いて「行ってくる」と言われた。
「はい、いってらっしゃい」
「すぐ戻るから何かあれば邸の者へ」
「分かりました。そうさせていただきます」
と、そこまで言って、ようやく手を離してもらえた。ずいぶん心配性になったのはいろいろあったからかも。
ともあれ、今日の私は他にもやることがある。再び厨房に戻ったあと、とうとう作戦を決行したのだ。
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