迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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報告③

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 殴り書きの文章が綴る中で、目に入ったのは『水月の典』という文字。疑問を持つのと同時に彼が口を開く。

「とりあえず俺の話は終わった。だが、フェルとノアが揃ってるんだ。ついでで悪いが、仕事の話もさせてもらう」
「それは構わないけど……」

 フェルが、私とメディに視線を向ける。暗に聞かせていいのかと言ってるのだろう。当然だよね。私たちは騎士様のお仕事については部外者だもの。

 さりげなく立ち上がろうとしたら、アンバル様に止められた。

「ルミ嬢、そのままでいい。今回はお前たちにも協力してもらいたいことがあるんだ」
「協力ですか?」

 座り直し、首をかしげる。アンバル様は大きく頷いた。

「そうだ。数日後に水月みなげつの典が開かれる」

 補足するようにフェルがアンバル様の言葉を引き継ぐ。

「水月の典というのは、雨季の間に行われる祭りなんだ。我が国には地水火風の四元素の精霊に祈りを捧げる祭が開かれる。その中でも水月の典は水の精霊に祈る祭なんだよ」

 すかさずアンバル様が続けた。

「その祭りの警護に今回いくつかの隊が除かれてるんだ」
「珍しいね。そういう催しの際は街の警吏だけじゃ手が足りないと毎回、駆り出されるのに」
「そうだ。だが今回はそうじゃないときた。それが気になってな」
「その話をここでした……ということは当然私と君の隊、あとはノアの隊が抜かされてるってことかな?」

 フェルが訊いたことに、アンバル様が頷く。

「ああ。どれも国の警護には主要な部隊だ。特お前のところは。だろ? フェル」
「そうだね。まだ上から何も聞いてないけど、本当ならアンが心配になるのも分かるよ」
「ただの偶然なら良いんだ。だが警戒するに越したことはない」
「それで? 具体的にはどうする気だい?」

 その問いかけに、アンバル様がテーブルに手をついた。

「俺達も祭りに参加する」
「でも警護の任は無いのだろう?」
「だから、一般の参加者としてだ」

 彼は、そのまま私たちに視線を向ける。

「俺達三人が共にいると目立ってしまう。企みを持つ者がいるなら、気づかれるかもしれない。そこで、だ。別々に調査をしたいんだ」
「それで二人の協力を、と言ったんだね。なら話は簡単だ。私はルミと」
「メディは俺と来い」

 その言葉にメディと顔を見合わせる。つまり、カモフラージュのために一緒にお祭り行きましょうってことだ。

 でも、そうなると……。

「ノア様はどうなるのでしょう?」

 一人余ってしまうのでは、と思ったのも束の間、私を見た彼はすぐにフイッと顔を背けた。

「君に言われることじゃないから」
「……それは失礼しました」

 出しゃばるなってことですね。まあ、確かに私が心配することでもなかった。一人余るなんて、勝手な思い込みだもの。彼には彼のお相手が、いるかもしれないのだから。

 漂う不穏な空気を払うように、フェルがアンバル様に声をかける。

「それで? 調査対象の目星はつけてるのかい?」
「ああ。詳細は追って伝える。今は二人の返答が聞きたい」

 と言われたところで答えは決まってるわけで。私達は、それぞれ承諾を返した。
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