俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺と...仲直りしてよ...。part1(尊目線です。)

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 俺は、目の前の視界が歪むくらいの涙を流しながら必死に走っていた。
「...俺って...一体...兄貴の...何かな...。(泣)」
 俺は、次々に溢れ出てくる涙を頬につたわせながら、独りごちていた...。
 そう...喧嘩したり、辛いことがあった時に独りで涙を流すために...決まっていくところに、俺は向かっていた...。
 俺と兄貴の思い出の場所に...。

 暫く走って俺が足を止めたのは...一つの公園の中だった...。
 なぜこのありふれた普通の公園が思い出の場所なのか気になると思うかもしれないが...。

 あれは、今から一年前...俺の事を両親の前で「...尊を愛せないなら、俺が面倒見ます。」と言って俺を引き取った兄貴の家に初めて行った日だった。
 荷物をまとめて車に乗って1時間ぐらい走っていたのかな??
 兄貴の家は、マンションでエレベーターを上がった12階にあるんだけど、俺は...車に乗っている時から玄関に立っている現在まで、ずっと肩に力を入れてソワソワしていた...。
 玄関のドアを開いてくれている兄貴に
「...お邪魔します...。」
と言って玄関に入ろうとしていたが、そんな俺に気づいたのか兄貴は、俺の肩を背後から両手で掴むと
「...た~け~る!!そんなに緊張しなくても大丈夫だよ!!(笑)ほら、肩の力抜いてリラックス!!!...ね??」
と言ってきた。
 俺は、ただでさえ兄貴の家に今日から同居するというので、朝からガチガチに緊張していたため、不意に背後で聞こえた兄貴の優しい声に、びっくりして...みるみるうちに顔が熱くなっていった...。
 きっと、今の俺は...ゆでダコだ...。
 俺は、後ろにいる兄貴に
「...あっ、えっと...分かったよ...にーちゃん...。」
と言って真っ赤になった顔を見られたくなくて、顔を俯けて家に入った...。

 兄貴の家は、とても整理されていて...でも、適度に乱れていて...とても優しい感じがした...。
 それに、部屋の中全体が兄貴の香りで溢れていたため、頭がおかしくなりそうだった...。
 そのため、一通り部屋の説明が終わったら兄貴に断りを入れて、自室に荷物を片付けに行った...。

部屋に入り、ドアを閉めると大きなため息をついた。
「...ハァ...。」
 全く...今日から兄貴と一緒に暮らすことに対して、朝からガチガチに緊張していた時点で、だいぶ神経をすり減らしているのに...部屋も聞こえる音も見えるものも...全てが、兄貴一色に染まっていて...頭が兄貴でいっぱいになってて...俺...絶対に1日と持たない気がする...。(笑)
 なんて頭で考えながら
「...あー!!!」
と頭を抱えて独りで叫んでしまった...。

 夜になり一通り部屋の片付けを終えた俺は、自室を出てリビングに向った。
 リビングにつくと、目の前のテーブルには沢山のご馳走が並んでいた。
 兄貴は知らないが...俺が幼い頃...俺を養護施設から引き取った今の両親は、俺に関心がなかったから...俺のご飯は...いつも残飯同然のものが多かったんだ...俺が、「なんでいつも食べかけのご飯ばかり出てくるの??」と聞いたら...母親は、家計が苦しいから節約しているのよ...。って言って俺の頭を撫でた...。
 正直言うと...母親に頭を撫でられるのは...本当に気持ちが悪かった...。でもね、俺は、ある日見ちゃったんだ...兄貴には...ご馳走を...出していたのを...。
 俺は柱の陰から見ていたんだ...。
 その時に悟ったんだ...あー、俺は...今の両親にも愛されていないんだって...。
 ...だから、目の前のご馳走を見て、俺は目をキラキラさせて感動していたんだ...なんてあったかいんだろう...ってね。(照)
 そんな俺に可笑しくなったのか兄貴が、キッチンから顔を出して笑い声をあげていた。
 俺は...兄貴がいることをすっかり忘れていて...しかも、自分の子供っぽいところを見られて顔が赤くなり、咄嗟に顔を俯けて、
「...その...別に...感動とか...してないし...。」
と言って必死に俺の心を悟られないようにした...。
 でも、バツが悪そうに目を泳がせていたみたいで...って俺...黒歴史作りすぎじゃない...!?真面目にシャレにならないじゃん...!??
 あっ、ごめん話戻すけど、そんな俺に兄貴は...知らない間に近づいてきてて気づいた時には、背後からギュッと抱きしめられて、同時に頭を撫でられていた。
 俺は、この状況を理解した途端また顔が真っ赤になって
「...えっ...ちょっ...にーちゃん...!??...なんでいきなり...ねぇ...お願い...離して...!...じゃないと...じゃないと!!(汗)」
 なんて言ってオロオロ泣きそうになっていた。
 そんな俺に兄貴は、急に俺を抱きしめる力を強くして
「...あー、マジで...たける!!...可愛すぎ!!!...ほんとに...もしかして...たける...狙ってやってる??(笑)」
なんて耳元で囁いてくるんだ...。俺は、もう我慢の限界だった...。
 ......どさくさに紛れて何を晒(さら)しとるんじゃ!!??この変態ド天然兄貴が!!!(怒)
 あっ、また脱線してしまった...わるかった...話を戻す...申し訳ないが...俺しばらく突っ込まないようにするわ...。(汗)
 俺は、耳元で囁かれたということもあり身体をビクッと弾ませて
「...えっ!??...かっ...可愛い!??...ちがうよ...それは...にーちゃんのほうが...。...ううん、狙ってない!!」
と真っ赤になった俺は必死に否定していた。
 すると兄貴のなにかにスイッチが入ったのか...俺の頬に...チュッと...キスしてきたんだ...。
 俺は、何が起きたのか分からなかったが、キスされたことを理解すると真っ赤になった顔を両手で隠して
「...にーちゃん!!...いい加減にしないと怒るから!!」
と泣きそうな声で言って、兄貴の腕の中でじたばたと暴れた。
 すると兄貴は、俺を渋々(しぶしぶ)離してくれた...。
 そんなことをしていると、ピンポンッとインターフォンが鳴った。
 俺は、誰が来たのか不思議に思っていたが、兄貴は「おっ、来たな!」と言って玄関の方に歩いていった。

 暫くすると兄貴が、リビングに戻ってきた。その後ろには、一人のスーツを着た男の人が、立っていた...。
 その瞬間、俺の中がなんだかモヤモヤした...だから、兄貴と男の人を交互に見て兄貴にこの人は誰??という目で説明を促したんだ。
 兄貴は、仕方ないという顔をしてから
「...ごめん、尊には言ってなかったな...。こいつは、俺の仕事仲間で友人の上城 志希(かみじょう しき)って言って今日は、俺の家にご飯食べに来る約束してたんだ...。」
と言って後ろに立つ上城さんを振り返ったんだ。
 すると上城さんは、俺に近づくと一礼してニコッと笑うと
「...こんばんは!!...君が??たけるくんかな??...都和さんに聞いていた通り...とても可愛らしい子だね!!...さっき都和さんから紹介があったけど、俺は上城 志希(かみじょう しき)って言うんだ!!...よろしくね!!(笑)」
と言って俺に手を差し出し、握手を求めてきた。
 俺は、内心モヤモヤしていたが、にーちゃんの大切な友人らしいし俺が大人にならないと...。
 そう思い、俺は上城さんと握手を交わした。
 握手をしていた俺たちの間に、急に兄貴が割って入ってきて、俺に聞こえないように小声で何か話し出した...。
 俺は...またモヤモヤが募(つの)っていた。

 俺たちは、テーブルを囲みながらなんだかんだ言って夕食を楽しんだ...。...いや、正確には、楽しんでいる振りをしていたんだがな...だって、ぶっきらぼうな顔していたらせっかくの雰囲気ぶち壊しじゃんか...そんなことして、兄貴に嫌われたくなかったから...。

 俺は、ご飯会と俺の歓迎会でもあった夕飯の時間を終わらせて風呂に入っていたが、風呂から出てくると兄貴がキッチンで食器を洗う音がした。
 リビングに来ると、兄貴がキッチンから出てきて俺に話しかけてきた。
「...なぁ、尊??...さっきから元気ないけど...何かあったか??」
と言って首をかしげてきた。
 俺は、ドキッとした...だって、兄貴にバレてないと思っていたから...。
 だから、俺は必死に平常心を装って
「...ん??...何のこと??...俺は、いつもと一緒だよ??」
って言って咄嗟に自分の部屋に戻ろうとした瞬間、兄貴が
「...尊??...今からちょっと出かけるから、ついてこい。」
と言って俺の手を掴み、そのまま外へと出て行き、両者無言のままある場所へと向かっていた。

 兄貴が俺を連れてきたのは...家から少し歩いたところにある薄暗い静かな公園だった。
 公園にあるベンチに腰をおろすと兄貴は、俺に
「...尊??...お前がなんでそんなに元気ないのかは俺には、分からないが、これだけは言わせてほしい。...俺は、いつも尊のことを1番に考えているから。...仕事をしている時も、家にいる時も、一人暮らししていた時も...ずっと小さい時から俺は、尊の事を考えて生きてきた。」
と言って俺の肩を抱くと自分の方にぐっと引き寄せた。
 その瞬間、俺の中で何かが壊れた...途端に目に涙が溜まって涙声になりながら俺は兄貴に
「...俺...こんな醜い嫉妬して...こんなんじゃ...兄貴に釣り合わない...俺も兄貴みたいに兄貴を1番に考えれるようになりたい...でも、上城さんは、俺よりも...にーちゃんのこと考えることが出来てて、ご飯食べている時に思ったんだ...俺よりも上城さんの方が...。」
と言って俯いていた...。泣いているなんてみっともないと思ったから。
 兄貴は、そんな俺の頭を優しく撫でてくれた。
 そして、顔を上げた俺の潤んだ目をじっと見つめて兄貴は
「...たける??...お前と上城とは、ちがうよ...。...確かに上城は、仕事や私生活でも俺のことを助けてくれたりするが...俺の心を癒すことは出来ない...でもな、たける。お前が、近くにいてくれるだけで、俺はどんなに辛いことがあっても、悲しいことがあっても尊が近くにいてくれて毎日暖かい言葉をくれるだけで...それが、俺の生きる源になっているんだ...。...な??...だから、お前はそんなに落ち込む必要なんてないんだよ...だって、俺を毎日幸せにしてくれているんだから!!」
そう言って俺の頭を何度も何度も優しく暖かい大きな手のひらで撫でてくれた。
 俺は、もう我慢の限界を超えて...目から涙をぼろぼろ零(こぼ)して
「...にぃ...にーちゃん...おれっ...俺...ちゃんと...にーちゃんの役に立ててるんだね...??(笑)俺...もっと大人になれるように頑張るから!」
 こう言って俺は、ほほに涙を伝わせながら満面の笑みを、にーちゃんに向けていた。
 にーちゃんは、一瞬動揺したような顔をして俺を見てきたが、少し頬を赤らめながら
「...おう、頑張れ!!」
と言って照れくさそうに笑っていた。

part2に続きます。
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