俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺と...仲直りしてよ...。part2(尊目線です。)

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 俺は公園につくと一年前と同じベンチを腰を下ろして、目からボロボロと涙を流して泣き出した...。

 暫くすると公園の入口付近で砂を踏む足音が聞こえ、咄嗟に音のした方を見ると...兄貴だった...俺は、逃げようとベンチを立ち上がったが、駆け寄ってきていた兄貴に腕を掴まれてしまった...。
兄貴は、腕をつかむと同時に
「待ってたける!!...やっぱりここだった...。」
 なんて言ってくるから俺は
「...今さら追っかけてきてなんの用??...俺を馬鹿にするのもいい加減に『...悪かった...たける...俺、上城に誘われて昨日の夜...お前との約束を忘れて...飲みに行ってしまった...せっかく尊が、ご飯作って待っててくれたのに...そんな尊に、俺は更に家に帰ってまでお酒に手を出して、酔った勢いで尊の心を踏みにじるようなことして...今朝...全く記憶がなくなっていて、尊を傷つけたのに謝罪もしないで...ほんとに...自分勝手でごめん...。...ほんとにごめんなさい...。』。」
 俺の言葉を遮って何度も俺の前で頭を下げる兄貴に
「...もう...いいよ...でも、一年前に言った誰よりも俺のことを考えて生きているって言っていた言葉は...嘘だったんだよね...??...俺のこの気持ちも...やっぱり...分かってはくれないんだよね...。」
と言って俺は、顔を俯けた。
 俺がこういうと、兄貴は焦ったように
「...ちがっ...お前のことは、大切に思ってる...大事にしたいと思ってる...お前の気持ちもわかってる...。」
 こう言って俺を真正面から抱きしめてきた。
 俺は、兄貴の腕から逃れようと必死に抵抗したが、兄貴は俺を逃すまいとギュッと強く抱きしめてきた。
 俺は咄嗟に
「...離せよ!!...兄貴のそういう所が俺は、嫌いなんだよ...俺の気持ち知ってるくせに...頭撫でたり、抱きしめたり、キスしたり...もう限界なんだよ...俺は、兄貴に迷惑かけたくないし...嫌われたくないから、これ以上好きにならないように必死に頑張ってきてたのに...沢山触られて...我慢しろっていう方が無理だよ!!!(泣)」
と言って泣き叫んだ。
そんな俺に兄貴は
「 ...いや、離さない!!何があっても!!だって尊は、俺の大事な大事な人だから!!俺も尊に嫌われたくない...迷惑だってかけたくない...でも、どれだけ頑張っても...尊に触れていないと心配になるんだ!...尊の事が大好きだからもう触れないなんてできない...沢山話したいし、抱きしめたい!!...沢山の愛を尊にだけ注ぎたい!!...でも、お前のこと今は幸せにできない...お前に他に好きな人ができるかもしれない...まだ、尊は、若いんだし、気持ちが変わる事だってあると思う...だから、お前が例え俺のこと好きだとしても、今は...まだ、お前を幸せにしてやることが出来ない...こんなことしか言えない無責任なにーちゃんでごめんな...。」
 兄貴は半ば泣き叫ぶようにして俺に言った。目からは、涙が流れていた。
 俺は、そんな兄貴に弱々しく
「...そんなの...兄貴の勝手じゃんか...俺だって兄貴に触れてないと...どうにかなっちゃいそうなんだよ...心配なんだよ...兄貴のこと毎日考えて、いつ女の子連れてくるのかって日々冷や冷やしながら生活してた...だって、兄貴に気持ち伝えてもいつも誤魔化されて...きっと他に好きな人がいるんだと考えていたから...こんな...突然言われたら...俺...。(泣)」
と言ってまた泣きじゃくっていた。
 兄貴は、なにかに必死に耐えるような苦しい表情をして俺に
「...たける...たけるのことは、大好きだ...もちろん...弟としてではなく...一人の男として...でも、まだ尊は、高校生だから...若いから...お前のことを誰よりも考えているからこそ...お前の人生を俺の軽はずみな行動で台無しにしたくない...だから...今のお前と...俺は...一線をまだ超えてはいけない...絶対に...。」
と言って俺を抱きしめる腕に込めてきた。まるで兄貴の気持ちを痛いほど身体に刻み込まれているようだった。
 だから、俺も兄貴に俺の気持ちを精一杯伝えたくて、兄貴の背中に手を回してギュッと兄貴を抱きしめ返すと
「...分かった...その時が来るまで...俺たちは、兄と弟として...日常生活を送ろうね...俺...頑張るから!...早く...兄貴と一線超えられるように頑張るから!!...だから...!!」
と俺が言うと兄貴は
「...そうだな...俺も...お前のことを幸せに出来る男になれるように頑張るから...だから、泣くなよ...俺たちの心が繋がっている限り...ずっと離れない...離さないから...。」
 と言って俺を抱きしめながら頭を撫でてくれた。

薄暗い思い出の公園で、俺たちは暫く抱き合ったまま互いに涙を流していた...。

 兄貴...大好きだよ...。
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