人工授精と女たち

紫夜(シヨ)

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茜 ―あかね―

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『だから困ってるのにー』
 人の気も知らないで、机に突っ伏して悩む理香。――本当に、何が気に入らないのだろう。
 私が欲しいすべてを、持っていると言うのに――

 私、山岸 茜は、理香の彼氏、萩原 育人を、愛している。

 そもそも、私と育人はお隣さんの幼馴染で、幼いころから家族ぐるみの付き合いが多かった。ひとつ年下の育人に私はひかれ、何かと好みのタイプを聞きだしたり、近づいてくる女をけん制したり(そうはモテないけど)と忙しくしていた。
 心配するほど恋愛の「れ」の字もない育人に安心していた――ある日。私は育人から相談を受けた。

『好きな女ができた――』

 私は、十八歳になっていた。

***

 別のクラスだと言うの彼女の名前は「理香」それから育人は、目下女と同じ大学に行くのだと猛然と勉強をはじめた。目の前を真っ暗にした私は、ほどなく人工授精法で子を授かり、一年。ダブらせることにした。
 学業復帰の際に育人と同じ大学を指定すると、嫌そうな顔はされたが、表立って反対はされなかった。すでに、育人と理香は恋人同士になっていた。

***

 育人の幼馴染だと言う立場を利用して近づいた理香は、無邪気で。一人っ子特有の図々しさと、両親が愛し合ってできた子どもである。と言うことに優越感を抱いていた。
 そんな彼女が、思い悩む。人工授精法。
 人工授精で産まれた子を買い取ってもらうのはなんとなく嫌、でも、引き取って育てるのも自信がない。――かと言って育人に抱かれて、今この年で結婚するのも嫌――

 本当に笑ってしまう。これが、育人の恋人なら。私は……私の努力は、いったいなんなのだろう。

 だから、私はかねてから考えていたことを実行に移すことにした。

***

「あら~茜ちゃん!」
「こんばんは小母さん、育人います?」
「ええいるわ! 育人ー! 茜ちゃんよーー!!」
 おーだか、あーだか、二階から声が聞こえる。
「ごめんね茜ちゃん。小母さん介護に出かけるから、ゆっくりしてって!」
「遠くまで大変ですね」
「まぁまぁ。いつものことよ! じゃぁね!」
「はい。ありがとうございます」
 育人の母親と入れ違うように、育人の家に入り込む。小母さんが外から鍵をかけて、去って行く足音を確認する。
 育人のお父さんは単身赴任中で、月に一度しか帰ってこない。お母さんは実家の父母の介護で、時々数日にかけて家を空ける。そんな時に時々、家事を手伝いに来ている私は、育人の家に上がり込んでも不振には思われない。
 小母さんには育人と結婚して欲しいなんて、言われたものだ。――育人に嫌がられて地味に傷ついたが。
 よくあるシチュエーションなのに、これから行動に移すことに心臓の鼓動が早い。それでも緊張しているんだと思うと、少しだけ、気がぬける。
 ――さぁ。
 頬を叩いて、手を洗って、二階の、育人の部屋まで向かう。扉にノックをする前に、着ていた、ワンピースを脱いで――

「――育人?」

 扉をノックする。中から、おーとか気の抜けた返事が聞こえる。そっと伺うように扉を薄く開くと、育人は机に向って、こちらに背を向けてゲームをしていた。――そう、いつも通りだ。
 扉を開けて、閉じる。そのまま、立ち尽くす。
「育人」
 今度は、返事がない。少しだけ寂しさを覚えながら、体の前に回した左手で、右の肘を掴む。
 少しだけ、間が空く。何も言ってこない私にふと不信を覚えたのか、ゲームがひと段落したのか、育人が、椅子ごと、こちらを振り返った。
「どうし――」
 ゴトッっと、音を立ててゲーム機が育人の手から落ちた。私のことを凝視している。

 真っ白いベビードールは体のラインに沿ってぴったりとはりついて、私の腰のラインを際立たせている。これからのことを想像するだけで期待するように赤い飾りが尖り切っていることは、スケスケの布から丸わかりだろう。合わせるように総レースの下着は薄く、手入れ済みのあそこの毛の黒さを浮き彫りにしている。
 のどがからからと渇いていく。育人の視線は離れずに私を凝視していて、その視線を独り占めしていることに優越感に浸る。下から、耐えきれないとでも言うように溢れたものが下着を濡らして、思わず「ぁっ」と声を漏らした。
「――茜!?」
 その吐息のような声にハッとしたのか、育人が椅子からずり落ちそうに上ずった声を漏らす。――見れば、ズボン越しのそこは膨らんでいて、飛び上がるほどうれしくなった。
 おどろきすぎて動けない育人に近づいて、その足元に膝をつく。そっと伸ばした手で彼のズボンのチャックを開けて――飛び出してきた彼の分身にキスをした。
「――ぅっわ、あ、茜!!?」
 抗議の言葉は聞こえないと先端を加え、軽く吸い付く。何度も何度もキスをするように音を立てて吸い付いて、期待するように口から溢れた唾液で竿がぬめぬめと光る。
 ちゅぼんと一度放して、見上げるように育人の目を見つめながら、ゆっくりと裏筋を舐め上げると、育人の腰が跳ねた。
 ――育人はまだ、童貞だ。それを恥じていることは知っている。そして、理香にセックスを拒まれお預けを食らったことを不満に思っていることも。
 顔にかかってきた髪を耳にかけて、一心不乱にそこにしゃぶりつく。先端を舌先でつつき、長さを確かめるように加え吸い付く。くびれも筋もいとおしく、いつくしむように流れに舌を這わす。
「………あっ……はっ」
 ――気持ちがいいのか、声を漏らしながら私の頭に手を乗せて髪をかき回す育人。
 じゅぽじゅぽと、じゅるじゅると響く、その音に私の耳もよろこんでいる。
 チュパチュパと、飴を舐めるようにしつつ、袋にも手を伸ばす。優しくマッサージをするように揉むと、育人の声が高くなった。
 かわいい。
 先端から染み出た液体は育人の味がする。もっとほしくて、強めに吸い付いた。袋を撫でるとは反対の手の指で円を作ってしごくのも忘れない。
「ぅはぁー」
 じゅぼぉと、ねちゃねちゃと、もっと、もっと育人が欲しくて。
「んぁ……ほっきくなった……」
 それが硬さを増す。長さを確かめるようにのどの奥で飲み込むようにして、ゆっくりと唇でしごきながら顔を上げていく。
「――ぁあ……っ……あか、ねっ」
 耐えられないと言うように切羽詰まった育人の声に、再び顔を上げて目を合わせながら、ゆっくりと。
「育人……好き」
 ちゅぽんと口を放して、その一物越しに彼に告白する。――間髪入れず加える。今までより強く吸い上げると、育人の様子が変わった。
「ぅわあ、あ、か……――うぉお!!」
 私ののどを犯すかのように飛び出してきた液体は勢いがあって重く、熱をもって私の口内を犯す。一滴も余したくないと一心不乱に飲み込む。――長い。
「――っ! ――っ」
 育人は放心したように快感に身を任せている。
 私は最後まで搾り取ろうと唇をすぼませて、射精も後半に移った雄を大事に吸い取る。唇の端から溢れたそれが竿を汚したので、丁寧にぬぐい取る。最後に唇を舐めて――
 濡れた下着が張り付いた秘部は腰をふると空気が当たって弱い刺激になり、もっと快感がほしいと育人の様子に合わせてふっていた動きは止まらない。最後の一口と残していた育人のそれがたまった口を開いて育人に見せつける。――実際、そこには白い液体が、留まっていたのだろう、育人が息を飲んだ。
 そんな育人の様子を、私が引き出したと思うと幸せで――最後の一口を飲み込んだ。
 正直に言うと、飲み込辛くて、苦戦もした。
「あ、かね」
 だけどそのかいあってか――育人が、私を呼んだ。本当に、心が飛び上がるほどうれしかった。今、育人の目には、私しか映っていない。
「育人……抱いて?」

***

「茜は柔らかいな」
「――ばか」
 床じゃあれだなと、私をベッドに抱き上げて、育人がのしかかってきた。迷うにように揺れる視線を感じ取って、導くように手を取って胸に誘導した。最初は、恐る恐る撫でていた手も、私が声を上げるたびに大胆に動くようになっていた。
「――あ、もう。……イっちゃ……」
「胸しかさわってないぞ」
「だって、育人が、さわるからぁ!!!」
「そうか」
 まんざらでもなさそうな育人は胸を揉み、撫で上げる。Dカップはそこそこそ重力に逆らっていて、体の肉付きに感謝した。
「――ほんとに、真っ赤だな」
「ぇ?」
 幸せの中で与えられる快感に、頭がついて行かない中で、ハッとした時には、育人がそこに唇を寄せて――
「ぁはぁ!!」
 強く吸い付いてきた。
「随分、硬いな。こっちもか?」
 右側は吸われ、硬さを確かめるように噛まれ。左側は押しつぶされる。
「ああ! 噛んで引っ張らないで取れちゃう!! 潰さないで!! ――いいのぉ!」
「どっちが、いい?」
 意趣返しか悪知恵をつけた育人が聞いてくる。
「もうっもうっ……育人が好きなほうでいいからぁ!!」
 一度愛しい人から刺激を得たそこは、これまでよりももっとダイレクトに刺激を伝え、快感に打ち震える。
 腰ふって身もだえる。――すでに意味をなしてない下着を溶かそうと、愛液が湧き出る。
「茜」
 明確な意思を持って呼ばれた名に、育人を見上げると、その顔が近づいてきていた。重なった唇は荒々しく、すべてを吸い尽くすと言わんばかりに性急だった。
「――っ……ん! ――ふ」
 迎え入れるように開いた口の中で歯の並びを育人の舌が追いかけてきて、ゾクゾクと背筋にしびれが通り抜ける。
「んんんーーー!!!」
 キスに集中していた私は、育人の手が濡れた下着を目指して動いていたことに気が付かなかった。
 ぐちゅっと、濡れた秘部に育人の指が添えられ、張り付いた下着の感触を楽しむようにひっかけるように上下にさすると、下着越しに、くちくちと音が立つ。――卑猥だ。
「ぐっちゃぐちゃだよ」
「……やぁ……」
 レースの下着は透けて、この明るい部屋では秘部の形まではっきり見て取れるだろう。恥ずかしすぎて、目に涙が受かぶ。それに気がついた育人は笑って、眼尻にキスをしてくれた。
「茜……気持ちいい?」
「あああああーーー!!!」
 囁かれたそれだけで軽くイった。
「……脱がすよ?」
「――言わないで」
 そっと尻を持ち上げる。びしょ濡れで重くなった下着が張り付いていた秘部から離れていく感触は開放の序曲のように淫らで、湯気が出そうなほど煮え立ったそこも、覆いを失って四散するむせ返るようなにおいも――
「茜のにおいがする」
「―――!!!?」
 あろうことか育人は、私のパンツのクロッチの部分を鼻に寄せていた。
「やめ、やめて……」
 好きな人にそんなことをされていると言う喜びがまさって、私は横を向いて両手で顔を覆い隠すことしかできない。
「茜、かわいい」
 手を伸ばしてきた育人に腕を掴まれ、その目を見つめるように促される。この部屋に入る前よりも、一番、心臓がバクバク言ってうるさい。
「――っ――ぁ」
「入れるよ」
「――来て」
 分身に手を添えてそこを目指す育人に、答えると――
「ああああん!!」
 ぬめりでぬちゃっと滑った竿に、いつも育人を思って虐めていた蕾を刺激された。
 育人はおどろいたように、まじまじと秘部を見つめる。私は、そっと足を……立てて開いて、そこを開くように指を添えた。同じくぬめりに邪魔をされて指が滑り、うまく開けない。くちゃりと、ぬちゃりと、水音が繰り返すように響く。
「――っ――ぁっ……っ! いくとぉ」
 その様子を、食い入るように育人が見つめている。
 快楽のキャパを越えた私の脳が育人を呼び、ぐっと力を込めて開いたそこは大きく広がり、今か今かと育人を待ち受けるそこがヒクついていた。
「ヒクヒクしてるよ」
 育人が一層顔を近づけて言うものだから吐息がかかり、びくんと腰を浮かした。
「――感じるの?」
「ぁだめぇ~」
 体がガクガクして、支えていられない。案の定指は滑り、そこから離れ、足はだらしくなく開いたまま体だけ脱力する。
 育人は恐る恐るあそこの毛を指ですいて、今度は迷わないと言うように私の足を抱え、そこを広げた。秘部に、彼の分身がふれる。期待するような心臓の音が、育人にも聞こえているんじゃないかと思う。
「行くよ」
「―――ぁあ」
 私は人生で一番、だらしない顔をしていたと思う。これから来る快感を待ち望む、ただの雌として、期待に目を輝かせて、口から唾液をこぼして。誘うように泉は、こんこんと沸き立って彼を濡らした。
 一息、覚悟を決めたように育人が息をつく。私は期待に短い息を繰り返して、彼の顔がはじめての快感に歪むさまを――
「っあーーー!!!」
 ずぶりと、それが入ってきた。彼が、私の中に。最奥を目指して進んでくる。ひっかけるようなカリの部分も、波打つ筋の部分も、少しだけ曲がったその姿も、全部全部、余すことなく知っている。
 何も考えられない。
「茜!!」
 我慢ができないと言うように、一度入れたものを少しだけ引き抜いて、勢いよく叩きつけてくる育人。
「んっ んっ あ、ああん! はぁん!! やぁん!」
「……くっ――はっ……っ」
「……っあっ!! あ~、あはぁっ!! あー……んっ……あぁあ!」
 律動に合わせてぐちゃぐちゃとぐちぐちと粘膜とかき回される音が響き、カタカタとベッドも揺れる。
 声の高さで、感じていることがバレバレだった。
「はぁ……ああ……茜。――いい?」
 少し上ずった声で聴いてくる育人。
「――っ……い、ああ!! はぁ……あああん!!」
 少しだけ動きを緩やかにしたと思ったら、また突き上げてくる。言葉は意味をなさず、答えられない。
 私の中を広げて、突いて、かき回す彼の分身。かけていた部分を補うかのように、そこにぴったりと埋め込まれている。
「ああ、茜。あかね! ――茜!!」
 快楽に悶える私をどう思ったのか、彼は性急に私を突き上げて放さない。
「おおっ」
 重く雄々しい声を上げて、育人が今まで一番強い突き上げを見せる。
「来て、きてぇーー!!」
 絶対に抜かないと言うように腰を強くつかまれ、もっと奥があるはずだとこれ以上ないほどに下半身が密着し、小刻みに抜き差しをされ――
「――っ! 出る!!」
「あっつい、……ぁイっちゃーーー!!」
 彼の熱を内部で受け止めて――私は気持ちよさに絶頂を迎えた。

***

 それから数か月後、予定通り私は妊娠した。
 両親を説得して、大学を退学し、母子寮に入った。
 私と育人の関係はあれ以来、元の幼馴染より浅い関係になった。育人は相変わらず理香の彼氏だったし、私はあれ以来育人とは話もしていない。

 それで構わない。

 愛しい人の子が私の中で、育っているのだから。
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