人工授精と女たち

紫夜(シヨ)

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愛莉2 ―あいり―

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「私、愛莉の子なら、愛せると思うんだ」
「し、しおり、さん……?」
 誕生日の祝いだと、誕生日を外された日程に何をしてくれるのだろうと首を傾げていたら、一泊いくらするのか、絶対に桁がおかしいであろう高級ホテルのこれまたスイートな部屋で、どこのお姫様だと言いたくなるような天蓋付きベッドに押し倒され、腕は頭の上でリボンで拘束された私に――彼女は恍惚の表情で語る。
 ……あの、ごめんなさい。私の誕生日だよね? え? なんでプレゼントは、わ・た・し。みたいなベタな展開……?
 そうこうするうちに、早着替えを生業とするパフォーマーもびっくりなスピードで私の服を脱がせて全裸にされた……早い……いやっ!! 肝心するところじゃなくて!!
「んやっ!」
 ふたりで体を重ねるた回数はもう何度になるのかわからない。栞の肌は柔らかく、胸もさわり心地最高で……湧き出る泉に咲く花ビラの形も、覚えきってしまった……違う!!
 ない胸をスルーして乳首おいしそうに舐めないで!!
「あぅ……栞……待って」
「だめです。今日は愛莉の誕生日祝いなんだから、私が愛莉を気持ちよくするの」
 え? 何この立場逆転みたいな……確かにいつもドMキャラが攻めに回るシチュエーションって、どきどきするよねぇ……え゛?



「……はっ……っ……んぅ! し、おり……」
「――ちゅ、ちゅ。気持ちいい? 愛莉?」
 栞が楽しそうに指を滑らせ、なぞり揺らし。その柔らかい唇と舌で、責め立てる、陰核は、見なくても真っ赤だろう。細く白い指が優しく、そして容赦なくありったけの本数をばらばらに動かし壁をなぞりあげる内部は、もうぐっちゃぐちゃだよ。
 寸止め焦らしプレイとかどこで覚えてきたぁ!!!
「……イきたい」
「まだ、だぁめ」
 うぉい。
 ドロドロに溶け切ったそこはヒクついて、そっと出ていく栞の指を追いかけるように腰をふる。上げる。
「そんな、寂しそうにしないで」
「もっと、ちょうだい~」
 身も世もなく、身もだえてねだる。
「あ・と・で」
 おかしい、絶対におかしい。いつもと立場が逆すぎる。
 ふうっと、栞が秘所にかける吐息も、熱い。あ、もう。もう……
「イかせて……んっ!!」
 口をふさがれた。さっきまでそこに吸い付いていた栞の唇の味は、いつもと違って、これが自分の味だと覚えこませるようで赤面ものだ。
 そうは言っても、ここにきてキスははじめてなので、ちょっと安心す……る……?
「……ん! んんー!!!」
 ――長い。息継ぎを促すように角度を変えては、舌が口内を犯す。歯の並びをなぞったかと思えば、一本ずつ丁寧にくゆらす。溢れた唾液と絡まってぴちゃぴちゃと音が響く。す上げられた舌の裏側を丹念に舐められ、びっくりして逃れようとしたらお仕置きだと言わんばかりに指で掴まれた。
「ひゃあぁぅあ」
 言葉にならない。
 舌をつまんでいた指を放したかと思えばその指が口の中を這いまわる。――不思議と、気持ち悪くない。でも、なんだか征服されてるみたいで恥ずかしい。
「愛莉……」
 指についた唾液を丁寧に自分の舌でぬぐって……あんたもエロエロだよ!!
 そっと、乳首の高さを確かめるようにその指で乳首を下からなぞりあげる。ゾクゾクとした快感に愛液がプシュッと溢れたのがわかった。
「しお、り……栞ぃ……いかせぇ……」
 もう、今なら奴隷になれと言われても、うなづいてしまいそう。
「ねぇ。愛莉」
 ふと、指を止めて、きれいな顔をこちらに向けて笑う栞。――うん。美人。

「結婚しよう」

 ……ん?
 意味が解らないまま、うなづきそうになって思い直す。
「―――あああ!」
 間髪入れず、蜜壺の入り口を緩くかき回す愛莉。――それじゃイけない。もっと刺激がほしい。
「ね、いいでしょ?」
 これ以上なく白い笑顔で、栞がこちらに掲げてきたのは、パートナーシップ申請の、申請用紙。――記入済み。
「あとは愛莉のサインとハンコだけ」
 それはご丁寧に……うっそん!!!
「あ、戸籍謄本取りにいかないと。愛莉の出身地って、どんなところなんだろう」
 都会に出るのに時間のかかる田舎です……じゃーぁなくて!!
「し、栞、さん……?」
「いいよね?」
 にっこりと、笑う栞。その指が、決定的な刺激をさけて、私に快感をもたらす。
「――あっ――ぁっ」
 イきたい、イきたい。あと少し、もうちょっと強い刺激で――そこまで手を伸ばしているのに、絶対に届かない。
「気持ち、よくなりたく、ないの?」
「あ、でもぉ……」
「ダメなの?」
 お仕置きが足りないかなって、怖いから止めてーーー!!



「……サイン、するよね? 愛莉? 大丈夫、愛莉が心配していることは全部。私が解決するよ」
「しま……すぅ……」
 あれからどのくらい時間がたったのかわからない。これ以上ないほどドロドロのあまあまに寸止めで焦らされた私はもう、意味もなさない言葉で、栞に逆らうなんて思うこともできずうなづいていた。涙で視界がにじむ。
 ――人生、早まったかなぁ。
「ふふっいい子。――だから愛莉に、プレゼントがあるの」
「ほぇ……?」
 あまり回っていない頭では、扉が開く音がそれだとは思えなかった。
「よくやるな……」
 そこにいたのは、超好みドストライクのイケメンで……
「かっこいい……」
 ちょっと栞は不機嫌に顔を歪ませた。だが気を取り直して言う。
「愛莉、処女だってこと、気にしてるでしょ。――だから、パートナーシップも拒んだんだよね」
「――!」
 イケメンの前で何を言う……
「本当にいいのか?」
 イケメンが一応確認するように、私を指さして言う。
「うるさいわね。あんたは黙って肉棒だけ提供すればいいの」
 こんな絶対零度の栞の声、聞いたことない。
「女同士じゃ、でっぱりがな~~~!!」
 栞がイケメンのすねを蹴り飛ばした。
「こんなくず……顔が愛莉の好みでなきゃ……さっさとして」
「……はいはい。女王様」
 栞さまー……
「余計な所は触らないでよ」
「胸もか? 興ざめなこと言うなよ」
「キスしたら殺す」
「はいはい。女王様……どろどろだな……」
「……ま、さか……」
 快楽に身を任せて動けない私の体に覆いかぶさってきたイケメンが、私の腰を掴む。天に向かってそそり立つ、それは……
「ねぇ愛莉。どうして、誕生日当日を避けたと思う?」
 いつも通り柔らかな声で、言う栞。まるで死刑宣告のようだと、ふと思う。――間違ってはいなかった。
「愛莉は、十八になったんだよね」
 人工授精法が、適用される年齢。
「しおり……?」
「今日は、愛莉の、は・い・ら・ん・び」
「はいらん……?」
 はいら……排卵……排卵日……!?
 無理な体制に鞭打ってイケメンの一物を眺めれば、先っぽから滴る、それ。ゴムはない。さーっと、青ざめた。
 待って、たしか、栞……子どもが、どう、とか……
「大丈夫、愛莉。最初はちょっと痛い……くないようにドロドロにしたけど、やっぱり痛いかもしれないけど、中はちゃんと溶かして、あるから――さっさとして」
 最後は女王様の、絶対的命令だった。
「あぅ……しお――んむ」
 いつくしむように私の手をぎゅっと握ってくれた栞は、まるで怖いことなどないと教えてくれるように私に口づけて――
「んぅ――――!!!!」
 私の内部の穴を埋めるように侵入してきた肉棒は熱く、硬く。逃れようにも腕は頭の上で縛られ、足はイケメンに抱えられ、尖り切った乳首をなぞる角ばった指の感触は栞と違い生々しく。
「――っ締めるな」
 きゅっと反応した中を緩ますようにイケメンの硬い指が陰核を捉え、一瞬の刺激に頭をスパークさせて腰を浮かしたところを逃さず、最奥まで突き上げられた。ブチンと、何かを通過して、破れる音を、効いた。

「ふっああああああああーーー!!」

 散々焦らされた後の、深い、絶頂にのどがのけ反る。背中が反り返って、腰が暴れる。陸地に吊り上げられた魚のように跳ね上がる体にトドメを刺すように、彼が呻いた。
「――くっ」
「ん……え? ――あ、あ、ああ、中……熱いーー!!!」
 一瞬遅れて、中に出されたことを知る。それも勢いよく、止まらない。絞りきろうとするようにうごめく内部に、彼の形を感じてしまう。それの長さも、硬さも、ひっかかりも、脈打つ鼓動も。
 ――中に入ってる。
「あ……あ……」
 見上げれば、快感に歪む、イケメンの顔。拘束された私。奪われた処女……優しい動きでぎゅっと握りしめられた両手、乳輪をまあるくなぞる。栞の指……もう、これ……どんなエロゲ……
 イケメンに犯されてみたいなんて、思ってた、昨日までの自分を、殴り飛ばしてやりたい。


 ふっと、意識が浮上すると、栞の胸に頭を埋めていた。
「しお……」
 声がかれて、かすれた。はっとこっちを見た栞が、サイドテーブルの水差しの水を、口移しで飲ませてくれる。飲みきれない水が口から溢れて、のどを伝い、肌を這う感触にぴくりと震える。
 柔らかいシーツの感触に、自分の身が清められていることを知る。
「栞……」
「ごめんなさい、愛莉……嫌わないで……」
 さっきまでの女王様はどこに消えたのか、捨てられる寸前の子犬のようにうるんだ目で縋り付く栞。
 ――もう、かわいいなぁ。
 私は自分から、栞に口づけた。
 お互いが興奮するように、大きく水音を立てながら、互いの舌を絡ませあう。栞がいたわるように、秘所に手を伸ばしてきて、貫かれた痛みを思い出して身を固くした。
「――痛かった?」
「……もう、いいよ」
 犯されてみたいと思っていたことも事実だし……
「……気持ち、よかったし」
 む、っとしたらしい栞が、私の布団をはぎ取って、指を入れるとかき出すことに事になってしまうし、舌を這わすとコポリと溢れる残滓に口をつけることになるしと、ぶつぶつと呟いた後、私の秘所に自分の秘所をこすり合わせてきた。同時に、キスで唇がふさがれる。
「――んう……ちゅっ……っ……栞、妊娠しちゃう」
 確か精子は水分を伝うって。
「ピル飲んでる」
「そうなの!?」
 おどろいていると、一層強く口づけられた。
「愛莉、声、聞かせて」
 秘所と秘所をこすり合わせながら、明確な意思を持って私の足を掴み栞はそこを責め立てる。
「あっはぁっ! やぁ……もう……むりぃ……!!」
 小刻みに動かして、こするスピードを上げる栞。私はその動きに送られる快感に、ただ意味をなさない喘ぎ声を漏らすしかない。
「あイっくうーーー!!!」
 再び絶頂を迎えてがくりと、ベッドに体を預ける。私はもう指ひとつ動かせなくて。襲う倦怠感に身を任せつつあった。はぁはぁと、二人分の荒い息がこだまする。
「あー……お嬢さんたち」
 さっきのイケメンが、優雅に足を組んで、今コーヒーを飲み終わったと言わんばかりに声をかけてくる。
「何よ」
 栞女王様復活。
「二人とも俺の愛人にならないか?」
「お断りします」
 栞、早い。
「まとめて面倒見るし、どっちかと結婚してもいいし。そうでなくても、生活には困らないぞ」
 しかし諦めないイケメン。
 にらみ合う、二人。
「愛莉も――気持ちよかっただろ?」
 急にイケメンが、私に話をふってくる。
「――へぁ?」
 さっきの、奥まで突き上げられる快感……きゅっと、子宮が反応してまた愛液が零れる。
 栞は舌打ちして、言い放つ。
「肉棒が必要になったら呼んであげるわ」
「またな愛莉――今度は、二人で会おう」
「ちょっと!!」
 遠ざかっていくイケメンの言葉に、イケメン……正義……私は夢見心地で、襲ってきたけだるさと瞼の重さに逆らわず、眠りについた。

 数か月後、私の妊娠が確定した。同時にパートナーシップ制度を栞と申請し、晴れて二人と赤ちゃんとの生活がはじまった。
 ――たまに、あのイケメン(亮さん)に抱かれていることは、栞も黙認してくれていた。

「次は女の子かなぁ」
 産まれた子どもは男の子で、「拓真」と名付けた。もう三歳。一人で歩くようになって、運動量が増えたからか夜になるとよく寝てくれる。
 二人きりのベッドの中で、また膨らみ始めた私のお腹をあきずに撫でながら、栞が言う。
「まだわからないよ」
「愛莉が、兄妹たくさん欲しいなんて知らなかった」
「まぁ……せっかくだし……私も二人姉妹だし、三人くらいほしいなって」
 亮さんとのセックスも気持ちいいし……栞とは違う責め方で……激しくて……イケメンは目の保養にもなるし……
「あーいーり?」
「!?」
 にこやかに微笑む栞さまの笑みは……やばい……
「あのっ赤ちゃんに負担が……」
「うん。だから、優しくするね」
「そういう問題じゃーー!!!!?」

 最近、栞の責め方がねちっこくて、激しくて、……気持ちいいなんて……言わないよ?
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