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第7話 小さな村の小さな幸せ
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バランの街に初雪が降った朝、アイラは療養所の裏庭に積もる雪を見上げていた。
冷たい白が空から静かに舞い落ち、薄灰色だった世界に柔らかな光を与えていく。
「こんなに綺麗なのに、寒い……」
指先を息で温めながら、軒下の薪を抱えて小屋に戻る。
囲炉裏では湯気が立ち上り、薬草を煮詰める香りが漂っていた。
療養所の仕事にもようやく慣れ、アイラは兵士や町人の手当を日課にしていた。
今は戦況も落ち着き、この数日は重い怪我人もない。時間ができると、街外れの孤児院まで出向いて子どもたちの手を握り、遊びながら体調を診て回ることが増えた。
その様子を遠くから見ている人がいた。
ディランである。
「将軍閣下、今日は街を出ずにこちらに?」
副官のルークが声をかけると、ディランは僅かに目を細めた。
「冬季物資の調達指揮だ。……ついでに視察もな」
そう言って口の端をわずかに上げた。
“視察”と言いながら、彼が毎日のように療養所や孤児院を覗き見していることを、部下は気づいている。
けれど誰も何も言わなかった。彼の目が以前よりも柔らかくなっているからだ。
アイラは子どもたちに雪玉の作り方を教えていた。
かつて王城の温室で花を磨いていた指先が、今は雪を丸めて笑っている。
それはディランにとって、見慣れぬけれど穏やかな風景だった。
子どもが転んで泣き出し、彼女がそっと抱き上げる。
手をかざせば金色の光がふわりと舞い、傷がみるみる塞がる。
「もう痛くないでしょう?」
「うん……ありがとう!」
その笑顔に周囲の子供たちまで笑い声を上げた。
ディランは溜息にも似た息をこぼした。
「人の痛みを癒す力。あれが呪いなどと言われたとは信じがたいな……」
「王都では、少しでも特別な力を持つ者は恐れられるものです」
ルークがつぶやいた。
「だが閣下は違いますね。あの方を見ている時の閣下は、まるで……」
「まるで?」
「……いえ、なんでもありません」
肘鉄が飛ぶ前に、ルークは口を閉ざした。
***
昼過ぎ、療養所に戻ると湯気立つスープの香りが広がっていた。
院長の婦長が笑顔で両手を広げる。
「お帰り、アイラ。子どもたちがまた氷の上で暴れたんだって?」
「ええ、そのせいで転んで泣いてしまって。でももう元気です」
「まったく、あの子たちは君に甘えっぱなしだよ。……もっとも、あんたが来てからみんなずいぶん明るくなった」
「いえ、私はただ……ここに居させてもらっているだけです」
「そんな遠慮は要らないよ。誰かを癒やせる人間は、どんな場所でも必要とされるもんさ」
婦長の言葉に、アイラの胸が少しだけ痛んだ。
かつて自分が居場所を失った夜――“誰からも必要とされない”と感じていた日のことを思い出したからだ。
けれど、その痛みはもう鋭くなかった。
まるで雪の結晶が手のひらで溶けて消えるように、過去の苦しみが少しずつ流れ去っていく。
その日の夕方、珍しくディランが療養所を訪れた。
扉の音を聞くなり、婦長は驚いた顔で立ち上がる。
「まあ、将軍閣下がこんな所に!どうされたんです?」
「いや、凍傷の兵が出たと聞いた。薬を分けてもらえれば助かる」
「もちろんです。アイラ、在庫を確認してあげて」
「はい、すぐに」
棚から薬草を取り出しながら、アイラは視線を感じた。
振り向くと、ディランがこちらをじっと見ている。
心臓が小さく跳ね、瓶を落としそうになった。
「……何か?」
「いや、お前の手際が見事だなと思って。まるで長年、医官として仕えていたようだ」
「そんな高い身分ではありません。ただ少し、薬に詳しいだけです」
彼の言葉の端に、微かな探りがあることを感じながら、アイラは笑顔でかわした。
婦長が温かい茶を運び、三人でひとときの休息を取る。
外では雪が激しくなり始め、窓に張り付く氷がきらめく。
「……北の冬は厳しいですね」
「今年は特に冷える。吹雪が山を越える頃には、通信も途絶えるだろう」
「そんなに……」
ディランは茶を一口飲み、ふっと視線を落とした。
「だからこそ、この街を守るのが俺たちの役目だ。王都からの支援が無くなろうと、人が生き続けられるように」
その言葉に、アイラは胸を打たれた。
――王都。
その響きを聞いただけで少し息が詰まる。
けれど、隣にいる男が王都の誰とも違う温かさを持っていることが、恐怖を和らげた。
「ディラン様……あなたは、どうしてこの地に留まっているのですか?」
問われて少しだけ彼は黙した。
「王都にはいたくない。それだけだ」
「何かあったのですね」
「……過去の話だ。お前と同じでな」
「私と……?」
「捨てた名を持つ人間は、似通うところがある。過去を語らず、未来に怯えながら、それでも生きようとする」
静かな声だった。
暖炉の火がふたりの影を壁に映す。
その輪郭が近づいては離れ、同じ炎に溶けて同じ色に染まる。
「……もし、あなたが望むなら」
アイラは少し俯き、言葉を選ぶように続けた。
「私はこの街の人達と一緒に、あなたを支えたい。あなたが守る人を、私が癒したい」
ディランはゆっくりと瞳を上げた。
その目には深く透き通るような光が宿っていた。
「……いいのか、それで」
「はい。やっと、ここが私の居場所だと思えたのです」
「……そうか」
短く、けれど優しい声。
それだけで十分だった。
彼が立ち上がり、外套を羽織りながら出入口の前で振り返る。
「明日は吹雪の兆しがある。出歩くな」
「わかりました」
扉が閉まる直前、彼はほんのわずかに笑った。
「ありがとう、アイラ。お前の手当がなければ、守りきれなかった命がいくつもあった」
静かに去っていく背中に、心の奥が温かくなる。
暖炉の炎がぱちぱちと弾け、火の粉が舞った。
その光の中で、アイラは小さく呟いた。
「……あの人の傷を、いつか私も癒せるだろうか」
吹雪の前夜。
街は静寂に包まれ、人々は家に灯をともした。
小さな村の小さな幸せが、冬の闇をほのかに照らしている。
その灯のひとつに、彼女の心も確かにあった。
続く
冷たい白が空から静かに舞い落ち、薄灰色だった世界に柔らかな光を与えていく。
「こんなに綺麗なのに、寒い……」
指先を息で温めながら、軒下の薪を抱えて小屋に戻る。
囲炉裏では湯気が立ち上り、薬草を煮詰める香りが漂っていた。
療養所の仕事にもようやく慣れ、アイラは兵士や町人の手当を日課にしていた。
今は戦況も落ち着き、この数日は重い怪我人もない。時間ができると、街外れの孤児院まで出向いて子どもたちの手を握り、遊びながら体調を診て回ることが増えた。
その様子を遠くから見ている人がいた。
ディランである。
「将軍閣下、今日は街を出ずにこちらに?」
副官のルークが声をかけると、ディランは僅かに目を細めた。
「冬季物資の調達指揮だ。……ついでに視察もな」
そう言って口の端をわずかに上げた。
“視察”と言いながら、彼が毎日のように療養所や孤児院を覗き見していることを、部下は気づいている。
けれど誰も何も言わなかった。彼の目が以前よりも柔らかくなっているからだ。
アイラは子どもたちに雪玉の作り方を教えていた。
かつて王城の温室で花を磨いていた指先が、今は雪を丸めて笑っている。
それはディランにとって、見慣れぬけれど穏やかな風景だった。
子どもが転んで泣き出し、彼女がそっと抱き上げる。
手をかざせば金色の光がふわりと舞い、傷がみるみる塞がる。
「もう痛くないでしょう?」
「うん……ありがとう!」
その笑顔に周囲の子供たちまで笑い声を上げた。
ディランは溜息にも似た息をこぼした。
「人の痛みを癒す力。あれが呪いなどと言われたとは信じがたいな……」
「王都では、少しでも特別な力を持つ者は恐れられるものです」
ルークがつぶやいた。
「だが閣下は違いますね。あの方を見ている時の閣下は、まるで……」
「まるで?」
「……いえ、なんでもありません」
肘鉄が飛ぶ前に、ルークは口を閉ざした。
***
昼過ぎ、療養所に戻ると湯気立つスープの香りが広がっていた。
院長の婦長が笑顔で両手を広げる。
「お帰り、アイラ。子どもたちがまた氷の上で暴れたんだって?」
「ええ、そのせいで転んで泣いてしまって。でももう元気です」
「まったく、あの子たちは君に甘えっぱなしだよ。……もっとも、あんたが来てからみんなずいぶん明るくなった」
「いえ、私はただ……ここに居させてもらっているだけです」
「そんな遠慮は要らないよ。誰かを癒やせる人間は、どんな場所でも必要とされるもんさ」
婦長の言葉に、アイラの胸が少しだけ痛んだ。
かつて自分が居場所を失った夜――“誰からも必要とされない”と感じていた日のことを思い出したからだ。
けれど、その痛みはもう鋭くなかった。
まるで雪の結晶が手のひらで溶けて消えるように、過去の苦しみが少しずつ流れ去っていく。
その日の夕方、珍しくディランが療養所を訪れた。
扉の音を聞くなり、婦長は驚いた顔で立ち上がる。
「まあ、将軍閣下がこんな所に!どうされたんです?」
「いや、凍傷の兵が出たと聞いた。薬を分けてもらえれば助かる」
「もちろんです。アイラ、在庫を確認してあげて」
「はい、すぐに」
棚から薬草を取り出しながら、アイラは視線を感じた。
振り向くと、ディランがこちらをじっと見ている。
心臓が小さく跳ね、瓶を落としそうになった。
「……何か?」
「いや、お前の手際が見事だなと思って。まるで長年、医官として仕えていたようだ」
「そんな高い身分ではありません。ただ少し、薬に詳しいだけです」
彼の言葉の端に、微かな探りがあることを感じながら、アイラは笑顔でかわした。
婦長が温かい茶を運び、三人でひとときの休息を取る。
外では雪が激しくなり始め、窓に張り付く氷がきらめく。
「……北の冬は厳しいですね」
「今年は特に冷える。吹雪が山を越える頃には、通信も途絶えるだろう」
「そんなに……」
ディランは茶を一口飲み、ふっと視線を落とした。
「だからこそ、この街を守るのが俺たちの役目だ。王都からの支援が無くなろうと、人が生き続けられるように」
その言葉に、アイラは胸を打たれた。
――王都。
その響きを聞いただけで少し息が詰まる。
けれど、隣にいる男が王都の誰とも違う温かさを持っていることが、恐怖を和らげた。
「ディラン様……あなたは、どうしてこの地に留まっているのですか?」
問われて少しだけ彼は黙した。
「王都にはいたくない。それだけだ」
「何かあったのですね」
「……過去の話だ。お前と同じでな」
「私と……?」
「捨てた名を持つ人間は、似通うところがある。過去を語らず、未来に怯えながら、それでも生きようとする」
静かな声だった。
暖炉の火がふたりの影を壁に映す。
その輪郭が近づいては離れ、同じ炎に溶けて同じ色に染まる。
「……もし、あなたが望むなら」
アイラは少し俯き、言葉を選ぶように続けた。
「私はこの街の人達と一緒に、あなたを支えたい。あなたが守る人を、私が癒したい」
ディランはゆっくりと瞳を上げた。
その目には深く透き通るような光が宿っていた。
「……いいのか、それで」
「はい。やっと、ここが私の居場所だと思えたのです」
「……そうか」
短く、けれど優しい声。
それだけで十分だった。
彼が立ち上がり、外套を羽織りながら出入口の前で振り返る。
「明日は吹雪の兆しがある。出歩くな」
「わかりました」
扉が閉まる直前、彼はほんのわずかに笑った。
「ありがとう、アイラ。お前の手当がなければ、守りきれなかった命がいくつもあった」
静かに去っていく背中に、心の奥が温かくなる。
暖炉の炎がぱちぱちと弾け、火の粉が舞った。
その光の中で、アイラは小さく呟いた。
「……あの人の傷を、いつか私も癒せるだろうか」
吹雪の前夜。
街は静寂に包まれ、人々は家に灯をともした。
小さな村の小さな幸せが、冬の闇をほのかに照らしている。
その灯のひとつに、彼女の心も確かにあった。
続く
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