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第11話 揺るがぬという確認
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第11話 揺るがぬという確認
アルファルド公爵邸の会議室には、
重苦しさとは無縁の空気が漂っていた。
集まっている顔ぶれは、
いずれもアルファルド派を代表する重鎮ばかりだ。
侯爵、伯爵、そして公爵家当主。
本来なら、派閥の今後を巡って
緊張が走っていてもおかしくない場だった。
だが――
誰一人として、顔を強張らせていない。
「……さて」
アルファルド公爵が、
静かに口を開いた。
「改めて確認しておきたい。
今回の一件について、
我が派閥に“動揺”はあるか?」
一瞬の沈黙。
だが、それは迷いではない。
「いいえ」
「まったく」
「むしろ、
方向性が明確になりましたな」
次々と、
即答が返ってくる。
アルファルド公爵は、
わずかに目を細めた。
「理由を聞いても?」
侯爵の一人が、
ゆっくりと答えた。
「第一王子殿下が、
我々との縁を断たれた。
それだけのことです」
「殿下が何を考えておられたかは、
正直、問題ではありません」
「重要なのは、
“アルファルド家を切った”という事実を、
殿下ご自身が選択なさったこと」
それは、
怒りでも恨みでもない。
淡々とした事実確認だった。
別の伯爵が続ける。
「派閥というのは、
感情で動くものではありません」
「支える価値があるかどうか。
それだけです」
「今回、
その価値が消えた。
それだけの話ですな」
会議室に、
否定の声は上がらない。
むしろ、
全員が同じ認識を共有していることが、
この場の落ち着きを生んでいた。
「では――」
アルファルド公爵は、
一枚の書類を机に置いた。
「我が派閥の方針は、
これまで通りとする」
「誰かを無理に推さない。
だが、
誰かを支える準備は整えておく」
「その中心は?」
問われる前に、
自然と視線が集まった先があった。
――シャウラ・アルファルド。
「……お嬢様は、
何もしておられませんが」
「それが、
最も良い」
誰かが、
小さく笑った。
「慌てず、
取り繕わず、
動揺していない」
「派閥の中心が揺れなければ、
周囲も揺れません」
「ええ。
“確認”は、
すでに終わっています」
アルファルド公爵は、
ゆっくりと頷いた。
「ならば、
この件についての会議は、
これで終わりだ」
「我が派閥は、
何も失っていない」
「むしろ――
無駄な不安要素が、
一つ消えただけだ」
その言葉に、
誰一人として異を唱えなかった。
会議が終わり、
貴族たちは静かに席を立つ。
誰も声高に宣言しない。
誰も勝ち誇らない。
だがこの日、
アルファルド派の中では、
一つの結論が
完全に共有されていた。
――我が派閥は、
揺るがない。
その事実を、
まだ知らない者がいるとすれば――
それは、
派閥を失った当人だけだった。
アルファルド公爵邸の会議室には、
重苦しさとは無縁の空気が漂っていた。
集まっている顔ぶれは、
いずれもアルファルド派を代表する重鎮ばかりだ。
侯爵、伯爵、そして公爵家当主。
本来なら、派閥の今後を巡って
緊張が走っていてもおかしくない場だった。
だが――
誰一人として、顔を強張らせていない。
「……さて」
アルファルド公爵が、
静かに口を開いた。
「改めて確認しておきたい。
今回の一件について、
我が派閥に“動揺”はあるか?」
一瞬の沈黙。
だが、それは迷いではない。
「いいえ」
「まったく」
「むしろ、
方向性が明確になりましたな」
次々と、
即答が返ってくる。
アルファルド公爵は、
わずかに目を細めた。
「理由を聞いても?」
侯爵の一人が、
ゆっくりと答えた。
「第一王子殿下が、
我々との縁を断たれた。
それだけのことです」
「殿下が何を考えておられたかは、
正直、問題ではありません」
「重要なのは、
“アルファルド家を切った”という事実を、
殿下ご自身が選択なさったこと」
それは、
怒りでも恨みでもない。
淡々とした事実確認だった。
別の伯爵が続ける。
「派閥というのは、
感情で動くものではありません」
「支える価値があるかどうか。
それだけです」
「今回、
その価値が消えた。
それだけの話ですな」
会議室に、
否定の声は上がらない。
むしろ、
全員が同じ認識を共有していることが、
この場の落ち着きを生んでいた。
「では――」
アルファルド公爵は、
一枚の書類を机に置いた。
「我が派閥の方針は、
これまで通りとする」
「誰かを無理に推さない。
だが、
誰かを支える準備は整えておく」
「その中心は?」
問われる前に、
自然と視線が集まった先があった。
――シャウラ・アルファルド。
「……お嬢様は、
何もしておられませんが」
「それが、
最も良い」
誰かが、
小さく笑った。
「慌てず、
取り繕わず、
動揺していない」
「派閥の中心が揺れなければ、
周囲も揺れません」
「ええ。
“確認”は、
すでに終わっています」
アルファルド公爵は、
ゆっくりと頷いた。
「ならば、
この件についての会議は、
これで終わりだ」
「我が派閥は、
何も失っていない」
「むしろ――
無駄な不安要素が、
一つ消えただけだ」
その言葉に、
誰一人として異を唱えなかった。
会議が終わり、
貴族たちは静かに席を立つ。
誰も声高に宣言しない。
誰も勝ち誇らない。
だがこの日、
アルファルド派の中では、
一つの結論が
完全に共有されていた。
――我が派閥は、
揺るがない。
その事実を、
まだ知らない者がいるとすれば――
それは、
派閥を失った当人だけだった。
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