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王太子フィリップの後悔と絶望編 第七章 政治的支援作戦
しおりを挟む夜ごと机に突っ伏し、知識の壁に叩きのめされたフィリップは、ついに別の道を選んだ。
――自分は学者ではない。ならば王太子としてできることをすればいい。
「政治で、彼女を支えるんだ……! そうすればエリアナも僕を見直してくれるはず!」
そう決意した彼は、早速行動に移した。
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◆予算確保作戦
まずは財務局に命じ、エリアナの研究費を大幅に増額した。
「これで彼女は研究に没頭できる。さすがフィリップ殿下、と感謝されるに違いない!」
数日後、エリアナから丁寧な礼状が届いた。
『フィリップ殿下のご配慮に深く感謝申し上げます。これで研究が一層進めやすくなります。国民にとっても大変意義深いことでしょう』
読み上げた瞬間、フィリップは胸を張った。
「よし! やはり僕を見直してくれたんだ!」
だが、その直後に書かれていた一文が胸を抉る。
『このような施策をお許しくださった国王陛下にも、心より感謝申し上げます』
「……ち、違う。これは父上じゃない、僕の独断だ……!」
必死の支援すら、彼女には「国の施策の一環」としか映っていなかった。
---
◆法整備支援
続いて、フィリップは議会に乗り込んだ。
「医療法を制定しろ! 衛生法もだ! エリアナの活動を法的に後押しする!」
王族の鶴の一声により、法案は次々と成立していった。
「ふふ……これで彼女も、僕の存在の大きさを実感するだろう」
しかし、エリアナはこう言った。
「素晴らしいことですわ。国民にとって大きな前進ですね。殿下もご尽力くださいました」
――そこに「個人的な好意」は一切なかった。
公的な感謝の言葉は受け取れても、彼女の心に届く気配は微塵もない。
---
◆国際会議の開催
最後の一手とばかりに、フィリップは壮大な計画を練った。
「世界中の学者を招いて、医学・農業・工学の国際会議を開催するんだ! エリアナを世界に紹介して、彼女を輝かせてみせる!」
膨大な費用を投じ、豪華な会議が開催された。
エリアナは各国の賢者や学者たちから喝采を浴び、名声はさらに高まる。
「やった……僕の功績で、彼女は世界的な英雄になった……!」
だが会議の終了後、彼女が口にしたのは冷静な一言だった。
「殿下のご厚意に感謝いたします。素晴らしい機会をいただき、研究の幅が広がりますわ」
――それだけ。
「……そ、それだけなのか……?」
フィリップは頭を抱えた。
どれだけ尽くしても、彼女の心には届かない。
彼女にとってフィリップは、ただ「王太子殿下」という肩書きを持つ一人の支援者にすぎないのだ。
---
◆自己嫌悪の深まり
「どうしてだ……! 僕はこんなにも努力しているのに……! なぜエリアナは振り向いてくれない……!」
夜、王宮の自室で鏡に映る自分を見つめ、フィリップは拳を握りしめた。
「僕は……何をしても空回りばかりじゃないか……」
王子の威光も、権力も、金も――彼女の心には届かない。
ただ純粋に彼女を理解し、支えている三人のライバルたちに比べ、フィリップの行動はすべて「表面的」でしかなかった。
「……やっぱり僕には、何もないのか……」
王太子の瞳に、じわりと涙が浮かんだ。
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