異世界転生公爵令嬢は、オタク知識で世界を救う。

ふわふわ

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王太子フィリップの後悔と絶望編 第八章 ライバルたちとの直接対決

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 フィリップはついに腹を決めた。
「……遠回しの支援や贈り物なんて意味がない。真正面から勝負して、エリアナに僕の本気を示すんだ!」

 王太子の威信を懸けた「ライバル三人」との直接対決が幕を開けた。


---

◆アレクサンダーとの学術論争

 最初の相手は、冷静沈着な学者アレクサンダー。

「フィリップ殿下。ご学問に関心を持たれるとは意外ですな」
「僕だって勉強している! 化学の知識なら負けない!」

 机の上に化学式を書き殴りながら挑むフィリップ。

「C₁₀H₁₆N₂O₈とは何だ! 僕は調べたぞ!」
「……それはエチレンジアミン四酢酸。キレート剤として使われる化合物です。基礎中の基礎ですが」

 即答するアレクサンダーに、会場がざわめく。

「な……!」
「殿下のご努力は立派ですが、基礎知識が足りませんな。ですが学ぼうとする姿勢は評価できます」

 優しく言われた分、余計に惨めさが増す。
横で聞いていたエリアナが微笑んで言った。

「フィリップ殿下も勉強熱心ですのね」

 ……それはまるで、生徒を褒める教師の言葉のようだった。


---

◆ルカスとの武術勝負

 次の相手は騎士団副団長ルカス。
剣を構え、真剣勝負が始まる。

「殿下、剣術では一歩も引きません!」
「僕だって幼少から鍛えられてきた! 今度こそ勝ってみせる!」

 剣戟が火花を散らす。
フィリップも必死に応戦し、何度も斬撃をかわす。
数合打ち合った末、互角に近い形で勝負は引き分けとなった。

「さすが殿下、見事なお腕前です」
「ふ、ふん……当然だ!」

 しかし、観戦していたエリアナは眉をひそめた。

「男性同士の争いはあまり好みませんわ。危険ですもの」

 ――努力して勝負しても、彼女にはまったく響かなかった。


---

◆ディミトリとの外交論争

 最後の相手は隣国の王族であり外交官、ディミトリ。
議題は国際情勢。

「フィリップ殿下、帝国の関税政策についてどうお考えですか?」
「そ、それは……その、我が国としては……自由貿易を推進すべきだ!」

「なるほど。しかし帝国の思惑を無視すると、穀物の輸入が止まりますよ」
「ぐっ……!」

 ディミトリは冷静に国際関係の網を紡ぎ、理路整然と論じる。
フィリップも必死に食らいついたが、結局は浅い知識しか出てこない。

「殿下も国際感覚をお持ちですね。ただ、まだ広い視野が必要でしょう」

 やんわりとした言葉に、またも打ちのめされる。


---

◆三人との圧倒的な差

 学問でも、剣でも、政治でも――彼らはすべてフィリップの上を行った。
エリアナは三人それぞれに深い信頼を寄せている。

「アレクサンダー様は私の研究パートナーです」
「ルカス様は現場で支えてくださる方」
「ディミトリ様は国際的な協力者です」

 一方でフィリップに向けられたのは、ただの「王太子殿下」への敬意にすぎなかった。

「僕には……何もないのか……」

 その夜、寝室で独り呟いたフィリップの目からは、もはや涙しか出てこなかった。
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