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王太子フィリップの後悔と絶望編 第9章 最後の大勝負
しおりを挟む――王宮舞踏会の夜。
煌びやかなシャンデリアが天井から降り注ぎ、楽団が奏でる優雅な旋律が広間を包み込んでいた。
各国の賓客や名門貴族が集まり、華やかな舞台の中心には、今や国の至宝と呼ばれるエリアナの姿があった。
白と青を基調としたドレスは彼女の清廉な美しさを際立たせ、周囲の視線をすべて奪っている。
その隣には、研究や工事で彼女を支えてきたアレクサンダー、ルカス、ディミトリの姿もあった。
――彼ら三人は、誰もがエリアナの幸福を願う存在であり、同時にフィリップの強大なライバルでもあった。
---
◆最後の賭け
舞踏会の只中、フィリップは決意していた。
(これが最後の機会だ……ここで公に想いを示せば、さすがに彼女も断れまい!)
父王や各国の大使たちが見守る中、フィリップは壇上に立ち、大声で宣言した。
「諸君! 本日、この場を借りて、重大な告白を行う!」
ざわめきが広間を駆け巡る。
王太子の突然の発言に、誰もが息を呑んで注目した。
フィリップは真っ直ぐにエリアナを見つめ、言葉を続ける。
「エリアナ嬢! 僕は君を深く愛している! どうか僕と結婚してくれ!」
会場が一瞬にして静まり返る。
沈黙は重く、緊張感が広がる。
---
◆エリアナの返答
エリアナは驚いた様子を見せず、静かに立ち上がった。
彼女の視線は真っ直ぐフィリップを見据えている。
「フィリップ殿下……お気持ちは光栄に存じます」
その柔らかい声に、一瞬、フィリップの胸に希望がよみがえる。
だが、次の瞬間――。
「ですが、私はお断りいたします」
広間に、氷のような沈黙が落ちた。
---
◆公開拒絶の衝撃
「な……っ!」
フィリップの顔から血の気が引いていく。
会場のあちこちで小声がささやかれた。
「王太子が……振られたぞ」
「しかも公衆の面前で……」
耳を塞ぎたくなるほどの噂話が広がり、フィリップのプライドは粉々に砕かれていく。
---
◆真実の言葉
エリアナは淡々と続けた。
「殿下は、私を理解しておられません。私の研究や活動に興味を持たれたことは、一度もございませんでした」
「え……」
「私が評価されているのは、医学や農業、衛生事業で積み重ねてきた努力と結果です。殿下は、その本質を見ず、表面的な栄光だけで判断なさっている」
その指摘に、フィリップは一言も反論できなかった。
---
◆三人との差
エリアナは続ける。
「アレクサンダー様は、私の研究の真の理解者です」
「ルカス様は、いつも現場で支えてくださいます」
「ディミトリ様は、国際的な協力者であり、理想を共に語れる方です」
そして、最後にフィリップを見据えた。
「殿下には……何がおありでしょうか?」
その問いは刃となり、フィリップの胸を深々と抉った。
---
◆完全な敗北
誰もが見ている中で、王太子は拒絶され、立場を失った。
父王の険しい視線が突き刺さる。
貴族たちの視線は冷ややかで、誰一人として同情の色を見せない。
フィリップの心は粉々に砕け散った。
「……僕は……すべてを……」
その夜、王太子は完全な敗北と屈辱を背負うこととなった。
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