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第二話 死ぬのって怖い
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「これください」
「まいどありー」
ちゃららっちゃらー
フォリアは 金属バットを 手に入れた!
お金を7000円失った!
昔施設に来た卒業生の、木戸さんにやらせてもらったゲームの音声が、脳内に鳴り響く。
ナイフや包丁はもっと安く手に入るが、切れ味の手入れや接近して戦うとなれば危険が危ない。
そこで適当に振っても威力がそこそこあって、手入れも不要、その上振る事に特化した小学生用金属バットを手に入れた。
本当はこの一万で安いホテルでも借りて、バイト面接した方が良かったのだろう。
でも筋肉の笑みを思い出すと、彼を裏切るようなことはしたくなかった。
大人用の奴も考えたのだが、値段が跳ね上がるのと重かったので諦めた。
まあこれで護身は十分だろう。
さあ、早速ダンジョンにれっつごーだ。
「えいえいおー」
掛け声を上げたら、横のサラリーマンに凄い見られた。
ちょっとぞくぞくした。
◇
今日私が向かうのは、最低難易度であるGクラスの花咲ダンジョンだ。
スライムとかネズミがたくさんいるらしい。
「君、本当にひとりでダンジョンに入るつもり?」
「え? うん」
ダンジョンへの侵入許可を待っていると、後ろにいた三人組が話しかけてきた。
男二人、女一人のパーティで、近くの大学生らしい。
一人で並んでいる私を心配して、俺達のチームに入らないかと誘ってくれた。
気遣ってくれるなんて、多分いい人たちだ。
体力をつけるためとはいえ、確かに一人で潜るのには不安があった。渡りに船という奴で断る理由もなく、それを受け入れる。
男二人は茶髪と金髪、女は金髪だったのでもしかしたら、私と同じハーフなのかしれない。
「それじゃあ、入ろうか!」
『おー!』
リーダーだという金髪の山田、その声に合わせ皆で掛け声を上げる。
遂にギルドの登録証を見せ、迷宮探索の許可が下りた。
これからは他のダンジョンであっても、自己責任で侵入することが出来る。
踏み入れたダンジョンは、どこかじめっとした草原だった。
その瞬間、無機質で電子的な音声が脳内に鳴り響く。
「……! ステータスオープン」
―――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 1
HP 2 MP 5
物攻 7 魔攻 0
耐久 11 俊敏 15
知力 1 運 0
SP 10
スキル
悪食 LV5
口下手 LV11
―――――――――――
凄い、本当にステータスが出てくるんだ……!
自分自身不思議に思う程、この超常現象に素直に感動していた。
耐久が高いのは良く母親に殴られたからで、速度が高いのは多分こっそりご飯を食べていたからだろう。
三人の大学生もワイワイと、スキルがどうだとか、ステータスが高いだとかで互いに騒ぎ合っていた。
遂に手に入れた能力、そして初期値として渡されているスキルポイント。
ここまでは話に聞いていたままだし、定石通り鑑定を皆でとって、私たちの冒険は始まった。
◇
……と、これがここ一週間での出来事だ。
皆で朝に集まって、一時間ばかしダンジョンに潜る。
互いの身の上話なんてこともして、両親を頼る箏の出来ない現状も話したら、大西……金髪の女は泣いてくれた。
食事は迷宮内に落ちている、希望の実という種で過ごしている。
渋くて苦くて酸っぱくて、更にドブのような匂いがする。いや、もはや食べるドブと言っても過言ではない。
でも栄養が大変豊富で、ダンジョン内で食料が尽きた時は、これを見つければ生き延びれると言われている、大変凄い実なのだ。
まあ本当に不味いので、私以外は誰も食べていないだろうが。
「なあ、そろそろFランクのダンジョンに潜ってみないか?」
お金は山分けと、互いに不満もおそらく少なく、平穏なダンジョンライフを過ごせていた。
男その2、もとい飯山がそう切り出すまでは。
「え……でも危ない……」
「大丈夫だって、俺達ならいけるよ!」
「確かに……ここでちんたらやっているより、上のダンジョンでレベル上げした方が効率いいよな」
「そうね! スライムとネズミばっかで飽きてたところだわ!」
流石に危ないだろうと止めたのだが、三対一では分が悪く、Fランクである落葉ダンジョンへと行くことに決まった。
他の三人と比べ基礎的な力のない私は、この時点でレベル3。他の三人は10を超えていたので気が大きくなっていたのだろう。
.
.
.
「ハァ……ハァ……! こんなにヤバいところだなんて聞いてねえぞ……!?」
「ま、まって……私はっ、レベル低いから……!」
後ろから爆音を上げ、巨大な斧を片手に走ってくるオーク。
俊敏こそある程度はあるが、体力も低くレベルも劣っている私では、三人を追いかけるのがやっと。
少しでも足を縺れさせれば、このまま捕まって死んでしまうだろう。
やはりというべきか、Gランクの踏破すらしていない私達ではステータスが足りず、落葉ダンジョンでまともに攻撃が通ることは無かった。
無謀だったのだ、何もかもが。
皆の顔が恐怖に引き攣り、どうにか逃げようとジグザクに走り回る。
しかし匂いで追いかけているのか全く撒ける気配もなく、このまま死ぬのか……そんな雰囲気が漂い始めた。
その時、大西が山田に何かを耳打ちした。
飯山にもそれを伝え、にやりと笑う三人。何か逆転の一手を思いついたのかもしれない。
「ね、ねえ! なんか思いついた?」
「ええ、最高の案がね……!」
ひょいと大西がナイフを抜き取り……一閃。
私の太ももを浅く切りつけた。
「え……!?」
驚愕、そして激痛。
そのまま地面を無様に転がり、痛みに呻く。
一体何で……!?
「ごめんねぇフォリアちゃん。貴女スキルも習得しないし、基礎ステータスもよわっちいから要らないのよ。元々肉壁として確保したわけだし、なんか表情変わらないのも不気味なのよねぇ。まあ追放ってことで、あとはよろしく!」
あとから分かった事だが、本来パーティを組む場合経験値がパーティメンバーにも流れるらしい。
その分経験値の取り分が減るとかはなく、みな平等にレベルアップすると。
そう、私のレベルは3で三人のレベルは10超え。
つまり元からパーティメンバーとして組んでいたわけではなく、有事の際の肉壁として確保されていたにすぎない。
いや、もしかしたら最初は打算ありきの好意だったのかもしれないが、天涯孤独な身の上などを知って、使い捨ててもバレないことに気付いたのかもしれない。
どちらにせよ私は、ゴミ屑の様に捨てられたわけだ。
手を伸ばし助けを求めるも、アイツらはニコニコ笑顔で走り去ってしまった。
奥からはドスドスと強烈な足音を立て、私をぶち殺そうと嬉々として駆け寄ってくるオーク。
死ぬ、のか。
本当は探索者なんてやらず、幸せに暮らしたかった。
普通の家族と笑ったり喧嘩したりして、友達とスイーツ店巡りをしたかった。
それが現実は、十五になってそうそう、こんな場所で何も出来ずに死ぬ。
はあ……本当に最悪だ。
拾い集めていた希望の実を一気に咀嚼し、最後の晩餐を終える。
希望の実は食べると一日分の食事が不要になるほど、栄養とカロリーがある。
その代わり吐きそうなほどまずいが。
希望のみを食べ尽くせば、目の前にいるのは絶望。
『グオオオオオオオッ!』
高々と掲げられた石斧。
ああ、最後にショートケーキ食べたかった……
『希望の実の特殊効果による、レベル10以下の復活判定が行われます』
『失敗』
『失敗』
『失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗……成功』
『称号 生と死の逆転 を獲得しました』
『ユニークスキル スキル累乗 LV1 を獲得しました』
『スキル 経験値上昇 LV1 を獲得しました』
脳裏に響く不思議な音を聞いて、私は気絶した。
「まいどありー」
ちゃららっちゃらー
フォリアは 金属バットを 手に入れた!
お金を7000円失った!
昔施設に来た卒業生の、木戸さんにやらせてもらったゲームの音声が、脳内に鳴り響く。
ナイフや包丁はもっと安く手に入るが、切れ味の手入れや接近して戦うとなれば危険が危ない。
そこで適当に振っても威力がそこそこあって、手入れも不要、その上振る事に特化した小学生用金属バットを手に入れた。
本当はこの一万で安いホテルでも借りて、バイト面接した方が良かったのだろう。
でも筋肉の笑みを思い出すと、彼を裏切るようなことはしたくなかった。
大人用の奴も考えたのだが、値段が跳ね上がるのと重かったので諦めた。
まあこれで護身は十分だろう。
さあ、早速ダンジョンにれっつごーだ。
「えいえいおー」
掛け声を上げたら、横のサラリーマンに凄い見られた。
ちょっとぞくぞくした。
◇
今日私が向かうのは、最低難易度であるGクラスの花咲ダンジョンだ。
スライムとかネズミがたくさんいるらしい。
「君、本当にひとりでダンジョンに入るつもり?」
「え? うん」
ダンジョンへの侵入許可を待っていると、後ろにいた三人組が話しかけてきた。
男二人、女一人のパーティで、近くの大学生らしい。
一人で並んでいる私を心配して、俺達のチームに入らないかと誘ってくれた。
気遣ってくれるなんて、多分いい人たちだ。
体力をつけるためとはいえ、確かに一人で潜るのには不安があった。渡りに船という奴で断る理由もなく、それを受け入れる。
男二人は茶髪と金髪、女は金髪だったのでもしかしたら、私と同じハーフなのかしれない。
「それじゃあ、入ろうか!」
『おー!』
リーダーだという金髪の山田、その声に合わせ皆で掛け声を上げる。
遂にギルドの登録証を見せ、迷宮探索の許可が下りた。
これからは他のダンジョンであっても、自己責任で侵入することが出来る。
踏み入れたダンジョンは、どこかじめっとした草原だった。
その瞬間、無機質で電子的な音声が脳内に鳴り響く。
「……! ステータスオープン」
―――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 1
HP 2 MP 5
物攻 7 魔攻 0
耐久 11 俊敏 15
知力 1 運 0
SP 10
スキル
悪食 LV5
口下手 LV11
―――――――――――
凄い、本当にステータスが出てくるんだ……!
自分自身不思議に思う程、この超常現象に素直に感動していた。
耐久が高いのは良く母親に殴られたからで、速度が高いのは多分こっそりご飯を食べていたからだろう。
三人の大学生もワイワイと、スキルがどうだとか、ステータスが高いだとかで互いに騒ぎ合っていた。
遂に手に入れた能力、そして初期値として渡されているスキルポイント。
ここまでは話に聞いていたままだし、定石通り鑑定を皆でとって、私たちの冒険は始まった。
◇
……と、これがここ一週間での出来事だ。
皆で朝に集まって、一時間ばかしダンジョンに潜る。
互いの身の上話なんてこともして、両親を頼る箏の出来ない現状も話したら、大西……金髪の女は泣いてくれた。
食事は迷宮内に落ちている、希望の実という種で過ごしている。
渋くて苦くて酸っぱくて、更にドブのような匂いがする。いや、もはや食べるドブと言っても過言ではない。
でも栄養が大変豊富で、ダンジョン内で食料が尽きた時は、これを見つければ生き延びれると言われている、大変凄い実なのだ。
まあ本当に不味いので、私以外は誰も食べていないだろうが。
「なあ、そろそろFランクのダンジョンに潜ってみないか?」
お金は山分けと、互いに不満もおそらく少なく、平穏なダンジョンライフを過ごせていた。
男その2、もとい飯山がそう切り出すまでは。
「え……でも危ない……」
「大丈夫だって、俺達ならいけるよ!」
「確かに……ここでちんたらやっているより、上のダンジョンでレベル上げした方が効率いいよな」
「そうね! スライムとネズミばっかで飽きてたところだわ!」
流石に危ないだろうと止めたのだが、三対一では分が悪く、Fランクである落葉ダンジョンへと行くことに決まった。
他の三人と比べ基礎的な力のない私は、この時点でレベル3。他の三人は10を超えていたので気が大きくなっていたのだろう。
.
.
.
「ハァ……ハァ……! こんなにヤバいところだなんて聞いてねえぞ……!?」
「ま、まって……私はっ、レベル低いから……!」
後ろから爆音を上げ、巨大な斧を片手に走ってくるオーク。
俊敏こそある程度はあるが、体力も低くレベルも劣っている私では、三人を追いかけるのがやっと。
少しでも足を縺れさせれば、このまま捕まって死んでしまうだろう。
やはりというべきか、Gランクの踏破すらしていない私達ではステータスが足りず、落葉ダンジョンでまともに攻撃が通ることは無かった。
無謀だったのだ、何もかもが。
皆の顔が恐怖に引き攣り、どうにか逃げようとジグザクに走り回る。
しかし匂いで追いかけているのか全く撒ける気配もなく、このまま死ぬのか……そんな雰囲気が漂い始めた。
その時、大西が山田に何かを耳打ちした。
飯山にもそれを伝え、にやりと笑う三人。何か逆転の一手を思いついたのかもしれない。
「ね、ねえ! なんか思いついた?」
「ええ、最高の案がね……!」
ひょいと大西がナイフを抜き取り……一閃。
私の太ももを浅く切りつけた。
「え……!?」
驚愕、そして激痛。
そのまま地面を無様に転がり、痛みに呻く。
一体何で……!?
「ごめんねぇフォリアちゃん。貴女スキルも習得しないし、基礎ステータスもよわっちいから要らないのよ。元々肉壁として確保したわけだし、なんか表情変わらないのも不気味なのよねぇ。まあ追放ってことで、あとはよろしく!」
あとから分かった事だが、本来パーティを組む場合経験値がパーティメンバーにも流れるらしい。
その分経験値の取り分が減るとかはなく、みな平等にレベルアップすると。
そう、私のレベルは3で三人のレベルは10超え。
つまり元からパーティメンバーとして組んでいたわけではなく、有事の際の肉壁として確保されていたにすぎない。
いや、もしかしたら最初は打算ありきの好意だったのかもしれないが、天涯孤独な身の上などを知って、使い捨ててもバレないことに気付いたのかもしれない。
どちらにせよ私は、ゴミ屑の様に捨てられたわけだ。
手を伸ばし助けを求めるも、アイツらはニコニコ笑顔で走り去ってしまった。
奥からはドスドスと強烈な足音を立て、私をぶち殺そうと嬉々として駆け寄ってくるオーク。
死ぬ、のか。
本当は探索者なんてやらず、幸せに暮らしたかった。
普通の家族と笑ったり喧嘩したりして、友達とスイーツ店巡りをしたかった。
それが現実は、十五になってそうそう、こんな場所で何も出来ずに死ぬ。
はあ……本当に最悪だ。
拾い集めていた希望の実を一気に咀嚼し、最後の晩餐を終える。
希望の実は食べると一日分の食事が不要になるほど、栄養とカロリーがある。
その代わり吐きそうなほどまずいが。
希望のみを食べ尽くせば、目の前にいるのは絶望。
『グオオオオオオオッ!』
高々と掲げられた石斧。
ああ、最後にショートケーキ食べたかった……
『希望の実の特殊効果による、レベル10以下の復活判定が行われます』
『失敗』
『失敗』
『失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗……成功』
『称号 生と死の逆転 を獲得しました』
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