悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧

文字の大きさ
2 / 14

2

しおりを挟む
学園の広場には、ピンク色の髪をなびかせたカイルの姿があった。
「きゃー、カイル様ー!」
「抱いてー!」

声援は大げさに跳ね返り、周囲の男子生徒たちは手を振りながら騒いでいる。
カイルは、ニヤリと笑って応えた。

「カワイ子ちゃんたち~、今日も元気だね~」

語尾が自然に伸びる。軽薄で、ふざけた調子の声。
その瞬間、学園中の目が自分に向けられているような錯覚を覚える。
この振る舞い――ピンク髪でチャラい口調で振る舞うこと――は、まさにゲームの中の自分そのままだ。

「……自然と出てくるんだよな……」
心の中で独りごちる。
本当は誰にも見せたくない、素の自分の孤独を隠すための仮面だ。
誰も自分の内面を知らず、甘やかしてもくれない。
だから、軽薄に、笑顔で、愛されているふりをする。

その時、横から冷たい声が響いた。

「少しは普通に喋ったらどうですか」

振り返ると、義弟のイオが腕を組み、眉をひそめて立っている。
イオの視線は、苛立ちと困惑が混ざったものだ。

「……イオ、なんだよ、朝から機嫌悪いのか?」
カイルは口角を上げて笑う。
だが、どこかぎこちない。

「昔は、こんな喋り方でも性格でもなかったでしょう。
 どうして、急に……」

イオの声には、失望とも怒りともつかない感情が含まれていた。
学園に入る前から一緒にいたイオだからこそ、カイルの変化が許せないのだろう。

「……だって、誰からも愛されたことないし」
カイルは少し声を落として答える。
「愛されないなら、偽物のふりをして愛されてるようにするしかないじゃん」

イオは、言葉を失い、しばらく黙ってカイルを見つめた。
カイルは、そんな弟の視線を軽く受け流す。
外では笑顔を振りまく仮面の裏に、孤独が隠されていることを、誰も知らないまま。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた

BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。 断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。 ーーそれなのに。 婚約者に婚約は破棄され、 気づけば断罪寸前の立場に。 しかも理由もわからないまま、 何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。 ※最終的にハッピーエンド ※愛され悪役令息

王太子殿下は悪役令息のいいなり

一寸光陰
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」 そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。 しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!? スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。 ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。 書き終わっているので完結保証です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

英雄の溺愛と執着

AzureHaru
BL
転生した世界は前世でどハマりしたBLゲーム。最推しは攻略対象!ではなく、攻略対象達の剣術の師匠である、英雄の将軍閣下。メチャクチャイケオジでドストライクだった主人公はこのイケオジみたさにゲームをやっていた。その為に、ゲームの内容など微塵も覚えていなかった。 転生したからには将軍閣下を生でみないとというファン根性で付きまとう。 付き纏われていることに気づいていた将軍だか、自分に向けられる視線が他とは違う純粋な好意しかなかったため、戸惑いながらも心地よく感じていた。 あの時までは‥。 主人公は気づいていなかったが、自分達にかけらも興味を持たないことに攻略対象者達は興味をそそられ、次第に執着していく。そのことにいち早く気づいたのは剣術指南役の将軍のみ。将軍はその光景をみて、自分の中に徐々に独占欲が芽生えていくのを感じた。 そして戸惑う、自分と主人公は親子ほどに歳が離れているのにこの感情はなんなのだと。 そして、将軍が自分の気持ちを認めた時、壮絶な溺愛、執着がはじまる。

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

塩対応だった旦那様の溺愛

詩河とんぼ
BL
 貧乏伯爵家の子息・ノアは家を救うことを条件に、援助をしてくれるレオンハート公爵家の当主・スターチスに嫁ぐこととなる。  塩対応で愛人がいるという噂のスターチスやノアを嫌う義母の前夫人を見て、ほとんどの使用人たちはノアに嫌がらせをしていた。  ある時、スターチスが階段から誰かに押されて落ち、スターチスは記憶を失ってしまう。するとーー  作品を書き直したものを投稿しました。数日後、こちらは削除いたします。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

処理中です...