悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧

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生徒会には雑務から裏方仕事まで様々な役割があるが、もっとも表に出る代表的な仕事といえば生徒総会だ。

生徒総会は、人気投票によって選ばれた生徒会役員が全校生徒の前に立ち、活動方針や学園の方針を報告する場である。

だが今日の目的は少し違う。今年度の生徒会メンバーのお披露目だ。

ステージ袖から壇上を横目で眺める。
さすが人気投票で選ばれただけあって、立ち並ぶ顔ぶれは全員が美形で、きらきらした集団だった。

一人ずつ壇上に上がるたび、会場からは信じられないほど甲高い歓声が上がる。

先頭に立つのは、生徒会長――レイン王子。

王族という肩書きを抜きにしても、彼は別格だった。勉強もスポーツも何でもこなし、圧倒的なカリスマ性で自然と人を惹きつける。

俺様気質で傲慢なところはあるが、透き通るような金髪に、王子様と呼ぶにふさわしい端正で気品のある顔立ち。その姿だけで、生徒たちの視線は完全に釘付けだ。

その隣に立つのが副会長のローレンス。

蒼い髪色と優美な美貌、常に完璧な笑顔を崩さない理想的な副会長――表向きは、だが。

実際の彼は腹黒で、自分にも他人にも容赦がない完璧主義者だ。笑顔の裏でどれだけの生徒が震え上がってきたことか。

そして書記のイオ。

義弟である彼は、さらさらとした黒髪に人形のように精巧な顔立ちをしている。

誰に対しても分け隔てなく優しく、自然と人望を集めるタイプだ。俺とは正反対の性格だと、改めて思う。

……で、その隣に立っているのが、会計の俺。
ピンク髪で軽薄な笑みを浮かべた、いかにも信用なさそうな男。
場違い感がすごい。

ぼーっと彼らを眺めていると、ステージ袖から鋭い視線が突き刺さった。
風紀委員長のキースだ。

生徒会と同じく人気投票で選ばれた彼は、眉目秀麗ではあるが、その目には常に氷を湛えている。

違反者を見逃さない監視者の視線。
チャラ男の俺とは、最初から相性が最悪だ。

(今日も後でぐちぐち言われるんだろうな……)

そんなことを考えているうちに、俺の番が回ってきた。
壇上に立ち、いつもの笑顔を貼り付ける。

「選んでくれてありがと~! みんな、一年間カイルをよろしくね~!」

それだけ。
きゃー、という歓声が会場に響く。

真面目に長々話す必要もないだろう。俺はそういう役回りじゃない。

壇上を降りると、生徒会メンバー全員から冷たい視線が突き刺さる。
悪いとは思うが、謝る気はまったくなかった。

自己紹介が終わると、副会長のローレンスが一歩前に出て、学園の説明を始めた。

この学園では、すべてがポイントで購入できる。
街から隔離された学園であり、外部との往来は原則制限されているが、その代わり、学園内には寮、商業区、訓練区、学習区がすべて揃っている。

購買、娯楽、飲食、訓練、勉強――ここで生活のすべてが完結する。

学園内で使われる現金代わりのポイントは、学力、能力、普段の行い、学園への貢献、生徒からの評価などを総合的に判断して付与される。

ポイントは通貨であると同時に、情報や権限、特権すら購入できるものだ。

つまり、ポイントはこの学園における地位そのものと言っていい。

さらに、生徒会や各委員会の役職に就けば、ポイントは加算される。
だが、ポイントは生徒同士で譲渡も可能だ。そのため、私闘やギャンブルによってポイントを奪い合い、弱者が強者に支配される構図が生まれる。

そうした事態を防ぐため、常に目を光らせているのが風紀委員会だ。

壇上に立つ風紀委員長のキースは、生徒たちを睨みつけるように見回し、低く言い放つ。

「問題は絶対に起こすな。起こした奴から、地獄を見せてやる」

会場が一瞬で静まり返る。
俺はその空気に身を縮めながら、心の中でそっと決意した。

(……これ以上、問題は起こさないようにしよう)

少なくとも、表向きは。
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