7 / 14
7
しおりを挟む
生徒会には雑務から裏方仕事まで様々な役割があるが、もっとも表に出る代表的な仕事といえば生徒総会だ。
生徒総会は、人気投票によって選ばれた生徒会役員が全校生徒の前に立ち、活動方針や学園の方針を報告する場である。
だが今日の目的は少し違う。今年度の生徒会メンバーのお披露目だ。
ステージ袖から壇上を横目で眺める。
さすが人気投票で選ばれただけあって、立ち並ぶ顔ぶれは全員が美形で、きらきらした集団だった。
一人ずつ壇上に上がるたび、会場からは信じられないほど甲高い歓声が上がる。
先頭に立つのは、生徒会長――レイン王子。
王族という肩書きを抜きにしても、彼は別格だった。勉強もスポーツも何でもこなし、圧倒的なカリスマ性で自然と人を惹きつける。
俺様気質で傲慢なところはあるが、透き通るような金髪に、王子様と呼ぶにふさわしい端正で気品のある顔立ち。その姿だけで、生徒たちの視線は完全に釘付けだ。
その隣に立つのが副会長のローレンス。
蒼い髪色と優美な美貌、常に完璧な笑顔を崩さない理想的な副会長――表向きは、だが。
実際の彼は腹黒で、自分にも他人にも容赦がない完璧主義者だ。笑顔の裏でどれだけの生徒が震え上がってきたことか。
そして書記のイオ。
義弟である彼は、さらさらとした黒髪に人形のように精巧な顔立ちをしている。
誰に対しても分け隔てなく優しく、自然と人望を集めるタイプだ。俺とは正反対の性格だと、改めて思う。
……で、その隣に立っているのが、会計の俺。
ピンク髪で軽薄な笑みを浮かべた、いかにも信用なさそうな男。
場違い感がすごい。
ぼーっと彼らを眺めていると、ステージ袖から鋭い視線が突き刺さった。
風紀委員長のキースだ。
生徒会と同じく人気投票で選ばれた彼は、眉目秀麗ではあるが、その目には常に氷を湛えている。
違反者を見逃さない監視者の視線。
チャラ男の俺とは、最初から相性が最悪だ。
(今日も後でぐちぐち言われるんだろうな……)
そんなことを考えているうちに、俺の番が回ってきた。
壇上に立ち、いつもの笑顔を貼り付ける。
「選んでくれてありがと~! みんな、一年間カイルをよろしくね~!」
それだけ。
きゃー、という歓声が会場に響く。
真面目に長々話す必要もないだろう。俺はそういう役回りじゃない。
壇上を降りると、生徒会メンバー全員から冷たい視線が突き刺さる。
悪いとは思うが、謝る気はまったくなかった。
自己紹介が終わると、副会長のローレンスが一歩前に出て、学園の説明を始めた。
この学園では、すべてがポイントで購入できる。
街から隔離された学園であり、外部との往来は原則制限されているが、その代わり、学園内には寮、商業区、訓練区、学習区がすべて揃っている。
購買、娯楽、飲食、訓練、勉強――ここで生活のすべてが完結する。
学園内で使われる現金代わりのポイントは、学力、能力、普段の行い、学園への貢献、生徒からの評価などを総合的に判断して付与される。
ポイントは通貨であると同時に、情報や権限、特権すら購入できるものだ。
つまり、ポイントはこの学園における地位そのものと言っていい。
さらに、生徒会や各委員会の役職に就けば、ポイントは加算される。
だが、ポイントは生徒同士で譲渡も可能だ。そのため、私闘やギャンブルによってポイントを奪い合い、弱者が強者に支配される構図が生まれる。
そうした事態を防ぐため、常に目を光らせているのが風紀委員会だ。
壇上に立つ風紀委員長のキースは、生徒たちを睨みつけるように見回し、低く言い放つ。
「問題は絶対に起こすな。起こした奴から、地獄を見せてやる」
会場が一瞬で静まり返る。
俺はその空気に身を縮めながら、心の中でそっと決意した。
(……これ以上、問題は起こさないようにしよう)
少なくとも、表向きは。
生徒総会は、人気投票によって選ばれた生徒会役員が全校生徒の前に立ち、活動方針や学園の方針を報告する場である。
だが今日の目的は少し違う。今年度の生徒会メンバーのお披露目だ。
ステージ袖から壇上を横目で眺める。
さすが人気投票で選ばれただけあって、立ち並ぶ顔ぶれは全員が美形で、きらきらした集団だった。
一人ずつ壇上に上がるたび、会場からは信じられないほど甲高い歓声が上がる。
先頭に立つのは、生徒会長――レイン王子。
王族という肩書きを抜きにしても、彼は別格だった。勉強もスポーツも何でもこなし、圧倒的なカリスマ性で自然と人を惹きつける。
俺様気質で傲慢なところはあるが、透き通るような金髪に、王子様と呼ぶにふさわしい端正で気品のある顔立ち。その姿だけで、生徒たちの視線は完全に釘付けだ。
その隣に立つのが副会長のローレンス。
蒼い髪色と優美な美貌、常に完璧な笑顔を崩さない理想的な副会長――表向きは、だが。
実際の彼は腹黒で、自分にも他人にも容赦がない完璧主義者だ。笑顔の裏でどれだけの生徒が震え上がってきたことか。
そして書記のイオ。
義弟である彼は、さらさらとした黒髪に人形のように精巧な顔立ちをしている。
誰に対しても分け隔てなく優しく、自然と人望を集めるタイプだ。俺とは正反対の性格だと、改めて思う。
……で、その隣に立っているのが、会計の俺。
ピンク髪で軽薄な笑みを浮かべた、いかにも信用なさそうな男。
場違い感がすごい。
ぼーっと彼らを眺めていると、ステージ袖から鋭い視線が突き刺さった。
風紀委員長のキースだ。
生徒会と同じく人気投票で選ばれた彼は、眉目秀麗ではあるが、その目には常に氷を湛えている。
違反者を見逃さない監視者の視線。
チャラ男の俺とは、最初から相性が最悪だ。
(今日も後でぐちぐち言われるんだろうな……)
そんなことを考えているうちに、俺の番が回ってきた。
壇上に立ち、いつもの笑顔を貼り付ける。
「選んでくれてありがと~! みんな、一年間カイルをよろしくね~!」
それだけ。
きゃー、という歓声が会場に響く。
真面目に長々話す必要もないだろう。俺はそういう役回りじゃない。
壇上を降りると、生徒会メンバー全員から冷たい視線が突き刺さる。
悪いとは思うが、謝る気はまったくなかった。
自己紹介が終わると、副会長のローレンスが一歩前に出て、学園の説明を始めた。
この学園では、すべてがポイントで購入できる。
街から隔離された学園であり、外部との往来は原則制限されているが、その代わり、学園内には寮、商業区、訓練区、学習区がすべて揃っている。
購買、娯楽、飲食、訓練、勉強――ここで生活のすべてが完結する。
学園内で使われる現金代わりのポイントは、学力、能力、普段の行い、学園への貢献、生徒からの評価などを総合的に判断して付与される。
ポイントは通貨であると同時に、情報や権限、特権すら購入できるものだ。
つまり、ポイントはこの学園における地位そのものと言っていい。
さらに、生徒会や各委員会の役職に就けば、ポイントは加算される。
だが、ポイントは生徒同士で譲渡も可能だ。そのため、私闘やギャンブルによってポイントを奪い合い、弱者が強者に支配される構図が生まれる。
そうした事態を防ぐため、常に目を光らせているのが風紀委員会だ。
壇上に立つ風紀委員長のキースは、生徒たちを睨みつけるように見回し、低く言い放つ。
「問題は絶対に起こすな。起こした奴から、地獄を見せてやる」
会場が一瞬で静まり返る。
俺はその空気に身を縮めながら、心の中でそっと決意した。
(……これ以上、問題は起こさないようにしよう)
少なくとも、表向きは。
20
あなたにおすすめの小説
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
王太子殿下は悪役令息のいいなり
一寸光陰
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
英雄の溺愛と執着
AzureHaru
BL
転生した世界は前世でどハマりしたBLゲーム。最推しは攻略対象!ではなく、攻略対象達の剣術の師匠である、英雄の将軍閣下。メチャクチャイケオジでドストライクだった主人公はこのイケオジみたさにゲームをやっていた。その為に、ゲームの内容など微塵も覚えていなかった。
転生したからには将軍閣下を生でみないとというファン根性で付きまとう。
付き纏われていることに気づいていた将軍だか、自分に向けられる視線が他とは違う純粋な好意しかなかったため、戸惑いながらも心地よく感じていた。
あの時までは‥。
主人公は気づいていなかったが、自分達にかけらも興味を持たないことに攻略対象者達は興味をそそられ、次第に執着していく。そのことにいち早く気づいたのは剣術指南役の将軍のみ。将軍はその光景をみて、自分の中に徐々に独占欲が芽生えていくのを感じた。
そして戸惑う、自分と主人公は親子ほどに歳が離れているのにこの感情はなんなのだと。
そして、将軍が自分の気持ちを認めた時、壮絶な溺愛、執着がはじまる。
姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった
近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。
それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。
初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息
塩対応だった旦那様の溺愛
詩河とんぼ
BL
貧乏伯爵家の子息・ノアは家を救うことを条件に、援助をしてくれるレオンハート公爵家の当主・スターチスに嫁ぐこととなる。
塩対応で愛人がいるという噂のスターチスやノアを嫌う義母の前夫人を見て、ほとんどの使用人たちはノアに嫌がらせをしていた。
ある時、スターチスが階段から誰かに押されて落ち、スターチスは記憶を失ってしまう。するとーー
作品を書き直したものを投稿しました。数日後、こちらは削除いたします。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる