【完結】ただのADだった僕が俳優になった話

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あれから一週間

舞台の製作会社やスタッフ、各関係先はバタついている

昔アルバイトが店舗でイタズラした動画を投稿し、炎上して大変な事になっていたけど、それに似た状況になっている

多分、派遣のスタッフが漏洩したとかならここまで騒ぎにはならなかったんだと思う

けど、今回は出演者が勝手に投稿したせいで、初めは2人の降板で話がついたけど、その後動画が一気に拡散してしまって、舞台とか見ないのだろう人達からは、「それぐらいで降板させなくてよくない?」という人が出てきたり、見る人からは「ネタバレも良くないし、簡単に契約を破ることが問題。プロとしてあり得ない。降板は当たり前。」等とファンやそうじゃない人とのバトルが勃発してしまった

そして、矛先は何故かスポンサーや製作会社へ向かった

「あんな人達をキャスティングするからだ」
「あの2人は悪くない、もうここの商品は買わない」
「ちゃんと役者を管理しなかったのが悪い」
など、意味が分からない主張をぶつけている

僕に対しても、座長としてちゃんと見ているべきだったとか、実際は自分が撮らせて投稿させたんじゃないの?とか勝手なことを言う人もいたけど、そう言った人達は身元を特定され、曝されたりしてる

多分ファンの子達が特定して曝していると思うんだけど……証拠もないし、僕からは特にコメントしてない

マスコミも僕達には取材とか来なくて、逆にメディアでは、僕の初主演作品を台無しにするために、2人が普段から態度が悪かったりやる気が無かったと報道されている

ネットの一部の反応に激怒中の製作会社やスタッフ・スポンサーは、マスコミにあの2人の普段の様子を暴露して、「あの事件がなければ注目されなかった役者2年目が主演なんて、絶対認めない。ぶっ壊してやる!」と言っていた事などをインタビューで答えていた

騒動は泥沼

僕や六花は事務所が完全に守ってくれてて、他の仕事への影響はない

他の仕事先の人も、大変だねぇとは言うものの、それだけで普通に接してくれている

そして遂に舞台中止の発表がされた





『本来は2人の降板で、代役を立てて続行する予定でしたが、問題を起こした2人ではなく、他の出演者や関係先への誹謗中傷の声があり、中には生命を脅かすようなメッセージを頂くことも有った為、中止せざるえなくなりました。

また、今回騒動の発端となった2人には各関係先への損害賠償支払い義務が生じ既に手続きに移行しております。

舞台を楽しみにしていたお客様にはご心配とご迷惑をお掛け致しましたことを心よりお詫び申し上げます。

なお、これ以上関係者への誹謗中傷並びに危害を加えるなどの行為が発覚した場合、法的処置をとらせていただきます。』

と、ホームページやSNS、各メディアに報告された

反響は大きかった

この件以降、各芸能事務所はコンプライアンスの徹底を在籍者に指導したり、現場でも指導されるようになった


因みに、中止の発表がされるまで、事務所よりもガルガルしていたのは響さんだ

響さんの現場では、僕は大丈夫かとあちこちから聞かれたらしい

最初は心配してくれて有難いと思っていたみたいなんだけど、時間が経つにつれ「もし中止になったら仕事をオファーしたい」とか「せっかくだから、遊びに誘いたい」とか「今度あるワークショップ来ないかな?」とか言われ続けて、仕事後はガルガルしちゃって大変だった

響さんは普段から楽屋でも、自分の事は基本的に自分でするし、時間が無い時以外は志野さんに何か頼むことはない

スタッフや共演者にも腰が低く偉そぶらない

けどここ数日は、自分の仕事が終わったら直ぐに志野さんに僕の現場まで送迎させ、帰る時は志野さんの車に頼さんを乗せ、僕は響さんと自宅に帰る

仕事の付き合いの飲み会は断り、僕が家に居ると速攻で帰ってくる

事務所で仕事の時は、バックハグからの周囲をガルガル威嚇

そんな響さんを見た永倉さんは面白がって、写真付きで《ガルガル期の響》と書いてファンへ発信

動画騒動の裏で、僕と響さんのファンは平和にキャッキャしていた

舞台の中止後もガルガル期が続きそうになっていたんだけど、さすが永倉さん

突然の仕事をぶち込んできた

その仕事は、映画「涙の花束を」の続編の映画が来年の冬公開、撮影は3カ月をかけて僕と響さんは海外での撮影
他の方は、その前から日本で撮影して、海外へ合流になるとの事


確かに半年後、写真集の仕事が海外で有ったのは記憶してる
何かのイベントへ出席するとか、バラエティーとかの仕事もあるって聞いてた

まさかその映画関係だとは思わなかった

その話を聞いた響さんはガルガル期をピタリと終えて、永倉さんを社長室へ拉致して詳しい話を聞いていた

僕と六花の仕事は、舞台が無くなったことで事務所でガッツリとレッスンを受けようと話していたけどそこは流石頼さんと六花のマネージャーさん

すぐに他の仕事を持ってきました





本来なら舞台初日だった今日、六花と共に永倉さんに呼び出された

なんでも、舞台が中止になった原因の2人についての話しとかその他もろもろと言われている

社長室に行くと、知らない人が一緒に居た

永倉さんに紹介されたのは、あの2人の事務所の統括マネージャーだった

今回の事への謝罪に来たらしい

あの2人がSNSを個人で勝手に開設し、日々の活動を投稿していた事が今回分かったらしい
勿論事務所が用意したSNSもちゃんとあるらしいが、そちらは全然更新されていなかったとか…

だからフォロワーが少なかったのかと納得した

既に全てのSNSは使えないようにしていて、2人には今回の損害賠償金を全額支払う義務が生じているとの事

その額を聞いて僕達はドン引きした

2人を解雇する予定だったけど、その額じゃ普通の仕事では何年かかるか分からないので、事務所の子会社で働くことになったそうだ

2人に反省の色はなく、彼らのファンも3人くらい名誉毀損、侮辱罪、威力業務妨害で逮捕者が出ているらしい

何度も頭を下げて統括マネージャーさんは帰っていった


「2人共、さっきあの2人子会社で働くって言ってただろ?」

「はい、事務所に子会社とかあるんですね?」

初めて聞いた

グループ会社とかならわかるけど

「あー…子会社って言うか、違う部門なんだよ。あそこ、AVの会社もやってて、その男優とか女優のマネージメントしてんだわ」

永倉さんの言葉に飲みかけていた水が気管に入ってしまった

ゲホゲホ咳をしている俺を可哀想な子みたいに見ないで!
そりゃビックリするでしょ!!
六花までそんな目で見ないでよ!


「ちなみに、アイツらは抱かれる側だそうだ」

「「は?」」

「アイツらが出演するのはBLの方ってこと。顔は良いから需要もあるだろうって、お前達が来るまで話してた」

あっけらかんと言ってくる

「それ、2人は了承したんですか?」

「一応な。芸能界には復帰できない、でもとんでもない額の借金はできる。今でさえ雇ってくれる所があるかどうか分からんのに、自己破産なんてしたら、ニュースになるだろうし余計仕事なんて無くなる。
借金が無くなっても、あの年で自己破産なんてしたら生き辛くなるだろ?
だから、向こうの事務所は言いくるめて転職させたってところだな」


「…世間って怖いですね」

真面目に、軽率な事はせずに生きていこうと心に誓った






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