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ライル
しおりを挟む「よし、計画通り!」
子爵家を抜け出してから数週間、私は市場の老婆や魚屋のおじさんの助けを借りつつ、ついに次の町へと旅立つ準備を整えた。
手元には、風呂敷と少しのお金、そして老婆がくれたお手製のパンがある。
「さて、次の目的地は……どこでもいい!」
自由という言葉の響きがこれほど心地よいものだとは思わなかった。
新しい町へ向かう途中、私は小さな森を抜けることにした。地図上では近道だったけれど、思った以上に道が険しい。
「これ、本当に近道なの?」
ぶつぶつ文句を言いながら進んでいると、突然どこからか声が聞こえてきた。
「お嬢ちゃん、危ないぞ!」
振り向く間もなく、私は何かに引っ張られて地面に倒れ込んだ。目の前には罠が仕掛けられた大きな穴が!
「うわっ、危なっ!」
私を助けてくれたのは、ボサボサ頭にくしゃくしゃの服を着た青年だった。
「君、こんな森で何してるんだ? 女の子が一人で歩くなんて。」
「えーっと、旅をしてるの!」
思わず勢いで答えてしまったけど、どう見ても不審がられている。
「旅……ねえ。まあいいや。俺はライル。君は?」
「リリィよ! 助けてくれてありがとう、ライル!」
ライルはこの辺りで冒険者をしているらしい。森の中の危険な場所を調べている途中で、私を見つけたのだとか。
「で、リリィ、君の家はどこだ?」
「えっと……今は別行動中かな!」
もちろん嘘だ。子爵家から逃げてきたことなんて、口が裂けても言えない。
「まあいいか。それより、この先の町は危険だから、俺が案内してやるよ。」
「ほんと!? 助かるー!」
ラッキー! 一人旅にちょっと飽きてきてたところだったし、ライルみたいな頼りがいのある人が一緒なら心強い。
ライルと一緒に歩きながら、私はさっそく風呂敷の力を活用してみることにした。
「ライル、これ見て!」
風呂敷を木の実に被せて、「成長を進めて」と念じると、あっという間に熟した美味しそうな果実ができあがる。
「え、何それ!? 魔法道具か?」
「まあね!」
ライルは目を丸くして驚いていたけど、私にとってはこれくらい序の口だ。
「これ、食べる?」
ライルに果実を渡すと、彼はしばらく警戒してから口にした。
「うまっ! これ、もっと出せないのか?」
「ダメー! 貴重な道具なんだから!」
こうして、ライルは私の風呂敷に興味津々になりながらも、私のことを「ただの女の子じゃない」と認識してくれたようだ。
ライルと一緒にたどり着いたのは、森の外れにある小さな町だった。
「ここがエストレアの町だよ。小さいけど、冒険者には便利な場所だ。」
「へえ、面白そう!」
町に入るや否や、ライルは顔なじみの人たちに声をかけられていた。その隙に、私は市場を歩き回る。
「あれも美味しそう、これも食べたい!」
食べ物の誘惑に負けて、つい屋台でいくつか買い食いをしてしまった。だけど、これが後々大事件を引き起こすことになるとは……。
市場を歩いていると、突然、私のカバンから風呂敷が飛び出した。
「え、ちょっと待って、何してるの!」
風呂敷は勝手に市場の品物に巻きつき、次々と時間を巻き戻してしまう。腐りかけていた果物が新鮮になるのはいいけれど、調理済みの料理が材料に戻ってしまうなど、大混乱を引き起こした。
「誰だ! 市場を荒らしてるのは!」
「や、やばい……」
逃げようとしたけど、すでに周りは大人たちに囲まれていた。
その時、ライルが現れて私を庇ってくれた。
「みんな落ち着け! この子は何も悪いことしてない。ただ、魔法道具の調子が悪いだけだ!」
「え、ほんとか?」
「俺が保証する。」
ライルの説得のおかげで、なんとかその場を切り抜けることができた。だけど、彼にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
町にいる間、ライルに連れられて冒険者ギルドを訪れることになった。
「リリィ、お前もここで登録しとけよ。何かと便利だからな。」
「冒険者!? 私が!?」
私が冒険者なんて、ちょっと無理がある気がするけど……。でも、自由に生きるためにはこれもアリかも!
「やるやる! 冒険者になる!」
受付のお姉さんは最初は呆れていたけれど、ライルの後押しもあって、なんとか登録が認められた。
「ただし、ライルが責任を持つことね。」
こうして私は正式に冒険者になった。
リリィ、冒険者としての第一歩を踏み出す
冒険者ギルドでは、簡単な仕事から始めることになった。お使いや荷物運び、採取クエストなど、誰でもできる内容が中心だ。
「やるぞー!」
初めてのクエストでは、風呂敷を駆使して効率よく仕事をこなしたおかげで、ギルド内でもちょっとした評判に。
「リリィ、なかなかやるな!」
「えへへ、任せて!」
こんな感じで、私はライルと一緒に自由で楽しい毎日を過ごすようになった。
平穏な日々が続くかと思いきや、そんなに甘くはない。この町でも何やら厄介な事件が起きているらしい。
「リリィ、次はちょっと危険な仕事に行くぞ。」
「えっ、危険ってどれくらい?」
「まあ、命を落とす可能性は低いと思うけど……。」
どうやら、私の冒険者としての本格的な試練が始まるようだ。
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