幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ

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聖環が…

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教会の中は静かで、空気が澄んでいた。
大理石の柱の奥、大祭壇の上――そこに、問題の王冠状の聖環はあった。

白銀の輪に羽根のような装飾、中央には淡く曇った宝珠。
本来は、聖女がその身に戴き、触れるだけでどんな病も癒やすと伝えられる神聖な魔道具。
だが、いまは壊れて動かなくなったレプリカのようなものとしてただの装飾品扱いされていた。

「本当に、壊れてるのかな……?」

柵の向こうから眺めながら、ふと呟いく。

「もしかして、中身だけ生きてるとか……ほら、魔道具って外から見ただけじゃわからないし……」

「さすがリナ、マニアックなこと言うな」

「べ、別にマニアじゃないです」

ふくれたまま、腰掛けにしていた柱の根元に体重をかけた。
そのとき――

ガタッ……

「えっ?」

何かに引っかかるように、台座の足が浮き、聖環がバランスを崩して――

「落ちるっ!?」

「リナァァァ!!?」

――カシャン!

宝珠のついた純白の聖環が床に転がり銀の羽根が一枚折れた。

「う、うそ……!? こ、壊しちゃった……!!」

「お、おれ、なんもしてないぞ!? リナ何やってんだよ!」

慌てて駆け寄り聖環を拾い上げる。
銀の羽根が少し歪み宝珠は今にも外れそうにぐらついている。

「ど、どうしよう……! あわわ……あんな高そうなの、直せるわけ……!あ、直せるか」

手が震える。でも集中したときの“あの感じ”が訪れる。
銀の羽よくっつけ!
それが今、この銀の聖環に宿った“何か”と、ゆっくりと呼応していく――

「……なおれ」

ぽつりと、リナはつぶやいた。


音もなく、宝珠が微かに光った。





「…やば」

「な、なあ、聖環、光らなかったか?」

「ちょ、カイル兄様黙って!しー」

そーっと聖環を台座に戻して、カイル兄様の袖をつかんで素早く静かに撤退する。
なんだか大聖堂の空気がじんわりと澄んできて

――「聖女の聖環が……?」

後方にいた神官たちがざわめき出し、慌てて走り寄ってきた。

「ど、どういうことだ!? ずっと壊れていたはずの“永遠の慈愛”が……!」

「ああ、神よ!」

慌てたり祈りだしたりする神官たちの合間をぬって教会からなんとか脱出することができた。

「ふー」

確かに折れた羽は直った。けど、ついでに“セラフィック・サークレット・オブ・エターナル・グレイス”そのものを直してしまった。
そんなことがバレたらうっかり“セラフィック・サークレット・オブ・エターナル・グレイス”を頭にかぶせられて王太子の妃とかにさせられて永遠の慈愛の聖女とか言われちゃうかもしれないじゃないか。
そんなことになったら欲しいものなんか言わなくても超高級品が手に入っちゃって、毎日宝石みたいなお菓子が山盛り用意されて……

節約と金儲けの楽しみがなくなっちゃうじゃないか!
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