幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ

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あの耳かき

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うん、あんな暴君を世に放つことにならなくて良いことしたな!と満足した私は、セデル村にお土産を買って宿に着いて今日の出来事を思い返してみる。

そういえば最近魔法が強くなったか、効率的になっているような気がする、

というかこの耳かき。

私はポーチから銀で作られた耳かきを取り出す。
この耳かきと言えば、そう父様が騙されて高額で買わされたあの「魔力がこもる耳かき」だけれども、普通に耳かきとしては使えるのでみんなで使っている。
この耳かきにリペアの魔法を試しても特に何も変わったことがなかったと思ったけれども、なんとなくだけれども、体の中の魔力が整うような気がする。
「魔力がこもる」じゃなくて「魔力がこもらない」って感じで、魔力の巡りが良くなってる。

おまけに同じ耳かきを使っているカイル兄様や父様も以前はほとんどできなかった身体強化が最近うまくできるようになったと言っていたような気がする。
単に稽古の時間が増えて上手くなったのかと思っていた。

けれども、もしかするとこの耳かきって本当に…

マール婆さんも刺繍が速くなったと言っていたし、
ゴフじいさんも考えが早くまとまるようになったと言っていたし、
私のリペアの魔法で体の調子が良くなったからだと思ってたけれども、もしかすると…

私が考え事をしながら耳かきをしていると


「そういえば、教会に耳かきをする聖女の絵があったよなぁ」

カイル兄様が着替えを済ませて近くに来た。

「あぁあったなぁ。変な絵だよなぁ」

父様も同意する。

「そんな絵あったかな」

あの時の私は慌てふためいていて、聖環のあれこれで周りを見る余裕がなかった。
それにしても、耳かきをする聖女の絵って、どんな絵だろう?

この国には「聖女」と呼ばれる人たちがいる。
と言っても、別に全員が光り輝く奇跡の力で病を治したり、天から舞い降りたりするわけじゃない。

だいたいは、教会にいて祈ったり、お世話をしたり、子どもたちにお話を読んだりする、いわゆる「清楚なお姉さん」みたいな存在だ。
ただし衣装がちょっと可愛い。

しかも、聖女になるのに魔力は必要ない。
なる気があればなれる。
そう、ハードルは低い。志さえあればあなたも今日から聖女。転職も簡単。
だから、聖環も「聖女の聖環」などと表現されることもあるが、実際は誰でも使える。

けどたまーーーに、ほんとにすごい聖女がいる。

例えば、触れるだけで傷や疲れが取れる「癒しの魔力」を持っていたり、
まるで絵から抜け出したみたいに美しくて、歩いてるだけで信者が増えていったり。

教会にある聖女の絵はそういうすごい聖女をモデルにしている。

でも、そんなのは本当に一握り。

ほとんどの聖女は、普通にご飯食べて、普通に祈って、普通に昼寝している。
昼寝は義務ではないけれど、だいたいしていると思われる。






「さあ、夕飯を食べにいこう」

「はーい」

父様の声かけで耳かきのことはいったん忘れて、私達は宿の食堂におりていく。
お貴族様だけど、とっても庶民な私達は当たり前のように宿屋に馴染んでいて、普通に食堂でご飯も食べちゃう。
もちろん変装せずとも周囲に溶け込んで怖いくらいだよ。
まあ、他のお客さんのおしゃべりで色々知ることができて楽しいしね。

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