私は秘書?

陽紫葵

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私は秘書?

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うちの職場のビルは、12階建てで、今までの課は5階だったが、支社長室は11階の高層階にある。
異動日の前日の昼休み、挨拶に行った。
ノックするが応答がない。
もう、来てるはずなんだけど。
11階には休憩室もあって、座って一息ついてた。
しばらくして、背後から声がし、振り向くと、上篠さんが立ってた。
「丹代」
「あ、ご無沙汰です」
「おぉ。元気そうだな」
「え、まぁ。あの、明日から、」
「おぉ、よろしくな」
と、肩に手をやった。
「丹代は電車通勤だっけ?」
「いえ、今は車ですけど」
大学生の頃に免許は取ってたけど、上篠さんがいた頃は電車通勤だった。あの後に車も買って、車通勤になった。
「じゃあ、丁度いいや。帰りさ、また寄って、俺を乗せてってくれない?」
「え、車乗ってきてないんですか?」
「あぁ。また行き来しなきゃいけないし、電車の方が楽だしな」
「行き来って?」
「俺、代行みたいな感じだから、こっちにいるのは週2日か3日だけだから」
「じゃあ、私は?秘書って言われてるんですけど」
「丹代には、俺がいない日も留守頼むよ」
「留守って?」
「ちゃんと仕事は残すから」
「何か大変そうなんですけど」
「ま、明日、ちゃんと話すよ。で、ホテル住まいだから、送り迎えしてよ」
「え、私の運転で?」
「運転は変わってもいいけど」
「その方がいいかも」
「ま、取り敢えずよろしくな」
「はい」
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