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しおりを挟む「ごめんなさい。エルム様…」
「はぁ…招待している人に誰がくるかを伝えるのは重要なことだよ?サプライズだなんて僕は教えてないはずだ」
「ごめんなさい…」
私は何か幻を見てしまっているのだろうか、
メイドが入れてくれた紅茶を飲みながら視線はチラリと2人を行ったり来たりしていた
私の記憶が正しければ2人は義務的に行われていたお茶会以外で話しているところを見たことがない
(「特にロベリアなんて完全にエルムを避けていたはずよ。それなのに、エルム『様』だなんて、」)
驚いてることは1ミリも表情に出さず喧嘩?している2人に笑顔を向け声をかけた
「エルム、私はそんなに気にしていないしロベリアも反省しているようだから許してあげて」
「…ここでは一旦この話はやめよう。リア、あとで僕の部屋に」
「は、はい!」
相変わらず無表情でロベリアに話しかけるエルムとそのエルムに恋する乙女のごとく目を光輝かせてみているロベリアの光景に私はただただ驚かされていた
それに、エルムがロベリアをリア、と愛称で呼んでいることにも驚いた
私の驚きの嵐に吹かれた心の中とは裏腹にエルムの横に座るロベリアはにっこりと笑顔を向けて私に話しかけてきた
「リリスお義姉様とご一緒にお茶を飲めるなんて幸せです」
「え、あ、そうね。私もロベリアとは改めて話をしたかったわ」
話をしたかったのは本当だ
1ヶ月後には私の成婚式を迎える予定だ
私たちの成婚式が終わったさらに3ヶ月後にエルムとロベリアも結婚すると聞いている
つまり彼女は小侯爵夫人になるわけで、王太子妃となる私はいい加減しっかりしなさい、とお小言を言うつもりだったのだが
(「今のロベリアには要らぬ心配だったのね」)
椅子に座る姿も背筋を伸ばしてちゃんと座っているし、ソーサーとカップを持つ仕草も問題がない
話し方だってしっかりと話せてあるし、ドレスも相手に不愉快な思いをさ流ようなものではなく淑女らしいドレスを着ている
それに見た限りでは婚約者であるエルムとは関係は良好なようだ
「アマリリスはいつまで屋敷にいるんだい?」
「あと2週間程度はいる予定よ。その間にエクルストン大公妃殿下とお茶会をする予定よ。」
半年前に成婚式をあげたエクルストン大公夫妻は今では貴族、国民達からの憧れの対象となっている
仲睦まじく社交の場に出ている姿や、領地の視察をこまめに夫婦で行っているなど精力的に動いてる2人に憧れる人が多いと聞く
今をときめくアイリス妃殿下には紆余曲折あって殊更に仲良くしてもらえてることは私としてもありがたいことだった
「アイリス妃殿下か…アマリリス。どうかそのお茶会にリアも連れて行ってくれないか?」
「ロベリアを?」
「私からもお願いいたします。リリス義姉様が結婚された後に私も小侯爵夫人になりますから、少しでも交流を広げておきたいのです」
「そうね…」
エルムとロベリアからのお願いに私は考え込む
たしかに、小侯爵夫人になる彼女に王妃に次ぐ高貴な身分の大公妃殿下を紹介することは王太子妃になる私にしかできないことだ
ただ、どうしてもすんなりとロベリアをアイリス妃殿下に紹介することがわたしには抵抗があった
「少し、考えさせて。いくらロベリアが礼儀作法ができたとしても私の中ではあの頃のロベリアの印象が強すぎるから」
「それは、もっともだな。アマリリスはロベリアと長らく関わっていなかったからね」
私の言葉にエルムが顎に手を当て考え込む
どうにかロベリアを連れて行けるように考えているのかもしれないが、
「それに、今回のお茶会は私と妃殿下の2人だけなの」
「あぁ、それはリアを連れて行くのは無理だな。わかったよ。また次の機会に頼んでもいいかい?」
「ええ。その間に私がロベリアに対する印象が払拭できていればね」
最後の一口になった紅茶を飲み干してエルムとロベリアに視線を向ける
遠回しに、連れて行くつもりはない。という意味で言葉を伝えたのだ
私の遠回しの言い方の意味を捉えたエルムは苦笑し、ロベリアはキョトンとしている
「お義姉様!私頑張ります!お義姉様に認めてもらえるように頑張りますわ!」
「そう。頑張って」
嬉しそうな瞳を浮かべてニコニコと笑っているロベリアを見て、こんな笑顔を今まで向けられたことがあっただろうかと思い返す
私の記憶のロベリアはいつだって私を睨みつけていた姿しか思い出せない
「ごめんなさい。午後からは用事があるから」
先に失礼するわね。と2人に伝え庭園を後にする
色々と調べなければならないことがあるからだ
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