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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
デビュタント 1
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スペンサー侯爵家では、朝から忙しい。そう、今日はついにデビュタントの日なのだ。おば様のオススメの香油を使ったスペシャルケアで、2週間前からひたすら磨かれ続けてきた。多分、私よりおば様が気合い入っている。
しかも、久しぶりだからダンスが心配と言ったら、おば様の心に火をつけてしまったらしく、おば様の愛のスパルタレッスンが始まってしまい、従兄妹やおじ様に練習を付き合ってもらう。2人とも、ニコニコして練習に付き合ってくれたから良かったけどね。
ドレスは少し前に、お母様とおば様と3人で議論して決めたやつ。やはりアラサーの感覚で、あまりヒラヒラ、ゴテゴテしてないのがいいと、デザイナーに希望を話しておいた。お母様とおば様は、デビュタントはみんな白ドレスだから、何か変化をつけたいと言い出して、色々と細かい注文をつけていたようだ。
湯浴みとエステを終え、髪をセットしてもらう。おば様のおかげで、髪はサラ艶なので、サイドを編み込んだ、ハーフアップにしてもらう。編み込んだところに、ダイヤモンドのユーピンを飾り、サイドに白薔薇の飾りを付けてくれた。
アクセサリーは、大きなダイヤのペンダントトップが付いたパールの二連ネックレスと、パールとダイヤのイヤリング。
ドレスはデビュタントらしく、少し大人っぽくしてくれたようだ。胸もいい感じに成長してくれたので、Vネックにして、下品にならない程度に胸元を開けたらしい。お母様とおば様が希望したプリンセスラインのドレスに、お母様が好きな大きなリボンと、おば様が好きな段々のフリルは背後に、前面は私が希望するシンプルだけど、品良く見えるようにしてもらった。
もうね、お母様とおば様のコラボしたドレスです!まぁ、2人が喜んでいるからいいか。
準備が終わると、おば様は私よりも喜んでいた。おじ様と従兄妹も、ニコニコして綺麗だと褒めてくれたので、テンションが上がる私。
デビュタント会場の王宮までは、おば様達と一緒に行く。エスコートは、私の知らないところで、イケメン従兄妹がしてくれることに決まっていた。従兄妹ともそれなりに仲良くなり、マリーとフィル兄様と呼び合っている。フィル兄様は、近衛騎士団の正装を着ていて、すごいカッコいい。眼福だ!
多分、フィル兄様のファンの令嬢に睨まれそうだから、今日も一応、念入りに全身に保護魔法をかけておいた。おば様達にも、保護魔法の練習と言って、かけさせてもらった。これでオッケーね。会場で聖女子メンバーに会ったら、こっそり保護魔法かけてあげよう。戦場と変わらないだろうからね。
今日はお父様は、国王陛下の側近としているらしく、一緒には行動出来ないと言っていた。しかし、ファーストダンスは絶対に、私と一緒に踊りたいと通したらしい。お母様は義兄がエスコートするようだ。
義兄も、静かに反省しているようなので、私は来週から、しばらくぶりに学園に復帰する。しかし、寮ではなくスペンサー家から通うことになっている。寮が懐かしいが、せっかく楽しく過ごせているのだからと、おじ様とおば様が言ってくれたので、もう少しお世話になることに決めたのだ。
レジーナと、ミッシェル、エリーゼは一度、スペンサー家に遊びに来てくれた。他の子達はずっと会ってないから、会うのが楽しみだわ。
…と、色々考えていたら、王宮に着いたようだ。
馬車から降りると…、お約束のどこかで見たことがある景色が広がっている。フィル兄様のエスコートで大広間に向かって歩いて行く。ん、みんなこっちををチラチラ見ているわね。あー、フィル兄様かっこいいからね。
デビュタントは国内の貴族がほぼ集まっているので、とにかく人が多い。迷子にならないように気を付けないとね。フィル兄様も、私の不安に気付いたのか、私の歩幅に合わせて、しっかりと手を握ってエスコートしてくれている。カッコいいだけじゃなくて、優しくて気遣いの出来る人なのだ。
目が合うと、優しく微笑んでくれる。…ご馳走様です!じゃなくて、この人はモテるわね。ふふっ。今日は、フィル兄様を巡って、令嬢方のどんなバトルが始まるのかしら。今から楽しみだわ。すこーし、離れた場所から見れたら面白そうね。大奥がテーマの映画やマンガが好きだった私としては、大人の女同士のバトルを見てみたいのだ!
ダンスパーティーが始まる前に、爵位の低い順から、国王陛下に挨拶をするらしい。フォーレス侯爵家もスペンサー侯爵家もかなり後の方になるらしく、王宮に来るのも、下位の貴族より遅めにしたらしい。そして、大広間近くにおば様が控室を用意してくれたようで、そこでお母様達と待ち合わせをする約束だ。
控室に入ると、すでにお母様と義兄は来ていた。義兄とは、涙を流した時から会ってなかったので、アラサーでも気不味い。うーん、どうしよう。
すると、手をギュッと握られる。ん?フィル兄様がエスコートしている手を、ギュッとしてくれたようだ。私と義兄のちょっとしたトラブルを知っているのかな?聞いていても、おかしくないよね。だって、何でスペンサー家に居候してるんだって疑問に思って、おば様あたりに聞いてそうだもん。きっと心配してくれたのね。本当に優しい人だわ。私は大丈夫の意味を込めて、手をギュッと握り返して、フィル兄様に微笑んでおいた。
お母様とおば様達は、私のドレスの話題で話し込んでいる。この2人、結構仲がいいのね。本当の姉妹みたい。その時、義兄が気不味そうに
「マリー、ちょっと話がしたいんだけど、いいかな?」
そうね。私も冷戦はつらいもの。
「お兄様、私もお話ししたかったですわ。お母様、少し向こうでお兄様とお話しをして来ます。」
「いいわよ。久しぶりだろうから、しっかり話して来なさい。」
どれ、窓側にでも行こうかと、歩き出そうすると、グイッと手を引っ張られる。えっ?
「マリー、2人で大丈夫?」
えっ?フィル兄様が真顔で聞いてくる。しかも手をがっちり掴んで、いつもと雰囲気が違うぞ。心配性なのね。
「はい。大丈夫ですわ。」
「…わかった。待ってる。」
おじ様、おば様も、フィル兄様を見て驚いているようだ。しかし、ごめん。今は義兄と話するのを優先します。
控室の窓側の隅で、2人肩を並べて話す。
「マリー。今までマリーが嫌がることをして、ごめん。これからは、気をつけるし、マリーが嫌なことはしない。だから、嫌いにならないでくれ。」
「本当ですか?私は普通の兄妹みたいに仲良くなりたいのです。」
「ああ。マリーが大切だから約束する。」
「大切?私がですか?」
「当たり前だ。大切だし、可愛くてしょうがない。」
サラッとシスコンっぽいこと言ってるけど、この人なりに、大切にしてくれているのは知っているのだ。
「じゃあ、あまりベタベタするのはやめて下さいね。」
「分かった。でも…、手は繋ぎたい。それは許してくれ。」
手を繋ぐと安心するのは本当なのね。そこは、折れてあげる?心の傷もあるだろうし。あっ、条件付けちゃおうか。
「手を繋ぐ事で、お兄様が安心するなら。でも、約束して欲しいことがあるのです。」
「約束して欲しい事?言ってみて。」
「小さい頃から、誰かに殺される夢を見ることがあるのです。それが、とても不安で。だから、お兄様は何があっても、私を殺さないでくださいね。私も悪いことは絶対にしないので、断罪もしないでくださいね。」
もしかしたら、私が悪役令嬢で義兄は攻略対象者かもしれない可能性があるからね。今のうちから、殺さない・断罪しないって約束をしてもらおう。誰かに殺される、怖い夢を見ることがあって、とても不安だからということにしておいて。ふふっ。
しかも、久しぶりだからダンスが心配と言ったら、おば様の心に火をつけてしまったらしく、おば様の愛のスパルタレッスンが始まってしまい、従兄妹やおじ様に練習を付き合ってもらう。2人とも、ニコニコして練習に付き合ってくれたから良かったけどね。
ドレスは少し前に、お母様とおば様と3人で議論して決めたやつ。やはりアラサーの感覚で、あまりヒラヒラ、ゴテゴテしてないのがいいと、デザイナーに希望を話しておいた。お母様とおば様は、デビュタントはみんな白ドレスだから、何か変化をつけたいと言い出して、色々と細かい注文をつけていたようだ。
湯浴みとエステを終え、髪をセットしてもらう。おば様のおかげで、髪はサラ艶なので、サイドを編み込んだ、ハーフアップにしてもらう。編み込んだところに、ダイヤモンドのユーピンを飾り、サイドに白薔薇の飾りを付けてくれた。
アクセサリーは、大きなダイヤのペンダントトップが付いたパールの二連ネックレスと、パールとダイヤのイヤリング。
ドレスはデビュタントらしく、少し大人っぽくしてくれたようだ。胸もいい感じに成長してくれたので、Vネックにして、下品にならない程度に胸元を開けたらしい。お母様とおば様が希望したプリンセスラインのドレスに、お母様が好きな大きなリボンと、おば様が好きな段々のフリルは背後に、前面は私が希望するシンプルだけど、品良く見えるようにしてもらった。
もうね、お母様とおば様のコラボしたドレスです!まぁ、2人が喜んでいるからいいか。
準備が終わると、おば様は私よりも喜んでいた。おじ様と従兄妹も、ニコニコして綺麗だと褒めてくれたので、テンションが上がる私。
デビュタント会場の王宮までは、おば様達と一緒に行く。エスコートは、私の知らないところで、イケメン従兄妹がしてくれることに決まっていた。従兄妹ともそれなりに仲良くなり、マリーとフィル兄様と呼び合っている。フィル兄様は、近衛騎士団の正装を着ていて、すごいカッコいい。眼福だ!
多分、フィル兄様のファンの令嬢に睨まれそうだから、今日も一応、念入りに全身に保護魔法をかけておいた。おば様達にも、保護魔法の練習と言って、かけさせてもらった。これでオッケーね。会場で聖女子メンバーに会ったら、こっそり保護魔法かけてあげよう。戦場と変わらないだろうからね。
今日はお父様は、国王陛下の側近としているらしく、一緒には行動出来ないと言っていた。しかし、ファーストダンスは絶対に、私と一緒に踊りたいと通したらしい。お母様は義兄がエスコートするようだ。
義兄も、静かに反省しているようなので、私は来週から、しばらくぶりに学園に復帰する。しかし、寮ではなくスペンサー家から通うことになっている。寮が懐かしいが、せっかく楽しく過ごせているのだからと、おじ様とおば様が言ってくれたので、もう少しお世話になることに決めたのだ。
レジーナと、ミッシェル、エリーゼは一度、スペンサー家に遊びに来てくれた。他の子達はずっと会ってないから、会うのが楽しみだわ。
…と、色々考えていたら、王宮に着いたようだ。
馬車から降りると…、お約束のどこかで見たことがある景色が広がっている。フィル兄様のエスコートで大広間に向かって歩いて行く。ん、みんなこっちををチラチラ見ているわね。あー、フィル兄様かっこいいからね。
デビュタントは国内の貴族がほぼ集まっているので、とにかく人が多い。迷子にならないように気を付けないとね。フィル兄様も、私の不安に気付いたのか、私の歩幅に合わせて、しっかりと手を握ってエスコートしてくれている。カッコいいだけじゃなくて、優しくて気遣いの出来る人なのだ。
目が合うと、優しく微笑んでくれる。…ご馳走様です!じゃなくて、この人はモテるわね。ふふっ。今日は、フィル兄様を巡って、令嬢方のどんなバトルが始まるのかしら。今から楽しみだわ。すこーし、離れた場所から見れたら面白そうね。大奥がテーマの映画やマンガが好きだった私としては、大人の女同士のバトルを見てみたいのだ!
ダンスパーティーが始まる前に、爵位の低い順から、国王陛下に挨拶をするらしい。フォーレス侯爵家もスペンサー侯爵家もかなり後の方になるらしく、王宮に来るのも、下位の貴族より遅めにしたらしい。そして、大広間近くにおば様が控室を用意してくれたようで、そこでお母様達と待ち合わせをする約束だ。
控室に入ると、すでにお母様と義兄は来ていた。義兄とは、涙を流した時から会ってなかったので、アラサーでも気不味い。うーん、どうしよう。
すると、手をギュッと握られる。ん?フィル兄様がエスコートしている手を、ギュッとしてくれたようだ。私と義兄のちょっとしたトラブルを知っているのかな?聞いていても、おかしくないよね。だって、何でスペンサー家に居候してるんだって疑問に思って、おば様あたりに聞いてそうだもん。きっと心配してくれたのね。本当に優しい人だわ。私は大丈夫の意味を込めて、手をギュッと握り返して、フィル兄様に微笑んでおいた。
お母様とおば様達は、私のドレスの話題で話し込んでいる。この2人、結構仲がいいのね。本当の姉妹みたい。その時、義兄が気不味そうに
「マリー、ちょっと話がしたいんだけど、いいかな?」
そうね。私も冷戦はつらいもの。
「お兄様、私もお話ししたかったですわ。お母様、少し向こうでお兄様とお話しをして来ます。」
「いいわよ。久しぶりだろうから、しっかり話して来なさい。」
どれ、窓側にでも行こうかと、歩き出そうすると、グイッと手を引っ張られる。えっ?
「マリー、2人で大丈夫?」
えっ?フィル兄様が真顔で聞いてくる。しかも手をがっちり掴んで、いつもと雰囲気が違うぞ。心配性なのね。
「はい。大丈夫ですわ。」
「…わかった。待ってる。」
おじ様、おば様も、フィル兄様を見て驚いているようだ。しかし、ごめん。今は義兄と話するのを優先します。
控室の窓側の隅で、2人肩を並べて話す。
「マリー。今までマリーが嫌がることをして、ごめん。これからは、気をつけるし、マリーが嫌なことはしない。だから、嫌いにならないでくれ。」
「本当ですか?私は普通の兄妹みたいに仲良くなりたいのです。」
「ああ。マリーが大切だから約束する。」
「大切?私がですか?」
「当たり前だ。大切だし、可愛くてしょうがない。」
サラッとシスコンっぽいこと言ってるけど、この人なりに、大切にしてくれているのは知っているのだ。
「じゃあ、あまりベタベタするのはやめて下さいね。」
「分かった。でも…、手は繋ぎたい。それは許してくれ。」
手を繋ぐと安心するのは本当なのね。そこは、折れてあげる?心の傷もあるだろうし。あっ、条件付けちゃおうか。
「手を繋ぐ事で、お兄様が安心するなら。でも、約束して欲しいことがあるのです。」
「約束して欲しい事?言ってみて。」
「小さい頃から、誰かに殺される夢を見ることがあるのです。それが、とても不安で。だから、お兄様は何があっても、私を殺さないでくださいね。私も悪いことは絶対にしないので、断罪もしないでくださいね。」
もしかしたら、私が悪役令嬢で義兄は攻略対象者かもしれない可能性があるからね。今のうちから、殺さない・断罪しないって約束をしてもらおう。誰かに殺される、怖い夢を見ることがあって、とても不安だからということにしておいて。ふふっ。
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