元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

従兄妹が帰ってきた

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 スペンサー侯爵家の生活にも少しずつ慣れたような気がする。おじ様もおば様もとても親切で、居心地のいい家だからかな。最近は2人とかなり打ち解けてきて、2人は私をマリーと呼んでくれるようになった。

 レポート作成や、刺繍もどんどん進めている。ただ、毎日それだと飽きてくるんだよね。
 そんな時、メイドのフィーネの手荒れに気付いてしまった。あっ、治癒魔法の練習しよう!と思い、フィーネの手荒れを治して、更に手のタレントみたいな白い手にしてみた。フィーネはクリクリの目を輝かせて喜んでくれたので、調子に乗った私は、ソバカスも消してあげた。フィーネは、鏡を見て涙を流し、私に一生ついて行きたいとまで言ってくれた。大袈裟だけど、嬉しいよね。
 おば様には、一応許可をとって、邸の使用人の手荒れや、ソバカス、腰痛、肩こり、火傷の跡や古傷で痛むところなど、どんどん治癒魔法で治しまくった。子供の頃よりも、かなり強い治癒魔法が使えるようになったと思う。みんな喜んでくれたから、次は誰を治そうかな。そう言えば、シミ・ソバカスはいけるから、シワも何とか出来ないのかな?と言っていたら、調理場のおばちゃんが私で試してみなよと言ってくれる。えっ?いいの?少しやらせて貰いますね。目尻のシワが気になると言ってたので、目の周りを中心にたるみが消える事を願いながら、魔法をかける。目元が若返ったぞ!ついでに視力も回復したらしい。やっぱり、エステサロンでもやろうかな?

 調理場のおばちゃんを中心に、使用人とも仲良くなれたから良かった。おば様は、治癒魔法を褒めてくれた。だけど、もっと練習する場が欲しいよね。

 クッキーに治癒魔法の力を込めて作る練習もしたいな。子供の頃によくやっていたけど、今ならもっと強力なのが作れる気がする。おば様に相談してみようかな。
 おば様に調理場の空いている時間帯にクッキー作りをしたいと言ってみたら、なぜか喜んでいた。令嬢がお菓子作りをするのは、賛否分かれるから、良かったわね。使用人達も、最近仲良くなってきたからか、どうぞーって感じ。じゃあ、お言葉に甘えて。領地にいる時によく作っていたクッキーを作ろう。あっ、セバスチャンは元気にしているかな?なんて思い出しながら、治癒の力を込めて生地を作る。焼くのは、料理人がやってくれるので、お願いした。
 良い匂いがしてきたー!焼けたかな?料理人がオーブンからクッキーを出してくれる。さすが、プロね。焼き加減バッチリ。少し冷ましてから、味見ね。久しぶりのお菓子作りを楽しむ私。ルンルンしていると、そこに…

「…姉上」

 ん?私を呼んでいるの?
 声をする方を見ると、調理場入口に、サラサラの銀髪に青い瞳のカッコいい騎士様が立っている。彼、私を見ているよね?銀髪に青い目は、おじ様の息子さん?っていうか、私の従兄妹かー!貴方の姉じゃなくて、従兄妹ですよと言おうとしたところで、少し離れたところから、おば様の声が聞こえる。

「フィル?帰って来たのね。あなた、そこで何をしているの?」

「………あっ。母上、今帰りました。その、懐かしい匂いがしてきたので、気になって覗いたのですが…。」

「ああ、マリーがクッキーを焼いているのよ。まだフィルには紹介していなかったわね。マリー、あなたにも紹介するから、こっちに来てくれる?」

 と言われたので、慌てて調理場から出て行く。

「マリー、私達の息子のフィリップよ。あなたの従兄弟になるのね。」
「フィル、フォーレス侯爵家のマリーベルよ。しばらく、うちで生活することになったの。」

「フォーレス侯爵家、長女のマリーベルと申します。よろしくお願い致します。」

「……あっ。こちらこそ、よろしく!」

「ふふっ。アンに似ているから驚いているのね。」

「…はい。驚きました。姉上が帰ってきたかと思いました。声まで似ているような気がします。」

「似ているわね。すべてがそっくりよ。まあ、家族が増えたと言うことで、みんなで楽しく過ごしましょう。フィルはずっと留守にしていたから、びっくりするわよ。あなたのお父様は、今、マリーが1番の生き甲斐になっているから。」

 生き甲斐って?私、ペットみたいな存在になってる?

 しかし、見れば見る程カッコいい従兄妹ね。これはモテるだろうな。おじ様に似てるわ。…うん、気を付けよう!イケメン騎士の貴族令息もなかなか危険な気がするからね。程々の距離感で揉めないくらいに、仲良く出来ればいいよね。

「マリー、クッキーは焼けたのかしら?」

「はい。さっきから冷ましているので、そろそろ食べれるかと思います。普通のクッキーですが、治癒魔法の力を込めて作ってみました。よろしければ、味見をして頂けませんか?」

「勿論よ。フィルも頂くでしょ?」

「…はい。頂きます。」

 調理場のおばちゃんが、焼きたてのクッキーを数枚お皿に取ってくれた。さすがおばちゃん、気が利くわね。それを、おば様と従兄弟の前に。

「お口に合えば嬉しいですわ。」

「まあ。良い匂いね。」

 おば様と従兄弟は、一口食べる。

「……マリー、…とっても美味しいわ。」

「…………美味しい。」

 美味しく食べてるように、見えないんだけど!なんか涙目になっているし、悲しそう。えー!久しぶりで失敗した?

「あの…、お口に合わなかったら、申し訳ありません。無理に食べなくても大丈夫ですわ。もっと練習しますので、ハッキリ言って下さった方が有難いですわ。」

「マリー、優しい味がして本当に美味しいのよ。これは、旦那様の分も取っておいてくれるかしら?泣いて喜ぶわ。」

「おば様が、そう言われるなら。」

「もっと、食べてもいいかな?」

「沢山焼きましたので、どうぞ。」

 すると、従兄妹はパクパクと何枚も食べる。無理して食べてないよね?

「フィル、いくら美味しいと言っても食べ過ぎよ。お茶の時間に、ゆっくり頂きましょう。」

「はい、母上。」
「ありがとう。本当に美味しかった。」

 おお!イケメン騎士の笑顔は眩しいな。
 私も釣られて微笑み返した。

 で、クッキーは、使用人達に試食してもらって、治癒魔法がどのくらい効いているのかを聞く。食べると元気になれるって言われたが、どの程度だろう?それをもっと深く知りたいから、また焼いてみよう。

 王宮から帰って来たおじ様にも食べて貰ったら、本当に泣きそうになっていた。えー、これくらいで?今後は、焼いたら王宮に差し入れに持って来て欲しいと言っていた。
 おば様は呆れていた。従兄妹は何とも言えない顔をしていた。
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