元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
113 / 161
ヒロインがやって来た

義兄と話を

しおりを挟む
 フォーレス侯爵家で生活することになった私。
 義兄は怒っているようで怖いが、両親がいるからなのか、今のところは、口煩くは言ってこない。それが、また怖いのだ。2人になった時にフィル兄様のことで色々言われそうだわー。地獄を見そうだわね。

 本来ならこっちが私の実家になるはずなのに、なぜかアウェー感がハンパない。フィル兄様が寝込みを襲って来たりしなければ、スペンサー家の居心地は最高だったと今なら思えるわ。離れてみて気付くってやつね。そういえば、スペンサー家を離れるってなった時、フィーネが涙を流していたし、メイド長もなぜか涙目になっていたわね。彼女達にはとにかく、お世話になったから、今度何かプレゼントを用意しよう。
 ここでは、気心の知れたアリーが私のメイドをしてくれるということが、唯一の救いだわね。

 明日からは学園だから、図書室で読書でもして、のんびり過ごそうかしら。そう思って、1人図書室で本を物色していると、誰かが図書室に入って来た音がする。振り返ると、……げっ!

「マリー、ここにいたのか!偶然だな。せっかくだから、ここに座って話でもしないか?最近、ゆっくり話す機会が無かったから。…いいよね?」

 ああ、死にませんように。

「勿論ですわ。」

 義兄は、自分の座るソファーの隣を指差す。えー!そこに座るの?もっと離れた斜め前くらいに座りたかったのに!
 少し間を空けて座るが…、義兄は間を詰めて座って来る。おい、近いだろ!と言いたいが、義兄が怒っているのが、何となく分かるので強く出れないビビりな私。

「マリー、フィリップ兄様と付き合ってるって本当?少し前までは、そんな風には見えなかったけど、何があったの?マリーは、フィリップ兄様が好きなの?」

 はぁー。聞かれると思ったわ。フィル兄様に襲われたとか、強引に流されたとかは言えないわね。

「フィル兄様から、思いを伝えられたので、付き合ってみようかと思ったのです。まだ付き合い始めたばかりなので、それくらいしか話せませんわ。」

「そんな説明で納得出来るわけないだろう。義父上から、そのことを聞いた時の俺の気持ちが分かるか?分からないよな。マリーには、俺の気持ちが全く伝わってなかったもんな。」

「そんな風に言われましても。」

 義兄がもし私だったとしても、あの色っぽいフィル兄様の誘惑から逃げるなんて、絶対に出来ないわよ!と言いたい。しかし、口が裂けても言えない。

「フィル兄様は、なんて言うか、愛情を素直に伝えてくれる方でしたので、それが嬉しかったのかも知れませんわ。でも、今はまだお付き合いしているだけですから。この先はどうなるのかは分かりません。フィル兄様は、令嬢方にとても人気のあるお方ですから。」

「はぁ?何言ってるんだ。俺のマリーを傷つけたりしたら、絶対に許さないし、二度と会わせない。義父上もそう言っていたよ。」

 お父様ねぇ。義兄とお父様って、気が合うみたいで、実は仲がいいのよね。お母様よりも、お父様の方が義兄に甘いし。

「そうでしたか。」

「まぁ、まだ付き合い始めたばかりらしいし、婚約したわけでもないから、俺は諦めない。マリー、俺はマリーを妹だなんて思ってない。ずっと昔から好きだった。フィリップ兄様が、もしマリーを裏切るようなことがあったら、遠慮なく奪うから。よろしく。」

 えっ?どういうことよ!

「お兄様は、私を異性として好きなのですか?」

「当たり前だろう?ずっと好きだった。まさかフィリップ兄様が出て来るとは思わなかったよ。あの人はモテる人だけど、誰と付き合っても本気にならない人だって、有名だったのに。しかも、マリーとフィリップ兄様は、本当の兄妹と変わらないと思っていたから。」

「私はお兄様は、シスコンを拗らせていたのかと思ってました。」

「はぁー。シスコンじゃなくて、マリーが好きなだけだよ。どうしたら分かってくれるかな。」

 義兄は私をじっと見つめる。そして、ガバッと私を抱きしめる。えっ、ちょっとー!誰かに見られてたら、ヤバいよね。

「俺の心臓がドキドキしてるの聞こえる?マリーといると、こんな風にドキドキするんだ。それくらいマリーが好きだよ。少しは俺のことを男として意識して欲しい。」

 義兄は私の額や頭にキスをする。
 これは、義兄は私を誘惑してる?うっ、義兄の顔が恥ずかしくて見れない私。

「お兄様、これはちょっと困ります。フィル兄様と付き合っているのに、私に裏切りをさせないでください。」

「困ればいいよ。ふっ。」

 義兄は私を離してくれるが、顔が笑っている。

「マリー、どちらにしてもこれからは一緒に暮らすのだからよろしくね。」

「はい。よろしくお願いします。でも、一応は兄妹なのですから、過度にベタベタはしないでくださいよ。」

「はいはい。でも手は繋ぐからね。」


 次の日。

 今日からまた1週間が始まる。今日からは、義兄と一緒に登校だ。義兄は今まで通りに手を繋いでエスコートしてくれる。

 学園では最近は誰も、私や腹黒達に絡んで来なくなった。売られた喧嘩は買う・倍にして言い返す・時々こっそり魔法でやり返すをやっていたら、面倒な人達だから、絡まない方がよいと認定されたようだ。義兄と手を繋いでいても、何も言われない。前に絡んで来た先輩方は、目が合ったので、微笑んで挨拶したら、「ひっ!」と声を上げて、そそくさと逃げて行った。

「マリー、強くなったな。」

「お兄様がいてくれるからですわ。」

「ああ、俺がマリーを守るよ。」

 義兄は緑の瞳を細めて微笑む。この表情は誰かに似ている気がする。誰かは分からないが、何となく安心するのよね。あっ!お母様に似ているからかしらね。

「頼りになるお兄様は、何だか騎士様みたいですわね。」

「…ああ。もっと頼ってくれると嬉しい。」


 義兄は口煩いが、根は優しい人ではあるのだ。怒ると怖いけど。

「マリー、今日は学園の帰りに、前に行ったカフェにスイーツでも食べに行く?」

「行きます!」

「ふっ!分かった。美味しいものを食べに行こうか。」

「はい。今から楽しみですわ。」


 色々あるけど、仲良く過ごしていけそうだ。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

処理中です...