元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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南国へ国外逃亡できたよ

マリアになりました

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 ショック過ぎて気を失った私。フッと目覚めると、前世の日本にいた頃に使っていたくらいのベッドに寝せられていた。あ、もしかして船に乗ってる?小さな小窓から見えるのは、ははっ!青い海だわ。ゆっくり左右に揺れる船内。気を失っている間に、船に乗せられて、無事に?出国したようだ。

 ふぅー。しかしあのロペス伯爵令息は、随分と段取りがいいのね。恐らく、頭はそれなりにキレる方。気を付けないと私の命が危ないわ。
 でも、あのまま国内に残っていても、悪役令嬢に怯え、フィル兄様や義兄とかのヤンデレ攻略対象にも怯え…、精神をすり減らしながら生きて行くにも限界があったよね。だから今の私には、攻略対象者がいないだろうと思われる国外に逃げる事が、1番安全な気がする。
 南国とうちの国とは、貿易はしていても、そこまでの交流はないみたいで、外交官も駐在はしていないって、前にルーベンス先生が教えてくれたから、この国にいることはバレないと思う。
 養女に入る伯爵家が、どんな家なのか不安だけど、多分、伯爵家に住むことになるから、その間はロペス伯爵令息とは別行動になるよね。伯爵家でイジメに合うようなら、さっさと逃げちゃおうか。うん、そうしよう!

 ベッドの上で、体を起こして考え事をしていると、ドアが開かれる。

「マリア!目覚めたんだね。」

 キラキラ美形のロペス伯爵令息が入って来た。彼はベッドに腰掛けると、私の頬に優しく手を当てる。今更だが、私はマリアさんになったのね。

「まだ顔色が悪いな。体調が良くなるまでは、貴族学園には行かないで、ゆっくり療養しよう。かわいい君に何かあったら大変だからね。」

 ロペス伯爵令息は、私を優しく抱き寄せる。フィル兄様もそうだったけど、近衛騎士って女の子の扱いに慣れてるの?

「あの、ロペス様。船でどれくらいかかるのでしょうか?」

「あと5日くらいかな?それと、ロペスじゃなくてオスカーって呼んで。君のことは、マリアじゃなくて、リアって呼ぶからね。」

 この方、切り替えが早いのね。

「…オスカー様。」

「リア?…君に名前で呼んでもらえるなんて、なんて幸せなんだろう。」

 オスカー様は、また私の額や頬に沢山キスをする。多分知らない人から見たら、普通に恋人に見えるだろうな。

「オスカー様にお願いがあるのです。」

「かわいいリアのお願いなら何でも聞くよ。でも、国に帰りたいとか、私から離れたいとか以外でね。」

 …ですよねぇ。

「それは分かっています。私がお願いしたいのは、もしも、南国で生活していて、別に好きな方ができましたら、私は黙って身を引くので、その時は正直に話して欲しいのです。それと、監禁や暴力をしないことと、私を殺さないことを約束をしてくれますか?」

 オスカー様は、悲しそうな顔で言葉を無くしてしまった。…ヤバい。変な事を頼んでしまったかな?

「…ごめん。リアを無理に拐って来たから、そんな風に不安にさせてしまったんだね。こんなに可愛いリアに、そんなことは絶対にしない。それと、絶対に愛人や第二夫人は持たない。こんな風に本気で欲しいと思ったのは、君が初めてなんだ。…そうだ!向こうに着いたら、契約魔法で君ときちんと約束をしよう。それなら安心できるだろうからね。リアを絶対に幸せにする。だから早く私を好きになって欲しい。」

 契約魔法で約束してくれるの?絶対にしてもらおうっと。

「契約魔法をしてくれるのですか?不安な私の為に?ありがとうございます。知らない土地に行くのはつらいですが、オスカー様がそこまで私との約束を大切にしてくれるなんて。少し前向きになれそうです。」

「ああ、約束しよう。リア、愛してるよ。早く私に落ちて来て。」

 ギュッと抱きしめられた後に、口にキスをされてしまった。ヤバい!この人もキスが上手い!

「んっ、んっ…ん。」

 濃厚なキスは、口から首へ。ドサっと、ベッドに押し倒される。いや、待って!気を失っていたから、お風呂に入ってないよね。しかも、知り合ったばかりて、コレなの?

「んんっ。オスカー様、困ります。」

「…ごめん。君がかわいいから、我慢出来なくて。」

「あの、ずっと寝ていたので、体を洗いたいのですが?」

「そうだよね。でも、君が寝ている間に浄化魔法を何度かかけておいたよ。」

 浄化魔法か。そう言えば、便利だからってレジーナが教えてくれたっけ。そうか、この人は騎士団にいたから使えるのね。確かに湯浴みしてないのに、髪はサラサラだし、体もベタベタしてないわね。ドレスも綺麗だし。口の中も爽やかな気がする。

「親切にありがとうございます。」

「だから、もう少しこうしていたい。許して。」

 首元をチュッチュッとされた後、胸元を強く吸われる。もしかして、キスマーク付けてる?いきなり?私の中では、まだ初対面の延長のような人なのに。手を出すのが早くない?

「リア、愛してるよ。まだ2人で過ごしてそんなに時間は経ってないのに、君が好きでたまらない。スペンサー卿には絶対に返さないし、髪の毛一本ですら、誰にも渡さないからね。」

 近衛騎士はすごい肉食らしい。捕獲されたら逃げられないみたいな。

 結局、いやらしい事を色々されてしまった。しかし、婚約までは全部はしないと言っていた。オスカー様は本命だからこそ、純潔は大切にしたいと言う。
 ああ、フィル兄様も最後までしなかったのは、そういうことだったのか。遊び人だったからと、彼の愛を疑ってばかりいて悪かったな…。
 無意識に涙が溢れていた。

「…リア?泣いてるの?ごめん。強引だったね。」

 この後、オスカー様は過保護に私の世話を焼いてくれる。部屋の外には出ないように言われた私は、まだ体調がよろしくないのもあって、ベッドでゆっくり過ごしていた。数日間の船旅も、オスカー様のベタベタと仲良しで、あっという間に過ぎていく。気づくと南国に到着していたのであった。
 
 つば広帽子をかぶらされて、船を降りると、オスカー様が養子に入る侯爵家の馬車が迎えに来ていた。侯爵家には港から馬車で2時間くらいで到着するようだ。侯爵家に着くと、オスカー様の伯母様らしき夫人に出迎えられる。

「オスカー、来てくれてありがとう。長旅で疲れてない?今日はゆっくりしてね。…そして、そちらが貴方の大切な人かしら?」

 何だか気さくな雰囲気の夫人に見える。50代かな?少し安心する私。

「伯母上、今日からお世話になります。そして、彼女がマリアです。リア、こちらが私の伯母のマーフィー侯爵夫人だよ。」

「マリア・ワトソンと申します。どうぞよろしくお願い致します。」

 この国のマナーやカーテシーは、私の国と同じらしいから、良かった。侯爵夫人なので、王族にするように丁寧にカーテシーをする私。

「……。」

 あれっ?私、粗相しちゃったかな?

「…伯母上?」

「…あっ!ごめんなさい。あまりに綺麗なカーテシーをするから、見惚れてしまったわ。マリアと呼ばせていただくわね。マリアは男爵家の令嬢で間違いないのよね?ご両親は教育熱心な方なのかしら?カーテシーだけじゃなくて、うちの国の言葉も綺麗に話せるみたいだし。うちの国の男爵令嬢で、こんなに綺麗で優秀な令嬢はいないと思うわよ。オスカーがわざわざ連れて来たいと言っていた理由が分かったわ。」

 好意的に見てくれているのかな?ルーベンス先生、ありがとう。貴方のおかげで何とかなりましたよ!

「伯母上がマリアを認めて下さったようで、嬉しいですよ。彼女は努力家なんです。知り合いのいない国に来て、とても心細いと思うので、マリアをよろしくお願いします。」

 オスカー様も外国語ペラペラなのね。あ、そう言えば、近衛騎士は外国の要人が来たら警護に付くこともあるから、外国語が堪能な人が多いって聞いたことがあるわね。しかし、顔色1つ変えないでペラペラと嘘をつくのはすごいわ。この人、なかなかのやり手っぽいわね。

「勿論よ。こんなに綺麗で聡明な子が、うちの嫁に来てくれるなんて。みんなに自慢しちゃうわ。」

 嬉しそうに話す侯爵夫人。ううっ。なんだか心が痛むのですけど。だけど、もう後戻りは出来ないのね。マリアとしてやるしかないわ!私はマリアよ!


 



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