元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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南国へ国外逃亡できたよ

王女殿下を治療したら

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 今日は週末でお休みだ。

 オスカー様との約束は明日だし、今日はゆっくりしよう。1日部屋に引きこもって、のんびりと予習と読書でもしようか。
 休日の朝は、ゆっくり出来るようにと、自室まで朝食を運んでくれる。一人で朝食を食べた後、天気がいいので、バルコニーの椅子に座って読書をする。気候が穏やかで暖かいから、こうやってバルコニーで過ごすのは気持ちがいいのよね。
 南国のロマンス小説を夢中になって読んでいると、ドアがノックされたようだ。何か嫌な予感がしつつも、返事する。

「マリア、お茶を持って来た。」

 はぁ。わざわざ来なくてもいいのに。

「お、お兄様、ありがとうございます。」

「天気がいいから、バルコニーで飲むか!」

 カップが2つある。一緒に飲むようだ。お茶を注いでくれた後に、向かいの椅子に座るお兄様。昨日のパーティーで怒っていたようだから、何だか気不味い。

「マリア…、昨日、一緒にダンスをしていたのは誰だ?」

 は?いきなりそれ聞くの?

「クラーク様でしょうか?新入生の方ですわね。」

「…新入生?年下か?しかもクラークって、クラーク侯爵家か?」

「…そうですわ。」

 何だか不機嫌になるお兄様。自分から聞いておいて何なんだ?

「マリア、私は年下の令息だからと侮るなと言ったはずだが。」

 意味が分からない。

「お兄様、別に何もありませんから。ご心配なく。」

「マリアは考えが甘い。昨日の男は、殿下がダンスに誘うまで、ずっとマリアから離れなかったし、馴れ馴れしく手を引いたり、ダンス中に顔を赤くしたりしていただろう。下心丸出しだ。あの男には近づくな!」

 そこまで見ていたのか!ちゃんと護衛の仕事をしていたのかと聞きたくなるが。

「お兄様、私からあの方には近付いておりませんので、心配いりませんわ。それより、私のことはいいので、お兄様こそ、素敵なお話はないのでしょうか?」

「私のことは関係ないだろう。マリアの話をしているのだから。」

「私のことも、そんなに心配なさらなくても。」

「マリアは、マーフィー卿がいるのだから、気を付けろと言いたいんだ。」

「それは…、そうですわね。気を付けます。」

 心配性のお兄様なりに、色々と考えてくれてはいるらしいが、最近、うるさ過ぎるのよね。
 お兄様の話が長くて、気づいたらランチの時間になっていた。お兄様は、お父様やお母様に、私にしつこくしないように注意されて、また機嫌が悪くなっていた。

 次の日、オスカー様やおば様に会いに侯爵家に行く私。おば様とお茶をした後、またオスカー様の部屋に連れて行かれる。

「マリア、会いたかった。1週間が長くてね。早くマリアに会いたくて頑張ったよ。」

 オスカー様の頭を撫でてみた。あー、嬉しそうにしている。かわいいところもあるのね。
 この先どうなるかは分からないけど、今は一応はこの人が恋人なわけだから、必要以上にクラーク様には関わらないようにしよう。確かにお兄様の言う通りだわね。

 オスカー様は今日もお盛んだった。帰りが遅くなってしまい、お兄様が玄関で待っていて、恐ろしかった。

 次の休日、王太子殿下に王宮に招待された私。王女殿下の友人になって欲しいと言われたから、王女殿下を紹介されるんだろうな。
 
 馬車で王宮まで来ると、入り口から近衞騎士が案内してくれる。私の苦手な近衛騎士。当たり障りなく挨拶をした後、綺麗なガーデンに案内してくれた。恐らく、ここで茶会でもするのだろう。しばらく待っていると、王太子殿下に手を引かれた6歳くらいの王女殿下らしき女の子が来た。メイドや護衛は、離れた場所で待機してるのね。お兄様が近くにいなくてよかったわ。
 2人が近くに来たタイミングで、サッと立ち上がり、淑女の礼をする。

「マリア嬢、今日は非公式な場だから気を遣わなくていい。顔を上げてくれ。」

 顔を上げると、殿下の後ろに王女殿下が隠れる。内気だと言っていたもんね。

「マリア嬢、前に言っていた私の妹のエリザベスだ。7歳だ。よろしくな。」

「王女殿下、マリア・コリンズと申します。どうぞよろしくお願い致します。」

「……エリザベスです。」

 殿下の後ろから顔を出す、王女殿下。クリクリの青い目に、綺麗な金髪の髪で可愛い。思わず笑みが溢れる。

「ベスは、足が生まれた時から不自由で、歩くのは出来るが、上手くカーテシーが出来ないんだ。だから、このような挨拶で許して欲しい。」

 だから、内気になってしまったのかしらね。かわいいから、強気で行けばいいのに。
 もしかして、お兄様あたりに私の治癒魔法のことでも聞いている?脚を治せって命令?

「王太子殿下、こんなに美しくて可愛い王女殿下に、私はそんなことは求めませんわ。早速ですが、王女殿下の脚の治療をしてもよろしいでしょうか?治癒魔法がどこまで効くかはまだ分かりませんが。」

「…治癒魔法?治療?……マリア嬢は何を言っているのだ?」

 えっ?違うの。ヤバい!余計なことを言ってしまったわ。顔から血が引く私。

「王太子殿下、間違えました。お忘れくださいませ。」

「…マリア嬢。そこまで言われて、忘れるわけないだろう。話してくれるな。」

 殿下の笑顔が恐ろしいわ。ううっ。

「私は治癒魔法が得意でして、王太子殿下がその事を義兄に聞き、私を呼び出して、治療をさせようとしたのかと思っておりました。勘違いして申し訳ありません。」

「治癒魔法が得意とか聞いてない。エルは君の事は、何も教えてくれないからな。…でも、治癒魔法が得意で可能性があるなら、妹の脚を治してもらえないか?」

「私に出来ることなら。しかし、生まれつき悪かったものを治すのは初めてでして、効果がどれくらいあるのかはやってみないと分からないのです。それでも、お許し頂けるなら。」

「勿論だ。無理ならしょうがないし、可能性のある事は試してみたい。」

「分かりました。王女殿下のおみ足を見せて頂きたいのですが、場所を変えた方がよろしいですか?」

「そうだな。今すぐ、移動しよう。人払いもする。」

 ということで、室内の個室に移動して王女殿下の脚を見せて頂いた。素人で細かいところは分からないから、ひたすら腰から足先にかけて治癒魔法をこれでもかとかけてみた。カーテシーが出来ないってことは、膝とか関節が悪いのかな。その辺を重点的にやってみた。
 結果、あっさり治った。足が動きやすくなったと、王女殿下は大喜びして、早くお母様に見せたいわと言っていた。あー、良かったわ。

「…マリア嬢、ありがとう。まさか、こんなにすごい治癒魔法が出来て、妹の悩みが簡単に解決するなんて…。」

 妹が可愛いのね。王太子殿下が涙目だわ。

「お役に立てて、幸せでございます。しかし、この事は公にはしないで頂きたいのですが。」

「…そうだな。私としては君の功績を沢山の人に知ってもらいたいが、君はそんな事を望む令嬢ではないな。しかし、私達の両親には本当の事を教えることを許して欲しい。父も母も、ベスの脚のことは心配の種で、長年悩んでいたから。」

 陛下と王妃殿下か。実の親は誤魔化せないもんね。

「はい。分かりました。」

 その日は、王女殿下がすぐに陛下達に会いに行きたいとなり、お茶会はまた今度となる。私は望み通りにすぐに帰ることになった。
 王女殿下と別れる際に、恥ずかしそうに『ありがとう』と言う姿が可愛くて、キュンキュンしてしまった私だ。


 馬車に戻る時。通路を歩いていると、かなり前を歩く男性が、オスカー様の後ろ姿に似ている気がする。土曜なのに、今日は登城する日だっけ?私とはいつも日曜に会う約束をしている。だから、明日会う予定なのだが。
 オスカー様に似た人は、離れて後ろを歩く私には気付いてないようだ。途中で、左の通路に曲がって行ってしまった。うん、オスカー様ね。髪も、背格好も。オスカー様は、今日、私が登城していることは知らない。3日前くらいに急に招待されたからね。何となく気になった私は案内役の近衛騎士に聞いてみることにした。

「少しお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 得意の上目遣いで、若い近衛騎士に聞いてみる。

「は、はい。何でしょうか?」

「私達のかなり先を歩いていた方が左に曲がって行きましたが、あの先には何があるのでしょうか?」




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