元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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南国へ国外逃亡できたよ

修羅場?

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 若い近衛騎士は、私の質問に驚きながらも、答えてくれた。

「あの通路の先は、裏庭に繋がっています。あまり、人気はないですね。木が生い茂っていて、見学するような所ではないかと。ただそんな所なので、逢瀬に使う方がいるようですね。さっきの方も…。あっ、失礼しました。」

 何と!それは食いつかなければ。

「あの、さっきの方がどうされました?教えて頂きたいのです。」

「先程の方も、土曜に時々お見かけするような気がします。土曜は人が少ないし、自分の担当の場所でもあるので覚えているのですが。」

 オスカー様、もしかして…!

 どうしよう?怖いし、ショックもあるけど。後で本人を問い詰めても、上手く誤魔化されそうだし。現行犯で行くのが手っ取り早いよね。でも1人はちょっとなぁ。

「あの?顔色がよろしくないようですが、大丈夫でしょうか?よろしければ、コリンズ卿を呼んで来ましょうか?」

 なんて、優しい近衛騎士様なの!お兄様に一緒に行ってもらえばいいじゃない。曲がったことが大嫌いな性格だから、何とかしてくれそう。

「ありがとうございます。…確かに少し気分が悪いような。義兄を呼んで来てもらってもよろしいですか?目立ちたくないので、出来れば急ぎで、静かに呼んで欲しいのです。お願いします。」

「わかりました!すぐに呼んで来ます。お待ちください!」

 おおー!頼りになる騎士様だ。近衛騎士様は走って呼びに行ってくれた。そして数分経つか経たないくらいでお兄様と、えっ!王太子殿下まで来たんだけど。

「マリア。大丈夫か?顔色が悪いな。今日は早退して、私がマリアを連れて帰るからな。」

「マリア嬢、大丈夫か?さっきの魔法で魔力を使い過ぎて、気分が悪くなったのではないのか?」

 殿下まで来たから、顔色が悪くなっただけなのに。言いにくいが、でも言うしかない。

「殿下、わざわざ申し訳ありません。大丈夫です。しかし、ちょっと私的なことで、気分が悪くなりまして。」

「マリア嬢?何かあったのか?」

「申し訳ありません。本当に私的なことで王太子殿下の耳には入れてはいけないような事で。」

「マリア!殿下は無視していいから早く言ってみろ!」

 こんな時でもお兄様はブレないわ。殿下を無視していいだなんて、普通は言えないから!
 でも、もう言ってしまおう。

「お兄様。先程、オスカー様が裏庭に行きました!」

 裏庭という事で、お兄様は何かを悟ったようだ。
 うっ!殺気が…。

「マリア、本当か?」

「はい。先程見ましたよね?しかも、土曜に何度か目撃していると、話してましたよね?」

 若い近衛騎士に同意を求める。

「先程の方ですね…。はい。土曜に何度か見ています。」

「…マーフィー卿め!!」

 お兄様、怖すぎます。

「お兄様、私が潔く身を引けるように、現行犯で押さえたいのです。一緒に来てくれませんか?」

「…それで、いいのか?」

 お兄様が悲しそうだ。

「お願いします。」

「分かった。」

「待った!私も友人として、一緒に行こう。こんな時は、役に立てるぞ!多い方が後々有利だ。君も来てくれるか?口は堅いよな?」

 殿下が若い近衛騎士に声を掛けている。

「はい。裏庭は私の担当で詳しいので、私の後をついて来て下さい。」

 おー、頼りになるわ。

 私達は、4人で裏庭にいるオスカー様を探しに行く事にした。

 若い近衛騎士は、近衛騎士だけが知る、隠し扉から裏庭に案内してくれた。音を立てないように、身を潜めながら移動する私達。先に歩きながら誘導してくれる近衛騎士の後に続く。裏庭の中にも、逢引きするスポットがあるのかな?近衛騎士は、迷わずに誘導してくれている。
 前を歩く近衛騎士の足が止まり、私たちにそこにいるって、指差して合図をくれる。静かに静かに、近づく私達。茂みの間から見えたものは、予想通りの物であった。
 そこは周りが木に囲まれた場所で、都合良くベンチが置いてある。オスカー様は、ベンチに手をついた、文官の制服を着た女性を背後から攻めている。
 私は中身アラサーだからね。前世でエッチなDVDとか見た事あるから、何とかなってるからね。

 でも、ショックー!

「マーフィー様ぁ、好きですぅ。ああ、あん!はぁ、はぁ、気持ちい、あん。」

 パンパンと音が…。うわー、生々しいわ。

「あっ、ああ。マーフィー様ぁ、すごい!早くぅ、私をあなたのぉ、恋人にしてぇ。ああ、あん。私達、体の相性いいからぁ。あん。お願いー、はぁ、あん。」

「煩い!黙ってろ!」

 何かオスカーの本性が見えたような。しかし、もう我慢の限界ね。お兄様は、怒りで肩が震えている。みんなで視線を合わせる。

「マーフィー卿!随分と楽しそうだな。」

 お兄様が声を掛けると、2人は動きが止まるのであった。
 その後、慌てて服の乱れを治す2人。2人は顔が白くなってしまった。オスカー様は私の顔を見て、目を見開いた後、更に顔色を悪くする。

「…リア、どうしてここに?……これは違う。私が愛しているのはリアだけだ。信じて。お願いだ!」

 もうキモい人にしか見えない。あー気持ち悪いわ。思わず、手で口を押さえる私。

「うっ。…マーフィー様、前に話したと思いますが、私は潔く身を引きますので、そちらの御令嬢とお幸せに。今までありがとうございました。」

「違う!私にはリアだけだ。こんな女、しつこいから少し相手にしただけだ。私はリアだけを愛している。許してくれ!私に償いをさせてくれ!リアがいないと、私は生きていけない。お願いだ!」

 こんな必死なオスカー様は初めて見た。いつも、あんなに余裕がある人だったのに。

「ちょうど良かったわ!私、マーフィー様の赤ちゃんがお腹にいるの。」

 オスカー様とは対象的に、嬉しそうに勝ち誇ったような表情で話す令嬢。

 マジか!



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