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南国へ国外逃亡できたよ
新入生
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放課後、図書室で勉強していると…。
「失礼します。コリンズ伯爵令嬢は先輩でよろしいでしょうか?」
1年生らしき、異世界版アイドルみたいな、かわいい男の子に話しかけられる。
「…はい。そうですが、何か?」
「先輩が凄い優秀だとお聞きしまして、ぜひ勉強を教えて頂きたいと、お願いに来ました。」
「人に教える程優秀ではありませんわ。たまたま前回のテストの調子が良かっただけで、私より宰相子息様の方が優秀かと。」
「いえ、コリンズ伯爵令嬢はすごい方だとお聞きしました。教えてもらうというか、もし図書館で一緒になることがあれば、分からないところを少し聞くだけでもお許し下さいませんか?」
この男の子、ワンコ系男子?顔だけじゃなくて、雰囲気もかわいいんだけど!
かわいい男の子に弱い私は、
「…それくらいでしたら。しかし、私はそこまで優秀ではありませんので、答えられないこともあると思います。そこはご理解頂けますか?」
「本当ですか?ありがとうございます!自己紹介が遅れましたが、私はジュリアン・クラークと申します。よろしくお願い致します。」
眩しい笑顔で喜ぶ子息。これは腹黒達が見たら喜ぶだろうね。
「私はマリア・コリンズですわ。どうぞよろしくお願い致します。」
この子息は、その後顔を合わせると『コリンズ先輩』と私に話しかけてくれるようになる。かわいい顔に人懐っこい性格で、私の友人達は
「あのコ、かわいいわね!」
「あの笑顔に癒されるわ。」
と、みんな喜んでいた。しかも、侯爵子息でモテるらしい。あのかわいさはモテるだろうね。
そして、新入生が入学して学園に慣れてきた今の時期に、学園主催の入学のお祝いパーティーがある。
お母様がまた張り切ってドレスを作ってくれる。薄い紫に、細かい宝石や花の飾りが付いた、高そうなドレスだ。コリンズ伯爵家は、領地経営が上手く行っており、ワインが特産で結構売れているらしい。金持ち伯爵家らしく、私なんかのドレスにもお金をかけてくれるのだ。
メイド達にこれでもかと磨かれ、学園のパーティー会場に向かう私。今日は煩いお兄様は仕事らしく、1人で向かう。学園のパーティーだから、特にエスコートは要らないから、気楽なのだ。
学園に着き、馬車を降りたところで、呼び止められる。振り向くと、ワンコ系男子のクラーク様がいた。
「コリンズ先輩、今日はパートナーはいないのでしょうか?」
「ご機嫌よう。学園のパーティーは1人でも大丈夫みたいなので、特にパートナーはいませんわ。」
「ちょうど良かった。私も1人なので、パートナーまではいかなくても、会場まで一緒に行きませんか?」
えっ?このモテる後輩とそんなことをしたら、変な噂話されそうじゃない?
「クラーク様は、ご令嬢方にとても人気があるとお聞きしましたわ。私ごときが、一緒に行ったら、その令嬢方に変な勘違いをされてしまうかと思うのですが。」
「そんなことはないかと。友人同士でパートナーとして、参加する方も沢山いると聞いてますので、大丈夫かと思います。…そんなに私と行くのは嫌でしょうか?」
寂しそうな目で見つめてくるクラーク様。その目は反則よ!
「…嫌ではないのですけど。」
「…なら、大丈夫ですね。一緒に行きましょう。」
私が返事をする前に、手を引かれてしまった。かわいい顔して、実は強引なの?
会場入りすると、他の生徒たちにチラチラ見られているような気がする。あー、視線が痛いわ。すると、リーナ達が手を振っている。良かった!あそこに合流しよう。
「クラーク様、ここまでありがとうございました。友人達がいるので、私はそちらに行きますわ。」
「あっ!コリンズ先輩の友人の令嬢方ですね。私も挨拶したいです。」
うーん?リーナ達は喜ぶと思うけどね…。しょうがないか。
さり気なく、私の手を引くクラーク様。もう、それはしなくていいのに。
「ご機嫌よう。2人は今日はパートナーなのかしら?」
リズがニヤニヤして聞いてくる。
「パートナーに見えますか?嬉しいですね、コリンズ先輩?」
「ご機嫌よう。偶然、外で会ったから一緒に来たのよ。本当に偶然ね。」
周りにも聞こえるようにハッキリ言う私。とニヤニヤするリーナ達。その目で見るなと叫びたいのを我慢する私。
結局、私達のグループに混ざって話をするクラーク様。このコは話が上手いから、恐らく社交上手なタイプね。
みんなでお喋りをしていると、パーティー開始の時間になったようで、学園長や理事長、王太子殿下の話を聞いて、ダンスが始まる。一曲目に殿下や、生徒会のメンバーが踊り終え、二曲目になる時だった。
「コリンズ先輩、私と踊って頂けませんか?」
げっ!そんなことしたら、また目立っちゃうよ。しかし、
「マリア、かわいい後輩がそう言ってるんだから、踊ってあげなさいよ。」
「ほら、マリア!ダンスくらい良いじゃない。」
あなた達は、誰の味方なの?
「はい。喜んで。」
断れないので、踊ることになった。
クラーク様はさすが侯爵令息なだけあって、ダンスが上手かった。しかも、嬉しそうにニコニコして踊っている。悔しいけど、かわいいわ!
「コリンズ先輩とダンスが出来るなんて、とても嬉しいです。たぶん、友人達が羨ましがると思うので、そしたら自慢してもいいですか?」
「ふふっ。クラーク様はお上手ですね。」
しかし、何となく殺気のようなものを感じている私。フッと王太子殿下が目に入った。ん?こっちを見ているような…。殿下の背後には従者と護衛騎士が数名見える。あれ?…護衛騎士って?あの長身の黒髪の護衛騎士は…。
ひぃー!煩いお兄様じゃないの!殺気はお兄様?ヤバい。なんか怒ってない?何でー?怖いんだけど。
「…コリンズ先輩、どうかしましたか?」
「…いえ、何でもありませんわ。あの…、クラーク様、この後はぜひ他のご令嬢や友人達とも交流して下さいませ。せっかくの入学パーティーなのですから、沢山楽しんでくださいね。」
微笑んで誤魔化す私。遠回しに私から早く離れて欲しいことを伝えてみた。だって、お兄様がこっち見ているようで、気が休まらないんだもん。
「……コリンズ先輩。こんな近くで、そんな風に簡単に微笑まないでください。…もう、参ったな。」
何となく、顔が赤くなるクラーク様。えっ、何でー!
その時に、曲が終わる。よし、軽食コーナーに避難しよう。
「クラーク様、ありがとうございました。失礼しますわ。」
その時、だった。
「マリア嬢!私とも踊ってくれるか?」
王太子殿下だった。断れないの分かって言ってるよね!顔が引き攣りそうだ!
「殿下、勿論でございます。」
殿下と踊っている間も、殿下の護衛騎士や従者は、近くで殿下を見守っている。そのメンバーには、お兄様も入っているのだが。
「くっくっ。エルが気になるか?」
「殿下、お兄様からの殺気のようなものは、何とかなりませんでしょうか?恐ろしいのですが。」
「それは無理だな。しかし、エルがあんな風になるなんて、私にも信じられないな。」
何が信じられないのかは知らないが、あの人を何とかして欲しい。
「そうだ、マリア嬢に頼みがあるのだが。」
「はい。私に出来ることなら。」
「私に年の離れた妹がいるのだが、マリア嬢が友達になってくれないか?少し内気だから、兄としては心配で。マリア嬢なら、安心して妹に紹介出来そうだ。」
王族とは関わりたくないが、断れないしなぁ。
「私なんかでよろしいのでしょうか?」
「ああ。君みたいに優秀で、欲のなさそうな令嬢がいい。君の家族もよく知っているから安心だ。」
「かしこまりました。仲良くなれるかは分かりませんが…。精一杯、務めさせて頂きます。」
「くっくっ。真面目だなぁ。もっと軽い気持ちでいいから。あとで、エルに招待状を持たせるよ。」
招待状って…。はぁー。困ったわ。
殿下とは普通に話をして、ダンスを終えた。
「失礼します。コリンズ伯爵令嬢は先輩でよろしいでしょうか?」
1年生らしき、異世界版アイドルみたいな、かわいい男の子に話しかけられる。
「…はい。そうですが、何か?」
「先輩が凄い優秀だとお聞きしまして、ぜひ勉強を教えて頂きたいと、お願いに来ました。」
「人に教える程優秀ではありませんわ。たまたま前回のテストの調子が良かっただけで、私より宰相子息様の方が優秀かと。」
「いえ、コリンズ伯爵令嬢はすごい方だとお聞きしました。教えてもらうというか、もし図書館で一緒になることがあれば、分からないところを少し聞くだけでもお許し下さいませんか?」
この男の子、ワンコ系男子?顔だけじゃなくて、雰囲気もかわいいんだけど!
かわいい男の子に弱い私は、
「…それくらいでしたら。しかし、私はそこまで優秀ではありませんので、答えられないこともあると思います。そこはご理解頂けますか?」
「本当ですか?ありがとうございます!自己紹介が遅れましたが、私はジュリアン・クラークと申します。よろしくお願い致します。」
眩しい笑顔で喜ぶ子息。これは腹黒達が見たら喜ぶだろうね。
「私はマリア・コリンズですわ。どうぞよろしくお願い致します。」
この子息は、その後顔を合わせると『コリンズ先輩』と私に話しかけてくれるようになる。かわいい顔に人懐っこい性格で、私の友人達は
「あのコ、かわいいわね!」
「あの笑顔に癒されるわ。」
と、みんな喜んでいた。しかも、侯爵子息でモテるらしい。あのかわいさはモテるだろうね。
そして、新入生が入学して学園に慣れてきた今の時期に、学園主催の入学のお祝いパーティーがある。
お母様がまた張り切ってドレスを作ってくれる。薄い紫に、細かい宝石や花の飾りが付いた、高そうなドレスだ。コリンズ伯爵家は、領地経営が上手く行っており、ワインが特産で結構売れているらしい。金持ち伯爵家らしく、私なんかのドレスにもお金をかけてくれるのだ。
メイド達にこれでもかと磨かれ、学園のパーティー会場に向かう私。今日は煩いお兄様は仕事らしく、1人で向かう。学園のパーティーだから、特にエスコートは要らないから、気楽なのだ。
学園に着き、馬車を降りたところで、呼び止められる。振り向くと、ワンコ系男子のクラーク様がいた。
「コリンズ先輩、今日はパートナーはいないのでしょうか?」
「ご機嫌よう。学園のパーティーは1人でも大丈夫みたいなので、特にパートナーはいませんわ。」
「ちょうど良かった。私も1人なので、パートナーまではいかなくても、会場まで一緒に行きませんか?」
えっ?このモテる後輩とそんなことをしたら、変な噂話されそうじゃない?
「クラーク様は、ご令嬢方にとても人気があるとお聞きしましたわ。私ごときが、一緒に行ったら、その令嬢方に変な勘違いをされてしまうかと思うのですが。」
「そんなことはないかと。友人同士でパートナーとして、参加する方も沢山いると聞いてますので、大丈夫かと思います。…そんなに私と行くのは嫌でしょうか?」
寂しそうな目で見つめてくるクラーク様。その目は反則よ!
「…嫌ではないのですけど。」
「…なら、大丈夫ですね。一緒に行きましょう。」
私が返事をする前に、手を引かれてしまった。かわいい顔して、実は強引なの?
会場入りすると、他の生徒たちにチラチラ見られているような気がする。あー、視線が痛いわ。すると、リーナ達が手を振っている。良かった!あそこに合流しよう。
「クラーク様、ここまでありがとうございました。友人達がいるので、私はそちらに行きますわ。」
「あっ!コリンズ先輩の友人の令嬢方ですね。私も挨拶したいです。」
うーん?リーナ達は喜ぶと思うけどね…。しょうがないか。
さり気なく、私の手を引くクラーク様。もう、それはしなくていいのに。
「ご機嫌よう。2人は今日はパートナーなのかしら?」
リズがニヤニヤして聞いてくる。
「パートナーに見えますか?嬉しいですね、コリンズ先輩?」
「ご機嫌よう。偶然、外で会ったから一緒に来たのよ。本当に偶然ね。」
周りにも聞こえるようにハッキリ言う私。とニヤニヤするリーナ達。その目で見るなと叫びたいのを我慢する私。
結局、私達のグループに混ざって話をするクラーク様。このコは話が上手いから、恐らく社交上手なタイプね。
みんなでお喋りをしていると、パーティー開始の時間になったようで、学園長や理事長、王太子殿下の話を聞いて、ダンスが始まる。一曲目に殿下や、生徒会のメンバーが踊り終え、二曲目になる時だった。
「コリンズ先輩、私と踊って頂けませんか?」
げっ!そんなことしたら、また目立っちゃうよ。しかし、
「マリア、かわいい後輩がそう言ってるんだから、踊ってあげなさいよ。」
「ほら、マリア!ダンスくらい良いじゃない。」
あなた達は、誰の味方なの?
「はい。喜んで。」
断れないので、踊ることになった。
クラーク様はさすが侯爵令息なだけあって、ダンスが上手かった。しかも、嬉しそうにニコニコして踊っている。悔しいけど、かわいいわ!
「コリンズ先輩とダンスが出来るなんて、とても嬉しいです。たぶん、友人達が羨ましがると思うので、そしたら自慢してもいいですか?」
「ふふっ。クラーク様はお上手ですね。」
しかし、何となく殺気のようなものを感じている私。フッと王太子殿下が目に入った。ん?こっちを見ているような…。殿下の背後には従者と護衛騎士が数名見える。あれ?…護衛騎士って?あの長身の黒髪の護衛騎士は…。
ひぃー!煩いお兄様じゃないの!殺気はお兄様?ヤバい。なんか怒ってない?何でー?怖いんだけど。
「…コリンズ先輩、どうかしましたか?」
「…いえ、何でもありませんわ。あの…、クラーク様、この後はぜひ他のご令嬢や友人達とも交流して下さいませ。せっかくの入学パーティーなのですから、沢山楽しんでくださいね。」
微笑んで誤魔化す私。遠回しに私から早く離れて欲しいことを伝えてみた。だって、お兄様がこっち見ているようで、気が休まらないんだもん。
「……コリンズ先輩。こんな近くで、そんな風に簡単に微笑まないでください。…もう、参ったな。」
何となく、顔が赤くなるクラーク様。えっ、何でー!
その時に、曲が終わる。よし、軽食コーナーに避難しよう。
「クラーク様、ありがとうございました。失礼しますわ。」
その時、だった。
「マリア嬢!私とも踊ってくれるか?」
王太子殿下だった。断れないの分かって言ってるよね!顔が引き攣りそうだ!
「殿下、勿論でございます。」
殿下と踊っている間も、殿下の護衛騎士や従者は、近くで殿下を見守っている。そのメンバーには、お兄様も入っているのだが。
「くっくっ。エルが気になるか?」
「殿下、お兄様からの殺気のようなものは、何とかなりませんでしょうか?恐ろしいのですが。」
「それは無理だな。しかし、エルがあんな風になるなんて、私にも信じられないな。」
何が信じられないのかは知らないが、あの人を何とかして欲しい。
「そうだ、マリア嬢に頼みがあるのだが。」
「はい。私に出来ることなら。」
「私に年の離れた妹がいるのだが、マリア嬢が友達になってくれないか?少し内気だから、兄としては心配で。マリア嬢なら、安心して妹に紹介出来そうだ。」
王族とは関わりたくないが、断れないしなぁ。
「私なんかでよろしいのでしょうか?」
「ああ。君みたいに優秀で、欲のなさそうな令嬢がいい。君の家族もよく知っているから安心だ。」
「かしこまりました。仲良くなれるかは分かりませんが…。精一杯、務めさせて頂きます。」
「くっくっ。真面目だなぁ。もっと軽い気持ちでいいから。あとで、エルに招待状を持たせるよ。」
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