元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
143 / 161
南国へ国外逃亡できたよ

可哀想な私?

しおりを挟む
 オスカー様の不貞を現行犯で押さえて、最高のお別れをした私。
 帰りの馬車の中では、ニヤけてしまうのを我慢するのが大変だったほどだ。お兄様が隣に座っているからバレるわけにもいかないし、下を向いていたら、泣いていると勘違いされるしで大変だった。
 
 お兄様はとにかく私を心配して、色々と世話を焼こうとするが、しばらくは考えたい事が沢山あるからと、1人にして欲しいことをお願いした。お兄様は、ショックを受けたような顔をしていたけど、お兄様がいたら、ゆっくりと今後の事を考えられないからね。

 そして、オスカー様と約束がなくなった休日。今日は、部屋に籠り今後の事を考えている。オスカー様と、結婚がなくなったから、伯爵家は出て行くとして、あとは学園だよね?中退したら就職が出来ないかもしれないし。明日、学園で飛び級とか、特待生とか、寮のこととか聞いてみよう。無理なら、冒険者になって、魔物討伐でもしてやっていこうかな。大変だろうけど、これから自由だからね!頑張るぞー!
 その日は、ぐっすり眠る私であった。

 次の日、スッキリとした気持ちで、機嫌よく目覚めた私。鼻歌を歌いながら朝の準備をする。朝食の時間になるので、ダイニングに行こうと部屋を出ると…

「…お兄様?おはようございます。そこで何を?」

 部屋を出てすぐの所にお兄様がいた。何で?

「……ああ、一緒にダイニングに行こうか。」

 はあ?もしかして、待ってたの?朝からそんなことしなくても。

「…行きましょうか。」

 お兄様は何も言わずに、私の手を取ってエスコートしてくれる。多分、色々と心配して来てくれたのだろうね。

 ダイニングに行くと、すでにお父様とお母様がいた。この2人は、きっとオスカー様の話をお兄様から聞いているだろうね。お兄様は、すごく激怒していたから。

「あら、2人一緒に来たのね。最近は仲良しになってくれて、嬉しいわ。」

「マリア、おはよう。朝からエルがしつこそうだけど、大丈夫かい?」

 優しい2人は、恐らく私を心配しているのだろう。でも、私は元気なの!

「お父様・お母様、おはようございます。お兄様は、いつも優しいので大丈夫ですわ。」

「マリアがそう言ってくれて、良かったわ。無愛想で冷たいけど、根は悪い子ではないから、これからもよろしくね。それより、今日は学園に行くのかしら?無理しなくてもいいのよ?マリアはいつも頑張り過ぎだから、偶にはゆっくりすることも大切よ。」

「お母様、今日は学園で調べたいことが沢山あるので、いつも通りに登校する予定ですわ。」

「……っ。マリアは、本当に頑張り屋さんね。私の自慢の娘だわ。これからも、ずっとこの家にいてね。」

 お母様、泣きそうにならないでー!私は元気なのだから。

「そうだよ。マリアは本当に自慢の娘だ。ずっとこの家にいて欲しい。この後、縁談の話とか茶会の誘いとか沢山くるだろうけど、私達はマリアが嫌がる縁談は受けないから、安心するんだよ。」

 多分、オスカー様に捨てられた、可哀想なマリアさんみたいな感じね。もう、本音を話そうか!

「お父様・お母様、いつも私を心配して下さってありがとうございます。でも私は平気なのです。ここだけの話なのですが…、オスカー様は好きとか、愛とかではなく、命の恩人というか、ちょっとした保護者みたいな存在でしたので。そんなオスカー様が、本当に好きな方と結ばれるみたいで、私は嬉しいですわ。心から2人を祝福したいと思っています。」

 満面の笑みで話す私。

「……マリア。」

「………。」

「マリア!あの男はお前と結婚すると言って、この国に連れて来たんだよな?それなのに、あの仕打ちは何だ?マリアが良くても、私はあの男を許さない!あの時、殿下がいなかったら、斬りつけていたと思う。父上、侯爵家があの男の代になったら、今まで通りに親族として付き合って行くのは、私は無理ですね。しかも、侯爵家の夫人があのアバズレだなんて。」

 お父様とお母様は、言葉を無くし、お兄様はまだ怒っている。お兄様は朝から怖い!斬りつけるとか、物騒なことをサラッと言わないでよ!

「お兄様、私はこれでも幸せですからもういいのです。オスカー様とガザフィー男爵令嬢の恋を応援しましょう。それに、お兄様がいつまでも怒っていたら、私はいつまでも前に進めませんわ。」

「…マリアがそこまで言うなら、しょうがない、我慢する。」

「まあ!エルはマリアに弱いわねぇ。」

「マリアがそれで納得するなら、もう私達は何も言わないよ。でも、マリアはうちの大切な娘だからね。オスカー殿との関係が終わったからと言って、出て行くとかは言わないでくれ。」

 うっ。お父様が鋭いわ。でも、そんな風に言ってくれるなんて、有り難いよね。

「はい。ありがとうございます。」

 その後、普通に学園に登校する私。親友達には噂が広まる前に、オスカー様と終わったことを打ち明けておいた。かなり驚かれたが、私が元気ならいいと言ってくれた。そして、ガザフィー男爵令嬢が新しい相手だと言うと、サーラがあれって顔をする。もしかしたら、姉が知っている令嬢かもと言うのだ。サーラは後でお姉様に色々と聞いておくと言っていた。有名な男爵令嬢なのかな?

 そして後日、私がオスカー様と別れたという話が、何となく噂になってきているようだ。クラスの令嬢達は話をしていたから別に普通なんだけど、あまり交流のないクラスの子息や、他のクラスの人達に、何か可哀想な人を見るような目を向けられている私。あの感じの悪かった宰相子息ですら、憐みのような目を向けてくるのだ。それはそれで居心地が悪い。そんな時だった。リズが驚きの噂話を教えてくれたのだ。

「マリア、分かったことがあるの!昨日、お母様がお茶会で聞いて来た話を教えてもらったんだけど。…聞きたい?」

 リズの笑みが黒い。

「そこまで言われたら、聞きたいわよ!」

「ふふっ!実はね…、マーフィー卿はガザフィー男爵令嬢に媚薬を盛られて、子供ができて責任を取る為に、最愛の恋人と泣く泣く別れて、結婚することになったって噂よ。お茶会ではね、愛し合う2人を引き裂いた、ガザフィー男爵令嬢は酷い悪女だって、みんなで話していたんだって。だから、みんなはマリアを憐みの目で見ていたのねー!」

「リズ、あなた楽しんでいるわねー!」

「ふふっ!マリアは被害者なんだから、いいじゃない。だから、私はお母様に話をしたの。マリアは、つらいのを我慢して、健気に頑張っているわよって。裏切られたのに、2人には幸せになって欲しいとまで言ってたわよって。お母様は、涙目になってマリアに感心していたわ。」

 ドヤ顔のリズめ!余計な事を言ったなー!
 そこで、サーラが何かを思い出したようだ。

「そう言えば、お姉様がガザフィー男爵令嬢を知っていたわ。友人ではないみたいだけど、結構、評判は悪い人みたいよ。友達の恋人を略奪したり、高位の貴族令息狙いで、文官になったって言われるみたいでね、王宮に来る令息を狙って、色目を使っていたとか!悪女と言われても仕方がないわねー。」

 なるほど、あの時も感じの悪い令嬢だとは思ったけど、やはりそんな女だったのね。まあ、でもあの伯母様のことだから、厳しく教育するから何とかなるだろう。
 しかし、媚薬で妊娠なんてどこから来た噂だろう。いやー怖いわね。私の知らない所で、噂がこんなになっているなんてね。

 そして、私は今日も放課後の図書室でガリ勉だ。あの後先生に聞いたら、ここの学園も、各教科ごとのレポートの提出をして、卒業試験に合格すればすぐに卒業出来るらしい。さっさとレポートを作成して、早期の卒業の為に頑張ることにした。学園を卒業すれば、年齢に関係なく、王宮の文官の試験も受けられるらしいからね。寮もあるらしいし。1人でも生きていけるように、早く自立したいのよ。ただ、お父様とお母様が、あそこまで言ってくれたから、学生のうちは伯爵家にお世話になろうと思う。

 図書室の隅で、せっせとレポートを作成していると、

「コリンズ伯爵令嬢…。」

「…はい?」

 名前を呼ばれて顔を上げると……。げっ!貴方は!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

処理中です...