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悪女の再来
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オリビアは学生時代の友人を招待して邸で茶会を開いていた。慣れ親しんだ者たちならば、気楽に招待出来るだろうと思っていたが…。お茶を終えたオリビアの様子がおかしいような気がする。
「オリビア、茶会はどうだった?」
「…はい。楽しかったですわ。慣れないことをすると疲れますわね。」
「疲れただけなのか?また何かあったように見えるのだが…。」
「申し訳ありませんでした。今日、友人から聞いて初めて知りました…。
サンチェス公爵夫人が旦那様の元婚約者だとも知らずに、この邸に招待したいだなんて言って。そんなことをしたら、サンチェス公爵家との関係が悪くなってしまいますね。もうそのようなことは言いません。
本当に申し訳ありませんでした…。」
私がきちんと話をしなかったから、オリビアは傷ついてしまったようだ。
「私が悪い。私がきちんと話すべきだった。申し訳ない…。」
「いえ。もう大丈夫ですから。」
力なく笑うオリビア…。
オリビアの友人は男爵家や子爵家の者が多くて、高位貴族にはあまりいない。だから茶会で優しくしてくれた、公爵夫人であるアリーと知り合えたことを喜んでいた。
仲良くしたいと思っていたのかもしれない…。だが、夫の元婚約者で気まずい関係だと知ってガッカリしたか…。
そんな時に、追い討ちをかける事件が起こる。
王宮での仕事を終えて、邸に帰ってくると、家令が慌てて出て来るのが分かった。
「旦那様、大変でございます。」
家令がこんな風に慌てる姿を初めて見たかもしれない。
「どうした?」
「旦那様が学生時代に仲良くされていた、あの女が乗り込んで来ました。」
学生時代に仲良くしていた女……?
リリーナか?
「…間違いないのか?」
「恐らく…。私はルイス様が愛した女なのだから、中に入れなさいと言ってました。」
嫌な予感がした。私が侯爵になったから、また付き纏うのか?
「で、どうした?追い返したのか?」
「それが…、奥様が旦那様の愛妾かもしれないからと中に入れてしまいました。応接室にいます。」
「ハァー。今すぐ対応する。騎士を呼んでくれ。」
「畏まりました。」
応接室にすぐに向かう。
「ルイス様ぁ!ずっと会いたかったですわー。
貴女が愛したリリーナです。」
下品なドレスを見に纏い、濃い化粧をしたリリーナが、猫なで声で私に話しかけてくる。
気持ち悪い…。こんな女を一時の気の迷いとはいえ、好きだと思っていたなんて、あの時の自分を呪い殺してやりたいくらいだ。
「今すぐに出て行け!!」
自分でも信じられないくらい、冷たい声が出てきた。
「ルイス様?私のことだけを愛したいと言ってくれたのを忘れてしまったのですかぁ?」
うっ…。こんな女に愛を囁いた自分が気持ち悪いと感じてしまった。
この女、また私を苦しめるのか?
許さない……!!
「オリビア、茶会はどうだった?」
「…はい。楽しかったですわ。慣れないことをすると疲れますわね。」
「疲れただけなのか?また何かあったように見えるのだが…。」
「申し訳ありませんでした。今日、友人から聞いて初めて知りました…。
サンチェス公爵夫人が旦那様の元婚約者だとも知らずに、この邸に招待したいだなんて言って。そんなことをしたら、サンチェス公爵家との関係が悪くなってしまいますね。もうそのようなことは言いません。
本当に申し訳ありませんでした…。」
私がきちんと話をしなかったから、オリビアは傷ついてしまったようだ。
「私が悪い。私がきちんと話すべきだった。申し訳ない…。」
「いえ。もう大丈夫ですから。」
力なく笑うオリビア…。
オリビアの友人は男爵家や子爵家の者が多くて、高位貴族にはあまりいない。だから茶会で優しくしてくれた、公爵夫人であるアリーと知り合えたことを喜んでいた。
仲良くしたいと思っていたのかもしれない…。だが、夫の元婚約者で気まずい関係だと知ってガッカリしたか…。
そんな時に、追い討ちをかける事件が起こる。
王宮での仕事を終えて、邸に帰ってくると、家令が慌てて出て来るのが分かった。
「旦那様、大変でございます。」
家令がこんな風に慌てる姿を初めて見たかもしれない。
「どうした?」
「旦那様が学生時代に仲良くされていた、あの女が乗り込んで来ました。」
学生時代に仲良くしていた女……?
リリーナか?
「…間違いないのか?」
「恐らく…。私はルイス様が愛した女なのだから、中に入れなさいと言ってました。」
嫌な予感がした。私が侯爵になったから、また付き纏うのか?
「で、どうした?追い返したのか?」
「それが…、奥様が旦那様の愛妾かもしれないからと中に入れてしまいました。応接室にいます。」
「ハァー。今すぐ対応する。騎士を呼んでくれ。」
「畏まりました。」
応接室にすぐに向かう。
「ルイス様ぁ!ずっと会いたかったですわー。
貴女が愛したリリーナです。」
下品なドレスを見に纏い、濃い化粧をしたリリーナが、猫なで声で私に話しかけてくる。
気持ち悪い…。こんな女を一時の気の迷いとはいえ、好きだと思っていたなんて、あの時の自分を呪い殺してやりたいくらいだ。
「今すぐに出て行け!!」
自分でも信じられないくらい、冷たい声が出てきた。
「ルイス様?私のことだけを愛したいと言ってくれたのを忘れてしまったのですかぁ?」
うっ…。こんな女に愛を囁いた自分が気持ち悪いと感じてしまった。
この女、また私を苦しめるのか?
許さない……!!
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