私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ

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企み

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 パーティーが本格的に始まり、私は旦那様とダンスをしている。

「アリエル。ダンスが終わった後、前のようにまた誰かに声を掛けられるかもしれないな」

「そうですね……。今日の主役は王太子殿下と王女殿下のはずなのに、さっきから色々な人にチラチラ見られていて、人の視線が不快ですわ。
 殿下の元婚約者の私が気になるのでしょうか?」

「過去のことを面白おかしく言う者はどこにだっている。
 私達に直接言えないから、ああやって意味ありげな視線で見ているのだろう。
 気にするなと言いたいが、妻がジロジロ見られて、夫である私の方が不快な気持ちになっているよ。
 この後、陛下や殿下に挨拶に行かなくてはならないのが憂鬱だな。挨拶が終わったら帰るか?」

「ええ。そうしましょうか」

 旦那様とダンスを二曲踊り終えた後、陛下と殿下に挨拶をするために王族のいる場所に向かって歩き出す。

「陛下たちの周りには人が沢山集まっているから、はぐれないように」

「はい。気を付けます」

 確かに王族の近くには私達のように挨拶に来たと思われる貴族が沢山いるようだ。
 しかし私たちが近づいて行くと、皆が道を開けてくれたので、あんなに混雑していたはずなのにすぐに陛下たちの前に着いてしまった。
 公爵家の権力が凄いのか、皆が私達と殿下のやり取りを見たがっているのかは分からないが……

「オーウェン来てくれたのか! 夫人、元気そうで何よりだ」

 私達に気付いた国王陛下がすぐに声を掛けてくれる。
 王太子殿下と同じ赤髪で、威厳のある雰囲気を持つこの方が国王陛下。右隣には前にお茶会でお会いした王妃殿下がいて、左隣には王太子殿下と王女殿下がいる。

「シールズ公爵、先日はアリエルを借りてしまって悪かったわね。
 久しぶりにアリエルと二人でお茶会が出来て嬉しくなってしまったのよ」

「国王陛下・王妃殿下、本日はご招待賜りましてありがとうございます」

 声を掛けて下さった陛下と王妃殿下に旦那様は臣下の礼をとり、それに合わせて私もカーテシーをする。

「ああ、そのように堅苦しい挨拶は必要ない。
 ところで、二人は仲良くやっているようだな。
 最近のオーウェンは、早く仕事を終わらせて、すぐ帰ってしまうんだ。あの仕事人間だったオーウェンがこんなに変わるなんて、よほど夫人が大切らしい」

「国王陛下のおかげで、私は素晴らしい妻と結ばれることが出来ました。大変感謝しております」

「まあ! それは良かったわ。
 アリエル、またお茶会をするから、新婚生活の話を沢山聞かせてちょうだい」

「王妃殿下のお茶会に招待していただくことは、大変光栄なことでございますわ」

 陛下と王妃殿下は、私たち夫婦を歓迎してくれているのか、明るく話を振ってくれている。
 そして、そのやり取りを周りの貴族たちはじっと見ているようだ。
 
「王太子の婚約もやっと整った。これは王太子自身が強く望んだ婚約なんだ。
 オーウェンも夫人も、二人を祝福してくれたら嬉しい」

 国王陛下は、隣に立つ王太子殿下と王女殿下の方に視線を向けながら、二人の婚約について口にする。
 ここで私達夫婦が二人を祝福する姿を他の貴族に見せたいのだろう。
 
「勿論でございます。
 王太子殿下と王女殿下の婚約を謹んでお喜び申し上げます」

 旦那様の言葉に合わせて、私は周りに分かりやすく微笑んだ。

「シールズ公爵・夫人、今日は私たちを祝福しに来てくれたことに感謝する。
 私の婚約者のイザベラだ」

 王太子殿下が笑顔で王女殿下を紹介してくれる。

「アシュベリー国、第二王女、イザベラでございます」

 王女殿下は私たちに笑顔を向けているが、目は全く笑ってなかった。
 怒りや悲しみではなく虚無感の伝わる目……

「イザベラ。シールズ公爵と夫人は、我が国の筆頭公爵家の人間だ。
 私達を一番側で支えてくれる大切な臣下でもある。
 王太子妃となる君の方が立場が上であっても、分をわきまえるように」

「承知しました」

 一国の王女殿下に何てことを!
 殿下はこんな人だったの?

 他にも挨拶を待つ貴族がいるからと、私達はすぐにその場を離れるつもりでいたのだが……

「シールズ公爵、せっかくだからイザベラとダンスを踊ってやってくれないか?
 イザベラはまだこの国に知り合いがいないから、陛下の忠臣である公爵がダンスに誘ってくれたら有り難い」

 殿下の言葉に、周りで聞き耳を立てていた貴族たちが少しだけ騒ついたのが分かった。



 
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