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8.未来へ……
19.行けない理由
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聞こえるのは、風に揺れる木々のざわめきと虫の声。それに焚火のはぜる音……
森の中から時々聞こえるのは梟のような夜行性の鳥の声でしょうか?
僕たちは、黒の森の中、街道からわずかに離れた空き地に馬車を止めて、野営をしています。
もちろん最初からあった空地ではなく、ユーリアちゃん直伝の木々に働きかけるエルフの魔法で作った空き地です。
馬車や焚火をする場所の他に、野戦病院用の簡易な医療用テントや家出娘の天国が余裕をもって配置でき、密集した木々によって、魔物すら近付く事はできません。
焚火を囲んでいるのは、僕とアリシア、コリーヌさんにアルバートの四人です。
デーゲンハルト氏にクラリスさんとサンドラさんの三人は、負傷者の治療で失われた魔力の回復のため、簡単な食事の後は既に休んでもらっています。
魔法攻撃を受けて倒れた人影は、氷壁に囲まれつつも消えない炎のせいで、背中に大やけどを負って昏倒していました。
怪しげな魔法の火は水魔法でも消火できなかったので、強制的に原子運動を止める『凍月』を使用してかき消したうえで、負傷者の身体を水球で覆って冷やしましたが、火傷の影響は皮下組織まで及んでおり、予断を許さない状況でした。
負傷者は、ヒーラー三人がかりで治癒魔法を施し、壊死した組織の再生も完了していますが、急激な治療による栄養不足を補う必要もあり、医療用ポッドに入っています。
町へ行かずにこの場で野営する事に批判的だったアリシアやアルバートも、医療ポッドが持ち出されたことによって、沈黙してくれましたが、この場で野営することを決めたのには他にも理由があります。
「とりあえず、状況を説明しましょう。
負傷者は二十歳前後の男性で、現在治療は完了していますが、睡眠魔法を併用して眠らせている状態です。
事情を聴くのは夜が明けてからで良いでしょう。治療自体は終わっていますので、クラリスさんとサンドラさんは、家出娘の天国で休んでもらい、デーゲンハルトさんが機器管理も含めて、テントで仮眠してもらっています」
僕がそう言うと、三人は軽くうなづきました。それをみて僕は説明を続けます。
「町へ近寄らず、この場で野営している理由ですが、これには複数の理由があります。
一つ目はお分かりでしょうが、医療用のポッドを含めた治療の様子を見せたくなかったということ」
「重症用の緊急医療システムを持ち歩いているとは思いませんでしたの。いつの間に……」
アリシアがそこまで言いかけて口を閉じます。
依頼人とはいえ、この場にはコリーヌさんがいることを考慮したのでしょうが、僕はその先を答えます。
「アレキサンドリア人ではない医療班の三人が、ポッドの使い方を知っている事でわかる通り、別に秘密事項じゃないから話しても構わないよ。
今回の任務の都合上、コリーヌさんは頭部がつぶされでもしない限り、絶対に死なせないという体制がとられているんだ。
仮に首を断たれても、あの三人と医療ポッドがあれば、三分以内であれば死ぬことはできないよ」
僕がそう言うと、コリーヌさんは自分が首を断たれて医療ポッドに入っている様子を想像したのでしょうか? 少し顔色が悪いようですが、うなづきます。
「二つ目の理由は、負傷者である彼を襲った先ほどの連中が、再び襲撃をかけてくる可能性も考慮したこともあります。
襲撃された場合、町の人が巻き込まれ無いよう配慮しているのですが、これは可能性が低いと考えています」
再び襲撃をかけてくるほど執念深いのであれば、二人が腕を負傷したくらいで引き上げるはずはありませんからね。再生能力持ちなのですから、怪我が撤退の理由では無いでしょう。
自分達の攻撃により、彼が死亡したと思っているでしょうから、彼が生存していることを確認しない限り、再び襲撃をかけてくる事はないと考えています。
「……つまり、別な理由があるということなのか? 魔法技術を見せたくないってことや、町の人々を巻き込まないと言う他に、理由があるとでも?」
アルバートが低くつぶやき、焚火の反対側から僕を見つめます。アリシアも同様ですが、コリーヌさんは思い当たる節がありそうですね。
「……町の住人が、犯罪行為に及ぶ切っ掛けを与えたくないというのが本音なのか?
町に逃げ込んできた余所者の金持ちであると思って、我々を襲わせないように......」
僕はそれには答えず、町に飛ばした偵察用ドローンからの映像を空中に投影します。
僕たちの前に映ったのは、わずかな灯に照らされたやせ細った人々の暗い顔です。
夜はまだ更け始めたばかりというのに、人々は言葉も少なく、疲れた表情で食事をしています。
食事と言っても、粗末な木製の食器にわずかな豆や雑穀をにたスープ状のものだけ。貴族の荘園制を取っているアルベニアでは、領主次第で人々の生活が大きく変わります。
「優秀な貴族というのは、領民を生かさず殺さずの状態で、最大限搾取出来る者と云うわけか。国にとっては良い領主という訳なんだろうな」
コリーヌさんの呟きにも苦いものが混じっていますね。
「ミッテンベルグ王国に隣接するヴォルフ領は、一年前まではアルべニア貴族タラント伯爵の領地でした。
領民に重税を課し、ミッテンベルグ王国に侵攻していたタラント伯爵は、今はもう爵位を失い存在しません。
新しい領主が着任し、徴兵されていた男たちが戻ってきたとしても、即座に領民の収入が増えるわけではありませんからね。
領民の手元にあるのは、前年の税収をとられた残りの物資のみで、小麦が収穫できる春までは厳しい食料事情を強いられるでしょう」
中央から派遣されてきた新しい領主がまともであれば、私財で領民に施しをする訳はありませんし、他国と接する最果ての地を治めるために派遣された貴族ですからね。
「苦しい生活を余儀なくされているところに、護衛が大怪我をした女性の多い富裕階級に見える馬車が町に来れば、彼らの心に闇が下りないとは限りません。
町ぐるみで僕たちを襲撃したとしても、自分たちが襲ったのではなく、魔物に襲われたと見せれば自分達は罪を問われないのではないか?
そう考える人がいれば、この冬を生き延びるために僕たちを襲うという選択をしないとは限りませんから……」
古い時代、村や集落に交流が少なかった時代には、村を訪れた行商人や僧侶を集団で襲い、金品を奪う『異人殺し』というのは、日本でもあったお話です。
本来善良な人々であったとしても、状況が切迫していれば、家族や近しい人を救うために、何の関係もない『異人』を害する切っ掛けになりますからね。
彼らを哀れに思うことはあっても、自分たちが犠牲になってあげるわけにはいきません。日の当たる時間に町を訪れ、水や食料を多少高めに買ってあげることはできても、夜中に彼らに全てを奪われるのはご免被りますからね。
「デーゲンハルト氏も、ヴォルフ領は昼のうちに素通りしたい地域だといっています。
彼らの心に闇を落とす切っ掛けを作るのは避けたいというのが、今回黒の森で野営をする最大の理由です。
僕たちには、この森の魔物よりも人間のほうが怖いんですよ」
僕の言葉に、三人はただ黙ってうなずくのでした。
森の中から時々聞こえるのは梟のような夜行性の鳥の声でしょうか?
僕たちは、黒の森の中、街道からわずかに離れた空き地に馬車を止めて、野営をしています。
もちろん最初からあった空地ではなく、ユーリアちゃん直伝の木々に働きかけるエルフの魔法で作った空き地です。
馬車や焚火をする場所の他に、野戦病院用の簡易な医療用テントや家出娘の天国が余裕をもって配置でき、密集した木々によって、魔物すら近付く事はできません。
焚火を囲んでいるのは、僕とアリシア、コリーヌさんにアルバートの四人です。
デーゲンハルト氏にクラリスさんとサンドラさんの三人は、負傷者の治療で失われた魔力の回復のため、簡単な食事の後は既に休んでもらっています。
魔法攻撃を受けて倒れた人影は、氷壁に囲まれつつも消えない炎のせいで、背中に大やけどを負って昏倒していました。
怪しげな魔法の火は水魔法でも消火できなかったので、強制的に原子運動を止める『凍月』を使用してかき消したうえで、負傷者の身体を水球で覆って冷やしましたが、火傷の影響は皮下組織まで及んでおり、予断を許さない状況でした。
負傷者は、ヒーラー三人がかりで治癒魔法を施し、壊死した組織の再生も完了していますが、急激な治療による栄養不足を補う必要もあり、医療用ポッドに入っています。
町へ行かずにこの場で野営する事に批判的だったアリシアやアルバートも、医療ポッドが持ち出されたことによって、沈黙してくれましたが、この場で野営することを決めたのには他にも理由があります。
「とりあえず、状況を説明しましょう。
負傷者は二十歳前後の男性で、現在治療は完了していますが、睡眠魔法を併用して眠らせている状態です。
事情を聴くのは夜が明けてからで良いでしょう。治療自体は終わっていますので、クラリスさんとサンドラさんは、家出娘の天国で休んでもらい、デーゲンハルトさんが機器管理も含めて、テントで仮眠してもらっています」
僕がそう言うと、三人は軽くうなづきました。それをみて僕は説明を続けます。
「町へ近寄らず、この場で野営している理由ですが、これには複数の理由があります。
一つ目はお分かりでしょうが、医療用のポッドを含めた治療の様子を見せたくなかったということ」
「重症用の緊急医療システムを持ち歩いているとは思いませんでしたの。いつの間に……」
アリシアがそこまで言いかけて口を閉じます。
依頼人とはいえ、この場にはコリーヌさんがいることを考慮したのでしょうが、僕はその先を答えます。
「アレキサンドリア人ではない医療班の三人が、ポッドの使い方を知っている事でわかる通り、別に秘密事項じゃないから話しても構わないよ。
今回の任務の都合上、コリーヌさんは頭部がつぶされでもしない限り、絶対に死なせないという体制がとられているんだ。
仮に首を断たれても、あの三人と医療ポッドがあれば、三分以内であれば死ぬことはできないよ」
僕がそう言うと、コリーヌさんは自分が首を断たれて医療ポッドに入っている様子を想像したのでしょうか? 少し顔色が悪いようですが、うなづきます。
「二つ目の理由は、負傷者である彼を襲った先ほどの連中が、再び襲撃をかけてくる可能性も考慮したこともあります。
襲撃された場合、町の人が巻き込まれ無いよう配慮しているのですが、これは可能性が低いと考えています」
再び襲撃をかけてくるほど執念深いのであれば、二人が腕を負傷したくらいで引き上げるはずはありませんからね。再生能力持ちなのですから、怪我が撤退の理由では無いでしょう。
自分達の攻撃により、彼が死亡したと思っているでしょうから、彼が生存していることを確認しない限り、再び襲撃をかけてくる事はないと考えています。
「……つまり、別な理由があるということなのか? 魔法技術を見せたくないってことや、町の人々を巻き込まないと言う他に、理由があるとでも?」
アルバートが低くつぶやき、焚火の反対側から僕を見つめます。アリシアも同様ですが、コリーヌさんは思い当たる節がありそうですね。
「……町の住人が、犯罪行為に及ぶ切っ掛けを与えたくないというのが本音なのか?
町に逃げ込んできた余所者の金持ちであると思って、我々を襲わせないように......」
僕はそれには答えず、町に飛ばした偵察用ドローンからの映像を空中に投影します。
僕たちの前に映ったのは、わずかな灯に照らされたやせ細った人々の暗い顔です。
夜はまだ更け始めたばかりというのに、人々は言葉も少なく、疲れた表情で食事をしています。
食事と言っても、粗末な木製の食器にわずかな豆や雑穀をにたスープ状のものだけ。貴族の荘園制を取っているアルベニアでは、領主次第で人々の生活が大きく変わります。
「優秀な貴族というのは、領民を生かさず殺さずの状態で、最大限搾取出来る者と云うわけか。国にとっては良い領主という訳なんだろうな」
コリーヌさんの呟きにも苦いものが混じっていますね。
「ミッテンベルグ王国に隣接するヴォルフ領は、一年前まではアルべニア貴族タラント伯爵の領地でした。
領民に重税を課し、ミッテンベルグ王国に侵攻していたタラント伯爵は、今はもう爵位を失い存在しません。
新しい領主が着任し、徴兵されていた男たちが戻ってきたとしても、即座に領民の収入が増えるわけではありませんからね。
領民の手元にあるのは、前年の税収をとられた残りの物資のみで、小麦が収穫できる春までは厳しい食料事情を強いられるでしょう」
中央から派遣されてきた新しい領主がまともであれば、私財で領民に施しをする訳はありませんし、他国と接する最果ての地を治めるために派遣された貴族ですからね。
「苦しい生活を余儀なくされているところに、護衛が大怪我をした女性の多い富裕階級に見える馬車が町に来れば、彼らの心に闇が下りないとは限りません。
町ぐるみで僕たちを襲撃したとしても、自分たちが襲ったのではなく、魔物に襲われたと見せれば自分達は罪を問われないのではないか?
そう考える人がいれば、この冬を生き延びるために僕たちを襲うという選択をしないとは限りませんから……」
古い時代、村や集落に交流が少なかった時代には、村を訪れた行商人や僧侶を集団で襲い、金品を奪う『異人殺し』というのは、日本でもあったお話です。
本来善良な人々であったとしても、状況が切迫していれば、家族や近しい人を救うために、何の関係もない『異人』を害する切っ掛けになりますからね。
彼らを哀れに思うことはあっても、自分たちが犠牲になってあげるわけにはいきません。日の当たる時間に町を訪れ、水や食料を多少高めに買ってあげることはできても、夜中に彼らに全てを奪われるのはご免被りますからね。
「デーゲンハルト氏も、ヴォルフ領は昼のうちに素通りしたい地域だといっています。
彼らの心に闇を落とす切っ掛けを作るのは避けたいというのが、今回黒の森で野営をする最大の理由です。
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