異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第78話 魔性の女1

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 ――――――ある日。

 
 サッカーの試合から帰ってきた俺、飯田雷丸は、伊集院家の豪邸の玄関を勢いよく開けた。試合で勝利を収めた俺にふさわしい、この堂々たる帰還――そして目に飛び込んできたのは、俺を迎える5人の美少女たち。


 麗華は腕を組み、少し呆れた表情を浮かべながらも、どこか優しい眼差しを向けている。

 隣に立つ静香さんは、上品な微笑みを浮かべて俺を見つめていた。

 焔華は腕を大きく振り上げて「おかえりじゃ!」と元気に声を上げ、雪華は控えめに手を合わせて微笑んでいる。

 貴音は大きな声で「お兄ちゃん、お疲れ様!」と無邪気に駆け寄ってきた。


 俺は満面の笑みを浮かべながら、スーツのジャケットを軽やかに脱ぎ捨て、まるでヒーローのように両手を広げた。

 

「ふはははは!ただいま帰ったぞー!今日も俺、カッコよかっただろ?」



 スーツの襟をパシッと直しながら堂々と立つ俺に、5人の視線が一斉に注がれる。この瞬間がたまらなく最高なんだよな。


 玄関ホールの中央で腕を組み、少し呆れたようにため息をつきながら俺を見つめる麗華。その整った顔立ちに、ほんのりと優しい光が宿る。


 
「……本当に騒々しいわね。誰も聞いてないのに自分から言うところが、らしいけど。」



 その冷静な一言に少しだけビビるが、彼女の瞳が柔らかい光を放っているのを俺は見逃さない。麗華のこんな態度こそが、俺をさらに燃えさせるんだ。


 静香さんは優雅に俺を見つめ、上品な口調で微笑む。


 
「おかえりなさい、雷丸君。今日も素晴らしい試合だったわ。」



 その落ち着いた声に、俺の胸がじんわりと熱くなる。静香さんの言葉には、確かな信頼と期待が込められている――それがまた、俺を奮い立たせるんだ。

 
 焔華は拳を突き上げ、豪快に笑った。


 
「雷丸、やっぱりおぬしは最強じゃ!見てて惚れ惚れするほどカッコ良かったぞ!」
 


 
 その声はまるで炎のように力強く、俺の疲れを吹き飛ばしてくれる。焔華の元気な応援は、俺にとって最高のエネルギーだ。


 雪華はふんわりとした微笑みを浮かべながら、そっと俺に声をかけた。


 
「雷丸様、本当にお疲れ様でした……。今日も素敵でしたよ……!」



 その柔らかく優しい声が、俺の心にじんわりと染み渡る。雪華の言葉には、癒しと安心感が詰まっているんだ。


 最後に、貴音が無邪気な笑顔を浮かべながら、まるで弾丸のように俺に駆け寄ってきた。


 
「お兄ちゃん!今日も超カッコよかったよ!!」



 俺の腰にしがみつき、満面の笑みを浮かべる貴音。その愛らしい姿に、思わず頭をポンポンと撫でてしまう。貴音の純粋な喜びは、俺の疲れた体を癒してくれる最高のご褒美だ。


 俺はその場で胸を張りながら、心の中で思わずガッツポーズを取る。こんな最高のメンバーが俺の帰りを待っていてくれる――これ以上の幸せがどこにある?



「これからも、お前らの自慢のハーレム王であり続けるからな!」



 その言葉に、5人がそれぞれの形で応える。


 麗華は口元に微笑みを浮かべながら小さく頷き、静香さんは優雅な仕草で拍手を送る。焔華は「さすがじゃ!」と豪快に笑い、雪華は恥ずかしそうに頬を赤らめながらも一生懸命手を叩いてくれる。そして貴音は「お兄ちゃん、最高!」と無邪気に声を上げながら、さらに俺に抱きついてきた。




 ――――――――



 その夜、伊集院家の豪華なダイニングルームでは、俺、飯田雷丸が今日の試合の話題を中心にみんなと晩御飯を楽しんでいた。

 

「いやぁ、今日の俺、マジで輝いてたよな!あのゴール、見たか?俺の切り返しからのシュート、完璧だっただろ?」



 俺が得意気に胸を張りながら語ると、麗華が箸を置いて冷静な口調で突っ込んでくる。


 
「……確かにゴールは素晴らしかったけど、観客席に向かってウィンクしてたのは余計だったんじゃない?」

「あれはファンサービスだろ!みんな俺を応援してくれてるんだから、答えるのがプロってもんだ!」



 俺が堂々と返すと、今度は焔華が笑いながら豪快に箸を振り上げた。


 
「雷丸、そのファンサービスが過ぎて、観客席の一部が興奮しすぎて大騒ぎになっておったぞ!警備員まで動員されていたじゃろう!」

「えっ、本当か!?そんなに俺、人気出ちゃったのか?」



 俺が驚きながらもどこか得意気に聞き返すと、麗華が再びため息をつきながら肩をすくめた。


 
「まぁ、一部の熱狂的なファンはいるみたいね。でも、それを増長させるような行動は控えた方がいいわ。真面目にプレイしている他の選手にも迷惑だし。」

 
 
 彼女の冷静な指摘に、俺は「そうか?」と苦笑いしながら頭をかいた。

 その麗華に対し、焔華がニヤリと笑みを浮かべ、鋭いツッコミを入れる。


 
「ほう、麗華、いつも後方彼女面しているだけあって、そういうところは真面目なんじゃのう!」



 その言葉に、麗華の眉がピクッと動いた。箸をそっとテーブルに置くと、冷ややかな視線で焔華を睨みつける。


 
「……後方彼女面って何よ?」



 静かだが、内側に確かな怒りがこもった声だった。だが、焔華は全く怯むことなく続ける。


 
「決まっとるじゃろうが!試合中、腕を組んで冷静そうに見ておるが、内心では『フッ……彼は、私の彼氏なのよ』とか思っとるんじゃろ?」



 ニヤニヤと笑いを交えたその一言が、麗華の表情にさらなる変化をもたらす。ほんのりと顔が赤らみ、さらに視線が鋭くなる。


 
「ちょ、ちょっと待って!私はそんなこと――!」



 麗華が否定しようとするが、焔華はさらに勢いを増す。


 
「いやいや、普段の立ち居振る舞いからしてバレバレじゃ!あれは間違いなく『後方彼女面』じゃ!わしの目は誤魔化せんぞ!」



 焔華が声を張り上げながら言うと、麗華は完全に言葉を詰まらせた。


 
「それにな、ファンのことも心配そうに見ておったが、その内心では――『せいぜい頑張ってね』と上から目線で思っとったんじゃろう!」



 焔華の追撃は止まらない。麗華は一瞬口を開こうとするが、反論の糸口を掴めないようだ。


 
「……本当に、焔華って無駄に観察力があるわね。」


 静かにため息をつきながら、彼女は箸を再び手に取った。

 その横で雪華がふんわりと微笑みながら口を開いた。


 
「雷丸様、本当に素敵でしたけど……ウィンクの後、相手選手に背中を取られそうになってましたよね?」

「あ、あれは計算だ!油断してると思わせて、一気に流れを掴む作戦だったんだよ!」



 俺が慌ててフォローすると、雪華は小さく頷きながらも、「ふふっ」と控えめに笑っている。


 その時、貴音がニコニコしながら大きな声で話に割り込んできた。


 
「でもお兄ちゃん、本当にカッコよかったよ!ゴール決めた後、観客席のファンたちもみんな大喜びしてたし!」

「だろ?さすがは俺だよな!」

「でもね、お兄ちゃん……次はゴールの後にバック転してみたら?もっと盛り上がると思うよ!」

「いやいや、バック転なんかして怪我したらどうすんだよ!?それに、俺のシュートだけで十分盛り上がってたろ!」



 貴音の無邪気な提案に思わずツッコミを入れるが、彼女は「えー、そうかなぁ」と首を傾げながらも笑顔を浮かべている。


 静かに話を聞いていた静香さんが、穏やかな口調で言葉を挟む。

 

「雷丸君、今日のプレイはとても素晴らしかったわ。でも、あまり注目を浴びすぎると、他の選手たちが嫉妬してしまうかもしれないわね。」

「嫉妬されるのも実力の証拠ですよ、静香さん!俺の魅力は止められません!」



 俺が自信満々に答えると、静香さんは「ふふっ」と微笑みながら、グラスの水を一口飲む。その優雅な姿に、俺は少しだけ背筋を伸ばしてしまった。


 テーブルの上は話題が飛び交い、笑い声が絶えない。みんなが俺の試合を観て、それぞれの視点で感想をくれるのが本当に嬉しい。


 麗華が再び少し呆れた声で締めくくった。


 
「でも飯田君、試合中に観客席にウィンクするのはほどほどにね。次は真面目にプレイに集中しなさい。」

「わかった、次はもっと真面目にやるよ!でも、俺の魅力が勝手に溢れ出ちゃうのは止められないからな!」



 その言葉に、みんなが大笑いする。


 焔華が箸をテーブルに置きながら豪快に笑い、


 
「まったく、雷丸らしいのう!まあ、次も期待しておるぞ!」



 雪華は控えめにクスクス笑いながら、「本当に雷丸様らしいですね……」と呟く。

 貴音は手を叩いて喜びながら、「お兄ちゃん、最高だよ!」と声を上げた。


 静香さんも穏やかな笑みを浮かべ、「雷丸君、次も楽しみにしているわ」と優雅に言葉を添える。


 5人に囲まれて食べる晩御飯は、どんなご馳走よりも美味しい。俺はみんなの顔を見回しながら、心の中で改めて思った。


 
「俺のハーレム、やっぱ最高だ!」



 明日もまた、彼女たちの期待に応えるために頑張る――そう心に決めながら、俺は箸を進めた。


 
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