異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第79話 魔性の女2

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 夕食を終え、俺、雪華、貴音、焔華、麗華の5人でリビングでのんびりとくつろいでいた。その時、俺のスマホが軽く震えた。


 ポケットから取り出し、画面を覗くと――静香さんからのメッセージだ。


 
「雷丸君、ちょっと私の部屋まで来てくれる?」



 短いけど、どこか意味深な内容。何か急ぎの話か?それとも、俺だけに話したいことでもあるのか?


 俺はメッセージを見つめながら立ち上がり、軽く伸びをした。

 

「ちょっと静香さんに呼ばれたから、行ってくるわ。」



 その瞬間、リビングの空気が一変する。全員がピタッと俺を見つめ、そして――。


 貴音が一番に反応した。ソファの上でぴょんと跳ねて、両手をひらひらと振りながら無邪気に笑う。


 
「お兄ちゃん、静香さんに呼ばれるなんて!何の話?愛の話かな?」

「いやいや、そんなわけねぇだろ!」



 俺が即座に否定しても、彼女の目はキラキラと輝いたままだ。

 雪華は控えめに微笑みながら、手を合わせて俺を見つめる。


 
「雷丸様……静香さんと二人きりなんですね。なんだかロマンチックです。」



 その優しい言葉と微笑みに、俺の胸が少しだけドキッとする。だが、その空気を一瞬で壊したのは――

 焔華だった。豪快に笑いながら、わざとらしく肘を突き出してきた。


 
「おぬし、静香にお呼ばれとは……今夜は熱くなりそうじゃのう!」

「そんなんじゃねぇって!ただ何か用があるだけだ!」



 俺が慌てて反論するも、焔華はニヤリと笑い、わざとらしく大きく頷く。


 
「ほほう、そうかそうか。まぁ、詳しい話は戻ってきてから聞いてやるぞ!」



 麗華は腕を組み、少し冷たい視線を俺に向けながら呟く。


 
「お母さんに呼ばれるなんてね。雷丸、まさかまた何かやらかしたんじゃないでしょうね?」

「なんで俺が呼ばれるたびに問題起こしたことになるんだよ!」



 俺が抗議すると、麗華は口元を少しほころばせながら肩をすくめた。


 
「そうね。でもまぁ、お母さんが呼ぶんだから、何か重要な話なんでしょう。せいぜい失礼のないようにね。」



 4人の視線と茶化しが俺に集中し、顔が熱くなるのを感じた。


 
「おいおい、そんなに冷やかすなって!俺、ただ静香さんに呼ばれただけなんだから!」



 だが、彼女たちは全く聞く耳を持たない。焔華は手を叩いて大笑いし、貴音は「お兄ちゃん、頑張ってね!」と全力でエールを送ってくる。雪華は「行ってらっしゃいませ……素敵な時間を」と優雅に囁き、麗華はため息をつきながらも、どこか温かい目で「どうせ大したことない話でしょうけど」と言う。


 俺は頭を掻きながらリビングを後にし、静香さんの部屋へ向かう。


 
「ったく、あいつら……!」



 背中に響くみんなの笑い声を聞きながら、俺は少しだけ照れくさい気持ちを抱えて廊下を歩き始めた。


 

 ――――――
 

 
 

 俺は静香さんの部屋へと向かい、扉の前で深呼吸を一つした。ノックをすると、静かで落ち着いた声が部屋の中から聞こえてくる。


 
「どうぞ、雷丸君。」



 ドアを開けると、そこには柔らかな間接照明に包まれた空間が広がっていた。ふわふわのクッションがいくつも並べられたソファが目に入り、その中心に静香さんが座っている。彼女は優雅な微笑みを浮かべながら、俺を見つめていた。

 

「いらっしゃい、雷丸君。待ってたわ。」



 その声は、どこか甘く、ゆったりとした響きがあった。部屋の中にはほんのりと甘い香りが漂い、まるで夢の中に誘われるような感覚になる。

 

「ど、どうも……なんですか、話って?」



 俺がぎこちなく尋ねると、静香さんはゆっくりと立ち上がり、俺の方に歩み寄ってきた。その動きは、まるで映画のスローモーションシーンのように優雅で、全ての瞬間が絵になる。近づいてきた彼女が、ふわっと俺の腕に絡みつく。



「実はね、雷丸君。最近、すごく疲れていて……少し甘えたくなっちゃったの。」

 

 その言葉に、俺の脳内警報が一気に鳴り響く。


 
「え?あ、甘えるって……?」



 驚きながら聞き返すが、静香さんは微笑みを崩さず、さらに俺の腕にしっかりと絡みついてくる。その感触は柔らかく、心地よく――いや、なんとも表現し難いほど特別だ。



「お願い……少しの間でいいから、あなたに甘えたいの。どうかしら?」



 彼女の顔が俺のすぐ近くに寄り、耳元で囁かれる。その声は低く甘く、まるで砂糖漬けの言葉がそのまま音になったようだ。耳元に直接響く囁きに、俺の心臓は爆音を立てる。



「えっ、ええっ!?甘えるって……俺にですか!?」
 
 

 俺の声が裏返りそうになるが、静香さんはまるで何事もないかのように、さらに体を寄せてくる。その柔らかい感触、漂う甘い香り、耳元での囁き――どれもこれも理性を完全に破壊しに来ている。


 頭の中で、さっきの焔華の言葉がエコーのように響く。


 
「おぬし、静香にお呼ばれとは……今夜は熱くなりそうじゃのう!」


 
 まさか――これが、焔華の言っていた「熱くなる」状況なのか!?俺はどうすればいい!?ここで理性を失うのか、それとも――!


 静香さんの手がそっと俺の胸元に触れる。その手の動きは優雅で、どこか儀式的ですらある。彼女の瞳が俺を見上げ、静かに微笑む。
 


「ねぇ、雷丸君……少しだけでいいの。本当に少しだけ……甘えさせて?」


 
 俺の思考回路が完全にショートする。その場から動けない――いや、動いてはいけないような気がする。理性と感情がせめぎ合い、俺はただ静香さんの瞳に吸い込まれそうになる。


 
「し、静香さん、それは――!」



 何かを言おうとするが、言葉が喉で詰まり、先に進まない。この状況、どうすれば――!


 静香さんの瞳は、何か切実なものを宿しているようにも見える。そしてそのまま、耳元でまた囁かれる。



「……私、雷丸君のことを信頼してるの。だから、少しだけ……ね?」



 その一言に、俺の心は一気に揺さぶられた。信頼――そうだ、静香さんは俺を信じてくれている。この状況をどう乗り切るかで、俺の器が問われる。
 



「わ、わかりました。じ、じゃあ、お疲れのようだし、マッサージでもしましょうか?」


 
 口から出た言葉は、俺の中で唯一この状況を切り抜ける手段として浮かんだ「マッサージ」だった。

 異世界で学んだマッサージテクニックを使えば、静香さんの疲れを癒すことができる――はずだ。



「おれ、マッサージには自信あるんで!」



 そう力強く言った瞬間、静香さんの目が輝いた。その瞳には期待と喜びが満ち溢れていて、俺の心臓がドキッと跳ねる。いや、そんな純粋に嬉しそうにされると、逆にこっちのプレッシャーがやばいんだが!?

 

「そうなの?じゃあお願いしようかしら。私はどうすればいい?」



 静香さんが微笑みながら言ったその言葉に、俺はますます動揺する。だが、ここで引くわけにはいかない!俺は深呼吸をし、手のひらを擦り合わせて準備運動をしながら答えた。



「えっと……じゃあ、そこのベッドに横になってもらって――」



 そう言いながら俺が静香さんに手を伸ばした瞬間、なぜか――いや、本当にどうしてか分からないんだけど――俺は静香さんをそのままベッドに押し倒してしまった。

 
 思いっきり仰向けに。勢いがつきすぎたのか、それとも緊張で力加減を間違えたのか、理由はどうであれ、事態は予想以上にやばい方向に進んでいた。



「……押し倒されちゃったわ。」




 その静香さんの言葉に、俺の全身が一瞬で硬直する。いやいやいやいや、待て待て待て!押し倒したんじゃない!これはあくまでマッサージの一環――いや、ただの手違いだ!そう弁解しようとするが、静香さんのその声色が妙に色っぽいのはどういうことだ!?



「いやいやいやいや!違いますって!ほんと、マッサージですから!ただの健康的なマッサージで……!」


 
 完全にパニック状態の俺に対して、静香さんは微笑みを浮かべたまま優雅に答える。

 

「ふふ、冗談よ。雷丸君、そんなに慌てないで。」


 
 その言葉に少しだけホッとするも、静香さんの穏やかで甘い声が俺の冷静さを再び削り取っていく。


「お願いするわ、マッサージ。疲れているのは本当だから……あなたに癒してほしいの。」


 
 そう言われたら、俺には断る理由なんてどこにもなかった。俺は深呼吸を一つし、心の中で覚悟を決めた。

 

「わ、わかりました!じゃあ始めますね……!」




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